インタビュー
「FFXIV」パッチ6.5「光明の起点(ゼロ)」吉田Pインタビュー
吉田氏が語る過去作オマージュの難しさ。「フォールガイズ」コラボやタレイアからマトシャまでたっぷり聞いてきた
2023年9月19日 18:00
- 【ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー】
- 2024年夏発売予定
スクウェア・エニックスは、プレイステーション 5/プレイステーション 4/PC用MMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」としては最後の大型アップデートとなるパッチ6.5「光明の起点(ゼロ)」のパート1を10月上旬に実装する。このアップデートでは、パート1とパート2の2回に分けたメインストーリーで、現在進行している第十三世界での物語が完結し、来年夏に発売される拡張パッケージ「黄金のレガシー」へと続いていくことになる。
今回はプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏に、「ファンフェスティバル in ラスベガス」のプロデューサーレターLIVEで紹介されたパッチ6.5の内容について聞くことができた。クリスタルコンフリクトや「フォールガイズ」コラボなど、PLLでは語られなかった詳細も突っ込んで聞いてきたので、ぜひ読んで欲しい。
タイトルには、物語の完結や未来の始まりという複数の意味を込めた
――最初にメインクエストについてお伺いします。 メインクエストはこの「パッチ6.5」で「暁月のフィナーレ」が文字通りフィナーレを迎えるわけですが、「光明の起点(ゼロ)」というタイトルは逆に何か始まりを予感させるような響きがありますね。
吉田氏:今回のタイトルは「パッチ6.4」の「玉座の咎人」と対になるように考えたものです。「玉座の咎人」は過去の出来事に囚われたような人たちを表現し、逆に「光明の起点(ゼロ)」は起点=ゼロという単語に、これから先の未来という意味も込めてという風にイメージをしたものです。
「起点」と書いて「ゼロ」と読むのは、始まりなのか、それとも出発点に戻るという意味のゼロなのか、複数の意味を込めて付けています。メインストーリーだけではなく、例えばアライアンスレイドでは、今回エオルゼア十二神の物語が完結します。遠い過去から続いてきた使命が果たされてゼロになるという意味もあります。もちろんキャラクターとしてのゼロという意味も持っています。「7.0」に向けて、まさに起点になりますという意味でもありますので、そういう複数のニュアンスをパッチ全体から感じてもらえればいいなと思っています。
――先日公開された「黄金のレガシー」のトレーラーは“光の戦士の夏休み”という感じで、現在進行している第十三世界でのストーリーとの落差が激しいなと思いました。現在進行中の物語は、この「パッチ6.5」で完結するのですか?
吉田氏:そのご質問に関しては、何をもって完結というか、によって答えがかわります。例えば第十三世界は闇の氾濫に完全に飲み込まれた世界ですが、それが今回のパッチ1つで、なにか強烈な出来事があって、緑や生命あふれる世界に戻るのかというと、さすがにそれはないと思います。ゼロと光の戦士との物語には当然一旦区切りをつけるつもりでいますが、それはまた新しい第十三世界の物語の始まりという意味でもあります。そのあたりのニュアンスはプレイしていただければきっと分かるのではないかと思います。
ただ、中途半端な状態のままでは「トラル大陸に行くぞ!」という気持ちにならないと思いますので、皆さんに満足していただけるようなきれいな区切りはもちろん作りました。パッチ6.5のメインクエストはパート1とパート2に分けて、メインシナリオも大きく2部構成になっています。
「暁月」に向けてのファンフェスは、コロナ渦の影響もありオンラインで1回だけの開催だったのでなかなか感じづらかったと思いますが、今回は「漆黒」に至るまでのような考え方で、ファンフェスを挟んで少しずつ物語が進み、ヨーロッパのファンフェスがあって、日本のファンフェスがあって、6.5のパート2がリリースされてという形で、ゲームの中と外が繋がって7.0に向かうイメージを作りたいと思っています。それを一連の流れとして見ていただければ、より楽しめるのではないかと思います。
――今回、久しぶりに第一世界が舞台となりますね。楽しみにしている人も多いかと思いますが、第一世界側でのストーリーにもそれなりのボリュームはあるんですか?
吉田氏:第一世界に行ったは良いけれど、即帰るみたいな状態ではないです。俯瞰していただくと、第一世界というのは光の氾濫によって消滅しようとしていた世界です。一方、第十三世界は闇の氾濫によって崩壊しました。第一世界に関しては、英雄である主人公――闇の戦士の活躍によって光が極端に飽和しているという状態は抑えられ、リーンたちによってバランスを取り戻そうとしているという、第十三世界よりは一歩進んだ状態にあります。そんなお互いの状態から、何を目的に訪れて、どんな話が語られるのかを推測しつつ楽しみにしていただければと思います。
開発者もファンゆえに線引きが難しい過去作のオマージュ
――今回のインスタンスダンジョン「深淵潜航 月の地下渓谷」ですが、発表されたスクリーンショットの雰囲気は「FFIV」のラストダンジョンを再現しているように見えました。
吉田氏:プロデューサーレターLIVE(以下、PLL)の中でスクリーンショットを紹介させていただいたんですが、出せる限界があれでした。あれ以上はネタバレが強すぎでして……。今回はパッチ6.Xシリーズのフィナーレということもあって、過去の拡張前メジャーアップデートのラストがそうであったように、かなりドラマチックなダンジョンとして作っています。PLLでお見せしたのは、ほんとにごく一部でしかなく、あの後ダンジョンのシチュエーションや演出も大きく変わります。ただ、ガラッと変わったその先には、過去作が好きな方に喜んでいただけるものがまた待っています。メインストーリーにかなり深く絡んでくるので、今回は特に演出や道中も細かく見ていただけると大変嬉しいです。もうリリースに向けた調整も終わっています。
――続いて、たぶんその先にいるんじゃないかと思っている「ゼロムス討滅戦」についてですが、こちらも過去作のボスということで、プレイヤーのみならず開発側にとっても思い入れの強い敵ではないかと思います。今回は特に「FFIV」にフォーカスされていますが、このような「FFXIV」と過去作を組み合わせる時には、どんな風に企画を進めるのですか?
吉田氏:「FFXIV」チームの大部分というか、ほぼすべてのメンバーに「FF」大好きっ子が多いので、どうしても、制作しているうちにオリジナルに寄せがちになることがあります。オマージュとそのものズバリを再現してしまうことの区別というのは、すごく難しいと思っています。そこについては僕が一番うるさいんですが、「FFXIV」に登場する過去作の要素はあくまでオマージュであり、過去作のファンがニヤッとできる、というところまでが本分であって、過去作のシリーズのキャラクターがそのまま出てくるわけではないんです。姿形は似ていて、考え方や話し方の中に過去作のキャラクターを彷彿とさせるような単語が出たとしても、あくまでもそれは、「FFXIV」の世界にいるキャラクターが、目的を持って喋っている言葉として合致させることが大事であって、その単語を言わせたいがためにストーリーを作るのは違う、ということをよく言っています。
「FF」フランチャイズの中での「FFXIV」の立ち位置として、「FFのテーマパーク」というコンセプトを立ててやっているので、色々なシリーズの各要素をお預かりしているからこそ、そこはしっかりと厳しく見ていかなくてはいけない。そうしなければ、とりあえずボスを出しておけばいいよね、とりあえずこのキャラ出しとけばいいよねとか、このセリフ言わせておけばいいよね、という風になりがちなので、そうならないように一番気を使うところです。
あとは、例えば「FFIV」であれば時田さん(編集部注:時田貴司氏。「FFIV」ゲームデザイナー)がまだ現役で社内にいらっしゃるので、時田さんにプロットを渡して確認していただいて、オリジナルとの大きな違い、「FFXIV」ならではのこういうキャラとして使わせてもらいたいと説明しました。時田さんはすごいアイデアマンなので、時には逆にアイデアをいただいたりしましたし、楽曲製作に関しても、じゃあもう改めて作詞をしようか、という形で詩を書いていただいて、最新のアレンジを一緒にさせてもらったりとか。だからこそ「FFXIV」ならではの独自性にはこだわって作るのが前提ですね。
今回の「ゼロムス討滅戦」に関しても、どうしてもバトルだけを切りとってみると、「FFIV」のバトルステージの背景を再現したくなるのですが、「この色味の意味はFFXIV側にあるのかな?」と。例えばオリジナルのバトルステージでは、青い宇宙空間のようなものが高速で流れているんですが、「FFXIV」で青いもやもやが高速で流れるというと、どうしてもエーテルをイメージすることになります。ですが、「第十三世界は、闇に飲まれてエーテルの還り先すらない世界だから、それはイメージがおかしいよね」となるのです。その作品に寄せることとオマージュはやっぱり違うんです。そこは「FFIV」に限らず、あらゆるタイトルですごく気を付けています。
ただ一方「FFXIII」や「FFXV」とのクロスオーバーの時には、逆に「FFXIII」チームや「FFXV」チームの方から、キャラクター本人がキチンと世界を超える設定にしたいと言われました。そうなのであれば、例えばですがライトニングは試練を与えられる一貫としてエオルゼアに迷いこんでいて、それを果たして戻ったあと「ライトニング リターンズ」に繋がるという形で、正史として物語の中に組み込まれていますし、ノクティスが飛ばされてくるというところもIFストーリーではなく、そういう設定にしっかりなっています。そういう場合に関しては、お互いのチームでちゃんとテキストも公式のものとして作ろうという形でやったりします。そういうケースはもちろんあるんですが、大部分はお預かりしているからこそ「FFXIV」独自の設定にちゃんとこだわったうえで、過去作をやっている方にニヤッとしてもらう。逆に過去作を知らない人がまったく置いてけぼりにならないくらいにこだわってやっています。
――プレイヤーの皆さんは本当に過去作に詳しいですよね。私も全部やりましたが、結構あいまいなところもあったり。
吉田氏:みなさんが詳しくて喜んでくださるのが嬉しいので、結果、開発チームがオマージュのラインを超えたがるんです。意識してやっているわけではないんですが、みなさんが喜んでくれるから、ついついそちらに行きたがることもあります。「ダメダメ、ここまでやってはダメ」と。それは今公開しているものもそうですし、これから作っていくものに関してもそういうところはすごく気にしています。
――オマージュとの線引きが難しいということなんですね。
吉田氏:これは僕自身が立てたコンセプトですので、プロデューサー兼ディレクターとして長くチームを率いていることもあり、どうしてもその微妙なニュアンスの物差しが属人的になりがちです。リーダーは結構分かってくれているんですが、新しいスタッフが台頭してきて、「このコンテンツは任せるよ」となったときに、モチベーションが高すぎてラインを越えてしまう。そこで、「だめだめだめ(笑)」となりやすい。一回は皆通る道みたいになっていますね。
――そんなやり取りがあって、今回の「ゼロムス討滅戦」ができているわけですね。
吉田氏:「ゼロムス討滅戦」に関しては、最初はライティングやBGがあまりにもオリジナルの「FFIV」に寄りすぎていたため、リテイクを出して久しぶりに大改修をし、まだ調整を行っている最中です。全部組みあがってはいるんですが、色使いとか、流れている空気とか、そういうものをきちんと第十三世界に落とし込むための調整をしています。
――ファンフェスで先行プレイできる「アスラ討滅戦」ですが、PLLで発表されたスケジュールにはありませんでした。当然東京ファンフェスの後にはなるのでしょうが、いつ頃実装される予定ですか?
吉田氏:ラスベガスのファンフェスで、パッチ6.5Xシリーズの予定を発表しましたが、あれが全部ではなく、実はお知らせした以外にも6.5Xとして公開するコンテンツは存在します。それらの情報については、これからのファンフェスで順番に発表させていただく予定で、その中に「アスラ討滅戦」も入っています。アスラは6.55で入れるのか、それとももう少し細かいパッチナンバーである6.57や6.58にするか、それは皆さんの状況を見ながら調整していこうと思っています。いずれにせよ当然7.0より前には遊べるようにリリースさせていただきます。
エクストラクエストはハイデリン・ゾディアーク編のもう1つの大団円
――友好部族クエストのエクストラストーリーが復活しますが、やはり要望が多かったんでしょうか?
吉田氏:はい、思っていた以上にご要望いただきました。特に「漆黒のヴィランズ」では第一世界の人気が高く、そこでのエクストラクエストを見たかったという声をすごく頂戴しました。エクストラストーリーは、いくつかある友好部族クエストをすべて乗り越えた人しか遊べないうえに、特別大きな報酬があるわけでもない、まさにエクストラなストーリーなんですが、ストーリーがメインなのでテキストと演出コストが高いのです。「FFXIV」の場合、あらゆるコンテンツにちゃんとストーリーや意味合いを持たせて作っているためで、拡張パッケージの制作が始まるタイミングでもあり、この時期はシナリオのコストを捻出するのがかなり難しいのです。
ただ、今回は皆さんのお声を拝見し、シナリオチームが1年近く前から自分たちのタスクをコントロールしてなんとか実現しました。レポリットという皆さんに愛していただいている友好部族ができたので、それぞれの友好部族クエストを繋げて回るという意味では、これも1つのハイデリン・ゾディアーク編の完結ということになるかなと。「暁月」の友好部族クエストは希望の物語でもあったので、それを改めて繋いでいくことで大団円にもなりますので、なんとか実装してあげたいという気持ちが強かったんです。
お話がメインではありますが、そのぶん良いお話になったと思っているので、ぜひプレイして欲しいです。もちろん今、前提条件がクリアできていないとしても、今からでもまだデイリーの友好部族クエストで友好度を上げておいていただければ、十分に間に合うと思いますし、楽しんでいただけます。
――オミクロンにしてもレポリットにしても、後日談的な要素が強いですし、全部やっての完結編という感じですね。報酬については毎回ダンスだったり、いいものがもらえていると思うんですが、今回も何かあるんですか?
吉田氏:もちろんお話だけではないです。ささやかではありますが、今回もしっかり用意させていただいています。
「華めく神域 タレイア」は久しぶりに4ボスが一番難しい
――次はアライアンスダンジョン「華めく神域 タレイア」について、今回はどんな場所になるのでしょうか?
吉田氏:これまで同様、神域のマップはどれも美しく、ファンタジックにというこだわりで作ってきたんですが、多分マップという意味では今回が一番完成度が高いのではないかと思います。BGオブジェクトのアニメーションとか、絵替わりとかも含めて作られています。ギミックだけがという意味ではなく、演出という意味ではおそらくこれまでのアライアンスレイドの中でも相当クオリティが高いのではないかと思っています。
ですから、マップ探索とかスクリーンショットを撮る場所としても相当映えるマップになっていると思いますので、まずはそこを楽しみにしていただければと思います。
――今回はリムレーンやサリャクなど、海をイメージさせるような神様が出るので、海をイメージさせるマップが出るかなと予想しているのですが。
吉田氏:そうですね、海というか水というか、その辺りはご期待に沿える内容になったと思います。ただ、ギミックにも生かされますので、ご注意ください(笑)。
――毎回完結編ではそこそこの難易度になっていると思いますが、今回の難易度はどのくらいなんですか?
吉田氏:今は僕の仮組チェック、バトル班を中心とした24人でのテストは終わっているんですが、コミュニティチームや宣伝チームを入れた完全初見の最終24人テストはこれからなので難易度についてのコメントは出しにくいところです……。開発チーム内で初見24人とはいえ、みんな上手くなっていっているので、最近そこの落としどころが本当に難しいんです。
――初見でも「FFXIV」のプレイに慣れていれば対処できちゃいますものね。
吉田氏:そうなんですよね。マーカーを統一していったこともあって、これがでたらひとまずこう動けばいいよねというところがありますから。僕はあまり初見殺しみたいなことは好きではないんです。とりあえず死んで覚えろみたいなのは本質じゃない気がして。零式や絶などは別なのですが、マーカーが出て、そのデバフが付いて内容を確認したうえで、もしかしたらこういうことかもという予測の上で対応できた。できなかったら、じゃあこうだねというような前へ進んでいく感覚が好きなので。そこについては、今回もどのボスもうまくまとまっているかなと思います。アライアンスレイドは毎回3ボスが一番強くて、3ボスを突破できればまあいけるかなという感じだと思うんですが、今回はいろいろあって4ボスがやや強いので頑張ってください。
――そうなんですか? 3ボスも4ボスも強いということですか?
吉田氏:うーん、2ボスもあれですが、たぶん4ボスが一番強いかなと。他のアライアンスレイドでは、「影の国 ダン・スカー」で4ボスのディアボロスが多分一番強かったですが、強さの段階という意味でちょっと近いかもしれません。
――あそこは3ボスも強かったですね。
吉田氏:「華めく神域 タレイア」に挑む前に、ぜひ今回のシリーズ第1弾、第2弾を改めてちょっと復習しておいていただければよいことがあるんじゃないかなと思います。
6.Xの間にマトシャと一緒に冒険に行くだす
――ヴァリアントダンジョン/アナザーダンジョン「アロアロ島」は、まだ「六根山」を攻略している人が多いこのタイミングで出てきたのが意外でした。実装スピードが早いですね。
吉田氏:ヴァリアントダンジョンに関しては、これからの「FFXIV」運営の中で、新しいタイプのバトルコンテンツとして長期的にいろいろなシチュエーションやロアを使っていくという目標を掲げて計画を開始しました。経験豊富な人間が集まって、「旧FFXIV」から10年経ったからこそ、技術的な工夫やテクニックも増え、その上でベースシステムを設計しています。ヴァリアントダンジョンシリーズのシステム自体が非常に開発しやすいものになっているんです。
例えば、中川誠貴(リードバトルコンテンツデザイナー)が「禁断の地 エウレカ」や「南方ボズヤ戦線」「ザトゥノル高原」を作る中で、特定のエリアでのみ使えるコンテンツアクションをすごくしっかりと整備してくれたことが、ヴァリアントダンジョンに活かせていたりとか。ただ、第3弾の企画自体に承認を出したのはもう1年も前なのです。第2弾と第3弾をまとめて企画の精査をしていたので。
――そんなに昔から作っていたんですか。
吉田氏:メジャーアップデートにおける各パッチの内容で、大きなものは拡張パッケージがリリースされた直後タイミングで概ね決めるため、2年くらい前にここで第3弾を出すことは決まっていました。マップの設計やリソースの発注などは、第2弾を作っている時にはもう第3弾のものも発注されていたので、僕たちとすれば計画通りの進行です。もちろん、チームや担当者たちが、綺麗にタスクコントロールしてくれているからこそ成立していることでもあります。だから今後も毎パッチ出せるというわけではないですが、新大陸に行ったあとで「マトシャだす」となるよりは、やはり今のタイミングのほうが断然いい(笑)。今「六根山」をプレイされているなら、ゆっくりでも全然かまいませんので、手の空いたタイミングで、ぜひ。またいろいろ凝っていて、面白く仕上がっています。ストーリーはあまり言えないんですが、一部の伏線回収に係わるものもあります。
――またマトシャと一緒に冒険するというだけで楽しみですね。不思議な人気のあるキャラですね。今後はどういったタイミングでの実装になるんですか?
吉田氏:毎パッチではないですが、タイミングに合わせて出していきます。例えばディープダンジョンとの兼ね合いで、次回は3パッチ開きますということもあるかもしれないですが、頻度としてはそれほどお待たせしないと思います。
――ヴァリアントダンジョンは1人でもプレイできる手軽さがありますし、かなり人気はあるんでしょうか?
吉田氏:そうですね。データを拝見しても、本当にたくさんの方に遊んでいただいています。1人でコツコツとストーリーを追いながらやっている方もすごく多いですが、2人のデュオパーティもすごく多いです。これまで2人で行けるものって意外となかったので。あとは身内でワイワイ遊ぶというのもそうですし。難易度の高い零式については、報酬がちょっと弱いので、もう少し欲しいという声があるのは把握しています。第3弾ではテストケース的にではありますが、もう少し零式側の報酬を強化できないかと、今ギリギリで仕込もうとしています。ちょっと特殊な対応ではありますが、またそれについてもフィードバックを頂ければと思います。
クリスタルコンフリクトをBOTと練習できる初心者コンテンツが欲しい!
――次はクリスタルコンフリクトについて、まずは新規マップが出ますが、今回のマップのコンセプトや特徴などを教えてください。
吉田氏:コンセプトとしては絵替わりと戦局の変化というところです。ギミックのないマップとしてはもうパライストラが1つの完成形としてありますから、今回もやはりギミックで戦局をどう変えるか、それによってどう変わるかというところに注力して、これまでのギミックとはまた一味違うものを作ることがテーマになっています。それがどういったギミックなのかということについてはまだ調整中なので、今言ってしまうとPvP勢の皆さんをざわつかせてしまいます。今月いっぱいまでゴリゴリと最終調整する予定です。ギミックの頻度やギミックによる行動阻害とか、受けるダメージみたいなものは本当に慎重に決めなければならないので、今はこれ以上のコメントは控えさせてください。
――クリスタルコンフリクトは、分かってくると楽しいんですが、全くの初心者がいきなり人相手のマッチングには入りづらいのではないかと思うんです。例えばまずはNPCを相手に練習をできるようなモードがあると、もっと初心者でも挑戦しやすいのではないかと思いますが、そういった仕組みが入る予定はありませんか?
吉田氏:うーん……NPCとの模擬対戦というのは、それほど簡単には作れないのです……塩梅がとても難しい。ゲームデザインがFPSだったらまだやり方はあるのですが、いや、う~ん、できるのかなあ……でも、近接戦闘がベースだから……うー。
――難しいものなんですか?
吉田氏:今頭の中で必要な処理やTipsを仮組みして、何となくイメージを立ててみていますし、過去にももちろん検討はしているのですが、まったく簡単ではないですね。初心者の館程度であればガンビットガチ組みで作れると思うんですが、模擬戦みたいなものはかなり難しいと思うんですよね。
――わかってくると楽しくなるんですが、初心者ってわけもわからずボコられると、それでもういいやってなりがちかなと思うんです。
吉田氏:そうですよね。それはわかるんですが……仮にですが、NPCとただ単純な殴り合いをしたとして、理解は進みそうですか?
――このスキルをこうしてこうすればいいんだと思っても、私みたいにへたくそだと前にでるだけで死んでしまうんです。
吉田氏:でも、そのこれをこうして、って、実践以外で試すのは難しくないですか? 僕が考えすぎなのかもしれないですが、基本の攻撃や動作、アクションの内容は、アクションに書いてある説明と木人があれば、それは全部できる気がするんです。そこはPvEでも同じだと思っていて。ただ防御を使うとか、快気とか、防御面は確かにPvEとは違う完全独自システムなので、そういうところは確かにと思うんです。ただ、複数のプレイヤーにターゲットを合わせてバーストされると、一瞬で倒れてしまうとか、そういうところは模擬戦では伝わらないのかなと。動いているNPCがいると、それが分かるのかな……止まっている木人のほうが殴りやすいし、方向指定があるわけではないし、だからもし作ろうと思ったら、よりすごいものを作らないと、今おっしゃっていることを達成できないんじゃないと思うんです。……それがあればやるのかなあ。んー、でも、そうか、練習したい。練習したい、なのかしら。いや、良い機会をありがとうございます、もう一歩考えてみます。
――FPSのゲームなんかでは最初はBOT相手に延々と練習できるようなモードがあるじゃないですか。これくらいやればいけるかなというところまでいけば対人でもできるかな、とか。
吉田氏:はい、それはわかるんです。先ほどもお話した通り、FPSなら作れるイメージがあります。でもそういうのはPvPをメインにしているゲームです。僕らもそこまでコストをかけていいなら、やりたいのはやりたいんですが……。そうですね。もう一段考えてみます。確かにそう言ってくださる方はとても多いんです。「クリコンはわかればほんとにおもしろいのに、やらないのは本当にもったない」というフィードバックをいただいているので、もう少し踏み込んで考えてみます。
ゴールドソーサーの「フォールガイズ」も複数マップのサバイバル
――次は、「フォールガイズ」とのコラボについてですが、「フォールガイズ」はいくつかのステージを連戦して勝者を決めるようなシステムですが、ゴールドソーサーに入るものはどのようなシステムになるのですか? 今回発表されているのは、レース系のステージでしたが、ほかにも種類はあるんでしょうか?
吉田氏:当然ですが、複数のマップがあってだんだんと人が減っていくというところは再現させていただいています。「フォールガイズ」にある、制限時間内にひたすら落ちないようにするステージもあります。基本ルールは「フォールガイズ」にのっとってやらせてもらっています。ただ、当たり判定を入れていないので、他のプレイヤーを掴むことはできません。当たり判定による試合の妨害も「フォールガイズ」の面白さだとは思うんですが、「FFXIV」でそれを入れると喧嘩になっちゃうと思うので、そこはあくまで「FFXIV」のルール内で、「FFXIV」ならではの「フォールガイズ」という形で作っています。
――なるほど、相手を掴んだりはできないんですね。
吉田氏:その代わり「FFXIV」でもおなじみのギミックもたくさん出てくるので、「FFXIV」のギミック練習にもなりますね。特定の床を踏むといきなり加速度爆弾がついたりとか、落ちたりするので。「フォールガイズ」をそのまま作っても、それなら「フォールガイズ」で遊べばいいじゃないかということになるので、エッセンスの面白さを感じてもらい、両方のゲームのプレイヤーが行き来してくれるといいなと考えています。
――「フォールガイズ」の方には、アルフィノとアリゼーが出ていますが、あの2人にしようと決めたのは「FFXIV」の開発側なんですか?
吉田氏:「フォールガイズ」の開発チームの皆さんにも光の戦士の方が多くて、ぜひアルフィノとアリゼーをと向こうからリクエストをいただきました。宣伝チームが間を取り持って、監修の取り回しなどをしてくれたんですが、宣伝チーム側からも向こうに「もっとこういうかわいいキャラのほうが映えるんじゃないですか」とか「このキャラはフォールガイズに出すにはデザインが難しすぎるから変えたほうがいいのでは」と相当頑張ってくれました。先方も相当気合を入れてくださって、告知のムービーもそうですし、ディティールも最後までこだわって作っていただいたので、素晴らしい内容になっています。ぜひ遊んでみてください。
――最近「FFXVI」をプレイして面白かったので「FFXIV」もやってみるという形で、配信をしている方を見かけます。
吉田氏:そうですね、「FFXVI」が気に入ったので、「FFXIV」が気になって仕方ないという方もお見掛けしますし、ファンフェスがあると勢いはがーっと上がるんですが、それを含めても数字が上がってきています。今はファンフェスもあるし、拡張もあって結構熱い時期でもあるし、ハイデリン・ゾディアーク編が完結してまとまりのいい時期でもありますので、始めてもらうにはうってつけだと思っています。
「FFXIV」をやっていたから「FFXVI」をやったという人も、「FFXVI」から「FFXIV」に来た人もすごく多いので、どちらも楽しんでもらえると嬉しいです。
――先ほど「FFXIII」や「FFXV」とのコラボについてのお話がありましたが、「FFXVI」とのコラボでも、やはりクライヴが「FFXIV」の世界にやってくることになるんでしょうか?
吉田氏:もし何かやるとしたら、クライヴが登場しない「FFXVI」コラボはあり得ないんじゃないかな、やはり「FFXVI」はクライヴの物語でもありますから。
――早く「FFXIV」の世界で会いたいですね。
吉田氏:モデリングを寄せるのは大変なんです……。実際、シェーダーから何から違いすぎるので。ノクティスの時にはまだプレイステーション 4だからなんとかなったんですが。
――確かにせっかく来たのに別人だったとなると残念ですね。
吉田氏:そうならないようにするためにも結構大変なんです。
――まもなく「新生FFXIV」から10周年を迎えます。ファンに向けてメッセージをお願いします。
吉田氏:世界中のコロナパンデミックを乗り越えて、もちろん無くなったたわけではありませんが、それでもようやくファンフェスを物理開催できるところまで戻ってくることができて、北米での最初のファンフェスも終わって一息ついて、今はさらに次に向かうぞというところです。このエンジン全開になっている状態で、10周年という節目を迎えることができたのは、世界中のプレイヤーの皆さんが支えてくださったおかげです。それと開発チーム、コミュニティチーム、マーケティングチーム、PRというすべてのチームがまっすぐにプレイヤーのために、1人でも多くの人に遊んでもらうためにと思って頑張ってきたことがここに集結しているなあと思っています。
「FFXIV」が長くやってきたからこそ、みんなで情熱をかけてきたからこそのパワーみたいなものを、次の拡張に向けても感じてもらえると嬉しいです。ゲーム内だけではなく、「新生FFXIV」10周年ということで、様々なリアルイベントや施策も動いています。まだ未発表のものもありますので、ゲームの内外を問わず、全部ひっくるめて「FFXIV」だということを体感していただけると思います。ファンフェスまでの流れも含めて、全開で楽しんでいただけると嬉しいです。
それと、今年は久しぶりに東京ゲームショーに「FFXIV」を出展しようかという話をしています。僕も久しぶりに行って、皆さんとお話をする機会が作れたらなと思っています。ファンフェスだけではなく、色々な機会でプレイヤーの皆さんのお声を聴きながら、ゲームをさらにいいものにしていければと思います。これからも楽しんでいただきたいですし、これからもよろしくお願いします。
――ありがとうございました!
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