インタビュー
【特別企画】コアプレーヤーが語る「攻殻機動隊 S.A.C. ONLINE」
FPS有名プレーヤーは本作をどう遊んだか? 欲しい要素や感触を語る
2016年12月27日 14:00
「攻殻機動隊 S.A.C. ONLINE」が好評である。11月30日に正式サービスがスタートし、新規キャラクター「メイヴン」が登場、さらなる盛り上がりを見せている。
弊誌では“【特別企画】電脳世界へダイブせよ! 「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」”でゲームの魅力を紹介し、実際のプレイ感触も「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」オープンβテストレポートで伝えているが、プレイしていて感じたのは「コアプレーヤーは本作にどういった感想を持っているのだろう?」というものだ。
本作ではFPS初挑戦のような、まだ動きも慣れていないプレーヤーが結構多いが、その中に「この人うまいな」と感じさせる人もいる。うまいプレーヤーの存在がゲームに緊張感とさらなる面白さを加えている。彼らは「攻殻機動隊 S.A.C. ONLINE」のどこを気に入ってるのだろうか?
今回、有名プレーヤーであり実況などでも活躍するOooDa氏とOblivious氏に話を聞くことができた。コアプレーヤーからみた「攻殻機動隊 S.A.C. ONLINE」の感触、要望などを紹介していきたい。
マップはかなり好感触、カジュアルに楽しむユーザーが多い印象
OooDa氏とOblivious氏も「攻殻機動隊 S.A.C. ONLINE」の感触は良好だという。本作はシンプルなFPSとは異なり、キャラクターが様々なスキルを使い、武器をカスタマイズでき、キャラクターの“義体”のカスタマイズも可能で、かなりやり込み要素がある。2人が多くプレイしているFPSプレーヤーの“腕”がモロに出るタイトルと比べると、このカスタマイズ要素に独特なものを感じたとのことだ。
OooDa氏はやはりこのやり込みのカスタマイズ要素は「初心者に差が大きく出てしまうのではないか」というところで心配している部分があるという。一方で実際のプレイでは充分にこのやり込み要素を活かし、特に銃のカスタマイズに力を入れており、銃につけれる限りのアタッチメントを装着し、移動速度を犠牲に他のパラメーターを上げられるだけ上げている。このためOblivious氏達仲間とプレイすると1人だけ足が遅くて「待ってくれー」といった会話もしょっちゅうだという。
Oblivious氏はスナイパーだ。他のどんなゲームでもスナイパー武器を使い、狙撃にこだわったプレイをする。現在のプレイではひたすらお金を貯めているとのこと。「攻殻機動隊 S.A.C. ONLINE」は武器の値段設定が高めにOblivious氏は感じているとのこと。まずもっと良いスナイパーライフルを購入するため、今はカスタマイズなどをせずにゲーム内マネーを稼いでいる。
カスタマイズをすると、やはり撃ち合いの強さに差が出る。OooDa氏のバリバリにカスタマイズしたAK-47はアサルトライフルとして中距離での撃ち合いにも負けない精度を獲得しているという。ただ足は遅い。爆弾設置の攻防が行なわれる「デモリッション」では状況が変化した時の移動に四苦八苦する。本作のAK-47は銃の跳ね上がりに独特の癖がある。そこをきちんと覚えれば遠距離でもかなりの命中度を発揮できるという。
Oblivious氏は初心者へのオススメとして、本作では武器の購入・カスタマイズが大きいという。「レベルが上がるたびにけっこうなお金が貰えます。ですのでまずはたくさんプレイしてレベルをあげていくことをオススメします。最初から良い武器を買うことはできないので、どんな武器を買おうか、使おうかそれをイメージしてお金を貯めていくのがいいと思います」語った。
現在の場合、ショットガンも結構距離があってもダメージが入るし、サブマシンガンは近距離が強い。アサルトライフルで遠距離でもそこそこ戦えるということで、お気に入りの武器を見つけ、そこからカスタマイズしていくのは、本作の大きな楽しさだ。近距離戦の場合は相手との間合いを詰めるスキルの活用も重要になる。
感触としては「攻殻機動隊 S.A.C. ONLINE」はカジュアルだ。2人もボイスチャットでわいわい楽しみながらプレイしている。特に感じるのは本作では「デス数」が表示されないところ。このため如何に相手を倒したかに集中できるし、殺されることが多くても凹まない。そして2人が特にお気に入りだと言って挙げた要素は「ラウンド終了時に1番優秀なプレーヤーがアップになる演出」。自分がピックアップされた時は最高に気分が良いという。
最近のユーザーの傾向としては敵を察知できるサイトーが減り、体力を回復できるボーマや足が速くなるパズが多くなった。草薙素子は変わらない人気だ。サイトーは正式サービスのアップデートでキャラクターの調整が入り草薙の光学迷彩を察知できなくなるなどで減ってきたようだ。新キャラのメイヴンも人気が高いとのこと。
メイヴンのスキルは一定時間姿を見せなくする電脳遮蔽幕を出すこと。Oblivious氏のスナイパーのプレイスタイルとの相性がぴったりで、使っていても楽しいという。OooDa氏は初期はトグサを使っているという。トグサは敵を発見して追尾する「ドローン」を使うが、敵が潜んでいると思われるところに使うスタイルがお気に入りだという。
ちなみにOblivious氏はどんなゲームでもスナイパースタイルだという。OooDa氏は有名プレーヤーとして彼に憧れる若いゲーマーも多いと語った。Oblivious氏は“スナイパーなのに突っ込む”というプレイスタイルで、敵を的確に倒していく。ゲームによってはスナイパーライフルで近距離戦までこなす場合もあるという。「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」は、スコープをのぞくまでに0.1~0.2秒ほどの時間がかかる。このため接近戦でも威力の高いハンドガンが欲しいとのことだ。弾数よりも威力、というところもスナイパーらしい感覚だ。
2人が共通して言うのは、「もっと早めに使用キャラクターを増やして欲しい」ということ。「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」では最初に1キャラクター、それからプレーヤーレベルが上がればレベル5でもう1キャラクター増えるものの、そこからは課金かもっとプレイしなくては増えない。しかしスキルにはかなり“相性”があるため、場合によってはすごく不利になりかねない。こういうときにキャラが切り替えられれば良いのにと感じている。
ここら辺は開発者の想定と、プレーヤーのずれがある部分と感じた。「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」はMMORPGの様にじっくりキャラクターを育てていく要素がある。武器のカスタマイズもそうだが、義体の“スロット”を開放することで成長させられる。開発の意図としては少人数のキャラクターを深く濃くやり込んでいきたいと思っているが、プレーヤーは格闘ゲームのようにキャラクターを色々遊んでみたいと思っているところがある。
キャラの相性というところでは拠点を奪取していく「コンクエスト」で、セントリーガンを設置できるイシカワが複数いるとかなり有利不利がはっきりしてしまうとのことだ。セントリーガンは通常の武器では破壊しづらくバトーのアークランチャー頼みのところがある。現在本作ではリスポーン時やラウンド変更時にもキャラクターが変えられないため、キャラクターの相性が勝敗にもろに直結する場合もあり、考えて欲しいと2人は語った。
マップは2人ともかなり気に入ってるとのこと。「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」のマップはコアプレーヤーの2人にも「すごく良くできてる」と言わせるほどに楽しいものだという。コンクエストではスナイパーも活躍できるし、デモリッションもスナイパーが活躍できるモードがある。一方でチームデスマッチは透明になって走り回る人達が多いのでOblivious氏はちょっと苦手だ。しかしメイヴンを使って電脳遮蔽幕で自身も身を隠しつつ敵を仕留めているという。
OooDa氏は「攻殻機動隊」の雰囲気が活かされた点もお気に入りだという。原作を活かした声優達の起用、様々なこだわりが感じられるところも好きだと語った。特にOooDa氏が気に入った部分はトグサのチップカスタマイズ画面。カスタマイズ画面では他の隊員はキャラクターから義体にグラフィックスが変化するのだが、義体化をほとんどしていないトグサは義体に変わらないのだ。こういうこだわりも好きな部分だと語った。
欲しいのは充実したコミュニティ要素。クラン戦は年内実装予定
ゲームモードでは、OooDa氏は特に「コンクエスト」がお気に入りだと熱く語った。コンクエストはマップ上のポイントをチームで取り合うゲームモード。キル/デスではなくポイントで勝敗やプレーヤー順位が決定するので、「俺がんばってる、貢献してる」という実感を得られるのが好きだという。OooDa氏はこのコンクエストが大のお気に入りで、インタビュー中に何度もその魅力を語った。
撃ち合いとして拠点をターゲットに短時間で熱い駆け引きが楽しめる。タチコマを防衛拠点に投入するところも良いアクセントになっているし、それをハッキングして破壊しやすくできるのも良い。OooDa氏はこのモードではバトーを使い、アークランチャーでセントリーガンやタチコマを破壊しチームに貢献している。キャラクターの相性ではちょっと不満があるものの、色々な駆け引きの要素が楽しいという。
OooDa氏はキャラクターの相性や、駆け引き、敵タチコマへのハッキングなど多彩な要素が盛り込まれたコンクエストはもっともっと流行って欲しいと語る。Oblivious氏もスナイパーとして拠点ポイントをうまく狙える所などを気に入ってるとのこと。
Oblivious氏は「クランシステム」がサービス時になかった点で少し戸惑ったという。彼らのようなコアプレーヤーはコミュニティごと様々なゲームに一緒になって移ってくる。そういったとき中までコミュニケーションをとれるクランシステムはまず必要なシステムだ。クランシステムは正式サービス時に実装されたが、仲間でチームを固定できる「パーティシステム」、対戦部屋の機能強化、例えばキル/デスのレートでプレーヤーの実力をソートできる機能など、他のゲームで実装されているコミュニティ機能をもっと充実させて欲しいと語った。
2人は“カジュアルなユーザー”としてキル/デスのレートを決めてユーザーを募集する「ルーム」を作っているユーザーの多さを挙げる。彼らはあえてコアな実力者ではなく、ある程度の腕前の、レートが低めのユーザーを募集している。このためコアプレーヤーである2人が間違って入ってしまったこともあった。他のゲームではルームの設定で入室できるユーザーを制限している機能もあり、「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」では求められている機能ではないかと語った。
やはり、コミュニティをもっと強くして欲しいというのが2人の共通した要望だ。2人は声をかけいくつものスキルをスキルシンクで共有化し、そこからラッシュをかける戦いが特に楽しかったと語る。クランの繋がり、一緒に遊べる繋がりができた時の本作の楽しさはもっと膨らむ。だからこそ繋がりを補強するシステムを充実させて欲しいという。
気になるところとしてOblivious氏は「ロビーの重さ」を挙げる。「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」はなぜかロビー画面が重くまたマウスの感度もWindowsの設定でなく独自のものになっているので、操作感がしっくり来ないという。ゲーム部分ではマウスの感度は調整できるのだが、ロビー画面のマウス設定も調整させて欲しいという。
OooDa氏はイベントなどで司会者なども担当しているだけにゲームの“啓蒙”にも積極的だ。現在の「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」は公式ページでの「ガイド」も足りないのではないかと指摘した。「マップ」や「武器」など、公式ページである程度の情報を提示して欲しいという。
そしてコアプレーヤーとして望むのは「クラン戦」だという。クラン戦で順位を決め自分たちがどれだけ強いか、どの位の順位にいるかわかるようにし、上を目指したい。その順位に応じて特別なスキンなど報酬があればユーザーは燃えるのではないかとOooDa氏は語った。
Oblivious氏はクラン戦でキャラクターの相性で心配な部分だという。キャラクターが変えられない現在のルールだと、実力以外の部分での影響も大きいという。一方、「銃の音が好きだ」、「残弾数の表示がわかりやすい」といった評価したいこだわりの部分もあるとのことだ。
OooDa氏は実況者の視点から「ゲームの認知度を上げるにはキャラバンだ」と語った。ゲーム大会などコア向けの施策は熱のあるユーザーの気持ちをかき立てるけれども、ゲームを知らない人、やったことのない人をゲームに向けさせるには地方のネットカフェを回っての地道な告知活動だという。楽しくわいわい楽しめるというところを「攻殻機動隊 S.A.C. ONLINE」はアピールした方が良いのではないかと語った。
最後にこれから本作をプレイする人に向けてのアドバイスとして、Oblivious氏は「銃は全て射撃テストができます。購入しなくても撃てて、感触が楽しめるので、それで性能を確かめ、銃を手にするのを目的にプレイするのをオススメしたいです」。
OooDa氏は「レベル5で2人目のキャラクターが増えて、レベル9でどっさりお金がもらえて武器が変えるようになります。初心者さんはまずここを目指して欲しい。すぐにやめずゲームを楽しんで欲しいと思います」と語った。
筆者自身、あまりコアプレーヤーとしっかり話すという機会は少ないため、今回のインタビューはとても新鮮で面白かった。コアプレーヤーの感覚や視点が感じられ、そして彼らの「もっと多くの人にゲームの楽しさを知って欲しい」という想いに触れられたのは良かった。
「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」はこれからもどんどん発展していくし、実際のプレーヤーの意見を吸い上げてより充実した内容になっていく。早いアップデートも好評価だ。運営、開発、そしてプレーヤーが本作をどのように“成長”させていくか、期待したい。