インタビュー
「Apex Legends」開発者インタビュー。「タップストレイフ」をなくす予定は“一切ない”
今後のアップデート情報や「ALGS」の想いを訊く
2025年2月6日 01:00
- 【Apex Legends:シーズン24「テイクオーバー」】
- 2月12日より開催予定
2月5日で6周年を迎えたElectronic Artsのバトルロイヤルゲーム「Apex Legends」。直近では年間王者を決める「ALGS Year 4 Championship」が北海道札幌市で開催されたほか、2月12日からはシーズン24「テイクオーバー」が開幕するなど、イベント続きのお祭り状態となっている。実際に筆者も札幌ドームで「ALGS」を観戦しており、その規模や熱量に圧倒されっぱなしだった。
本稿では札幌の「ALGS」会場で行なわれたアソシエートデザインディレクターであるJosh Mohan氏のインタビューをお届け。シーズン24「テイクオーバー」やその先のアップデート情報、度々話題となるテクニック「タップストレイフ」の今後、そして「ALGS」の感想を中心に開発チームの想いを伝えていきたい。
既に“シーズン25”に向けて動き出している
――日本でALGSが開催されて、2月5日には「Apex Legends」が6周年を迎えました。そしていよいよシーズン24「テイクオーバー」が始まります。イベント続きでお祭り状態ですが、現在の心境をお聞かせください。
Josh氏:記念日がどんどん続いていて、とても嬉しい気持ちです。このようなお祭りの期間を日本の札幌で過ごせてとても楽しいですし、日本のコミュニティは本当に温かくて、開発チームは感極まっています。
――「Apex」といえばゲーム内で周年イベントが行なわれますが、このインタビュー時点では発表されていません。今年も期待していいでしょうか……?
Josh氏:もちろんです。様々なコンテンツが予定されているので、ぜひお楽しみいただければと思います。
――シーズン24ではアンチチートに関する大きなアップデートが行なわれます。この一年間、アンチチート周りのアップデートを強化していますが、実際にチート被害は減少しているのでしょうか? 現在の状況を教えてください。
Josh氏:そうですね。最近ではチート行為が多かったLinux系OSからのアクセスを禁止しました。またチーミングやBOTの対策もかなり強化しまして、こちらについては近日中に開発ブログで結果をお伝えしようと思います。現時点でかなり前向きな成果が得られていますし、今後もチート対策は強化していく予定です。
――以前は毎シーズンのようにレジェンドや武器が追加されていました。現在は新要素の追加が不定期になった一方、既存のレジェンドの改修や「ランクリーグ」のルール変更を中心にアップデートが行なわれています。今後、以前のようにコンスタントに新要素を追加していく計画はありますか?
Josh氏:現在の「Apex」は初期と比較して、レジェンドや武器がかなり多く揃いました。なので新しくレジェンドや武器を追加するよりも、既存のレジェンドや武器のリワークのほうがゲームに新鮮さや面白さを与えられて、シーズンに大きな影響があると考えています。もちろん、これからも新しいレジェンドを追加する予定はあるので、楽しみにしていてください。
――最近ではレヴナントやライフラインがリワークの対象となりましたが、どういった基準でレジェンドがリワークされるのでしょうか?
Josh氏:テコ入れは“レジェンドの人気”で対象となるかが判断されます。プレーヤーの使用率であったり、今のシーズンでそのレジェンドのスキルが使えるかどうか、そしてプレーヤーが使っていて楽しいのか、そういったことを基準にしています。テコ入れの対象になれば、スキルアップデートであったり、システムの変更によって、先ほど挙げたポイントの改善を図ります。
例えばゲームの初期からいるライフラインはシーズン23でスキルを一新しました。以前はその場にヒールドローンを置いて味方を回復させる非常に動きが少ない静的なスキルでしたが、それを味方のところへヒールドローンを送られるようになるなど、よりダイナミックなプレイができるスキルへと変更され、プレーヤーからも人気を得ていると思います。
――「Apex」はこれからもアップデートを続けていくと思いますが、今後の展望を教えてください。
Josh氏:既にシーズン25に向けて動き出していて、シーズン25以降はプレーヤーの皆さんがフラストレーションを感じていたところに焦点を当てていく予定です。先ほども挙げて頂いたチート対策のみならず、マッチメイキングも改善して、しっかりとプレーヤーの皆さんが期待通りに楽しんでいただけるようにしていきますし、今後は視覚的、音響的にゲームプレイやバトルがやりやすくなるよう改善していく予定です。
こういったテコ入れによって「Apex Legends」が競技シューターゲームのナンバーワンを維持していくのが、最終的な目標となります。今回のALGSが表しているように、プレーヤーの皆さんが私たちのゲームを楽しんでいただけるよう磨きをかけていきたいと考えています。
「タップストレイフ」をなくす予定は“全く考えていない”
――次にタップストレイフ(注:空中での急激な方向転換を可能にする移動テクニック)について教えてください。2025年1月最初のアップデートでタップストレイフの弱体化が行なわれましたが、プレーヤーからの意見もあり翌日には撤回されました。以前も同じようなことがありましたが、開発チームの皆さんはタップストレイフをどのように考えているのでしょうか?今後のタップストレイフの行方を教えてください。
Josh氏:まず今後タップストレイフをなくすということは全く考えていません。今回のアップデートもタップストレイフを弱体化するというよりかは、悪用されていたタップストレイフの一部を修正する意図がありました。開発チーム内部のプレイでは修正しても問題ないと判断していましたが、ここに認識のズレがあったと考えています。またALGSのチャンピオン大会も目前に控えていたので、今回の撤回に至りました。
これからもタップストレイフだけでなく、意図していない使われ方をしているスキルやシステムは修正していきます。ただ、改めてになりますがタップストレイフをなくすということはありません。
――確かにマクロなどを組んでタップストレイフを悪用しているユーザーも一部いる一方で、毎日の練習で超人的なタップストレイフをできるプレーヤーもいます。こういったマクロを使っているユーザーをシステム的に検知していくといったことはできないのでしょうか?
Josh氏:まさにマクロがいい例なのですが、今回タップストレイフに手を加えようとした理由は、非常に高いリフレッシュレートのモニターを使用したプレーヤーが、低いリフレッシュレートのモニターを使用するプレーヤーにはできない動きをマクロによってできることにありました。そういったマクロを含めて、ゲームのシステム外からアドバンテージになるような挙動ができるようになる部分は改善していきます。
――タップストレイフはキーボード&マウスで可能なテクニックで、コントローラーでは使用できません。現状、PS5やXboxでのプレイも含めたコントローラー操作とPCでのキーボード&マウス操作の割合はどのようになっているのでしょうか。
Josh氏:すみませんが、具体的な数字というのはこの場でお伝えすることができません。ですがコントローラー操作とキーボード&マウス操作、どちらにとってもいい塩梅にするというは常に意識しています。ALGSにおいても同じチームでコントローラー派とキーボード&マウス派がわかれていますし、どちらも悪い体験にならないよう調整をしています。
「ALGS」札幌大会は“想像していなかった規模”に
――今回「ALGS Year 4 Championship」が札幌で開催されました。会場や観客の皆さんの雰囲気など、どういった印象でしょうか?
Josh氏:会場がとにかくデカイですね。私は準備の段階で札幌ドームに入ったのですが、そのスケールに呆気にとられていました。そして実際にチケットが完売していて、日本の「Apex」プレーヤーの熱量と愛を表しているのかなと思います。試合も観戦しましたが、いいプレイが決まった時の歓声がすごくて、日本の「Fnatic」が活躍した時のファンの熱量をとても体感しました。
――「Apex」は6周年を迎えましたが、6年前にこの大きな会場が満員になるという光景を想像できていましたか……?
Josh氏:いえ、私たちが想像していなかった規模になっています。これからも成長を続けていくので、ぜひこれからも「Apex」や「ALGS」を応援してほしいと思います。
――最後に日本の「Apex」プレーヤーに向けてコメントをお願いいたします。
Josh氏:日本のファンの皆さん、いつもありがとうございます。「ALGS」のチャンピオンシップ大会を一緒に見届けられてとても嬉しいです。これから「Apex」は変わり続けていきますので、よりよくなっていく「Apex」を楽しんでいただけたら幸いです。これからもよろしくお願いいたします!
――ありがとうございました。
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