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「FFXIV」ファンフェスラスベガスはまさに「FFXIV」のテーマパーク
ファンと運営が一体で作る濃密空間には驚きと発見が満ちていた
2023年7月29日 19:55
- 【ファンフェスティバル 2023 in ラスベガス】
- 7月28日、29日(現地時間)
- ラスベガス・コンベンション・センター
「ファイナルファンタジーXIV」のファンフェス第1弾「ファンフェスティバル in ラスベガス」がいよいよスタートした。冒頭の基調講演では、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏より、新拡張パッケージ「黄金のレガシー」の発表をはじめ、「フォールガイズ」とのクロスコラボやXbox Series XXbox One版の発売決定など大きな発表があった。発表内容の詳細は別のレポートを参照してほしい。この記事では4年ぶりのリアル会場から、会場の雰囲気やリアル開催ならではの賑わいをお伝えしたい。
周りはみんなファン。みんながブドウで笑顔になる
いよいよファンフェス1日目の当日。筆者が9時に会場に到着すると、ちょうどセキュリティチェックを終えた行列が入場を始めたところだった。どこかの夏のイベントを思い出す大行列は、粛々と会場に飲み込まれていく。
今回のファンフェスでは事前に専用アプリが配布されていた。イベントスケジュールや会場のマップなどはこのアプリで確認できる。お目当てのイベントをプッシュ通信で知らせてくれるリマインダー機能や、マイスケジュールの作成機能もある。またバトルチャレンジの予約や、QRコードを使ったスタンプラリーもあり、このアプリとスマホがあれば、後は手ぶらでも楽しめる。
前日の登録日に引き続き、今日も朝からばっちりコスプレで参加している人が多い。耳をつけるだけのお手軽コスプレが可能なミコッテは大量にいるが、それと同じくらい多かったのが古代人だ。こちらもばさっと羽織ってマスクを付けるだけのお手軽さで、タイムリープしたかなと思うくらい多かった。
暁の血盟では、なぜか圧倒的なウリエンジェ率で、グラ・ハと双璧を作っていた。ほかにもヒルディとゴッドベルト、エレンヴィルやゼノス、ヒエンにユルス、ヨツユとアサヒにハイデリン、終焉を謳うもの、アテナ様やまだ登場して日が浅い旅装束のハンコックさんも見かけた。あれ、この人誰だっけと名前が思い出せないようなNPCもいて、ディープな熱量を感じた。今回何かと話題のブドウも4人ほど見かけた。
シャーレアン、ラザハンやパンデモニウムなど「暁月」エリアが出現
広大な会場には、メインステージと、アクティビティが集まるエリア、小さなスナックスタンドが並ぶ飲食コーナーがある。メインステージの奥には「アスラ」の先行プレイができるバトルチャレンジのコーナー。そのさらに奥には物販のコーナーが作られていた。
アクティビティエリアは、ゲーム内のエリアをイメージした6つのエリアに分かれている。エリアはそれぞれ、無人島、ラザハン、オールドシャーレアン、ホーパーズ・ホールド、パンデモニウムと「暁月のフィナーレ」を横断するようなラインナップ。どのブースもそれぞれのコンテンツのエッセンスを凝縮した映える作りになっている。
無人島エリアには、畑を荒らすパイッサを足で捕まえる対戦型のゲーム「Bumper Crop Paissa Feeding Frenzy」。飢えたパイッサからカボチャを守るというルールで、2人のプレイヤーがコートに対面して立つと足元に足の動きを追尾して動くリングが現れる。このリングでパイッサをはじき返すテニスゲームのようなゲームだ。
もう1つのアクティビティ「Pick'n Ship Relay」は、1チーム4人で4チームが競争するゲーム。Farmerがミニオンを牧草ボードに投げいれる傍ら、Foragerが箱に詰まったボールの中から作物を探しだす。Islekeepはその中から指定された作物をピックアップしてバスケットに入れる。最後にTaskmasterがバスケットに入れた作物を指定のバケツに入れる。これを全員でスタートして、一番早く全てのタスクを終了したチームが勝利となる。
ラザハンには、エスニックな雰囲気の休憩所と2つのアクティビティがあった。休憩所は、ペルシア絨毯風のマットが敷かれ、天井にはラザハンの青空が円形に描かれている。
アクティビティ1つめは「Magic Mirror」。正面に立って手をかざすと、装備画面のようなアイコンが並ぶ画面になる。アイコンには傘や羽などのファッションアイテム、ミニオンやモーグリ、ナマズオなどが描かれていて、そこに手をかざすと鏡に映った自分に装備される。例えばブルーバードなら鳴きながら自分の周囲を飛び回るし、ロンカの水蛇?は頭に乗っかる。傘は差すと上からパイッサなどが降ってくる。遊んでいる様子は動画として保存され、横にあるタブレットから共有したり、自分のデバイスに送ることができる。
もう1つは360度動画を撮影してくれる「360 Realm Cam」。こちらは天幕で覆われた中での撮影なので、外からでは何をしているのか見ることができない。しかし、ラスベガスの道で営業している同様のサービスを何度か見かけたので、今このあたりで流行っているアクティビティのかもしれない。
オールドシャーレアンにも3つのコンテンツがある。1つは「ヌーメノン大書院」で記念撮影ができる「Tome-Nado」
残りは、リムレーンの像を望む湾口では、小舟にのっての記念撮影と、釣りゲーム「Forbidden Tacke Fishing」。釣りゲームは、単に魚を釣るというだけではなく、自分が立った場所に描かれた目的の獲物を釣りあげる必要がある。釣り竿の先についた磁石で魚を持ち上げ、裏側に印刷されたイラストを見て正解を探す。自分の獲物を人が釣ってしまう可能性があるところが、実際の釣りっぽくできている。
オールドシャーレアンの隣には、ホーパーズ・ホールドがある。こちらはゲーム内そのままのアゲアゲなダンスフロアになっている。たまにレポリットの被り物をしたスタッフが来て、周囲の人をダンスに誘うと、どっとフロアに人がなだれ込み、紳士の舞から本格的なワルツまで思い思いにダンスを楽しんでいた。
会場内でも屈指のアゲアゲポイントの横には、まがまがしい鎖でつながれたパンデモニウムがある。入り口には、おなじみの蛇の彫像。中にはいつも揺れているあの檻がぶら下がっている。ここで遊べるのは「Boss Battle」と「Raid Ready Check」というレイド風アクティビティ。
「Boss Battle」は、奥の壁に描かれた原寸大っぽいサイズのプロトカーバンクルに向かって、タンク、ヒーラー、DPSの色をした球を投げて制限時間内にすべての的を倒す玉入れゲーム。「Raid Ready Check」は、壁に配置されたスイッチを光に合わせて押す全身を使う反射ゲーム。プロトカーバンクルに夢中で玉を投げる姿は、運動会を思わせた。また、パンデモニウムの外の壁が一部壊れて、エルピスが垣間見えていた。
リアルグリーナーからクエストを受注するアクティビティ。しかし大人気過ぎてゲーム内と同じ状況に
また、今回特に面白いと思ったアクティビティが、グリーナーから受けることができるサブクエストだ。会場の6カ所にクエストマークがついた柱が置いてあり、その下にはグリーナーが待っている。映像や立て看板ではなく、コスプレをしたリアルな人間だ。彼らがゲーム内と同じノリでクエストをくれる。
アクティビティがスタートしてしばらくは、群がる人の壁に埋もれてグリーナーは全く見えず、パッチ直後のNPCに群がる光の戦士をこれ以上ないほどリアルに再現しているその光景に思わずくすっとしてしまった。
アプリやIT機器を駆使してデジタルの強みを活用しながら、ココ一番の場所ではとことんアナログにこだわる。その絶妙なバランスが楽しさを生んで、なんだか「FFXIV」をモチーフにしたテーマパークに来たような錯覚さえ覚える。さすがは、自由の女神と凱旋門とエッフェル塔と、ベニスのゴンドラが同居している街で開催されるファンフェスということだろうか。
アメリカのオタク界隈ではトレーディングステッカーが大流行中の模様
会場内のメッセージボードは、会場にきた参加者が自由にメッセージを書ける寄せ書き用のボードで、ファンフェスではおなじみだ。今回ちょっとした変化に気づいた。ボードにメッセージに混じって、たくさんの自作ステッカーが貼られていた。
さらにこのメッセージボード近辺は、自作ファンアートステッカーのトレーディング場所になっていた。結構な数の参加者が、自作のステッカーやポストカードなどを持参しており、それを次々に交換していた。中には自作したエルピスの花やジョブアイコンのカードを持参している人もいて、この近辺だけコミケっぽい雰囲気が漂っていた。
コロナ禍の間、配信されている日本のアニメが人気を博し、今や若い人にはアメコミよりも日本の漫画のほうが人気が出てきているというニュースを耳にするが、実際に自作ステッカーのタッチを見ると如実に日本のアニメや漫画の影響を感じた。
メイン会場から階段を上った先には、アメリカ発で日本でも人気のあるゆるい猫キャラ「プシーン」とコラボした休憩室が作られていた。恥ずかしながら、筆者はプシーンを今回のコラボまで日本初のキャラだと思い込んでいた。かわいいジョブのコラボイラストは、ぜひ日本でも展開して欲しいと思った。
開発チーム、イベントスタッフと来場者が全員で作り上げるお祭り
午前中が終了し、午後のステージイベントが始まる時間になると、少し眠気がでてきたのか、会場のあちこちで熟睡している人を見かけた。イベントは夜まで続くので小休止といったところだろう。
アメリカのコンベンションセンターには、廊下のあちこちに充電用のコンセントがあり、自由にパソコンやスマホを充電してもいい。充電しながら廊下に座って食事をしたり、雑談をするのはどこでも見かける光景だ。日本のファンイベントは椅子に座ってステージを見るタイプのものが多いが、アメリカのファンフェスはステージイベントの最中でもほかにやりたいことがあればそっちをやればいいし、疲れているなら寝てもいい。お目当てのステージが始まればまた椅子に座って見ればいいという緩さがある。
新拡張パッケージなどの最新情報が注目されがちだが、実際にはアクティビティで遊んだり、食事をしたり、ステッカーを交換したり、寝たり、物販に並んで大量のグッズを買い込んだり、コスプレをしたり、コスプレを撮影して回ったりと、ゲーム内と同様にそれぞれの人がやりたいことをして過ごしている。開発チーム、プレイヤーやもちろん我々メディアも含めて、「FFXIV」という世界を形作る、普段は別々の場所にいる人々が一カ所に集い、時間を空間を共有するということが何よりの楽しみなのだ。
ステージ前にはコスプレショーあたりから人が増え始め、ピアノコンサートが始まるころにはあれほど広かった会場に人が充満した。KeikoさんのコンサートではボーカリストのAmanda Achenさんがピアノの伴奏に合わせて「目覚めの御使い ~ティターニア討滅戦~」や、「輝ける神域アグライア」のボス曲「命の天秤」や、「喜びの神域エウプロシュネ」のラスボス曲「月満ちる夜」などをが、よく響くソプラノボイスで歌い上げた。アンコール曲「flow」が終わると会場全員が総立ちで拍手を送った。
まだまだ初日が終わっただけだが、濃厚な一日だった。イベント終了後には、吉田氏によるメディアカンファレンスが行なわれた。なかなか重要な情報も飛び出したので、ぜひそちらの記事もお待ちいただきたい。
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