「HG ジプシー・アベンジャー DXセット」レビュー

HG ジプシー・アベンジャー DXセット

「パシフィック・リム:アップライジング」の新イェーガーをプラモデル化!

ジャンル:
  • プラモデル
発売元:
  • BANDAI SPIRITS
開発元:
  • BANDAI SPIRITS
価格:
3,024円(税込)
発売日:
2018年3月24日

 2013年に公開され、国内外の映画ファンのみならず、アニメやゲームのファンなども広く虜にしたSF映画「パシフィック・リム」の続編、「パシフィック・リム:アップライジング」が、4月13日にいよいよ日本で公開となる。舞台は前作の10年後、KAIJYU達に破壊され復興が進む近未来の地球で、新世代のパイロット達が活躍する物語を描いた作品だ。

 バンダイはこの作品の公開前より、主人公達が駆る新たなイェーガー(対KAIJYU用人間型戦闘ロボット)の商品化に積極的で、プラモデルの「HG(ハイグレード)」シリーズや、アクションフィギュアの「ROBOT魂」にて展開している。今回紹介するのは前者であり、バンダイホビー事業部のプラモデルの開発ノウハウをつぎ込んだ3種のイェーガーが、3月24日に発売となった。今回はその中で、主人公機となる「ジプシー・アベンジャー」のDXセットをレビューしていこう。

映画に数秒登場するだけのマニアックな偵察/電子戦機の完全変形フィギュア

 今回のバンダイによる「パシフィック・リム:アップライジング」の立体化は、かなり早い段階からアナウンスされていて、弊誌でもレポートした昨年7月末の「ワンダーフェスティバル2017夏」のバンダイホビー事業部のブースに、このジプシー・アベンジャーのサンプルが出展されていた。

 当初はまだ映画の情報もほとんど出ていない頃で、筆者も会場で発見して驚いた記憶がある。その後のイベントなどでバンダイはこの機体の他に、「ブレーザー・フェニックス」と「オブシディアン・フューリー」のプラモデルを発売することも発表し、この3月24日に無事3体が同時発売された。

「HG ジプシー・アベンジャー DXセット」パッケージ。通常版とはバックの色と右の機体のポーズが異なる

 その中の1体であるジプシー・アベンジャーは、前作に登場したイェーガー「ジプシー・デンジャー」の後継機であり、ブルーの機体カラーや胸にあるタービンの意匠は継承しつつ、よりスリムでヒロイックなスタイルなのが特徴だ。まだ映画公開前のため、機体の詳細は不明だが、予告編やキットの仕様などから、ジプシー・デンジャーと同じ「チェーンソード」や「プラズマキャスター」、そして新たな「グラビティスリング」といった武装があることもわかる。

 キットは機体のデザインがスマートかつ色数も少なく、さらに設定的にかなり大きな機体を約15cmほどのサイズまでスケールダウン(前作ジプシー・デンジャーの身長79mで換算すると、約1/526スケール)しているので、パーツ数はさほど多くなく、作りやすい部類と言えるだろう。腕や脚に合わせ目もあるが、HGシリーズとしては妥当な設計で、濃いめの成形色によってさほど目立つものではなかった。なおキットにポリキャップは使用しておらず、少し柔らかいPS(ポリスチロール)パーツで関節を構成している。

ランナーAとB。ランナーAは多色成型のイロプラだ
ランナーCとJTP-1、そしてシール。本体のランナー数は4枚と少ない
胸の「デュアルボルテックスタービン」はオレンジのクリアパーツで成型
胸部の前後に装甲を被せる形で組み立てていく
腰部も同様だ。ここまで組み立てに難しいところはない
頭部。目は色分けされた別パーツなので、素組みでも見栄えがいい
腕は大まかに4つに分割されているので、塗装もしやすい設計だ
腕に装着する武器は3種類。左のグラビティスリングの爪はちょっと外れやい
脚部。太ももの合わせ目が目立つが、後ハメ仕様なので消すのも容易だろう
組み立て中の本体は、メンテナンスしているような雰囲気を楽しめる
シールは細いものや小さなものがあるので、ピンセットを用意しよう

 可動に特別な機構などはないものの、標準的な可動範囲は確保されている。何より機体がシンプルなデザインので、可動を妨げる飾りなどが少なく、パーツが外れてしまうようなこともほとんどなかった。唯一、背中に2つあるアーム状のパーツが動いて角度が変わってしまうことが多かったので、劇中でこの部分が可動するような様子がなければ固定してしまってもいいかもしれない。

 武器は差し替え式で、チェーンソードとプラズマキャスターは左手、グラビティスリングは右手のヒジから先を差し替える仕様だ。なおチェーンソードは1本のみなので、予告編などで見られるチェーンソードを両手に装備した状態は再現することができない。キットを2つ購入して、改造をしてみるのも面白そうだ。

HGジプシー・アベンジャーの完成。軽くウェザリングやスミ入れをするとさらに見栄えはよくなりそうだ
機体表面にはディテールのスジ彫りが施されている。なお首はあまり動かない
脚や腕は一部合わせ目が目立つところもあるが、デザイン的にさほど気にならない
腕と脚はかなり曲がるので、ポーズも決めやすい
プラズマキャスターとグラビティスリングは腕をまるごと差し替え、チェーンソードは手首を流用する

 そしてこのDXセットには、通常版の「HGジプシー・アベンジャー」に、黄色のLEDユニットとディスプレイ台座が付属している。本体背中の装甲を外してLEDユニットを組み込むことで、胸にクリアパーツで表現されたデュアルボルテックスタービンが光るというギミックが楽しめるようになっている。

 LEDユニットはバンダイより別途発売されていて、説明書の部品注文カードで単品購入も可能なので、通常版でも光らせることは可能だ。1つ残念だったのは、LEDユニットのスイッチを入れるときも背中のパーツを外さなくてはならなかったこと。

 背中パーツがしっかりはまっているので、腕を外さないと取り外しにくく、前述の背中の飾りも動いてしまい、スイッチを入れるためにいちいちパーツを外す作業をするのがちょっと煩わしい。多少値段が上がったとしても、このDXセットにはスイッチが露出するような専用パーツが欲しかったところだ。

 ディスプレイ台座は、角度を縦と横に3段階調整できるだけの簡易的なものながら、ジプシー・アベンジャーのマークとロゴをシールで再現しているのが嬉しい。アームを取り外すことでシンプルなディスプレイ台としても使えるので、単純な立ちポーズなどで飾るときもこちらを使ったほうが見栄えがするだろう。なおこのDXセットは、特に生産数限定とはアナウンスされていないので、もし売り切れてしまったとしても再版は期待できそうだ。

DXセットに付属する専用パーツ群。LEDユニットの組み立てはプラスドライバーが必要だ
LEDユニットは組み立て式。右側のボタン電池LR41は別売りなので注意
背中のパーツを外してLEDユニットを組み込んで再び背中をはめ込めばOK
デュアルボックスタービンが輝くと、機体に命が入ったような雰囲気になる
付属のディスプレイ台座。スタンドとしては最低限の機能しかないものだ
ディスプレイ台座や別売りの「アクションベース2」を使うときは、尻のパーツを取り外す

 今回のラインナップで発売されたのは、このジプシー・アベンジャーの他、ブレーザー・フェニックスとオブシディアン・フューリーの3体となるわけだが、並べて楽しむために、やはり第6世代イェーガーのセイバー・アテナやガーディアン・ブラーボなどの味方機は全て発売してほしい。

 また、新世代イェーガー達の敵として登場することが明らかにされているオブシディアン・フューリーがあれば劇中の対決シーンも再現できそうだが、KAIJYUのキット化はさすがに難しそうなので、発売中のソフビ魂のKAIJYUシリーズなどと絡ませてみるのも楽しいかもしれない。

 いよいよ今週公開となる映画本編だが、鑑賞前に気分を高めるために作ってもいいし、鑑賞してその活躍を見てから作るのもいい。発売が早かったこともあり、一部の量販店などでは品切れしているところもあったので、映画と一緒に楽しもうという人は、見かけたら買っておくことをオススメする。

映画のチラシが手元にあったので、ビジュアルと同じポーズを付けてみた。映画でのポーズを決められれば、さらに楽しくなるだろう
【HGジプシー・アベンジャー ポーズ集】