インタビュー

【BlizzConline】「ハースストーン」新拡張版「荒ぶる大地の強者たち」インタビュー

クラシックであの伝説のカードが復活! マーセナリーズの実装時期についての言及も

2月21日収録

 BlizzardがBlizzConの代わりに実施しているオンラインイベント「BlizzConline」では、「ハースストーン」の新年度が「グリフォン年」になることが発表され、新ゲームモード「マーセナリーズ」の追加や「基本」セットに代わる「コアセット」、2014年の「ハースストーン」登場時の環境で遊べる「クラシックフォーマット」の導入など、さまざまな強化点が明らかにされた。また、今春発売予定の新拡張版「荒ぶる大地の強者たち」についての情報も公開された。

 「ハースストーン」開発陣にインタビューをする機会を得たので、その内容を紹介する。

【インタビュイー】
「ハースストーン」シニア・ゲームデザイナーのチャド・ナーヴィグ氏
「ハースストーン」リード・ゲームデザイナーのディーン・アヤラ氏

1年を通して冒険者がヒーローに成長していく行程を描く

――グリフォン年の幕開けとなる新拡張版「荒ぶる大地の強者たち」の魅力について教えてください。

チャド氏: 今回の拡張にはとても期待しています。1年を通して、冒険者がヒーローに成長していくという行程をずっと描きたかったので、今回はまず最初に冒険者が、冒険を始め、レベルを上げどんどんと強くなっていく行程をお見せしたいと思います。

 アゼロス世界ではアライアンスとホードの二大陣営に分かれていますが、今回はホードのほうにスポットライトをあてているので、大荒野「Barrens」はすごくよいスタート地点になります。なぜかというと、Barrensはオークとトロールとトーレンの各種族が初めて一堂に集った場所だからです。

――「荒ぶる大地の強者たち」の開発で一番苦労した点は何でしょうか?

チャド氏: やはり難しかったところは、プレーヤーに自分が進歩しているというか、レベルが上がっていくという感覚を与えることです。やはり最初は低レベルの新しい冒険者としての感覚を残しつつ、それが弱いとか、つまらないとか思わせたくないというところが難しかったです。まだ若くて、あまりすごいことはできないかもしれないけど、プレーヤーが強く感情移入して興奮できるようになりつつ、「まだまだだ!」という感じを出したかったのですが、難しかったです。

 この冒険者たちはレジェンダリーのミニオンになりますし、呪文にもランクを付けて、5マナになったらこの呪文が強くなって、10マナになったらもっと強くなるって、World of Warcraftでも、自分がレベルが上がると呪文のランクが上がり呪文が強くなって、自分が強くなったと実感できるので、それを「ハースストーン」でも反映したかったのです。

【ランク付き呪文】
ランク付き呪文「電電連鎖」ランク1では、ミニオン1体とランダムな隣接するミニオン1体に2ダメージを与える
マナクリスタルが5個以上になるとランク2になり、ミニオン1体とランダムな隣接するミニオン1体に3ダメージを与える
マナクリスタルが10個以上になるとランク3になり、ミニオン1体とランダムな隣接するミニオン1体に4ダメージを与える

――「荒ぶる大地の強者たち」のリリースはいつになるのでしょうか? 去年の「灰に舞う降魔の狩人」と同じ4月でしょうか?

チャド氏: やはり詳細は言えないのですが、4カ月に1回という拡張版登場のスケジュールをなるべく維持したいので、いついつが発売日だとは言えないのですが、4月あたりになると思います。

――グリフォン年では、新しいゲームモードとして「マーセナリーズ」が追加されますが、マーセナリーズの特徴や魅力について教えてください。

チャド氏: マーセナリーズは、とても皆さんにプレイしていただきたい新しいモードです。ストラテジーRPGという感じで、それにローグライクな要素を入れて、新しいキャラクターや皆さんご存じのハースストーンや「World of Warcraft」のキャラクターからチームを作り上げ、彼らのレベルを上げ、新しいアビリティを獲得し、装備を新調し、新しいスキルを覚えさせ、色々と進化・成長させて、ランダムに生成されるマップの中で新しい挑戦を強いられる感じなので、何度も繰り返し楽しく遊ぶことができます。さらに、一人用の「PvE」モードと対人用の「PvP」モードが用意されています。

【マーセナリーズ】
新ゲームモード「マーセナリーズ」のイメージビジュアル。たくさんのお馴染みのキャラクターたちからお気に入りのキャラクターを雇ってチームを結成する
マーセナリーズのマップ。ローグのようにマップは毎回ランダムで生成されるので、繰り返し遊んでも飽きずに遊べる

――「マーセナリーズ」ではどんなプレーヤーを対象としているのでしょうか?

チャド氏: 特に決まったターゲットはありません。ターゲットは皆さんということで、やはり新しいコンテンツや新しいゲームモードを発表すると、ほとんどの既存プレーヤーがそのモードを気に入るかどうか、しばらく遊んでみて自分で決めてくれますし、新しいモードが出るとやっぱり、その都度新規のプレーヤーが入ってきます。例えば、「バトルグラウンド」のときは、普通の構築モードとはかなり違うゲームプレイなので、かなりたくさんの新規プレーヤーが入ってきました。それと同じように「マーセナリーズ」が実装されたときに新しい人が入ってくるのを期待しています。

――グリフォン年のロードマップが公開されていますが、それによると「マーセナリーズ」はフェイズに含まれています。昨日の基調講演では今年後半になると言っていましたが、実際はフェイズ1ではなく、フェイズ2、つまり「荒ぶる大地の強者たち」の次の拡張版で実装されるのでしょうか? それとも「荒ぶる大地の強者たち」とその次版の拡張の間のタイミングで実装されるのでしょうか?

【グリフォン年のロードマップ】
グリフォン年のロードマップ。3つのフェーズで進化していく
フェイズ1に、「マーセナリーズ」が入っている

チャド氏: こちらはまだフェイズ1での実装を目指していますので、拡張版のローンチ直後ではありませんが、一応フェイズ1以内には実装する予定です。追々詳細は明らかになると思います。

――基調講演だと今年後半と言ってたのですが、そこまで長く待たなくても感じでしょうか?

チャド氏: やはり詳細は言えませんが、フェイズ1の中でなんとかします。

――コアセットとクラシックフォーマットを導入した理由、狙いを教えてください。

ディーン氏: まずはやはり、無料のカードを増やしたいということです。今までの無料の「基本」カードはやはり弱いカードが多いのですが、「コアセット」では強力なカードが多く含まれています。「コアセット」で、強力なカードを含めかなり数多くの無料カードを手に入れることで、そしてその「コアセット」を揃えるまでの過程により、「ハースストーン」の基本を学び、ラダーなどでどういうゲーム展開があるかということを、新規のプレーヤーが学ぶことができます。

 あとは、1年を通して強力なカードも「コアセット」に追加されていきますし、強力なカードが手に入ることにより、パックを買わなくても色々できることが増えるということで、そこでさらに新しい拡張版で購入したカードにより、自分が最初に覚えたデッキを強化することができるので、初心者にとってかなりよいスタートラインを作ることになったと思います。

【殿堂入りしたレジェンドカードも】
クラシックフォーマットでは、殿堂入りしたレジェンドカードも再び使うことができる

チャド氏: やはりこのプレーヤーの皆さんが、「ハースストーン」を2014年のサービス開始時の状態で遊べることにとてもワクワクしています。ある意味で、「World of Warcraft Classic」が影響したというか、「World of Warcraft」が昔の環境で遊べるのなら、「ハースストーン」も実装当初の最初の環境で遊びたいというプレーヤーからの要望をすでにいただいていたので、これを皆様に提供できることにすごくワクワクしています。

 あとは「クラシック」のカードパックがみんなワイルドに行ってしまうので、ワイルド以外の使い道があるということもよいと思いますし、最初から遊んでくれている古参プレーヤーは懐かしさを感じるでしょうし、2014年当時に遊んでいなかった大勢の方にとっては、「昔はこうだったんだよ」みたいな感じで、また新鮮な体験になると思います。

――コアセットとクラシックフォーマットの導入タイミングですが、ハースストーン公式サイトに2/10に公開された記事では、次の拡張(つまり「荒ぶる大地の強者たち」)にあわせてコアセットが使えると書かれてました。ロードマップでもフェイズ1となってますが、基調講演ではBen Leeさんが今年後半と仰ってました。どちらが正しいのですか? コアセットとクラシックフォーマットの導入タイミングを教えてください。

チャド氏: 一応全ての拡張版と同じように、パッチなどで1週間の準備期間を得た後に、いろんなコンテンツを配信することになっているので、今回も例外ではなく、スタンダードのローテーションと同時に、レガシーモードと「コアセット」の変更が行われます。

――では、次の拡張版である「荒ぶる大地の強者たち」に合わせてということでいいんですね。

チャド氏: はい、そうです。

――最後に、Game Watch読者へのメッセージをお願いします。

チャド氏: まずは、「ハースストーン」を遊んでいる全ての日本の方々に「ありがとう」とお礼をいいたいし、今度の新しい拡張版を楽しんでいただければと思います。

ディーン氏: それ以上のことは言えないから(笑)。本当にファンには感謝ということと新しい拡張版を楽しんでください。

チャド氏: 日本にはしばらく行けてないので、また行きたいです。

ディーン氏: 私はまだ日本に行ったことが一度もないので、行きたいですね。

チャド氏: コロナが収束したら、みんなで日本に行くので待っててください。