【特別企画】

「FFXI」22周年! 長年冒険してきた筆者が初心者・復帰者向けに(独断と偏見で)各コンテンツを熱く語る!

+2ピアスなんて存在しなかった、いいね?「ソーティ」

【ソーティ】

 ソーティは「蝕世のエンブリオ」と連動する形で、2022年8月に実装されたバトルコンテンツだ。このコンテンツの登場によって、長らく待たされていたエンピリアン装束の+2~+3が実装され、またRMEAに続く伝説の武器群「プライムウェポン」の強化が行えるようになった。

 宝箱を開けたりモンスターを倒して専用ポイントであるガリモーフリーや各強化素材を入手し、エンピリアン装束およびプライムウェポンの強化を計るのがこのコンテンツの趣旨だ。宝箱は特定の条件や行動によって出現するという謎解き要素もあるが、現状ではほとんどの条件が判明しているので特に問題はないだろう。

 また区画がA~Hの8つに分かれており、A~Dは上層、E~Hは下層の区画となっている。各区画にはそれぞれボスモンスターが存在しており、ボスからは大量のガリモーフリーが得られるので、基本的にはザコは無視して各ボス討伐に必要なだいじなものを入手→ボスとの戦闘、を繰り返すのが現在の主流なスタイルとなっている。

 でまあ、このソーティなのだが……、とにかく移動に時間がかかる! 制限時間は60分なのだが、なんか半分くらいは移動に時間を費やしているような気がする。そのためコルセアのボルターズロールがほぼ必須で、あまりサポジョブの影響がない魔導剣士などはサポ詩人にして.移動中はラプトルのマズルカを詠唱するのがわりと定番になっているくらいだ。1体ボスを倒したら次のボスまでみんなで徒競走、という感じでとにかく移動ばかりの印象である。

 このような理由で移動速度をアップさせる装備がかなり重要になってくるのだが、ここで問題が1つ発生。自分は黒魔道士や学者でソーティに参加することが多いのだが、この2ジョブは移動速度アップの装備枠上限である+18%のものを持っていなかったのだ。移動速度アップの装備枠は、装備しているものの中で一番数値の高いものだけが適用されるので、例えば12%と6%のものを2つ同時に装備しても、18%にはならずに12%しか適用されない。

 この2ジョブが装備できる+18%のものは2つ。クポスーツとシュネデックリングだけだ。だがクポスーツはモグボナンザの1等でしか入手できない激レアアイテムなので、事実上ムリ。必然的にアドゥリンミッションの報酬リングであるシュネデックリングを交換するしかなく、それまで使っていたデュランドーリングを泣く泣く手放すしかなかった。

 そういったわけで、シュネデックリングに変更したわけですが……。……、……あ、いいわコレ。シュネデックリングはAll Jobsなので全てのジョブで共有できるのがとにかく大きいうえ、指輪なので装備変更の影響も少ない。それまでコルセアや魔導剣士などはカマインクウィス+1を使っていたのだが、移動中もカットを落とさずに+18%にすることができるようになった。今では私も、立派なシュネデック教の信者です。シュネデックはいいぞ……!

移動が大半になるので、移動速度アップ装備はぜひ用意したい。モンスター育成を頑張っている人は“チャチャルンの応援:ジャボテンダー”もあるとなおよい

 現状ソーティは剣黒コ学学風のMB戦法を主軸とした、後衛中心の編成が主流となっている。だがそろそろプライムウェポンの4~5段階目まで強化した人を見かけることも多くなってきたし、ソーティもそのうち前衛で各ボスを殴り倒す物理攻撃主体の構成になっていくのかも知れない。ギアスフェットなどまさに以前は後衛主体でMB戦法だったが、現状ではもうほとんどのNMを前衛で殴り倒す、という流れになっている。下層の各ボスは必要命中がかなり高くなっているのだが、やがてソーティも普通に物理編成で行けるようになってくるのだろうか……。

 あ、そういえば1つ言っておきたいことがあるのだ。実は、今年の初めにプライムウェポン両手斧のラフリア4段階目ができ上がってですね、その使い勝手を皆さんに自慢レポートしたいと思いまして……。いや分かります、最終段階の黒いモヤモヤを背負った人も結構見かけるようになった昨今、4段階目のことなんか聞いてもなあ……、と思われるのも分かります。……でも頑張って強化したんだからさあ! というわけで、独断と偏見でラフリア第4段階のレポートをお届けしたいと思う。

 まず、前提としてプライムウェポンは装備中のみ使用できる専用のWSがあり、そのWSを3連打するだけでレベル3連携の光、もしくは闇を出すことができるようになっている。また、それぞれの武器種ではその多くがそれまで有していなかったレベル2属性を備えているのも特徴だ。

 例えば両手斧のラフリアの場合、レベル2属性の重力を有したWSはそれまで存在していなかったが(※1)、装備中に使用できるディザスターの属性は貫通/切断/重力となっている。これによって、いくつかのプライムウェポンでは4つのレベル2属性全てを撃てるようになっている(※2)。

※1 ……スチールサイクロン→キーンエッジなどで連携することによって、重力を連携で出すこと自体は可能

※2 ……短剣は吟遊詩人と踊り子が核熱を、片手剣は赤魔道士と青魔道士が核熱を、両手剣は重力を、両手槍は湾曲を、片手刀は湾曲を、片手棍は湾曲を、両手棍は召喚士と学者が分解と湾曲を、弓術は湾曲を、射撃は湾曲を持ったWSが存在しない

  結論から言うと、第4段階ではそれまでの武器から完全に置き換わるほどは強くない、という印象だ。ラフリアの場合、通常攻撃ではアフターマスレベル3の乗ったウコンバサラには敵わないし、連携ダメージ込みだと連携数が上がるほどシャンゴルのほうがダメージ総計で上回っていると思う。

 では、ラフリアの強みはどの部分にあるかというと、TPをため気味に撃った場合の一撃の重みにある。TP1,000の即撃ちだとウコンバサラやシャンゴルとほとんど変わらないが、1,500~2,000くらいまでためてからディザスターを撃つと5~6万くらいのダメージをたたき出すことができる。無論これは支援込みの数値だが、例えウコンやシャンゴルで同条件のうえでTP3,000までためたとしても、両手斧のWSではそうそう拝めないレベルだ。

【ディザスター】
ラフリア専用(第3段階以降)のWS、ディザスター。同一WSを3発撃つだけで闇連携が発生する。これまで両手斧では闇連携を出すのがわりと面倒くさかったので(アップ→スチサイ→アップ→スチサイとか)大変ありがたい

 だがしかし、TPをため気味に撃つということはその分連携が繋がりにくくなるということで……、特徴の1つである「専用WSを3連打するだけでレベル3連携が出せる」という利点とは、はなはだ相性が悪いと言わざるを得ない。無論自分のラフリアはまだ第4段階なので、いずれ最終段階に強化できればTP1,000即撃ちでも十分なパフォーマンスを出せるようになるのかも知れないので期待したい。まあソーティは野良主体で行っているので、メソシデライト入手できる機会がほぼないんですけどね……。

 あと個人的に欠点と思うことが1つ。前記のようにディザスターを3回打つだけでレベル3連携が成立するので、そればっかり連打しているのだが……、正直言って同じWSばっかり撃っていると飽きるのだ。戦士の醍醐味の1つに多彩なWSを駆使して幾通りもの連携パターンを繰り出す、というのが挙げられると思うのだが、ラフリアを使用するようになって以来、本当にディザスター以外のWSを撃つことがなくなってしまった。アップ→スチサイ→アップ→ウッコ→アップ→ウッコとか撃っていた頃が懐かしいよ……!

 あとこれはプライムウェポン全般に言えることなのだが、ほかのRMEAと比べて強化の段階が5回と少なく、必然的に次の強化段階へ到達するまでの期間が長めになってしまう点も気になる。他のRMEA同様にもっと強化段階を刻めば、徐々に強化して行っているという実感が得られてモチベーションも持続するというものだ。だが、プライムウェポンはかなり長い間同じ強化段階のまま使用し続けなければならない。正直、これは精神的にキツい。

刻むだろっ! 普通もっと……! 段階をっ……!

 実際のところプライムウェポンを複数、それも最終段階まで強化しよう……という気力は正直言って現状ほとんどない。ジョブピアス+2の入手確率が現状のままだと、リターンとして見込めるのがガリモーフリーしか見込めない以上、プライムウェポンの制作に対するモチベーションはそのままソーティをプレイする理由にほぼ直結する。だがプライムウェポン制作の道のりがかなり険しいのが現状である以上、まだ実装されて幾ばくも経っていないというのに「もう緩和されてからでいいかな……」などと思ってしまうのだ。

 せめて、ほぼ倒す必要性のない雑魚モンスターから得られるガリモーフリーをもっと多くする、などといった対策などを採ってもらえればと思う。そうすれば、現状存在意義の薄い雑魚モンスターを殲滅する理由になるし、パーティに参加することが厳しい人でも、コツコツとモンスターを倒してガリモーフリーを稼げるようになると思う。

 パーティプレイでないとガリモーフリーを稼ぎにくい現在、ソロではプライムウェポンはもとよりエンピリアン装束の強化もままならないのが実情だ。またプライムウェポンとエンピリアン装束、どちらの強化にもガリモーフリーが必要となる、という点も少々困る。片方の強化を目指す人は、必然的にもう片方の強化が難しくなってしまうからだ。

 とまあ、色々書いてきたが個人的には現状(ジョブピアス+2の出現率以外)ソーティの内容自体にはとくに不満を感じていない。それよりも、自分にとっては制限時間が60分であるという点が問題か。これまでもすでに実装済のコンテンツで予定がかなり詰まっていたのに、そこへほぼデイリーの60分コンテンツが追加されて、もう日々のタスクがかなりギチギチになっているのだ。今後何か新しいコンテンツが追加された場合、もうデイリーでは予定に入れることができなくなってしまう。今後もしデイリーコンテンツが追加されるとしたら、なるべく30分以内の時間制限にしてほしい。

 それにしても、ジョブピアスの+2出ないですよね……。自分が一番欲しいのは暗黒騎士+2なのだが、なぜか白魔道士と吟遊詩人の+2がそれぞれダブって出ているという……。この辺ももう少し、本当にもう少しでいいから緩和して欲しいと切に運営にお願いしたいところである。

 ソーティは区画ごとにマップの表示が分かれており、エリア全体の地形を把握しづらい。気付いたらマップの表示がそれまでのエリアと切り替わっていることがあるので、慣れていない人だと迷いやすい。基本的に上層各ボスのいる部屋はマップ全体で見ての四隅にあるので、迷ったら外周沿いに、東北方面や南西方面などエリアの四隅へ向かって移動すればいい。下層は基本的に各エリア間の移動はできないので、とくに迷うことはないだろう。

埋もれていたヴァナの歴史が白日の下に。「蝕世のエンブリオ」

【蝕世のエンブリオ】

 「蝕世のエンブリオ」(以下「蝕世」)は2020年8月からスタートした、「FFXI」の最新ストーリーだ。2015年の「ヴァナ・ディールの星唄」以降メジャーバージョンアップは終了との公式発表を覆す形での実装だったので、喜びとともに迎えた冒険者は数多かったことだろう。当然筆者もその1人で、この「蝕世」をプレイするために7年ぶりにヴァナ・ディールへ復帰した顛末は過去の記事でレポートしている。

 「蝕世」はそれまでほとんど明らかになっていなかった、ヴァナ・ディールの歴史の一端が描かれている。考えてみれば冒険の舞台となるのは天晶暦884年(※)三国(ジュノは当時まだ建国していなかった)共通の暦が制定されてから、900年にも満たない……というか実際には星の神子シャンリリが334年に、過去に起きた超新星ゴルディオスの出現を算出しその年を天晶暦元年と制定したので、正確には500余年の歴史しかないわけだ。

……ゲーム内の設定上では天晶暦884年ということになっている。……が、無論ゲーム内で時間は常に流れ続けているので、現在システム上では天晶暦で1400年代後半にさしかかっている

 1万年前、古代ジラート人が引き起こした(実際は違うが)メルト・ブローによって世界は現在のヴァナ・ディールへと移り変わっていったわけだが、それ以降数千年に及ぶ膨大な歴史が闇に閉ざされていたのである。冒険者が実感できる歴史なぞたかだか20年前の水晶大戦まで、もう少し踏み込んで30年前の三か国合同調査隊あたりが精々のところだろう。この長年にわたる歴史の闇が、ついに語られるのだ。これは設定マニアな自分にとって期待せざるを得ない話で、期待も非常に高まっていた。

「蝕世」の重要キャラクター、ディスティニーデストロイヤー団。こいつらチェブキー兄弟と対決させたい

 のだが……、当時のレポート記事にもあるように、実際に「蝕世」のストーリーが始まった頃は各話ごとのボリュームが薄く、正直に言ってしまうと肩すかし感が否めなかった。基本毎月のバージョンアップごとに1話が実装される関係上、どうしても長尺にすることは難しかったのだろう。期待の初期値が高かっただけに、落胆も少なからずあった。

 現在「蝕世」を最後までクリアした人であれば、上記のことはまったくの杞憂だったことは理解頂けると思う。初期でこそボリュームも薄かったものの、ストーリーの進行とともに話の厚みが増し、内容も加速度的に面白くなっていった。「星唄」同様、懐かしいキャラクターが多数登場したのも古くからの冒険者には嬉しいポイントだっただろう。

【懐かしのキャラクター】
シーフAFクエスト「侯国の栄光」以来、実に20年ぶりの登場となるChepelleさん。この人獣使いだったのね……
ウィンダス編やひんがしの国編で登場した、無音のズー・ブシュことZhuu Buxu the Silent。ギデアスやオズトロヤ城〔S〕に出現するNMで、「パラナシールドを落とすヤグ」といえば分かる人も多いだろう

 実は召喚士AFクエストで暗躍していたウランマフランがずっと気になっていたのだが、彼が再登場したのがうれしかった。相変わらず“渦の魔道士”ガラズホレイズの復活を目論んでいたようで、「蝕世」でも重要な人物としてたびたび冒険者の前に現れる。制作スタッフもウランマフランのことは気に掛かっていたようで、過去没になったアイデアが今回「蝕世」で活かされた形となっている。

“人形使い”ウランマフラン。記憶を操る魔法を得意とし、ウィンダス中の人々から自分の記憶を消し去り失踪した。召喚獣クエストで現れる魔法人形はこのウランマフランが操っているもので、ガラズボレイズ復活のため大いなるものの力を冒険者から奪い取っていた
公式配信動画「もぎたてヴァナ・ディール」第26回では「ガラズホレイズが復活する予定だった」として没になったコンテンツ案が紹介されている。この設定はそのまま「蝕世」に受け継がれている
【第26回もぎたてヴァナディール】

 また内容も、デルクフの塔の由来やミシックウェポン制作でお世話になるティンニン、ティガー、サーラメーヤに関わる秘密、ヤグード教団設立時の真相、ラ・カザナル宮にいるNPC、Lereneの正体など多くの事実が明るみになる。設定マニアならずとも、冒険者にとって非常に興味深い内容となっているのだ。

 「蝕世」はなんだかんだでストーリー完結まで3年近くかかっており、結果として全体のボリュームはかなりのものになっている。最初の頃は各話のボリュームも控えめだったため、自分も完結してから一気に進めようかと思っていたのだが、各話のクリア報酬でわりといいものがもらえるとあって、順次進めることにした。ストーリー終盤では最終候補となる優秀な装備がいくつか入手可能だ。

以前から各所で名前だけは登場していたガラズボレイズ氏と、とうとう対面(※ネタバレ防止につき背後から)。なんだか小難しい話をしてくるが、背負っている“蜂蜜をすくうアレ”が気になって話が頭に入ってこない

 ところで……、ネタバレになるのであまり詳しく語れないのだが、「蝕世」の終盤でとある“存在”の顛末が描かれている。クリアした人はみな品が良く、ネタバレを避けるためあえて言及していなかったのか、それとも単にこの顛末に関心が薄かったのか……。なぜかネット上ではその“存在”について言及されているのを、見たことがなかった。

 その“存在”は「FFXI」のローンチ当初から冒険者やヴァナ・ディールそのものに多大な影響を及ぼし、「FFXI」はある意味その“存在”抜きには語れぬようなものだった。初期からプレイしている冒険者であればなおさら、多くの冒険で得られた喜びも苦しみも、大なり小なりその“存在”の影響が非常に大きかったことを実感できるはずである。

 その“存在”が迎えた顛末について、自分は多大なる喪失感と、幾ばくかの安堵を感じることとなった。「とうとう」という気持ちと「ああ、ようやく……」という気持ちを同時に味わったのだ。このことによって、自分の中では「蝕世」以前のヴァナ・ディールと、「蝕世」後のそれとでは明確に分かたれることになった。「蝕世」においてはさまざまな事実が判明することとなったが、自分にとってはこの“存在”の顛末が描かれたことが一番衝撃的……というより、長年「FFXI」をプレイしてきた中でも断トツで衝撃的なことであったかも知れない。

 クリアした人であれば自分が何について言及しているのか分かってもらえると思うが、もし未クリアであれば、この顛末を体験するためにもぜひ「蝕世」コンプリートを目指してもらいたい。本音を言えば、現在冒険者であり、かつては冒険者であった全ての人にこの“顛末”を体験してもらいたいものである。

23年目に突入したヴァナは今後どうなっていくか

【令和になっても我コリ】

 以上、現在の冒険者でもよく行くコンテンツをざっと紹介してみたが、どうだろうか。もちろんこれ以外にも、レベル75~99キャップ時代に実装されたコンテンツは数多くあり、そのうちいくつかは現在でも行くことがあるものも存在する。しかしそれら全てを書いていくと本当にキリがないので、今回はここまでにしておきたい(もうすでに3万文字近く書いている……)。

 自分が復帰してから今までを振り返ってみると、今でもヴァナ・ディールを愛している人は本当に多いんだな、ということを実感する3年間だった。無論「蝕世」や「FFXIV」の「エコーズ オブ ヴァナ・ディール」による波及効果もあるだろうが、最近ではまた新規に始める人や10数年ぶりに復帰した、なんていう人もともそこそこ見かけるようになってきた。自分が復帰した2020年頃にはあまり見かけなかった「FFXI」の実況動画が、ここ最近とても増えていることにも驚かされた。

 以前の記事にも書いたことだが、かつて「FFXI」をプレイしていた元冒険者の人は、ぜひ復帰して現在のヴァナ・ディールを体験してみてほしい。さすがに最新のゲームにはグラフィックやシステム面の利便性など劣る部分が多々あるものの、以前のヴァナとは比べものにならないくらい快適になっていることを実感できるはずだ。

 そして、以前やり残していたことをぜひまたチャレンジしてみてほしい。どうしても欲しかったあの装備、途中まで進めたまま放置していたミッションなど、今なら当時よりも格段に楽に進められるようになっている。

かつては大半の冒険者にとっては憧れの装備だった、RMEAなど伝説の武器群。今ではそのほとんどがソロで制作可能となっている。中にはRMEAを作るのが趣味、などという人も少なくないのではないだろうか

 今年で23年目に突入する「FFXI」の今後は、果たしてどうなっていくのだろう。2015年の「ヴァナ・ディールの星唄」実装をもって一度は本作のメジャーアップデート終了が宣言されたものの、その後アンバスケードが追加され、ダイバーが追加され、そして2020年には新シナリオ「蝕世のエンブリオ」が実装されている。今後も、これまで同様またなにか新しい要素が追加されることを期待したいところだ。

 ……と原稿を書いていたところ、第68回のもぎヴァナでビシージの想定レベルがレベル75から99へ引き上げられることが発表された。これは今後、その他の旧コンテンツでも現在の冒険者の強さに合わせた調整が行われるかもしれない。個人的には、かつての阿鼻叫喚だった頃のビシージ復活を期待したいものである。

【第68回もぎたてヴァナ・ディール】

 またソーティのエミネンス項目追加や、デュナミス ~ダイバージェンス~でラスピックスプレートを使ったときのようにのように、すぐに再突入できるような調整も予定されているとのことだ。これは嬉しい。やはり、今後のヴァナにも期待が持てるというものではないか。

 それにしても、「FFXI」は本当に特異なゲームだ。素破やラジャス、エポナリングなど、20年も前に実装された装備がいまだ現役……というか一部は最終装備になるなんて、他のゲームではまずないことだろう。そもそも、20年以上続いているゲームなどほとんど存在していないのだが……。それにジェールのように、攻略に年単位がかかる、などというコンテンツも他作品ではまず聞かないだろう。昨今ではプライムウェポンの完成まで最短で半年かかると判明したときなど、かつてのアレキサンドライト終身刑(※)に比べて「意外とすぐに作れるな」と感じたくらいだ。訓練された我々冒険者は、それくらいもう屁ではないのだ。

……ミシックウェポン制作に必要なアレキサンドライトの数が膨大(5万個)であったため、ゲーム内での実際の産出量から算出して完成までに子や孫の代までかかる、とされてこのように言われていたことがあった。現在は必要な個数の緩和や入手方法の増加などもあり、ソロでの制作も現実的になっている

 これは昨今よく取り沙汰されるコスパやタイパといった概念とは真っ向から反するものだろう。ソシャゲでは新たなカード、新たなキャラクターが追加されるたびに、それまでのものは途端にお役御免になることが多い。しかし本作では、かけた時間だけそれは冒険者の知識や経験として積み重ねられる。フレンドと苦労して集めたアアイテムも、いつかはお役御免になるかも知れないが、それまではきっと長く役に立つことだろう。それは高性能アイテムを手に入れること以上の、かけがえのない思い出となる。我々が20年以上積み重ねたものは、決して無駄にならない。積み重ねができる喜びって、いいもんですよ。

アンバスケードだと思った? 残念! レギオンでした!!……レギオンで入手できるキャリアーサッシュやミーブルバローズのオルンミラトルクなど、旧コンテンツで手に入るものでもいまだに最終装備となるものは少なくない

 なにより我々冒険者は、まだまだ「FFXI」をぜんぜん遊び尽くしていない。これだけの膨大なミッションやクエストの数々、そして多数のコンテンツが「FFXI」には存在している。その全てを制覇した人など、果たしてこの世に1人でも存在しているのだろうか? 全てのジョブをマスターレベル50にし、全ての武器防具を手に入れることなど、果たしてどれだけかかるのだろう。

 おそらく、そこに到達した人はいないだろうし、少なくとも自分にはムリだ。だが、それでいいのである。全てをやり尽くしてしまったら、本当にそこで終わりとなってしまう。自分だって何か1つでもマスターレベル50にしたいし、作りたいRMEAも何本もある。エスカッションにも挑戦したいし、真太公望の釣竿や恵比寿釣竿も手に入れたい。長年プレイし続けてきた自分でさえ、まだまだやりたいことがいくらでもある。だから最近新規に始めた人たちには、ある種の羨望さえ感じることがある。今まで自分たちが味わってきた楽しみが、それこそ星の数ほど手付かずのまま目前に広がっているからだ。

 願わくば、今後も「FFXI」は30周年、40周年を迎えられるようずっと運営を続けていってほしい。もうこうなれば自分も、ヴァナに骨を埋める覚悟で一生付き合っていくつもりである。そして今は規約上できないけど、子や孫にキャラクターを譲渡できる、なんて事が許可されるようにならないですかね……。そうなれば、冒険者はもうヴァナ・ディールで永遠の命を得られたようなものじゃないですか。

 では冒険者の皆さん、ごきげんよう。10年後、20年後に、ヴァナ・ディールのどこかで【また会いましょう!】