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「PUBG JAPAN SERIES αリーグ Phase2」優勝はUSG_Hyster1cJamに

国内最大のeスポーツ施設「LFS 池袋」ついにデビュー! βリーグは5月スタートに

3月31日開催

会場:LFS 池袋 esports Arena

 DMM GAMESは、バトルロイヤルシューター「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)」の日本リーグ「PUBG JAPAN SERIES αリーグ Phase2」の最終節となるDAY6を開催した。

LFS 池袋 esports Arenaの入り口。この日は関係者限定となっていた
施設は地下にあり、サイバーなネオンが輝く
2月10日から約2カ月に渡って実施されたαリーグの最終戦

 会場となったE5 esports worksが運営するeスポーツ施設LFS 池袋 esports Arenaには、規約違反行為で出場停止となったRozenMaidenを除く、19チーム76名が集結。ラウンド7、8、9の3戦を行なった結果、最終的にPhase2で好調を維持していたUSG_Hyster1cJamがαリーグ優勝となった。上位14チームはインターバルを経て、5月から実施が予定されているβリーグに挑み、下位6チームは、4月下旬に予定されている入れ替え戦への参加が義務づけられる。誰でも参戦できる入れ替え戦の告知は4月上旬に改めて詳細が発表される予定としている。

 さて、「PUBG」αリーグ最終戦は、2つの点でエポックメイキングなeスポーツイベントとなった。

 1つは4月15日の正式オープンに向けて準備中のLFS 池袋 esports Arenaが、初めて関係者に公開され、eスポーツアスリートたちに使用されたことだ。今回はあくまで「PUBG」αリーグのための特設で、実際のレイアウトとは異なるということだが、常設のイベント施設で配信用の機材も含めて100台近くが稼働している風景は実に壮観だ。4月15日の運営開始時には、PCにはGALLERIA GAMEMASTERのGeForce GTX 1080Tiモデル、モニターには240Hz駆動が魅力のZOWIE XL2546(BenQ)が設置される予定ということで、これらを体験するだけでもここに来る価値があると感じた。

 この店舗を運営するE5 esports worksは、オンラインゲームのイベント運営を10年以上にわたって展開している成(なり)が母体となっており、代表の長縄実氏をはじめ、成の看板キャスターであるOooDa氏や、運営スタッフたちはそのままE5 esports worksに移籍して、親会社であるサードウェーブと共に、このLFS 池袋を軸に、様々なeスポーツエンターテインメントを発信していく計画となっている。

 ちなみに成や長縄氏を知っているという人は、業界人か、よほどeスポーツ歴の長い人だろう。成は、現在のようにeスポーツが話題になる10年以上前に「BIGLAN」というLANパーティーイベントを主催していたからだ。当時は、eスポーツというものがそこまで支持されず、成主催のオフラインイベントは2007年12月の「BIGLAN Socket6」を最後に、それ以降は、メーカーオフラインイベントの運営をメインに行なうことになる。

 表に名前が出てこないためあまり知られていないが、「サドンアタック」(ネクソン)をはじめ、「Counter-Strike Online」(ネクソン)、「CrossFire」(UtoPlanet)、「ハースストーン」(Blizzard Entertainment)、「BLACK SQUAD」(NHNハンゲーム)などなど、数多くのゲームタイトルのオフラインイベントを手がけており、昨年の「GALLERIA GAMEMASTER CUP」も成の運営となる。

 長縄氏によれば、これから正式オープンまでの2週間で、天井にペンキを塗り、WiFi環境を整備し、ガラス張りの選手席の高さを整えたり、トイレのドアを半自動で閉まるようにするなど、細かい使い勝手を上げていきたいとしている。

【LFS 池袋 esports Arena】

 それからもう1つが、本日が「PUBG」αリーグ最終戦ということだ。2月10日の闘会議から途中入れ替え戦も交えながら、2つのフェーズでリーグが行なわれ、ついにその頂点が決まる。まだ“αテスト”に相当するリーグとなるため、優勝したからといって高額賞金が出るわけではないが、その先にはβリーグ、そしてプロリーグが待ち構えており、世界を見据えて日々切磋琢磨が行なわれている。それを現在進行形で見られるのは「PUBG」ファンの楽しみのひとつと言っていい。

 フェーズ1からフェーズ2まで通して見ていて感じるのは、日本の実力は確実に上がってきているということと、個人技ではなくチーム力の高いチームが勝つということ、最後に「PUBG」の本質を理解しているチームが力を発揮しつつある、ということだ。

 フェーズ1とフェーズ2の最大の違いは、チームのキル数が、必ずしも順位と比例しないところだ。フェーズ1は、SunSisterSuicider's、DetonatioN Gaming、Rascal Jesterという、それぞれスター選手を擁する、20チームの中でも指折りの武闘派集団が圧倒的なキル数でトップ3を占めたが、フェーズ2ではそれらのチームは、依然としてキル数は稼いでいるものの、ドン勝までなかなかたどり着けないという状況が続いている。

 その間隙を縫ってフェーズ2で急成長を遂げたのがUSG_Hyster1cJam、JUPITER NOVA、Crest Gaming Windfallといったチームだ。彼らは順位からすると不釣り合いなほどキル数が少ないが、確実にドン勝をものにし、ガッツリ得点を重ねていく。彼らの共通点は索敵とクリアリングのうまさだ。

 振り返れば、2月に行なわれたIEM Katowice PUBG Invitationalに出場したSunSister Royalty(3月3日チーム解散)は、16チーム中16位とまさに惨敗に終わった。Wesker選手、fiachan選手のツインエースは、Twitchの配信者としても著名で、彼らはチュートリアルでもクリアするような容易さでドン勝をものにしていく名実共に日本のトップ選手だ。ただ、世界戦では、エイム精度のケタが違うため、不十分な索敵で移動を開始し、その結果、移動中に撃ち抜かれるということを繰り返していた。索敵の未熟さと、世界のエイム精度の高さの2つの要素がもたらした悲劇で、世界の壁の高さを実感した大会となった。

 「PUBG」は「最後まで生き残ったものが勝ち」というゲームだ。これが他のFPSタイトルと一線を画すところで、チームの人数に応じて柔軟に戦術を変え、SQUADでは1人を生かすために他が犠牲になることも珍しくない。「PUBG」のクリエイターBrendan“PLAYERUNKNOWN”Greene氏が強く影響を受けたという映画「バトルロワイヤル」(2000年、深作欣二監督)を彷彿とさせるその凄惨な血みどろの駆け引き、生への執着が、見るものを魅了する。

 フェーズ2で好成績を上げた3チームは、戦いを最小限に抑えながら、移動前はクリアリングを十分に行なってから最後に移動し、常にチームプレイに徹するという、「PUBG」SQUAD戦のお手本のようなプレイで、高順位に付けていた。

 たとえば、DAY6 2戦目。USG_Hyster1cJamは主戦場を常に避けながら強ポジを維持し続けるという水際だったムーブを見せてくれた。一気に移動せずに、斥候を出しながら少しずつ前に進むという斬新なスタイルで、本隊と別働隊、陽動と強襲、複数の機能が明確に分かれ、clockbox選手をリーダーに明確な指揮系統が存在する。世界に通用する日本の立ち回りはこれではないかと思わせてくれた。

【DAY6 ROUND8】
常に最西端に位置取るUSG。
USGの最終ムーブ
USGに立ち塞がるRascalJesterのSeaKingJAWS選手。主戦場にはだいたい彼がいる
海岸沿いに浮かぶ死体箱の数々。生存者を撃ってゲームセット

 そしてDAY6 3戦目。2戦目で勝利し、優勝を確実にしたUSG_Hyster1cJamが早々に脱落する中、フェーズ1に続いて連続優勝を目指す2位のSunSisterSuicider'sが死に物狂いでドン勝を目指すという1戦。そこに立ち塞がったのがCrest Gaming Windfallだ。最終収縮先がMyltaの市街地となり、安全地帯が完全になくなるところまでもつれ込んだが、Crest Gaming Windfallは3対1という有利な状況にも関わらず最後の最後まで無理攻めをせず、メンバーのひとりに回復アイテムを集め、回復勝負で雌雄を決するという頭脳プレイで、最終戦のドン勝ちを決めた。

 最後の1人になって、3階建ての屋上に隠れていたSunSisterSuicider'sのgabha選手が、タイミングを見計らい応急処置キットで回復してから、逆転勝利を信じてショットガンを手にして地上にダイブするというシーンには目頭が熱くなった。「PUBG」らしい素晴らしい最終戦だった。

【DAY6 ROUND9】
先のラウンドで勝利したUSG_Hyster1cJamは、山頂のような強ポジから丁寧に偵察していたが、視界外で何が起こったのか、序盤で脱落した
収縮先はMylta。比較的珍しい市街戦となった
別々の家屋に篭もる各チーム。収縮先に恵まれたのはSunSisterSuicider'sだったが、包囲攻撃を受けてしまう
Crest Gamingの最終ムーブは、1人は回復に専念し、2人は襲撃に備えるというもの。この屋上にいるSunSisterSuicider'sのgabha選手が飛び降りてゲームセットとなった

 もっとも、正直な所、見ていて最高に楽しいのは、SunSisterSuicider'sら武闘派のチームの戦いだ。DAY6 1戦目は、収縮先の大半を中央の内海が占め、実況のOooDa氏が「全日本PUBG水泳大会が開催です」と揶揄する展開となった。水中は体をほぼすべて隠すことができ、「PUBG」の主流武器となっている5.56mm弾を使うM16やM4165では水中を貫通させにくいことから、もっとも手軽な安全地帯となっている。

 一見「生き残れば勝ち」という「PUBG」の理念に合致しているように見える水中退避行動だが、実際には、数十キロの装備を抱えながら水面に浮かび続けられ、一瞬でも顔を出せば呼吸が回復でき、なぜか極端に銃弾が当てにくいという、不具合に近い謎仕様を逆手にとった戦術であり、何より見た目が無様でぜんぜんおもしろくないので、個人的には真っ先に変更して欲しいと願っている。

 余談が長くなったが、SunSisterSuicider'sは、多くのチームが1つでも順位を上げるために“緩慢な死”を選んだのに対し、真っ先に動いて真っ先に強ポジを確保するという得意戦術で、常にサークルの中心に居続け、最後の最後までフルメンバー、フルヘルスを維持しながら縦横に動き、8キル、ドン勝を決めた。やはり見るならこういう試合だ。

【DAY6 ROUND7】
序盤の楽しみは、乗り物の奪い合い。うろついている丸腰の敵がいればひき殺し、車輌が余っていればパンクさせておく。3戦とも同じような収縮となった
RascalJesterがかなり良い位置に付けていたが、位置が良すぎて遮蔽物がない場所で包囲される格好となってしまった
全日本PUBG水泳大会。ここから生まれる劇的なムーブはまずなく、全員が水死するだけなので、早く仕様変更されることを期待している
常にサークルの中央で戦っていたSunSister Suicider's。とにかく乱戦に強いチームだ

今回はLFS池袋が一般来場ができないということで、パブリックビューイングが行なわれた

 αリーグは、フェーズ1とフェーズ2の合算による総合優勝というものはないようだが、もしあれば、SunSister Suicider'sのぶっちぎりの優勝となる。SunSister Suicider'sもまた、世界戦に必要なエイム力、突破力を持っており、優れた偵察力でフェーズ2 1位を獲得したUSG_Hyster1cJamが柔だとすれば、SunSister Suicider'sは剛で、お互いに性格の異なるチームとして、βリーグでもリーグを盛り上げていって欲しいところだ。

 最後に冒頭でもお伝えしたが、βリーグは5月より開始することが告知された。αリーグフェーズ2の上位14チームが自動的に残留となり、下位6チームが、在野のチームを交えた入れ替え戦への参加を義務づけられ、αリーグの上位14チームと、入れ替え戦を勝ち抜いた6チームの計20チームでβリーグはスタートする。入れ替え戦の告知は4月上旬、入れ替え戦の実施は4月28日、29日を予定。βリーグの会場や、今回実施されたパブリックビューイングが継続されるのかどうかは未定ということだが、αリーグ以上の盛り上がりを期待したいところだ。

【「PUBG」αリーグ最終結果】
こちらはDAY5までの結果
こちらが最終結果。SunSister Suicider'sとCrest Gaming Windfallが大きく順位を伸ばしていることがわかる。入れ替え戦を賑わせてくれたバナナマンは60点ほど足りず再び入れ替え戦へ

【OooDa氏サプライズケーキでエクスタシーを迎える】
イベントを盛り上げてくれた実況のOooDa氏と解説のSHAKA選手
イベント終了後、スタッフの計らいで、OooDa氏の誕生日を記念してケーキが贈られた
素で戸惑うOooDa氏
SHAKA選手に食べさせて貰い、エクスタシーに達してしまうOooDa氏