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【特別企画】日本でも盛り上がりを見せるeスポーツ!……ってそもそもなんだ!?

 昨今盛り上がりを見せるeスポーツ。世界各地で様々なタイトルを用いた大会が行なわれ、アマチュア、プロゲーマーを問わず多数のプレーヤーたちが日々鎬を削っている。

 こうした流れを「eスポーツ」として捉える流れがあり、最近では日本でもこうした単語が良く聞かれるようになった。そこで本稿ではeスポーツとはどういったものか?というところから、日本のeスポーツの現状とそこで取り扱われる競技タイトルについて紹介していきたい。

「eスポーツ」は対戦ゲームの原体験

 そもそもeスポーツとは、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)によれば「『エレクトロニック・スポーツ』の略で、広義には、電子機器を用いて行なう娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称」と定義される。

 要するに我々のよく知るゲームでの対戦をスポーツとして捉える流れで、単なる遊びとしてのゲームから、その競技性を武器に新たな興行として捉える一連の流れのことをも指す。

 日本における"対戦ツール"としては格闘ゲームが根強い人気を誇り、長い歴史を持つ「ストリートファイター」シリーズのトッププレーヤー"The Beast"、"ウメハラ"こと梅原大吾選手や、EVO 2017で劇的な優勝を遂げ、2018年のEVOでも準優勝につけたたときど選手などは人気も知名度も高く、まさに日本のeスポーツシーンを牽引する存在だ。

 一方で、ひとくちに「スポーツ」といっても野球やサッカー、テニスにゴルフ……など様々な競技があるように、「eスポーツ」においても格闘をはじめFPS、TPS、リアルタイムストラテジー、格闘、MOBA、カードなどなどそのジャンルは多岐に渡る。さらにその中で例えばMOBAなら「Dota 2」、「League of Legends」、「Vainglory」、カードゲームなら「Hearthstone」、「Shadowverse」など、ジャンルに対してタイトルが複数連なっているのがeスポーツの特徴の1つといえる。

「ハースストーン選手権ツアー 2018 Tokyo Tour Stop」での試合風景

 「eスポーツ」という名前が付くとなにやら新しいもののようにも感じられるが、その楽しみ方は様々なゲームジャンルの中から自分の好きなタイトルをプレイして、トッププレーヤーの試合を観て参考にしたり、時にはそのドラマに感動したりしつつ、仲間とその情報を共有し合いうというようなサイクルから成り立っている。つまりはゲーマーが古くから繰り返してきた遊びが、1つのエンターテイメントとして昇華し、より広い層にリーチするようになったものなのだ。

世界中で盛り上がりを見せるeスポーツ!その流れは遂に日本にも

左から「第18回アジア競技大会」に参加するSOFIA選手、レバ選手、Tredsred選手

 繰り返しになるが、eスポーツの盛り上がりは物凄いものがある。海外では既に1回の賞金総額が24億円(!!)を超えるような大会をはじめ、賞金総額が億越えの大会が頻繁に開催されていたりするし、目前に迫った8月18日の「第18回アジア競技大会 ジャカルタ・パレンバン」では「League of Legends」、「ウイニングイレブン 2018」、「Arena of Valor」、「StarCraft II: Legacy of the Void」、「Hearthstone」、「Clash Royale」の6タイトルがデモンストレーション競技として選出されている。

 アジア競技大会はアジア版オリンピックとも言われており、もはやeスポーツはゲーマーの枠を超えたスポーツ競技であり興行となりつつあることがよくわかる。ちなみに「ウイニングイレブン」と「Hearthstone」の2種目には日本代表が出場することが決定しており、8月9日にはまさしくオリンピックの代表選手よろしく壮行会まで行なわれた。

 一方日本はまだeスポーツの黎明期と言える段階にあり、法規制の問題もあって大会で高額賞金が出しにくかったり、プロがプロとして専業で生活できるような環境が整っているとは言い難い状態があったり、大きな大会は国内ではなく海外で行なわれるのが基本だったりする。現状では先達に比べるとeスポーツ後進国といって差し支えないレベルにあるのはひとつの事実だ。

 ただ、JeSUが「ウイニングイレブン 2018」、「コール オブ デューティ ワールドウォーII」、「ストリートファイターV アーケードエディション」、「鉄拳7」、「パズル&ドラゴンズ」、「ぷよぷよ」、「モンスターストライク」、「レインボーシックス シージ」の8タイトルの上位プレーヤーに対してプロライセンスを発行することが決定されたり、収入を大会賞金のみに依存しない給与制を採るプロゲーミングチームが増えてきたりと、eスポーツシーンの盛り上がりに合わせて急速に環境が整備されつつある。

 また、国内で定期的に開かれるリーグ、トーナメント大会も増加傾向にある。eスポーツの主流はまだまだ海外にあるため、世界大会などはアメリカやヨーロッパなどで行なわれることが多いが、「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」や「レインボーシックスシージ」、「League of Legends」や「コール オブ デューティ ワールドウォーII」などは日本での現地リーグも開催され、日本のプロチームなどが日本で戦う模様を観戦する機会も設けられる。特に「LoL」は日本リーグ「League of Legends Japan League」の全試合を中野のRed Bull Studioで開催しているので、好きなチームの選手の試合を直接見たり、選手とコミュニケーションを取ることまでできるのだ。

「PUBG JAPAN SERIES βリーグ」の試合風景
「LJL」試合後のファンと「Burning Core」所属選手の交流

 さらに例年アメリカで開催されてきた格闘ゲームの祭典「Evolution Championship Series(EVO)」は今年1月に日本初上陸を果たし、「EVO Japan 2018」として開催された。競技タイトルとしては「鉄拳7」、「GUILTY GEAR Xrd REV 2」、「THE KING OF FIGHTERS XIV」、「BLAZBLUE CENTRALFICTION」、「ストリートファイターV アーケードエディション」、「大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U」、「ARMS」の7タイトルが選出され、世界各地の腕に覚えのあるアマチュアからプロ選手までが一体となって熱い大会が繰り広げられた。

世界各国からプレーヤーが訪れた「EVO Japan 2018」

 インターネットが発達した昨今、会場がどこであれ試合の模様そのものは生配信などで観戦することもできる。配信はアーカイブとして残るので、後から試合の展開やプロのプレイングを追いかけることも容易だ。画面越しでも伝わるその迫力やスーパープレイはやはり見るものを魅了する。

【試合のアーカイブ(一例)】

【PUBG JAPAN SERIES βリーグ Class1 フェーズ1 Day1 Round1】
【【第1回】コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦】
【V3 vs BC|LJL 2018 Summer Split Round1 Match1 Game1】
【Evo2018 Day2 日本語中継】

 一方で、やはりeスポーツも現地で観戦するとその楽しさはひとしお。リアルタイムに目の前で展開されるトップ層のプレイングや、それに呼応するような観客の熱狂、まさに会場が一体となったような興奮の渦は、オフラインならではの楽しみだ。そういった意味で日本でeスポーツが盛り上がり、日本で大会が開かれるようになってきているのは、ゲームファンとしては非常に嬉しい潮流であるといえる。

競技性、公平性が大前提。バリエーションに富んだeスポーツタイトル!

 eスポーツはそのジャンルの幅広さも面白い。例えば海外で大人気のFPS「Counter-Strike: Global Offensive(CS:GO)」と日本のカードゲーム「Shadowverse」のゲーム体験は根本的に異なるし、必要なスキルも当然異なる。

 しかし、ひとつひとつのアクション動作の正確さや相手の裏をかくような戦略性など、それぞれ求められる要素の比率の高低や濃淡は違えど、「相手に勝つために腕と知識が必要になる」という事実はいずれのタイトルにも共通する要素だ。

 さらに、eスポーツに属するタイトルは課金額が勝敗を分けるようないわゆる「Pay to Win」とは縁遠い。ゲーム本体がパッケージの買い切り形式であったり、基本無料でありつつも試合内容には直接影響しない見た目の変更アイテムであったり、ゲーム内マネーでアンロックできるキャラクターをすぐに使えるようにするための課金であったりという形式をとるものがほとんどだ。

 例えばガチャを回してレアを引き当てる喜びはそれはそれで楽しいものだが、こと対戦にあっては、いざ試合が始まればどのプレーヤーも公平であるということがeスポーツとしての大前提となる。

 ここまで名前を挙げてきたタイトルはいずれもその条件に合致するもので、実際のプレイの勝敗を分けるのはプレーヤーの腕前や知識のみ。だからこそ勝つためにもっとうまく、もっと賢くプレイをしたくなるという欲求が生まれ、その欲求こそがリプレイ性の高さへと繋がっていくのだ。

 日本を取り巻くeスポーツの環境は着実に進化しているし、今後もeスポーツの勢いは止まらないだろう。そしてeスポーツの流行や知名度の上昇はゲームシーンの地位を着実に上げ、ゲーム体験をも今以上のものにしてくれるポテンシャルを秘めている。というのも対戦タイトルは多数のプレーヤーが参加する多様性こそが面白さを増加させるという側面もあるからだ。

 これを機会にeスポーツのプレイや観戦を始めてはいかがだろうか。きっとこれまでとは違ったゲーム体験が味わえるはずだ。

eスポ―ツはいずれも奥が深く、向上しがいのあるタイトルばかり!(画像は「LoL」)