【特別企画】

eスポーツは“ボーダーレス”! JeSU「日本・サウジアラビアeスポーツマッチ」記者会見レポート

大会アンバサダー・武井壮さんも登場、eスポーツの可能性を語る

【「日本・サウジアラビアeスポーツマッチ」記者会見】

9月30日 実施

 一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)は9月30日、「東京ゲームショウ 2021 オンライン」幕張メッセ会場にて記者会見を開催し、10月2日・3日開催予定の国際eスポーツ大会「日本・サウジアラビアeスポーツマッチ」の見どころを発表した。

 今回の記者会見の模様は、YouTubeやTwitch等にてライブ配信され、JeSU会長・岡村秀樹氏、サウジアラビアeスポーツ連盟CEO・ターキ・アルファザン氏に加えて、大会アンバサダーに就任したタレントの武井壮さんが登場。eスポーツを通じた国際交流の大きな機会となる本大会の見どころなどを語った。また日本・サウジアラビア2国間の戦略的パートナシップ「日・サウジ・ビジョン2030」のプロジェクトを先導する経済産業省・藤田清太郎大臣官房審議官(IT戦略担当)も招かれるなど、両国間の友好を深める手段としてのeスポーツ、本大会実施の意義などが説明された。

 記者会見では、まず岡村会長が登壇。本大会は3年前の2018年、本日欠席となったサウジアラビアeスポーツ連盟会長・ファイサル・ビン・バンダル・アール・サウード殿下との間で、日本とサウジアラビアでのeスポーツ大会(ホーム&アウェー戦)を開催する署名を交わしたことがきっかけとなっている。コロナ禍の影響を受けながら3年以上経ってようやく開催へとこぎつけたことに対し、岡村会長はサウジアラビアeスポーツ連盟をはじめ、経済産業省、内閣官房等各関係省庁、スポンサーによる、多くの課題解決への協力に感謝を伝えた。またサウジアラビアからはファイサル殿下をはじめ、選手もすでに来日しており、本大会に大いに期待してほしいとも述べた。

 また、本大会は「日・サウジ・ビジョン2030」という、政府が定めた戦略的な国際パートナーシップの一環として実施されることに言及。岡村会長は日本におけるeスポーツの歴史はそれほど長くないが、そうした中で国際親善のための大会が開かれる、ある種の国策に沿った大会が開かれることは非常に意義深いものであると認識しているとした。2国間の国際親善のための取り組みとして、eスポーツ大会を開催するということは、JeSUにとっても新しいチャレンジであり、我々自身(JeSU)のeスポーツの知見をさらに高めていくきっかけになったと述べる。

 さらに岡村会長は、競技タイトルの1つである「THE KING OF FIGHTERS XIV」は日本生まれのゲームでありながら、現在はサウジアラビア資本参加したSNKより発売されていることに触れ、IPが生み出された日本と、それをさらに大きく育てていこうとするサウジアラビアという、両国にとって縁のあるタイトルで覇を競うことに「個人的には非常に興味深く見ていきたい」として、eスポーツによって育まれる両国の親善と絆、そこに注目してほしいと訴えた。加えて「eスポーツは国際的な共通言語であり、心と心を通わせるコミュニケーションの手段であることを、本大会を通じて改めて感じてほしい」と思いを述べた。

一般社団法人日本eスポーツ連合会長・岡村秀樹氏

 続いて、アルファザンCEOが登壇し、挨拶の言葉を述べた。アルファザンCEOは今回の「日本・サウジアラビアeスポーツマッチ」の開催にあたって、「日・サウジ・ビジョン2030」に基づいてJeSUとサウジアラビアeスポーツ連盟が共に手を合わせ、eスポーツの振興に手を携えて歩んできたとして、今後とも両国の橋渡しとなる関係の強化に努めていきたいと述べた。そして「日・サウジ・ビジョン2030」のもとで国際大会が開かれることは、eスポーツそのものをさらなる高みへ昇華させるためのきっかけになるとした。

 また、アルファザンCEOはサウジアラビアにおける現在のeスポーツ産業についても言及。サウジアラビアでのeスポーツはまだまだ芽生えている途中の産業だが、一方で非常に力強い業界でもある。国としても若い人を積極的に支援して、eスポーツというプラットフォームを用いてさらなる発展に貢献したいと考えているとした。そこでサウジアラビアでは、eスポーツはエンターテインメント業界だけでなく、国の経済そのものに大きな役割を果たすものになると確信しているとして、観光業界とも結びついて非常に大きな可能性を秘めていると述べた。

 本大会を通じて、アルファザンCEOはサウジアラビアの選手たちが自分たちのスキルや、彼の熱心さ、チームワークの素晴らしさを披露してくれることに期待。このようなことが日本とサウジアラビアを結びつける大きな要素になっていると述べ、大会の勝者、結果がどうであれ、両国の絆が強まってさらなる前進ができることが重要だと伝えた。

サウジアラビアeスポーツ連盟CEO・ターキ・アルファザン氏

 岡村会長とアルファザンCEOの挨拶が終わると、記者会見はトークセッションに。大会アンバサダーでもある“百獣の王”ことタレントの武井壮さんが登場し、岡村会長、アルファザンCEO、武井さんそれぞれの視点から本大会について、またeスポーツについて熱く語られた。

 登場した武井さんは、今回3回目となる大会アンバサダー就任について「日本とサウジアラビアの交流の大会ということで、スポーツ界でもこうした各国の交流戦というものは盛んに行なわれています。eスポーツでも同じように世界各国との交流が生まれて、また新しい文化が生まれます。そうした大会のアンバサダーを務めさせていただくことで、より世界中幅広い地域に新しい産業であるeスポーツが世界に広まって、世界の経済を潤してくれることに参画できることを嬉しく思っています」と感謝の気持ちを述べ、日本とサウジアラビア両国の選手、ゲームに関わる全ての人がこれからも素晴らしい交流を続けていけるように頑張りたいとした。

大会アンバサダー・武井壮さん

 武井さんは続けて、サウジアラビア国内でのeスポーツの状況や盛り上がりをアルファザンCEOに質問した。これに対しアルファザンCEOは、「サウジアラビアではeスポーツがどんどん盛り上がっている。サウジアラビア国民の約70%が年齢30代以下ということで若い人が非常に多い。そうした中でeスポーツが様々な機会を提供し、選手・プレーヤーもどんどん成長しつつある。またゲームの種類においても格闘ゲームやストラテジーゲームだったりと、様々なゲームが注目を集めており、この先も見通しは明るいと思うし、ますますサウジアラビアでeスポーツが盛んになると考えている」とした。

 サウジアラビアの状況について、岡村会長は「本当に心強いと思います」と述べた上で、「日本もJeSU発足から足掛け4年。eスポーツの認知度は上がっているが、実際には認知度だけでなく、それをプレイする人の数もさることながら、様々な人がeスポーツにチャレンジし始めてくれていることを実感している」と言及。「高齢の方、低学年のお子さん、もともとハンディキャップを持った方も増えてきている。ゲームを通じたジェンダーレスであり、エイジレスであるeスポーツはこれから先、ある種の文化として定着していくだろう」と述べた。これには武井さんが「エイジレスでもあり、ボーダーレスでもある」と付け加え、岡村会長は「そうです!」と同意した。

 また、競技タイトルの5タイトル(「グランツーリスモSPORT」、「THE KING OF FIGHTERS XIV」、「鉄拳7」、「eFootball 2022」、「ストリートファイターV チャンピオンエディション」)について、アルファザンCEOは、5タイトルは全てサウジアラビアにおいて人気のあるものだが、ただし選定にあたっては、どういうものが日本とのマッチにふさわしいかどうかを相談した上で決定したという。

 そして、eスポーツの魅力そのものにも質問が及んだ。アルファザンCEOは「eスポーツはマーケットとして見ても急速に拡大しているものと思う。また今後キャリアとしても非常に魅力的。グローバルベースでも様々な国を結びつけるという意味で色々な可能性を秘めている」として、eスポーツの急激な成長は本当に明るいニュースであると語った。

 一方、岡村会長は、eスポーツの魅力は「共生社会実現のためのソリューション」と常々語っているという。空間を超えて、ネットワークによりコミュニケーションを取っていくことをゲームを通じて行なえることもさることながら、やはり老若男女が1つのサークルになって楽しめる。「そんな共生社会実現のためのソリューションの1つであるのがeスポーツであり、今後も産業として大きくなっていく」と期待感を述べた。

 トークセッションの最後には大会フラッグへのサイン式を実施。岡村会長、アルファザンCEO、武井さん3名のサインが入った、まさに日本とサウジアラビア2国間の交流を象徴する国際フラッグが完成した。

 記者会見の後半には、戦略的パートナシップ「日・サウジ・ビジョン2030」のプロジェクトを先導する経済産業省・藤田清太郎審議官が岡村会長と共に登壇。藤田審議官は「日本・サウジアラビアeスポーツマッチ」の日本での開催を大変喜ばしく思うと語り、大会開催に尽力した関係者に感謝を述べた。日本政府としては2017年に日本とサウジアラビア2国間の戦略的パートナシップを取りまとめた「日・サウジ・ビジョン2030」を策定。サウジアラビアを戦略的なパートナーとして、エネルギー産業だけでなくエンターテインメント、観光、文化・スポーツなど幅広い分野で協力事業を進めてきたとする。

 藤田審議官によると、今回の「日本・サウジアラビアeスポーツマッチ」も「日・サウジ・ビジョン2030」に基づいた、2国間の戦略的な取り組みの1つとして開催されるもので、eスポーツによる国際交流が行なわれることは、まさに「新時代のパートナーシップの象徴」であると語った。そして「日本・サウジアラビアeスポーツマッチ」のような、エンターテインメントを活用した国際交流が新しい形で広がり定着していくこと、また本大会を通じて両国間の交流を深め、経済社会的な交流の相乗効果を生み出すこと、選手間におけるeスポーツの競技力のさらなる向上に資する大会になることを期待するとして、挨拶の言葉を締めくくった。

経済産業省・藤田清太郎大臣官房審議官(IT戦略担当)

 記者会見の最後は、会場にてサインが行なわれた大会フラッグと共に登壇者のフォトセッションが行なわれた。そして記者会見の締めくくりのメッセージとして、アルファザンCEOは大会自体も重要だが、コロナの状況下において大会をしっかり実施していくことが重要。そしてプレーヤーの人生を重視して、このような場を提供できることは有意義なことであると述べた。

 また、岡村会長はファンに向けて「ぜひ両国を代表しているアスリートに心から応援して頂きたい」と思いを伝え、選手たちの姿・熱戦を通じて、ファン同士のコミュニケーションをうまく図っていきたいとした。そして、最後に武井さんは自身が日本フェンシング協会の会長であることにも触れ、「ゲームは楽しく遊ぶために作られた“遊び”であるが、スポーツと同じようにみんなに共有されて、それが文化になって世界中に広がっていく。オリンピックやワールドカップといったスポーツのメジャー大会をも凌ぐような、世界的な産業へと成長しているeスポーツの世界に全力で貢献したい」とメッセージを送り、記者会見の結びとした。

 「日本・サウジアラビアeスポーツマッチ」は、日本とサウジアラビアのeスポーツの発展、振興と、両国間の友好を深める一環として開催される国際eスポーツ大会。前半は日本にて、後半はサウジアラビアにて、ホーム&アウェーの2回に分けて大会が実施される。実戦タイトルは「グランツーリスモSPORT」、「THE KING OF FIGHTERS XIV」、「鉄拳7」、「eFootball 2022」、「ストリートファイターV チャンピオンエディション」の5タイトル。なお、本大会は無観客開催となり、大会の模様は無料配信される。

「日本・サウジアラビアeスポーツマッチ」大会概要

・主催:一般社団法人日本eスポーツ連合
・賞金総額:3,000万円(ホーム&アウェー戦 総額)
・実施日程:10月2日、3日(JAPAN ROUND)
・実施会場:ところざわサクラタウン(JAPAN ROUND、無観客オンライン配信実施予定)

【大会日程】

  • 10月2日 / 大会1日目
    10:00~12:00:大会オープニング、「グランツーリスモSPORT」
    14:00~16:30:「THE KING ON FIGHTERS XIV」
    18:30~21:00:「鉄拳7」
  • 10月3日 / 大会2日目
    10:30~13:30:「eFootball 2022」
    15:30~20:00:「ストリートファイターV チャンピオンエディション」、大会フィナーレ