ニュース

前人未踏のチャレンジを続けるプロリーグ「PUBG JAPAN SERIES」観戦レポート

80名が織りなす無慈悲なバトルロイヤルドラマに感動。今後どうプロリーグに軟着陸させるのかに注目

6月30日開催

会場:都内スタジオ

 PC向けオンラインバトルシューター「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」の公式リーグ「PUBG JAPAN SERIES βリーグ」が6月30日終幕した。既報のように、Crest Gaming Xanadu、Crest Games Windfallの2チームが1、2フィニッシュを果たし、姉妹チームでのドイツ大会への出場を決めるという結果となった。これにて「PUBG JAPAN SERIES(PJS)」は一区切りとなり、ドイツベルリンで開かれる世界大会「PUBG Global Invitational 2018(PGI 2018)」を挟んで、新たなリーグ方針、スケジュールがPUBG Corpより発表される見込みとなっている。本稿では、PUBG Corpが主催し、DMM Gamesが実施してきた「PUBG JAPAN SERIES」について、その魅力、凄さ、そして今後の課題にお届けしたい。

 「PJS」は、「PUBG」の正式サービスを目前に控えた2017年12月13日に正式発表され、翌2018年2月10日に、「闘会議2018」DMM.comブースで幕を開けた公式リーグ。8人や16人といったレベルではなく、20チーム80人を一カ所に集め、ゲームのモチーフとなっている映画「バトル・ロワイアル」(2000年、高見広春原作、深作欣二監督)さながらの“殺戮劇”をオフラインで繰り広げている。

 メインスポンサーにロジクール、PCスポンサーはGALLERIAを擁するサードウェーブ、モニタースポンサーにはBenQというビッグネームを迎え、その後ビックカメラ/日本マイクロソフトという大物タッグもスポンサーに迎えている。

【「闘会議2018」でのPJS開幕戦】
DMM.comブースに80人分試合席を用意し、来場者の度肝を抜いた

 そのαリーグでは、全国のネットカフェや、オープン直後のLFS池袋を会場にするなど試行錯誤を重ね、βリーグからは現在の東京のスタジオに落ち着いた。80人を一カ所に集めるのは、オンラインゲーム特有のチート行為を防ぎ、大会そのものの信頼性を確保するためだが、80人分の交通費と宿泊費、スタジオの使用料、審判スタッフの雇用費、実況解説などはすべてDMM Gamesが負担しており、しかもそれがリーグの回数分だけ発生し、その費用だけで数千万円は掛かっているものと見られる。「闘会議2018」からすべてカウントしていくと、余裕で億単位のコストが掛かっており、これが単一のゲーム、しかも正式サービス直後から実施していることに驚かざるを得ない。

【LFS池袋でのPJS αリーグ Phase2最終戦】
PJS αリーグ Phase2最終戦は正式オープンを目前に控えていたLFS池袋で行なわれた

 これだけ贅沢な環境であるため、スタジオでの観戦の楽しさは格別だ。配信ではすべてカットされているが、実際には選手達は声を出し合いながら試合を行なっており、80人分のかけ声というのは、現地で観戦しなければわからない興奮がある。もちろん、各選手はDiscordを介してボイスチャットを行っており、大きな声を出さなくてもメンバーとのやりとりはできるのだが、どの選手も興奮しているためか、例外なく声が大きくなる。

 ちなみにβリーグでは、幾つかのラウンドで、Discordが不調になったこともあり、その際は地声でオーダーを出す事態となり、文字通りの怒号が飛び交った。選手達はいささか不憫なトラブルだったが、20チームでチームバトルをオフラインでやるとこうなるのか、ということがよくわかる、ある意味eスポーツにおける壮大な実験場のようなリーグだと感じた。

【東京スタジオ】
定着した東京スタジオ。インタビューエリアや選手の休憩エリアも含めて、もっとも環境が充実している

 そしてPJSがもっとも素晴らしいと思うのは、選手達のモチベーションの高さだ。選手のモチベーションのベクトルというのは人それぞれだと思うが、現リーグはプロリーグに向けた試験的なリーグであり、参加費やファイトマネーは支給されるものの、それで生活している選手は1人もいないし、優勝しても賞金は出ないため、全チームが「PUBG」部門は赤字経営だ。

 このため現時点では各選手達は、将来のプロリーグに向けて、あるいはプロゲーマーになるためのステップとして、あるいは「俺最強」を証明するため、といったお金以外のモチベーションに突き動かされて出場している。その数は2クラス合計で160名、その下も含めれば数百名に及ぶ。

 20年近くに渡ってグローバルでプロゲーマーが活躍する環境が用意されている「Counter-Strike」シリーズを別格にすれば、この「PUBG」にはFPS界の才能が集結している印象があり、その一騎当千の猛者共がプライドを賭けてしのぎを削り合う姿は、ゾクゾクするほどおもしろい。これこそ、バトルロイヤルゲームの旗手であり、「PUBG」生みの親であるBrendan Greene氏が望んだ世界だと思う。PJSがもたらすエンターテインメント性はすでに原作小説や映画を完全に超えていると思う。

 ちなみに筆者は、「闘会議」で行なわれたαリーグ開幕戦から、βリーグ最終戦まで、不定期で会場に足を運んだが、「闘会議」以降に行なわれたリーグは、大会運営や選手の対応に力が割かれ、メディア対応はあってなきが如くだった。初回はメディア用の席も机もなく、会場隅にある関係者用のパイプ椅子に座らされた。そこからだと選手の様子がろくに見えないし、そればかりか観戦用のモニターもなく、WiFiも通ってなかったため、OooDa氏、SHAKA選手の実況解説すら視聴することができなかったのだ。正直、選手たちの声しか聞こえず、リーグ戦レポートも会場から引き上げて改めて動画を見直して書いたぐらいだ。

 この環境の悪さは、リーグが進むにつれて急速に改善され、βリーグ最終節では、30人は座れるような立派なメディア/関係者席が用意され、WiFiも通り、観戦用のモニターが3枚、外部スピーカー付きで用意され、国内のeスポーツイベントとしては最高の環境が整備された。念のためだが、筆者はここで運営批判がしたいわけではなく、今が旬のeスポーツタイトルとして、躍動するコンテンツのダイナミズムをリーグ運営面から筆者自身も味わうことができたということが言いたい。

【充実するファシリティ】
メディア席
選手休憩室

 配信のおもしろさも特筆すべきポイントだ。すっかりお馴染みとなったOooDa氏とSHAKA選手の解説は非常にわかりやすいし、基本的に不発で終わるOooDa氏のネタと、何事もなかったかのように進行していくSHAKA選手の掛け合いも含めて非常にエンターテインメント性が高い。リーグ途中から追加されたabara氏によるアナリストコーナーも、最新のメタ情報を踏まえながらタクティクスが語られるため、非常に勉強になる。

 現在では、メインチャンネルに加えて、全体マップのみをリアルタイムで移し続けるサブチャンネルも用意され、筆者などは、仕事が入って会場に行けないときは、自宅でPCブラウザを開いてYouTube配信を見ながらどうでもいいツッコミを入れつつ、かつiPhoneにマップ表示をさせておき戦況を真上から俯瞰しつつ、さらにiPad Proで推しの選手の個人配信を覗くという観戦の仕方をしていたが、並のスポーツ観戦とは比較にならないぐらい楽しい。ぜひ皆さんも次期リーグでは真似してみることをオススメしておきたいが、これがすべて無料で提供されているということに驚かざるを得ない。良い時代である。

【クオリティの高い実況解説】
お馴染みOooDa氏とSHAKA選手
わかりやすい解説で定評のあるabara氏
PJS αリーグ Phase2最終戦では、誕生日を迎えたOooDa氏氏サプライズケーキが贈られた。この2人の掛け合いには今後も注目したい

 ちなみに「PJS」はYouTube、Twitter、Openrec、Periscope LIVEの4つで配信されている。ゲーム配信大手のTwitchで配信していないのは、大手の常として独占配信を求めるためで、ノンゲーマー層を含めたマスにアピールしていくというDMM Gamesのポリシーに合致せず、Twitchでの配信を断念したという。

 「PUBG」配信が盛んなTwitchをリーグ配信から外すのは一種の賭けだったはずだが、日本では著名なYouTubeとTwitterをカバーし、先述した魅力的な配信を行なうことで、視聴者数は右肩上がりに増え続け、毎週数万人が観戦している。これは定期配信を行なっているプロリーグとしては「League of Legends Japan League(LJL)」に並ぶ規模となる。サービス開始1年目から「LJL」に肩を並べる数字になっているのは上々の滑り出しだと思う。

 ただ、スポンサーを満足させるためには数万の視聴者では足りず、その数倍、できればもう1桁上げる必要があるということで、プロリーグを始め、それ自体を収益化させていくためにはまだまだ工夫を凝らす必要があるようだ。

 今後、ドイツの世界大会を挟んで正式のプロリーグがはじまるのか、γ(ガンマ)リーグ、δ(デルタ)リーグと今しばらく刻んでいくのかはわからない。わからないのは筆者の取材不足ではなく、本当に決まっていないからだ。PUBG Corpでは、このドイツの世界大会が、グローバルでどのぐらい盛り上がるかに注目しており、大いに盛り上がればこのまま正式プロリーグとなるかもしれないし、大会興行的、配信視聴者数的に不調に終われば、DMM Gamesのような各地域のパートナーと協議し、リーグそのものの練りなおしを行なうかもしれない。

【PUBG Global Invitational 2018(PGI 2018)】

 PJSを、αリーグ、βリーグを通して観戦していて感じたのは、PJS自体は非常にエキサイティングで、eスポーツとしてこの上なくおもしろいし、観戦するために最高峰の舞台装置が整えられている一方で、視聴者以外が幸せになっていない。つまり、運営側と選手側がビジネスとして綺麗に回る方程式がまだ存在しない。この問題を綺麗に解決しない限り、PJSの明るい未来が見えにくい。

 まず運営側が幸せになるためには、「League of Legends」や「オーバーウォッチ」、「ハースストーン」などのように、リーグの存在自体が、全ユーザーの目標になり、新規獲得の駆動装置になるぐらい爆発的な視聴者数を獲得するか、プロ野球やJリーグのように有料のオフライン観戦を実現し、興行としてそれそのものをビジネス化するといったドラスティックな改革が必要になると思う。

 「Counter-Strike: Global Offensive」のように、大会運営をESLのようなeスポーツ運営会社に委ね、Valve自身は賞金の提供と公認の付与だけにするというアプローチもあったが、PUBG Corpは早い段階でプロリーグの設立をユーザーにコミットしており、いつ、どのように始めるか、しか選択肢は残っていない。オンラインゲームの常として、武器バランスの調整、新マップの追加などは今後も行なわれていくだろうし、それにリーグをどう馴染ませていくかも課題と言える。

【ESL Pro League】
「Counter-Strike: Global Offensive」のプロリーグ「ESL Pro League」はESLが主催。メインスポンサーはIntelで、ほかにもLogitechやMSIをスポンサーにして、北米、欧州の2リーグ制で運営されている

 一方、選手側にとっては、本業を別に持ち、学業/勤務後や週末を練習に使うアマチュア選手がほとんどだ。彼らにとってはPJSはクラブ活動、サークル活動の延長線上にあるものの、プロチームに所属している手前、常にプロとしての振る舞いを求められる。実際にはプロとアマの中間でちゅうぶらりんな立場で、運営側には一刻も早くプロリーグ開催に目処を付けて貰い、自分は本当にプロになる資格があるのか、プロゲーマーで飯が食えるのか、いつまで一線で活躍できるのか、そのあたりのモヤモヤをリーグの結果に身を委ねたいと考えている選手も多いはずだ。その点では今回、次の展開が明確にされなかったのは選手からすると少々酷な話だと思う。

 この点ではPJS DAY6の最終戦では、選手にとって不幸なトラブルが立て続けに起こってしまった。最終戦ROUND9の手前ROUND8で、Crest Gaming Xanaduがドン勝し、総合1位を確定させ、一足先にドイツ行きを決めた。このためROUND9の注目は“もう1枠をどこが勝ち取るか”に話題が移った。ROUND8が終わった段階で2位のCrest Gaming Windfallから4位のSunSister Suicider'sまでの得点差はわずか225ポイント。ドン勝一発で500ポイント、20キルで100ポイント獲得できるこのゲームにおいて、225ポイントは十分逆転圏内だ。

【総合優勝したCrest Gaming Xanadu】
左から順にShianblue選手、Kaiph0ne選手、Aries選手、Rio01選手。この4選手に注目だ

 Crest Gaming Windfallは姉妹でワンツーフィニッシュを決めたいだろうし、α、βを通じてリーグを牽引してきたRascal Jesterは、同チームのメインスポンサーであり、PJSのビッグスポンサーであるサードウェーブのためにも勝ちたいところ。そして「PUBG」界の名門中の名門であり、常勝を義務づけられているSunSister Suicider'sは、すでに4位低迷が事件だ。ここで勝って「やきもきさせてすいません(笑)」でなければ収まりが付かない。

 筆者は試合前に選手エリアを見て回ったが、選手達の様子は対照的だった。底抜けに明るいのは、ドイツ行きの可能性はなく、かといってClass2降格圏内も脱しているClass1維持が確定しているチーム達だ。いずれも笑顔でチームメンバーと会話しており、「最終戦だし、リラックスして楽しもう、ちゃっかりドン勝狙おうぜ(笑)」という雰囲気に満ちている。

【リラックスするチームたち】
USG-Hyster1cJam。手前のCiNVe選手と談笑するclockbox選手。先のROUND8で2位入賞を果たし、リラックスしている雰囲気が伝わってくる
野良連合 Grim Reaper。fiachan選手と雑談を交わすWesker選手。彼らは最終戦でドン勝をもぎ取った。Phase2 3位入賞を果たした

 逆に上記チームと、そして降格圏内にいるチーム達は、「絶対に勝たなければならない」という悲壮感を漂わせており、口ひとつ開かず、まんじりともせずモニターを見つめながら試合開始を待つ姿が目立った。

 とりわけナーバスさを隠していなかったのがSunSister Suicider'sのエースCrazySam選手だ。プロゲーミングチームの名門であるDETONATORでキャリアをスタートさせ、FPS界、「PUBG」界のレジェンドであるSHAKA選手と肩を並べて戦った経験があり、SunSister Suicider'sでもWesker選手やfiachan選手らとチームを組んで目覚ましい成績を上げ、今なお名実共に“最高の選手”と呼び声が高い選手だ。

 PJSではαリーグPhase1以降優勝には恵まれていないものの、たびたびドン勝に貢献し、MOST KILLを何度も獲得。厳つい顔立ち、ごつい体つきだが、実は気さくな性格で、試合中も軽口を叩きくようなムードメーカーだが、その彼が巨体を前にかがめ、握った手をせわしなく動かしながら、ずっとモニターを見つめているのだ。実績と経験のある彼のようなトップ選手でもやはりナーバスになるのかと驚いたし、最終戦に賭ける意気込みのようなものを痛いほど感じることができた。

【ナーバスになるチームたち】
左はCrest Gaming Windfall、右はSunSister Suicider's。上位チームの余裕はまったく感じられない
緊張を全身に漂わせるCrazySam選手。何がなんでも勝ちたいという気持ちが伝わってきた

【勝ちたかったSunSister Suicider's】
ROUND7。早い段階で壊滅したSunSister Suicider's。唯一の生き残りのCrazySam選手は、順位を1つでも上げる戦術に移行し、サークル中央の窪地に陣取り、孤軍奮闘する。2キルを記録したが最後はグレネードを投げ込まれ壮烈な爆死を遂げた
ROUND8は早いタイミングでエアドロップを獲得するなど幸先の良いスタートを切ったが、中盤で野良連合Grim Reaperと不意遭遇戦が発生し、再び壊滅。その後、Xhanz1119選手がバイクで逃走するなどして、粘りに粘ったが、やって来たバイクに手を出し、逆にやられてしまった
最終戦ROUND9。Georgopol東側に布陣し、サークルもGeorgopol南方で序盤の運に恵まれたSunSister Suicider'sだったが、慎重を期して東側からぐるっと回り込むように布陣したものの、布陣直後に挟撃を受け三度壊滅。最後の最後までドン勝に恵まれなかった

 にもかかわらず、ROUND9は、ルール上禁止されているレッドゾーンを設定したまま試合スタート。ゲームが5分ほど経過したところで、通常サーバーのようにレッドゾーンが予告され、その時点で初めて気づくというていたらくで、この段階で再試合が決まった。

 当然すでに試合は動いており、常に単独行動で前半戦を盛り上げてくれる“ソロ最強”のPlayerJP選手(Zoo Gaming/Penguin)はすでにSCARZのFa6ye-選手に捕捉されて、彼らしい壮烈な戦死を遂げており、SCARZをはじめ戦端を開いていたチームから異議が出ていてもおかしくない局面だった。

【レッドゾーンが発生】
PJS最初で最後と思われるレッドゾーン。筆者はマップビューも開いていたため気づくことができた。ちょうど爆撃位置にいたCrest Gaming XanaduのRio01選手はさぞかし驚いたことだろう

 その再試合でも、ゲームクライアントエラーが発生してしまい、再々試合が決定。2度のやり直しの末、上記3チームの選手達は緊張の糸が切れてしまったためか、Crest Gaming Windfall、Rascal Jester、SunSister Suicider'sは、それぞれ20位、16位、9位に低迷。ドイツ/降格圏外のチームが勇躍し、最終的に野良連合Grim Reaperがドン勝を獲得。2位争いをしていたチームがすべて早々に脱落するという非常に後味の悪い最終戦となった。

【ROUND9最終結果】
上位チームが軒並み下位に低迷したβリーグ最終戦

【躍動した野良連合Grim Reaper】
ROUND9は、漁夫の利的に、元SunSister RoyaltyのWesker選手、fiachan選手を主力とする野良連合Grim Reaperが10キルの活躍でドン勝をもぎ取った。やはり彼らは強い

 公式サイトではこの件について、チームと選手に対して謝罪が行なわれているが、極端なことを言えば、このROUND9は、選手達の人生が掛かっていた1戦で、この謝罪だけで済ませていいはずがない。今後のリーグ運営のため、フェアな運営ポリシーを維持するためにも、関係チームへの補填対応、関係者へのしっかりとした対応が求められるところだ。

 最後に、運営/選手の共通の課題としては、総合1位を決めるためのリーグが18試合しかないのは、試合数が少なすぎると思う。「PUBG」は構造上、運の要素が大きい。サークルがどう動くのか、ファーミングで何が獲得できるか、支援物資がどこに落ちてくるか、降りた街に乗り物が何輌あるのか、どのチームと隣り合わせになるのか、これらはすべて運だ。運がある程度下振れしてしまうと、選手の実力だけではどうにもならないところがある。

 PJSを見ていても、毎週のようにドン勝するチームが変わり、MOST KILLする選手が替わり、お立ち台に立つスター選手が替わる。一例を挙げると、αリーグPhase1で2位だったDetonatioN GamingはClass2に降格し(次期リーグでClass1に復帰)、αリーグPhase2で1位だったUSG_Hyster1cJamは13位に低迷。βリーグPhase1で1位のTHE SHABLES、2位のSengokuGamingDestroyは18位と15位で共にClass2に降格する。これはメタがどうとか、誰が巧い下手の以前に、試行回数が少なすぎ、運の神様に愛され、そして嫌われただけではないかと思わざるを得ない。

【Phase1優勝チームがClass2降格へ】
Phase1優勝とMOSTKILL(Lia-EMT選手)を獲得したTHE SHABLESが総合18位となり、Class2に降格となった

 繰り返しになるが、観ている方は最高におもしろいのだ。80人が運命に翻弄されながら右往左往し、時として仲間を見捨て、敵から身を隠し、醜く逃げ惑いながら、ドン勝に向けて死に物狂いで戦っていく。それを神の視点から眺められるのは最高の娯楽だ。まさに映画で言うところのビートたけしのポジションといっていい。

 ただ、その運によって、極端に言えば選手の人生まで左右させてしまうのはあまりにも酷であり、現在は“スポーツ”というにはあまりにも運の要素が強く出過ぎている印象があるため、試行回数を増やし、運の上振れ下振れを平均化したほうが良いのではないかと思うのだ。

 プロ野球が交流戦含めて143試合、Jリーグが34試合。プロ野球規模は様々な意味で難しそうだが、Jリーグに準ずる規模というのがひとつの目安になるのではないだろうか。PJSは現在は全6節で、Erangel(TPP)、Erangel(FPS)、Miramar(TPP)が1試合ずつ行なわれているが、PUBG Corpが定める公式ルールに則ってMiramar(FPS)も増やせば24試合になるし、先日実装された新マップSanhokも競技として取り入れれば36試合になる。

 もちろん、上記はすべて机上の空論であって、日程的な問題、選手のスケジュール的な問題、コスト的な問題など、様々な問題が山積しているが、PUBG Corp/DMM Gamesでは次期リーグでは試合数を増やすことを検討しているということで、PJSファンの1人として、次期リーグがどのような形になるのか注目している。ひとまず、選手の皆さんには「お疲れ様」と言いたい。ぜひ次期リーグでも頑張って欲しい!

【世界大会頑張れ!】