インタビュー

【BlizzConline】「Diablo II」待望のリマスター「Diablo II: Resurrected」インタビュー

20年前の「Diablo II」レビュアーが知りたいことをアレコレ突っ込んで聞いてみた

【Diablo II: Resurrected】

2021年リリース予定

価格:5,280円(税込)

 BlizzardがBlizzConの代わりに実施しているオンラインイベント「BlizzConline」でサプライズ発表された「Diablo II: Resurrected(ディアブロ II リザレクテッド)」。筆者も20年前にレビューを担当した人間として、土曜の朝から血湧き肉躍る感覚を味わった。

 Blizzardもご多分に漏れず、他のゲームメーカーと同様に、新作の開発期間が長期化しており、その間の売上を確保するために、リマスタープロジェクトに乗り出している。2017年に「Starcraft」のリマスター「StarCraft: Remastered」、2019年にこれは厳密にはリマスターではないが「World of Warcraft Classic」、2020年に「Warcraft III」のリマスター「Warcraft III:Reforged」。その意味では残るタマは「Diablo」だけであり、発表は時間の問題だったと言える。

 ちなみに筆者はこれまでのBlizzardのリマスター作品は、メディアとしてプレイはしたが、プライベートでガッツリやるところまでは到らなかった。日本語化されなかった以前に、当時存在したコミュニティは雲散霧消してしまっており、RTSやMMORPGは1人で遊んでもそのおもしろさは限定的にならざるを得ないからだ。

 しかし、「Diablo II」は、シングルプレイとマルチプレイの垣根がなく、1人で複数人でも楽しい、当時としては画期的なオンラインRPGだったため、「Diablo II: Resurrected」は遊び込んでみようかと思っている。BlizzConでは、開発陣にインタビューする機会があったため、メディアというより、往年のファンとしてアレコレ質問を重ねてみたので購入の参考にして頂ければ幸いだ。リリースは2021年予定で、価格は5,280円(税込)より。公式サイトは予約もスタートしている。

【インタビュイー】
「Diablo II: Resurrected」ゲームデザイナーのAndre Abrahamian氏
「Diablo II: Resurrected」アートリードのChris Amaral氏

【DiabloR II: Resurrected ? Announce Trailer】

オリジナル版の再現に注力

――なぜ今回「Diablo II」だったのか? 企画経緯を教えて欲しい。

「Diablo I」はGoG.comで遊べるので、遊ぶ機会はすでに提供されている。「Diablo II」は20周年を迎え、Blizzardとしても30周年ということで、それに合わせたというところもあるし、アクションRPGのジャンルを確立した名誉あるゲームをリマスターさせるには今が良いチャンスだと思った。現在開発している「Diablo immortal」や「Diablo IV」とも繋がりがあり、他のゲームにも多くの影響を与えたゲームなので我々としても想い出があるし、現在のゲーマー達にも受け容れられるような作品だと思う。我々として今回リメイクを発表できたことを誇りに思っている。

――開発はどのチームが担当しているのか?

「Diablo」はそれぞれ独立したチームで開発を進めている。ただ、「Diablo」の傘下にあるので、チーム間でのコミュニケーションはとっている。

――リマスターにおける取捨選択はどのようなものか?

デザイン的には、楽しさをそのままに、2001年当時のゲームにあったようなちょっとしたクセもそのまま残した。「Diablo II」ユーザーが覚えていることは変えたくなかったので、当時のゲームプレイをそのまま残した。ただ、今回はコンソールへの移植で、PCとコンソールでクロスプログレッションに対応させたりしたので、許される範囲で変えた部分もある。たとえば、アイテム収納箱はキャラ間で共有が可能になっている。これは当時から欲しいという意見があって、キャラクター間で装備を回すのに工夫していた。あとはゴールドを自動的に拾うオプションも付けた。不要な場合はオフにもできる。

アート的にも懐かしさは残しつつ、当時思っていた感情を揺さぶるようなものを求めた。70%昔、30%新しいという割合を基本に、当時のトーンは忠実に再現するために、オリジナルデザインをそのまま使って、あまり買えないようにした。たとえば、バーバリアンは、オリジナルを活かしながら、大きな肩当て、胸に大きな円を付け、ケルトやスロベニアの雰囲気を取り入れたデザインに一新した。ただい、ゲーム体験としてはまったく同じ。我々は、昔のオリジナルのスクリーンショットをとり、それをトレーシングして昔の2Dのゲームを3Dにした。いわば、元のエンジンを、3Dで上乗せする感じにして、その上で問題が出ないように頑張った。

――「Diablo II」はデスペナルティが強烈だったが、こういった部分はどうなる?

(笑)。今回は、新しい体験と言うより、昔の体験を忠実に再現することを目的に開発しているので、そこは変えていない。昔のゲームは難しかった。当時の攻略本がそのまま活用できると思う。(難しいままで)ごめんね(笑)。

――「Diablo II: Resurrected」はアップデート計画、サービスの継続はどうなるのか? ラダーの入れ替わり、季節イベント等はあるのか?

良い質問。まず、オリジナル版「Diablo II」のサービスは今後もそのまま継続するし、シャットダウンは今後もしない。その上で「Diablo II: Resurrected」は、当時のバランスのまま提供することに注力している作品なので、それ以上のことを足すことはない。

――BlizzConlineの開発者パネルでBlizzard North時代の資料が披露されたがカッコ良かった。ゲーム内に資料を見られるようなギャラリーは用意しないのか、ないなら付けて欲しい(笑)。

(笑)。ギャラリーはいまのところない。資料を見つけていつも楽しみにしている。当時のファイルを見つけて、使えるじゃないかとワクワクするし、各アイテムのルーンを見つけた時はやったと思った。できるだけ忠実に再現したいので、元のファイルを見つけた時は嬉しい。我々としてもギャラリーは作りたいが約束はできない(笑)。

――今回ゲームエンジンのみならずネットコードも作り直しだと思うが、ラグやロールバックはどの程度改善されたのか? どれぐらい快適に遊べるか?

当然、今のBattle.netのゲームになるので、セキュリティやネットコードなど、ネットワーク周りのクオリティの向上は期待して良い。詳細については話できないが、アイテムデュプなどのチートもできるだけ抑えたいと思っている。

――公式でMODに対応すると発表したが、詳細について教えて欲しい。

MODはサポートしたい。当時の「Diablo II」にもMODはあったし、コミュニティが頑張ってくれることは嬉しい。今回のリマスターについては、当時ができたことがすべてできるとはいえない。なぜなら多くのデータが変わっているから。でも、色んな要素が使いやすくなるので、MOD自体はしやすくなると思う。今回はコンソールとPCの間でクロスプログレッションとしてゲームの進行1つにまとめられ、PCとコンソールを行ったり来たり出来るが、その際のMODはどうするのかはまだ決まっていないので話せない。

――クロスプログレッションは、レベル、アイテムは引き継げる。ハード間で操作は違うと思うが、オプションはどれぐらい違うのか?

良い質問、プラットフォーム間でキャラクターデータを行き来できることは発表しているが、それ以外の設定については、まだあまりわからないので後日お伝えしたい。スキルのキーバインドについては、コントローラーとマウス/キーボード用は別々に各キャラクターに用意している

――コントローラーサポートについて、コントローラーで操作する際の救済措置は何かあるか?

今回はゲームを忠実に再現することと、全プラットフォームで進行具合を共通化したいと考えているので、そういう追加要素は考えていない。ただ、コントローラーで遊んでいても、うまく操作できるように努めているし、コントローラーでもマウス/キーボードと同じように遊べるように設計している。

――クロスプラットフォームプレイはできるのか?

できない。クロスプログレッションとクロスプレイは別物。ただし、リーダーボードやラダーは、全プラットフォームで統一している。それを通じて、プラットフォーム間で垣根をわけていきたい。

――プラットフォームによってマルチプレイの違いはあるか?

基本的に同じゲーム体験を提供する。ただし、プラットフォームによって性能が異なるので、表示できるモデル数に変化はあったりすうが、すべてのプラットフォームが似たようなゲームプレイが可能なようにしている。

――Switch版「Diablo III」にあったような画面分割のマルチプレイはできるのか?

そういうローカルCO-OPは、「Diablo II」の精神からちょっと離れているので、今のところローカルマルチプレイ実装するその予定はない。

――今回オリジナル版のプレイも可能と言うことだが、どういうデータなのか?

オリジナル版はあの当時のオリジナルを使っている。すべてそのまま。

――ローカライズについて、オリジナルに忠実にということだが、当時のカプコン版の日本語データを使うのか?

まずオリジナル版のデータはそのままで、リマスター版では新しい言語も追加される。リマスターはその言語になるが、オリジナルは英語になる。

日本担当者: 今回のリザレクテッドは、ボイスも字幕も日本語に対応するべく制作を進めているが、オリジナル版がどうなるかについてはローカライズチームに確認して追って情報をお伝えしたい。

――2人の好きなクラスとプレイスタイルを教えて欲しい

アンドレ: 1つ選ぶのは難しいが、今のところはドルイド。ウェアウルフやチャームなどのグラフィックスも再現されていて、ストーリーとして良い具合になっている。白兵戦が好きだが、たまには遠隔も遊びたい。

クリス: 俺が言いたいことを全部言った(笑)。あとはペットが好きなのでネクロマンサーかな。

――サウンドは7.1ch対応と言うことだが、新しいサウンドも入っているのか?

サウンドも、オリジナル版のサウンドをベースに、それを7.1chに拡張している。そのほか、歩いている時に足音がこだましたり、水滴がしたたったり、自分の装備がかちゃかちゃいったりといった環境音は新たに足している。

――次世代機サポートについてDualSenseをサポートする計画はあるのか?

今回は、前世代機、現世代機両方をサポートするが、次世代機の詳細はまだ伝えられない。