【特別企画】

ゲームの境界を越えろ! TVアニメ「すばらしきこのせかい The Animation」ワールドプレミアレポート

あのシブヤが2021年の姿で蘇る! 「ワールドプレミア」の模様をお届け

 「ワールドプレミア」イベントはアニメ第1話「死神ゲーム」の世界同時最速上映と舞台挨拶が行なわれた第1部と、出演キャストによるトークセッションが開催された第2部、の2部構成となっていた。第1部は世界同時公開ということもあり、英語同時通訳・英語字幕付き上映という形で行なわれ、そのため掲載画像の一部には英語字幕が付いているものが含まれる。

左から、米本学仁さん(MC)、市川量也監督、内山昂輝さん、鉢嶺杏奈さん、木村昴さん、竹達彩奈さん、木村良平さん

14年前のゲームがアニメになる! 出演者がその思い、意気込みを語る

 アニメ第1話の上映を前に、ネク役の内山昂輝さん、シキ役の鉢嶺杏奈さん、ビイト役の木村昴さん、ライム役の竹達彩奈さん、ヨシュア役の木村良平さん、監督の市川量也氏が登壇した。出演者がそれぞれ本作、そして本イベントへの意気込みを語るとともに、14年前のゲームが今アニメ化することへの思いも伝えられた。

 内山さんは「14年前のゲームがアニメ化ということで僕も驚いています。今日は楽しんでいってください」とコメント。続いて鉢嶺さんは「変わらないメンバーとこうやって会うことができてうれしく思っています。ゲームで『すばらしきこのせかい』を楽しんでくださった皆様、アニメもまた新しい形になっているので、こうやってお届けできることがすごく幸せに思っています」と語った。

 また木村良平さんは「出来上がったものをリアルタイムでみんなと共有して見てもらうというのはドキドキするものです。非常にいい仕上がりになっているので楽しみです」とし、市川監督は「まだ後半の話数とか作ってたりもするんですけれども、失速しないように頑張っていきたいと思うので、今日は皆様の感想を楽しみしております」と意気込みを語った。

実はキャストもまだ見てなかった完成版! 原作への思いが詰まったアニメ第1話「死神ゲーム」が披露

 挨拶もすぐにアニメ第1話のワールドプレミアが開始された。物語の始まりはもちろんスクランブル交差点。交差点の真ん中で目覚めた主人公・ネクがゲームからそのまま出てきたかのようにアニメーションとなって動き出す。映像は原作の特徴的なテイストを残しつつ、テキストスタイルベースだった平面的なイベントシーンが見事に立体的に再現され、また行き交う多くの人々、様々な広告を映す街頭ビジョン、原作で駆け巡ったあのシブヤの街並みが活きた街として現われる。

 「忠犬ハチ公像」の前に移動したネク。そこでスマートフォンから「104にたどりつけ、制限時間は60分、できなかったら消滅」というメールを受け取る。原作が発売されたのは2007年。当時の携帯電話はいわゆる“ガラケー式”と呼ばれる2つ折りタイプで、ゲーム内でもそのタイプものが使用されていた。今回のアニメではキャラクターたちがスマートフォンを持っているのが印象的で、シブヤの街並みも現在に近い町並みで再現されている。舞台を新たに現在のシブヤとすることでどのような反応が生まれるか、今後の物語展開に注目される。

(画像はNintendo Switch「すばらしきこのせかい -Final Remix-」より)

 気になるノイズとのバトルシーンは3DCGアニメーションを使用したアクションシーンとして表現。カエル型の「ディキシーフログ」やオオカミ型の「ガレージウルフ」など、幾度も対峙した原作ファンにはお馴染みのノイズたちが画面を縦横無尽に動き回る。こうしたバトルシーンを盛り上げるのはもちろん石元丈晴氏が手掛ける音楽だ。あるバトルシーンでは、ついに新曲かと思われる歌入りの楽曲が流れ、その興奮は最高潮に達する。原作でも特徴的だったサイキックがどのような形で表現されているかは、ぜひ本放送を心待ちにしていて欲しい。

 もちろん原作ファンがニヤリとする要素も用意されている。原作では各エリアを移動する際、グラフィティ調で描かれたエリアアイコンが表示されていたが、アニメでもそのアイコンがネクたちの現在地を示す。ほかにもシキの仕草だったり、キャラクターのセリフだったりと何度も見返したくなるほど、細部に至るまで原作への思いが込められている。原作にあったこうした細かいネタを映像に落とし込むことで、まるでゲームをプレイしているような「すばせか」らしい世界観が味わえる。ちなみに筆者としてはあるシーンで流れた音楽に思わず「これだよこれ、これぞすばせか」と思わず唸ってしまった。

 第1話を見終えて、筆者の率直な感想としては14年待った甲斐があったと思わせる内容であった。迫力のアクションあり、テンポの良いストーリーあり、格好いい音楽ありと、それはまさしく当時プレイした「すばらしきこのせかい」そのものである。第1話だけでもその情報量はかなり多いものの、テンポを落とすことなくやや複雑な説明的要素をストーリーに昇華させている構成は見事としかいうほかない。また個性豊かで魅力的なキャラクターたちがキャスト陣の高度な演技力により、懐かしくも新しくもあるキャラクターとして表現されていることには驚かされた。

 また何より原作を知っているからこそ、終盤の怒涛の展開には衝撃を受けた。アニメオリジナルの要素もさることながら、第1話では登場しなかったヨシュアがアニメ本編でどのように描かれるか、そして「ゼタ遅ぇ」や「虚数にしてやる」といった数々の数学的名言を残し、誰もが一度は虜になるミナミモトの活躍にも注目したいところ。4月9日より始まる本放送が待ち遠しく感じるワールドプレミアであった。

 あっという間に終わってしまった第1話。上映終了後には完成版を初めて見たのは筆者だけでなく、実はキャストの方々も今回が初だったと明かされた。