2018年3月30日 16:03
「カイロスが欲しい」。筆者は「DX超合金 VF-31Jジークフリード」レビューからずっと、誌面でその願いを語ってきた。……その願いがついに届いたのである。「DX超合金 VF-31Aカイロス(一般機)」が家に届いたのだ。本商品はプレミアムバンダイ受注商品として、3月16日より発送されており、つい先日注文していた待望の商品をついに受け取ることができたのだ。
「VF-31Aカイロス」とは、アニメ「マクロスΔ」での、主人公ハヤテ達が所属するケイオスラグナ支部で運用されているVF-31の「一般機」である。「マクロス」シリーズにおいて、主人公達が乗る機体と同型の一般機が登場するのは“伝統”と言えるものであり、主人公機と比べて地味なデザインはが生む独特な雰囲気に魅力がある。筆者のような「一般機ファン」という独特のユーザーも少なくはないのではないだろうか。
特に「ワルキューレとの連携」を考えた主役機であるジークフリードはブルーインパルスなどのショー向け機体の要素を色濃く持っていた。対してカイロスは軍用機らしさがあり、これまでの「バルキリー(可変戦闘機)」の雰囲気を受け継ぐ機体としての魅力が大きいのである。カイロスの魅力を語っていきたい。
シリーズ伝統の一般機、次世代“やられメカ”だからこそ刺激される想像力
最初に設定を語っていきたい。「VF-31Aカイロス」は、試作機である「YF-31クロノス」の制式採用機である。クロノスは通常のフォールド(ワープ)では進むことができない「フォールド断層」を突破するという特別な目的のために作られた機体だったが、カイロスはVF-11やVF-171同様の多くの新統合軍パイロットが使用する“次世代の一般機”を目指し、クロノスの機体のデザインや機構、換装可能な追加装備「マルチパーパス・コンテナユニット」などを受け継ぎ開発が進められた。
カイロスが開発された時代、人類は移民船団により銀河の様々な場所に散らばっていったが、地球を中心とする新統合政府とその宇宙軍は、従来のVF-171に代わる機体を求めていた。移民船団が開発したVF-25はISC(パイロットや機体にかかるGを一時的に蓄積する機能)を持ち、機体の性能差は大きく開いていた。しかしISCは人類が精製できない「フォールドクォーツ」を使用するため、大量生産は難しい状況だった。
カイロスは純度の低い人造クォーツ「フォールドカーボン」を使用することで、ISCを実現。耐Gや操縦性の向上をもたらす「EX-ギア」、内装型のマイクロミサイル、様々な任務に合わせて換装可能な「マルチパーパス・コンテナユニット」、最新のエンジンと、その出力で可能になった大出力のビーム兵器や「ピンポイントバリア」、両腕に搭載されフレキシブルに使用できる「ミニガンポッド」など、様々な最新技術を投入され完成した。
主役機であるジークフリードはこのカイロスをワルキューレとの連携させるために改修された機体だ。希少なフォールドクォーツを使用し、ワルキューレの歌を増幅・拡散、さらに歌とクォーツを共振させることで機体性能をアップさせる「フォールドウェーブシステム」を搭載、脚部にはワルキューレを支援するドローンプレートが収納されている。AIなども異なっている。
アニメ「マクロスΔ」でカイロスは、主人公達のΔ小隊のジークフリードをサポートする機体として登場する。活躍シーンはあまりなく、敵である空中騎士団に翻弄される役回りではある。しかし、主人公機と同じデザインでありながら、灰色が中心のロービジ(低視認性)の塗装、1つ目のセンサーと、これまでの「マクロス」シリーズを受け継ぐ地味なアレンジがなされていて、「兵器感」が増しているのだ。「機動戦士ガンダム」における、ジムやザクのように、主役メカ以上に「ミリタリーメカの雰囲気」を持っているのが楽しいのである。
カイロスは頭部塗装以外にもジークフリードと異なる部分がある。胸部はジークフリードがクリアパーツが使われているフォールドクォーツに対し、無骨なデザインのフォールドカーボンになっている。前進翼も大型なものになっており、主翼もジークフリードが前進翼に対し、デルタ翼。さらに機首センサーも変更されている。このほか、ふくらはぎのコンテナを展開すると、中からはマイクロミサイルの弾頭が現われる。
何より「手に持った感じ」が違うのだ。表面はつや消し処理がされているが、灰色のカラーリングは戦闘機のプラモデルのような雰囲気があり、戦闘機の写真と同じアングルで眺めたくなる。ガウォーク、バトロイド形態でも独特の硬派な感じが楽しい。
ジークフリードはアニメでの活躍シーンを思い出し、その再現を考えて商品をいじるが、カイロスはこの機体がどう活躍するか想像力がより幅広く刺激される。自分がこの機体に乗ったらどう戦うか、どんな戦場で飛ぶのか、作品から離れたイメージも大きくふくらんでいく。ものすごく活躍できるのか、あっけなくやられてしまうのか……こういう様々な想像ができるのが「一般機」の魅力である。
完成度の高い変形機構。シリーズの“入門機”としてオススメ
変形機構やギミックは「DX超合金 VF-31Jジークフリード」同様である。設定同様「DX超合金YF-30 クロノス」から改良され、より変形しやすく、各形態の安定度も大きく増しており、「DX超合金マクロス」シリーズの入門用商品としてぴったりのものとなっている。
ファイター形態からガウォークへの変形は、翼から足を外して肩を展開、足を前に出し、前腕を変形、コンテナを展開し、足や腕の形を整えれば変形完了だ。筆者は、クロノス、ハヤテ機、ミラージュ機も所有しており、変形も何度もさせているので今は説明書も見ずに変形できるようになった。様々なパーツがかっちりとハマったファイター形態から、一気に様々なパーツが展開していくガウォークへの変形は楽しい。
戦闘機に手足が生えたガウォーク形態は「マクロス」ならではのものだ。地上からの垂直上昇や、緊急着陸、空中での急ブレーキや、速度を活かしたまま武装を展開しての戦闘など他のメカにはない戦闘空間を思い描ける。カイロスはコンテナ展開による武装の充実もあって、戦闘場面を想像する“ブンドド”がより楽しくなる。
そして機体を大胆に折りたたむバトロイド形態である。コクピットは水平を保ったまま、機首を含む胴体が複雑に折り曲がって重なっていくこの変形は何度見てもダイナミックだ。首回りの変形が多少複雑だが、各パーツがロック機構できっちりとハマリ、手足の長い人型に変形するのは「やり遂げた感」がこみ上げてくる。
そして、バトロイド時で全長26cmというサイズ感が良いのだ。アクションフィギュアとしてはかなり大型の部類で、特に足は動かしているとかなりのボリュームが感じれられる。金属パーツも使用され、クリック関節も随所に仕込まれているので、高額商品を手にした満足感が得られる。変形させて、ポーズをとらせるのが楽しい。それこそが「DX超合金マクロス」シリーズの最大の魅力と言えるだろう。
メッサー機用のスーパーパーツを装着してみる!
今回は“おまけ”として、カイロスに「DX超合金 VF-31Fジークフリード(メッサー・イーレフェルト機)用スーパーパーツセット」をつけてみた。ちなみに、筆者はメッサー機を所有していない。この商品もカイロス同様プレミアムバンダイ受注商品だが、筆者はこのカイロスに装着させるためだけに購入しておいたのだ。
このパーツセットの受注時、カイロスは発売決定していない。しかし、筆者はカイロスが出ることを信じ、白と黒が基本カラーのこのスーパーパーツを注文したのである。そしてカイロスが届き、大喜びで装着してみたのである。
注意が必要なのは、バンダイは公式にはパーツとカイロスの装着を保証していないことだ。実際、ジークフリートとカイロスでは胸の形が違うので、胸パーツのフィット感は少し悪く、長時間の装着は不安がある。しかし、まず写真を見ていただきたい。カイロスとパーツはカラーリングに違和感もなく、きっちりハマるのである。
スーパーパーツとは、バルキリーに装着する宇宙用の装備で、燃料タンクとブースター、そして武装が追加される。VF-25からは胸や腰、腕などにもアーマーが追加され、さらにマイクロミサイルも装備されたことで「アーマードバルキリー」の雰囲気もある。パーツをつけたまま3段変形も可能だ。
スーパーパーツをつけたカイロスはマッシブな雰囲気となる。ファイター形態では宇宙戦闘機のようなSF的な要素が追加され、ノーマルとはまた違う楽しさがある。武装と装甲を追加したいかにも強そうな感じ、外見が変わる感じは、“玩具”としても楽しい。もちろんカイロス用のスーパーパーツが発表されれば購入を考えるが、いち早くこの姿にできた楽しさはとても大きい。見ていて思わずニヤニヤしてしまう。
「DX超合金マクロス」シリーズは今後も続いていく。魂ウェブでは隊長であるアラド機の発売もアナウンスされ、劇場版で登場したリル・ドラケン装備のメッサー機や、アーマード装備もシルエットで提示された。チャック機や、ドラケンIIIの一般機も期待したいところだ。これからもこのシリーズはファンとして注目していきたい。
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