レビュー
ウルトラワイドゲーミングモニター「Alienware AW3425DW」レビュー
QD-OLED×ウルトラワイドで没入感がすごい! 焼き付き対策もバッチリ
2025年4月14日 00:00
- 【Alienware 34 240Hz QD-OLED ゲーミングモニター(AW3425DW)】
- 4月15日 発売予定
- 価格:129,800円
ゲーミングモニターの中でも少しニッチなジャンルの一つである“ウルトラワイド”。特にアスペクト比が21:9のウルトラワイドモニターは、いわゆる通常のワイドモニター(16:9)よりも横に長く、よりゲームへの没入感を得られるため、コアなPCゲーマーを中心にユーザーが多い。
今回、デルのゲーミングブランド「Alienware」から登場する「AW3425DW」は、量子ドット有機EL(QD-OLED)パネルを採用したウルトラワイドゲーミングモニターだ。ゲーミングモニターの中でもまだまだユーザーが少ない有機ELとウルトラワイドという組み合わせでのゲームプレイは一体どのようなものなのか。本稿では「AW3425DW」のレビューをお届けしていく。
- 画面サイズ:34インチ(アスペクト比21:9)
- パネル:QD-OLED
- 解像度:3,440×1,440ドット(UWQHD、湾曲:1,800R)
- 輝度:標準 250cd/m2、最大 1,000cd/m2
- 視野角:178度/178度(水平・垂直)
- 応答速度:30μs(0.03ms、GtG)
- コントラスト比:1,500,000:1
- 表示色:10.7億色
- リフレッシュレート:最大240Hz
- 可変リフレッシュレート:NVIDIA G-SYNC Compatible、FreeSync Premium、VESA AdaptiveSync
- HDR:HDR10、DisplayHDR True Black 400
- 映像入力端子:DisplayPort 1.4×1、HDMI 2.1×2
- USB端子:USB Type-B(5Gbps、アップストリームポート)、USB Type-A(5Gbps、ダウンストリームポート)、USB Type-C(5Gbps、ダウンストリームポート、15W給電)
Alienware「AW3425DW」のスペック
黒く丸っこい落ち着いたデザイン! ゲーミング感を抑えた「AW3425DW」
まずは外観を見ていこう。「AW3425DW」はAlienwareブランド30周年を記念した「AW30」と呼ばれるデザインコンセントを採用しており、黒く丸っこい落ち着いた見た目で“ゲーミングデバイス感”は抑えられている。仕様上はノングレアだが結構映り込みやすいので、完全なノングレアパネルが好きなユーザーは少し注意が必要だ。
筆者は38インチのウルトラワイドモニター「AW3821DW」を2022年2月に導入しており、この3年あまりの期間は基本的に仕事からゲームまで「AW3821DW」一台で行なってきた。当時はそのデカさに驚いたものだが今となっては日常風景となってしまい、むしろ今回お借りしている34インチの「AW3425DW」が少し小さく見えてしまう。
同じ「Alienware」ブランドのゲーミングモニターだが、レジェンドデザインの「AW3821DW」とAW30デザインの「AW3425DW」では見た目の印象がだいぶ異なる。白い筐体にLEDが映える「AW3821DW」もカッコいいし、黒く丸っこいシンプルな「AW3425DW」も良い感じ。このあたりは好みの問題だが「AW3425DW」のほうがゲーミング感が抑えられていて、部屋にはマッチしやすいはずだ。
ウルトラワイド×湾曲はやっぱり大迫力! QD-OLEDで色の鮮やかさがイイ
続いては「AW3425DW」のスペックを確認していこう。パネルには広色域を実現する「量子ドット」と非常に高速な応答速度を誇る「有機EL」を組み合わせた「QD-OLED(量子ドット有機EL)」を採用。解像度は3,440×1,440ドットのUWQHDで、最大リフレッシュレートは240Hz、応答速度は0.03msとなっている。体感としては約27インチのWQHDゲーミングモニターを横方向に880ドット分伸ばした感じだ。
先述のように筆者は「AW3821DW」を使用しているため湾曲ウルトラワイドの環境には慣れているのだが、今回何よりも驚かされたのはQD-OLEDの色の鮮やかさ。Windows標準壁紙の一つ「Windowsスポットライト」の時点で色に深みがあり、そこに湾曲&ウルトラワイドが組み合わさることで壁紙に奥行きを感じるのだ。「AW3821DW」のIPS液晶パネルも十分に鮮やかだが、やはりバックライトがなく、素子そのものが発光するQD-OLEDパネルの鮮やかさは群を抜いている。
AW3425DW | AW3821DW | |
---|---|---|
パネルタイプ | 有機EL(QD-OLED) | 液晶(Nano-IPS) |
画面サイズ | 34インチ(湾曲:1,800R) | 37.5インチ(湾曲:2,300R) |
解像度 | 3,440×1,440ドット | 3,840×1,600ドット |
コントラスト比 | 1,500,000:1 | 1,000:1 |
リフレッシュレート | 最大240Hz | 最大144Hz |
応答速度 | 30μs(0.03ms、GtG) | 1ms(GtG) |
アダプティブシンク(VRR) | NVIDIA G-SYNC Compatible、AMD FreeSync Premium、VESA AdaptiveSync | NVIDIA G-SYNC ULTIMATE |
HDR認証 | DisplayHDR True Black 400 | DisplayHDR 600 |
映像入力端子 | DisplayPort 1.4×1、HDMI 2.1×2 | DisplayPort 1.4×1、HDMI 2.0×2 |
インターフェース | USB Type-B(5Gbps、アップストリームポート)、USB Type-A(5Gbps、ダウンストリームポート)、USB Type-C(5Gbps、ダウンストリームポート、15W給電) | USB Type-B(5Gbps、アップストリームポート)、USB Type-A(5Gbps、ダウンストリームポート)×4、ヘッドホン出力端子×1、スピーカー出力端子×1 |
発売日 | 2025年4月15日 | 2020年12月2日 |
価格 | 129,800円 | 161,980円 |
「AW3425DW」の入力ポートはDisplayPort 1.4×1、HDMI 2.1×2の計3ポートで、全ポートで最高スペックの3,440×1,440ドット/240Hz入力に対応している。「AW3821DW」はDisplayPort 1.4×1、HDMI 2.0×2となっており、最高スペックの3,840×1,600ドット/144Hz入力はDPしか対応していなかったので、ここは嬉しいポイントだ。
「AW3425DW」はUSBハブ機能も備えており、ダウンストリームポートはUSB Type-A(5Gbps)×1、USB Type-C(5Gbps)×2の計2ポートある。映像入力とともにキーボードとマウスも一緒に切り替えられるいわゆる「KVMスイッチ」機能はないが、USB Type-Cポートは15W給電に対応しているため、スマートフォンを充電するときに便利だ。
有機ELといえば“焼き付き”だけど……。対策機能×焼き付き保証あり!
ご存知の方もいると思うが、有機ELパネルは同じ映像を長時間表示し続けると“焼き付き”が発生しやすい。そこで「AW3425DW」はパネルにあらかじめ余白部分を作っておき、少しずつ画面をずらすことで焼き付きを抑える「ピクセルシフト」という機能が内蔵されている。そのため表示領域は34インチなのだが、ピクセルシフト機能の余白分があるためパネル自体のサイズは34.2インチとなっている。
この機能が少し曲者で、ピクセルシフトが機能した際に画面が“ピクッ”と動き「あ、今ピクセルシフトしたな」とわかってしまう。そしてこの機能はオフにできず、機能するタイミングも変更できないため、数分〜数十分に一回必ずピクセルシフトが行なわれる。だがAlienwareの有機ELゲーミングモニターを使っている知人に聞くと「あまり気にならない」ということだったので、慣れの問題なのかもしれない。
このほかにも4時間以上使用した後に電源を切ると自動的に「ピクセルリフレッシュ」が作動して焼き付きを抑制するほか、累計で1,500時間以上使用すると「パネル更新」というより強力なピクセルリフレッシュ機能が作動する。それでも万が一焼き付きが起きてしまった場合は、3年間保証の中に「有機ELの焼き付き」が含まれているので、保証期間内であれば製品交換を受けることができる。
有機EL=焼き付きが起こりやすいというネガティブなイメージもあるが、「AW3425DW」は焼き付き防止機能と製品保証があるため、あまり神経質にならなくても良さそうだ。実際、今回はあえて液晶パネルと同じ使い方を心がけながら、ゲームや仕事を含め累計100時間ほど使ってみたが、焼き付きは発生しなかった。
没入感がパワーアップ! 「モンハンワイルズ」&「Forza Horizon 5」で検証
続いて「AW3425DW」でゲームをプレイしてみた。まずは無料タイトルアップデート第1弾が配信されたばかりのPC版「モンスターハンターワイルズ(カプコン)」だ。
「モンハンワイルズ」はウルトラワイドにネイティブ対応しており、設定から解像度を変更可能。やはりウルトラワイドモニターは“映像に包まれる感覚”があるのだが、「AW3425DW」はこれにQD-OLEDの色の鮮やかさや黒の沈み込みが加わり、まるで現実世界を見ているような美しい映像を体験できる。横幅78cmの画面いっぱいに広がる「モンハン」の世界はまさに圧巻の一言だ。
またウルトラワイドモニターは横の視界が広がり、より広い範囲を一度に見渡すことができるので、モンスターの姿を捉えやすかったり、アイテムの回収し忘れを防ぐこともできる。加えて、筆者のPC環境では3,440×1,440ドットで240FPSを出すことはできなかったのだが、ハイエンドGPUかつフレーム生成をオンにすれば、より滑らかな狩猟を楽しむことができるだろう。
次にウルトラワイドモニターと相性のいいレースゲームから「Forza Horizon 5」をチョイス。レースゲームはウルトラワイドモニターならではの“没入感”を存分に活かすことができるジャンルで、QD-OLED×240Hzという2025年時点のウルトラワイドモニターで最高スペックに近い「AW3425DW」との相性は抜群だ。
実際「AW3425DW」はメキシコの緑豊かな土地や青々とした海を鮮やかに映し出し、そこを高速で駆け抜ける感覚は非常に心地いい。一人称視点では横幅いっぱいにコックピットが広がり、まさに車に乗り込んでいるような感覚を味わえるほか、後方視点からだとメキシコの風景を味わいながら愛車を運転できる。レースゲームの魅力をより引き出してくれるのがウルトラワイドモニターだ。
だが一部のゲームはウルトラワイド解像度に対応していない。例えば「FINAL FANTASY VII REBIRTH」はその代表格で、プレイ中は左右に大きな余白が生まれてしまう。MODを導入することでウルトラワイドに対応させることもできるのだが、やはり特殊な解像度であるが故に非対応のゲームもそこそこあるのだ。
またプレイステーション 5やXbox Series X|S、Nintendo Switchなどのコンソール機はウルトラワイド解像度に対応しないため、常に左右に余白が生まれる。だが、この場合はWQHD/240Hzのゲーミングモニター(16:9)として使用できるので、コンソール機メインで使う人にはあまりオススメできないが、PCでの使用がメインでコンソール機はサブ用途という方には全く問題ない。
ウルトラワイド×QD-OLEDでしか体験できない世界がある
ここまでAlienwareのウルトラワイドゲーミングモニター「AW3425DW」のレビューをお届けしてきた。筆者はやはり“有機EL=焼き付き”という先入観があり、特にPC用途では同じ画面を表示し続けることも多いため、スマートフォンやテレビは有機ELパネル採用のものを使いつつも、PCモニターだけは液晶パネル採用のものを使い続けてきた。
だが今回「AW3425DW」を使ってみて、やはり色の鮮やかさや黒の沈み込みはQD-OLEDパネルでしかできないものがあった。そして想像以上に焼き付き現象への対策や保証が行なわれていることもあり、仕事とゲームを同じモニターでこなす筆者でも「これなら有機ELもありだな」と思う製品に仕上がっている。
やはりウルトラワイドモニターは“没入感の高さ”が魅力の一つで、QD-OLEDパネルはその没入感をより高い場所へ引き上げてくれる。新しくゲーミングモニターを探している方は、最強の組み合わせとなった「AW3425DW」をぜひ検討してみてほしい。
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