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街、作りまくり! 線路、敷きまくり! 「A列車で行こうExp.」プレイしまくり!
初見プレイで「新横浜駅」をどこまでリアルに再現できるかやってみた
2017年12月22日 17:00
先日「12月にアートディンクから『A列車で行こう』シリーズの最新版がPS4で発売されるんですよー」ってGAME Watch編集部から連絡があった。「ピョン太さん、昔、“ログイン”って雑誌で『A列車』の記事を書かれてましたよね?」っていう話の流れから、今回発売される「A列車で行こうExp.」の詳細を伺い、ついては「PS4版のゲームのレビューを書きませんか?」という、原稿執筆の依頼だったのだ……。
ちなみに「ログイン」というのは以前あったパソコン雑誌で、自己紹介をさせていただきますと、私、高橋ピョン太は、その雑誌の編集(兼ライター)で、主にパソコンゲームやらコンピューターの記事を書いていたんですが、昔、「A列車」の記事を書いたというのは27年も前の話で、当時の「A列車」は「A列車で行こうIII(以下、A3)」の頃。ちょうど「A列車で行こう」シリーズがそれまでのパズル性の高いゲームから、いきなり都市開発鉄道シミュレーションへと進化した瞬間で、現在の「A列車で行こう」の礎となるバージョンだ。
当時、NECから出ていたPC-9801というパソコン向けに発売された「A3」は、クォータービューのそれはもうスタイリッシュなゲーム画面で、鉄道会社を経営しながら街作りができるという画期的なシミュレーションに進化していて、もう面白すぎて、これは特集をやるしかないねっていうことで、その「A3」の特集を担当したのがまさしく高橋で、GAME Watch編集部の人が、その記事を覚えていてくれたというのだ。ありがたいことだ。
冒頭からレトロな話で申し訳ないけど、それから27年、最初の「A列車で行こう」から数えると32年、いまだに進化し続けながら、こうして新作が出るゲームシリーズということを実感していただきたく、古いお話からさせていただいた次第だ。
ちなみに今回はPS4がプラットフォームとして選ばれたわけだが、プレイステーション版としての「A列車で行こう」シリーズも、なんと16年ぶりだという。それにしても「A列車で行こうExp.」の進化は、こうして「A3」から思うと驚愕の進化っぷりで、27年の歳月を経て退化しっぱなしの高橋に、超絶進化を遂げた「A列車」について行けるのかといわれそうですけど、実は高橋、PC版では「A列車で行こう9」も「みんなのA列車で行こうPC」も購入していて、その進化過程は見てきているので、そんなに不安はないのですが……。
正直に白状をすると、プレイするというより購買意欲で、読書でいうところの“つん読”状態。「A列車で行こう9」はすごすぎて、これに手をつけたら間違いなく仕事をしなくなると思いインストールだけに留め、「みんなのA列車で行こうPC」が出て、あ、これならライトな感覚で、「A9」がNゲージなら「みんなのA列車」はプラレールっぽく楽しめるかなと思い購入してみたものの、やっぱりインストールしたままの状況だったのだ。つまり大人の悪い癖ですな。
「A列車で行こうExp.」は、「A列車で行こう9」シリーズの最新作だと聞く。高橋は、「A9」をやるために当時の最先端GPUの載ったそれ相当のPCを購入して挑み、そしてインストールだけ。インストールだけなら最先端GPUがなくてもよかったんだけど、なんとも「A9」クラスのリアルな「A列車」がPS4でできちゃうっていうんだから、それだけでもすごいし、やってみたいという気持ちになる。
しかもPS4版では「A9」の多彩な機能を実装しているうえに、A列車史上初となる全国の新幹線が収録されているというじゃないか。さらにPS VR対応で、なんと自分の作った街をNゲージやHOゲージといった鉄道模型の世界のような新感覚で「ジオラマモード」で街の体感ができるという。「やります、やります、レビューでもコスプレでもなんでも引き受けます」といったところ、お仕事の依頼はレビュー原稿のみだった。なるほど、GAME Watch編集部は賢明だ。
お題は「新幹線」、新横浜もしくは京都の駅を再現せよ!!
さて、そんな高橋への原稿依頼は、「A列車で行こうExp.」で実際の街並みをリアルに再現せよ、というミッションだった。今回、北から南までのすべての新幹線車両が入っているというので、編集部との話し合いの結果、せっかくなら新幹線の駅周辺がいいなぁという話でまとまり、東京駅もいいけどありきたりなので、新横浜か、京都あたりがいいんじゃないかという話の流れから、京都も美しいけど、高橋の土地勘からして、まだなじみのある新横浜のほうが無難じゃないかという話でまとまり、今回は新横浜駅周辺を再現することにした。
実際にゲームをしっかりとプレイもしていないのに、リアルな街並みを高橋に再現できるのか? なんだかいきなりハードルが高いけど、ここは27年前の記事を覚えていてくれた編集部に応えるべくプロとして受け止めるしかない(本当にできるか不安だ)。
まずはロケハンから!
というわけでミッションを開始する。といっても実は「A列車で行こうExp.」のゲームそのものが編集部に届くまで、若干時間がかかるとのことなので、ここはまず、新横浜駅だ。新横浜について調べよう。
調べるといっても新横浜なら、ちょっと記憶をたどればいろいろと思い出すよね。うんうん、新横浜といえば、横浜アリーナに日産スタジアム、あとラーメン博物館があるでしょ。あとは……、あとは……、ざっと高橋の頭の中にある新横浜情報は、そんなものだった。むー、乏しい。ま、でも、横浜なんだから、とにかく海に、港に、中華街、そしてみなとみらいもあるし、イメージはそんなところだよね。
そうだ、こんなときはGoogleさんだ。Googleマップで新横浜駅を調べよう。いやー、27年の進化はすごい。インターネットがあれば、調べ物もちょちょいのちょいだ。
ん? 何? 海、ないの? 新横浜駅周辺に海はないじゃないか。むしろ、山だ。ちょっと小高いところがいっぱいある。川もあるね。それに何より、横浜まで遠いな、おい。
いや、新横浜に何度か降りたことはありますよ。コンサートを見に横浜アリーナに何度か行ってるし、横浜マリノスの試合を見に日産スタジアムにも行ったこともありますよ。でも、よくよく考えてみたら、新横浜と横浜の関係というか地理的なことは何も考えてなかったというか知らないし、改めてしっかりと眺めるとなんだか想像とまったく違うじゃないか……。新横浜駅が新幹線駅と横浜線の駅で立体交差的になってるし、いつも降り立っているのは新幹線口の大きなほうで、横浜線のほうは知らないことだらけ。こりゃ、やばい。ちょっと、行くか、新横浜。
高橋は、せっかくなのでどうせ行くなら東京から新幹線に乗って新横浜まで行くことにした。
なんとなく新横浜のイメージはついたぞ!!
さぁ準備が整ったところで「A列車で行こうExp.」を実際にプレイしてみようじゃないか。早速ゲームを立ち上げたのだが、まずはデモに魅了される。
「A列車で行こうExp.」の基本は「A9」と同じだというが、PS4なので操作はコントローラーが基本となる。実はマウスとキーボードにも対応しているので、ほぼ問題なくキーボードもマウスも使えるのだが、とりあえず自分はテレビの前でコントローラーを握りしめて街づくりを始めることにした。
むむ、この複雑なのを覚えなければならないのか……。退化した高橋には、かなりの壁になりそうだが、ミッションはやらねば先に進まない。どうする?
習うより慣れろだ、とにかくゲームを始めてみよう!
メインメニュー上部に「ゲーム」、「マップコンストラクション」、「操作図」とあるが、今回、新横浜駅周辺を作るには「マップコンストラクション」を選択するべきなのだが、いかんせん操作方法がさっぱりわからないのだから、いきなりは無理だ。ちなみに「操作図」というのは、先ほどのコントローラーの画像がそれ。コントローラーの各部の機能が常に確認ができるようになっている。というわけで、ここは「ゲーム」を選択し、「ニューゲーム」かつ最初のマップ「ガイド付きマップ」を選んで、ゲームを始めよう。
さてさて、ここで本当に高橋は本当にゲームを始めるつもりなのか? いや、始めたいのも山々だけど、今回は時間の都合上で最初からリアルな街作りに専念したいので、この「ガイド付きマップ」では、ガイドの部分のみを利用する。
動画ガイドには、「画面の見方」、「カメラ操作」、「ビューポイント」などなど、「A列車で行こうExp.」をプレイする上で必要な項目がすべて動画で用意されている。
動画ガイドは、すべて見るのもよし。今回のようにゲームを進めるというよりも、まずはリアルな地形を作るということであれば、画面系、操作系の動画のみを視聴するだけでも問題ない。経営系は、ひと通り慣れてきてから、あとでじっくりと見返せばよいと思う。
さぁ、これでバッチリと「A列車で行こうExp.」の操作もできるようになったぞ。ということでいよいよ本題の「マップコンストラクション」へと進みたい。
いよいよ地形のコンストラクションを開始する
メインメニューから「マップコンストラクション」を選んだら、続いてテンプレートを選ぶ。ここで「テンプレート」と「テンプレート1:1」という2種類の選択肢があるが、これは建造物と列車の比率のお話で、「テンプレート」は列車に迫力を持たせるためにややデフォルメされているが、「テンプレート1:1」は列車と建造物の比率がよりリアルだということなので、ここは迷わず「テンプレート1:1」を選ぶことにした。
ここでどのテンプレートを選ぶか。新横浜に似た地形のテンプレートがあればいいが、一覧を見る限り、似た地形のテンプレートはない。なければ「平地」を選び、すべて自分で作ればいいので、ここも迷わず「平地」なのだが、ちょっとその前にもう1度ロケハンのおさらい。再度、Googleマップの新横浜周辺の地図を見てみよう。
やはり新幹線、在来線の交差がポイントであることと、地図の北側を流れる鶴見川がポイントになる。マップコンストラクションとはいえ、「A列車で行こうExp.」では建造物の建設と撤去は、そんなにホイホイとできることではないので、ここは慎重に、計画的に行きたい。それが都市計画というものだし。そんなわけで、この地図から、まずは確実に新横浜らしく見えるよう、大事なポイントを記してみた。
んー、アナログチック。とはいえ、ロケハンにしろポイント地図にしろ、アナログ的に集めた情報も大事なのが、街作りなのだ。こうして記して思うのは、やはり人間はそこに目が行くということなので、それを抑えればなんとなく新横浜に見えてくるというものだろう(憶測)。
ということで、ちょっと練習もしてみようかな。ここで「平地」に川も作りたいので、先に川ってどうなっているのかも知りたいので、練習用のテンプレートは「平地」ではなく、あえて「川と丘陵」を選択してみた。
まずは駅の立体交差部分の練習なのだが、その前に駅の建設の際に新幹線のホーム、在来線のホームがリアルに作れるかも要チェック。ちなみに新横浜駅の新幹線ホームは2面4線という方式で、島式のホームで上下線ともに2線ずつあり、ホームを出たあとに線路は複線となる。そしてもちろん高架線だ。んー、ふだん新横浜駅を通っても、そこまでしっかりと見ていないことに気がついた。在来線の新横浜駅は、1面2線の地上駅だ。そして同じ複線でも、ホームの規模によって線路の敷設方法もまちまちなのだ。そのあたりは、リアルに再現しないといけないよね。
という観点から駅の建設の練習をしてみた。結果はこんな感じ。
高架駅を選択後、駅のホーム数(番線)を「2」にし、駅舎のサイズを「大」にすると島式のホームになることがわかった。が、しかし、新幹線車両を購入してみたら、大変なことがわかった。
というように、駅ひとつを建設するにしても、知識の有無でこんな失態をおかすのである。4線を複線にする方法も写真からわかるように、2種類の方法で作れてしまうんだけど、リアルでは写真の上部の方法なのだ。これも鉄道の知識がないと適当に作ってしまう要素なんだろう。
さて、お次は立体交差の駅。新幹線と在来線が見事に交差する新横浜駅最大の特徴である立体交差をどう再現するかがポイントとなるが、はたして「A列車で行こうExp.」では、どこまでいけるのか、それがわからなければこの企画は失敗する。
先に作った新幹線駅高架のどの部分に地上線路を敷くことができるのか、また駅をどこまで近づけられるか、その実験をいろいろしてみた。その結果、立体交差は新幹線高架駅の両端でなら地上線路を敷設することができ、またギリギリまで在来線の駅を近づけられることも理解できた。
と、ここで線路の敷設方法について疑問がわいてきた。というのも高架線の線路なんだけど、高架駅から敷設する際はそのまま高架線路になるんだけど、これをぐぐっと伸ばして敷くと、なんと距離によってはその端っこが地上の線路になっちゃうんだ。つまり、勝手に坂道になるというわけ。んー、これはちょっと困るな。もっとも少しずつ伸ばすぶんには、高架駅からなら高架線路になるんだけど、こんなちょびちょびと敷設するのが正しい作り方のわけがない……。
それに新横浜の場合、道路もそれなりに高架というか陸橋があったりするのだが、今のところ高橋は地面をはう道路しか作れない男なのだ。これは困るな。ゲーム中にはバンバン陸橋も出ているから、これも作れないわけがないのだ。
再度動画ガイドをチェックしてみたが、これらについては見つけられなかった。
実はあとで聞いたところによると「[動画ガイド17]A列車で行こうExp. / 環状線」にあったらしいのだが、後の祭り。はて、どうしたものかと、この時は困り果てた。
ここで線路・道路の敷設画面とにらめっこだ。といっても相手を笑わせるわけじゃない。どこかに高架にするヒントが絶対にあるに違いないとふんでの、にらめっこだ。画面を眺めること数分、画面の1番下に「Guide」とあるけど、これわからなくなったときに「△」ボタンを長押しすると、その都度ガイドが表示される仕組みだってことが、ここに表示されているじゃないか。これで線路・道路を敷設する際に押すと何か出てくるかも。
この機能は重要だよね。これでも高架線も陸橋も楽勝だ。ふー、解決してよかった。
さぁ、お次は川を作る方法だ!
川は地形の凹凸、上げ下げは上部メニューの「Edit」から行なうことができる。「Edit」モードでカーソルの部分を下げたいならコントローラーの「L1」ボタンを、上げたいなら「R1」ボタンをそれぞれ操作すると地形が変化していく。
「Edit」では、盛り上げる高さのリミット、掘り下げるリミットをそれぞれ設定できる。デフォルトでは盛り上げは240メートルまで、掘り下げは-80メートルとなっている。これをたとえば盛り上げのリミットを10メートルに設定してあげると、どんなに盛り上げても高さ10メートルのほどよい盛り上がりとなり、いい感じの台地ができあがる。ちなみにカーソルの大きさも変えられるため、作業範囲の広さによって変えるといいだろう。
さ、これでなんとなくひと通りの操作も機能もわかってきた。なんだか新横浜も作れるような気がしてきた。
が、もうひとつ忘れてはならないのが、線路や道路の敷設方法だ。
ここからが本番! テンプレートは「平地」
さぁ、いよいよリアルな新横浜周辺を再現したいと思う。これでバッチリと準備はできたはず。もう1度、ポイントをチェックしておくと、まず新幹線の駅と在来線の駅の立体交差。新幹線の駅の角度を実際にマップ上方位に合わせ、それに交差するようにほぼ水平に在来線の駅を置く。
駅の情報は、新横浜駅の新幹線が2面4線ホーム、在来線が1面2線のホーム。周辺駅は、横浜線の小机駅が2面3線、これはちょっと難しい構造だけど、これも調べた。あと東側の菊名駅は今回入るかどうかわからないけど、ここも横浜線と東急線が交差していて、横浜線が1面2線、東急線が2面4線だ。これらは、Googleマップの航空写真でも確認できるので安心だ。
では、新幹線の駅を設置しよう。
という感じで、あとはひたすら作っていくのみ。取り返しがつかなくならないよう、ひたすらセーブも忘れずにしておこう。こういう作業をしていると、実際の街作りは大変なんだろうなぁ、なんてことも実感する。
調査下調べ3日、作業はのべ10時間、そして完成
そんなこんなで、事前に練習した結果、操作上の悩みはほぼなく作業は進んだ。しいて悩みをあげるならば、実際のビルと同じに見える建造物を探し出すことや、スタジアムやアリーナ等の大きさがイメージしているものとは若干違う場合、街のレイアウトが少しずつそのサイズの違いからずれること。あと、道路ですね。欲をいえば3車線以上の道路もあるとよりリアルになるかなと。うん、道路の見せ方、結構難しい。
いやー、しかし、これはきりがない。やればやるほどリアルになっていくんだけど、今回は締め切りもあるし、とりあえず新横浜駅周辺と日産スタジアムの最寄り駅の小机駅周辺までを再現してみた。
いやー、すごいぞ「A列車で行こうExp.」。まだまだやれることすべてを試してないけど、ひと通り動画ガイドをチェックしただけで、ここまで作れました。本当にすごい進化だなぁ。これ作ったあと、実際に列車に乗って車窓から風景を眺めてみると、思わず「もう新横浜かー。帰ってきたぞー」なんて旅の終わりのさみしさを感じたりなんかして。より一層リアルな感じが高まるし。残念ながら今回はPS VRでは見てみなかったけど、車窓モードでこれだから、期待が高まりますな。
あ、そうそう、最後にもうひとつ。「A列車で行こうExp.」は、実は列車の車窓からだけじゃなく、車の運転、クルーザーの操縦で、これらの街の中を動き回ることもできちゃうんだよね。
ちなみに今回作った川は狭くてクルーザーは入れないけど、これができるということを鑑みて街作りをするのも楽しいよね。それにしても今回これでかなり「A列車で行こうExp.」に慣れたので、次はもう少しいろいろできそう。今度は自分ちの近くの風景を再現してみたいなぁ。
以上、初見のプレーヤーでもここまでできる、というレビューでした!
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