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「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」オープンβテストレポート
カジュアルに楽しめ、自分のプレイスタイルを磨ける未来型FPS
2016年11月17日 00:00
現在オープンβテスト中の「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」、弊誌では基本的なゲーム要素を“【特別企画】電脳世界へダイブせよ! 「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」”で紹介し、開発者の熱い想いを“「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」、ディレクターインタビュー”で取り上げている。本稿ではオープンβテストのゲームの感触を語っていきたい。
「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」は基本的な要素はかなりオーソドックスなオンラインFPSといえる。緊張感のある戦い、マップを走り回り撃ち合う雰囲気、各モードでの異なる戦略……オンラインFPSに慣れているユーザーならばすぐに楽しく遊べるだろう。
そして「攻殻」だからいいのだ。荒巻課長の指示と共にスタートするミッション、未来的なデザインのマップ、声優達のセリフ……そしてスキルシステムが本作ならではの味を加えている。オンラインFPS初心者にもオススメしたいタイトルである。
カジュアルながらも奥深い“攻殻”体験が楽しめるオンラインFPS
「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」の最大の特徴がその世界観だ。本作は2002年のアニメ「攻殻機動隊S.A.C.」及びその続編を原作とするオンラインFPS。プレーヤーは主人公草薙素子をリーダーとする公安9課のメンバーとなり、敵テロリストと戦いを繰り広げていく。
「攻殻機動隊S.A.C.」の舞台は2030年の日本。人間は記憶を記録情報として抜き出すことが可能となり、電脳世界へ意識をダイブする電脳化、そして生身の肉体を機械に置き換える“義体化”を可能となる。一方世界情勢は第3次、第4次の世界大戦を経て大きく情勢が変わっている。そんな中、カウンターテロの必要性を痛感した日本政府の中で作られたのが公安9課だ。彼らは様々な電脳犯罪に立ち向かっていくこととなる。
ゲームでは未来的な雰囲気を持ったステージで戦いを繰り広げていく。プレーヤーキャラクターは公安9課のメンバーだが、敵側になると原作での悪役のような姿に“見える”のが面白い。姿などは情報操作でいくらでも加工可能だという本作らしい味も感じさせられる。撃ち合いの中に待ち伏せ、奇襲、連携と、オンラインFPSならではの読み合いがある戦いの駆け引きも原作の雰囲気にマッチしている。
原作ファンにとってうれしいのは“音声”だ。公安9課のメンバーはもちろん荒巻課長もアニメと同じキャストを起用している。荒巻課長の声でミッションが始まり、戦場でもメンバー達の声が乱れ飛ぶ。やはり草薙素子役の田中敦子さんの高圧的な声が良い。「グレネードを使うぞ」、「光学迷彩を使う。私を見失うなよ」などなど、劇中のセリフをうまくアレンジしている。
特に「スキルシンク」の時のセリフがいいのだ「使わせてもらうぞ」、「借りるぜ」……などなど、これらのセリフは原作では自分の義体や記憶の一部を共有、もしくは“強奪”したときのセリフが多いが、自分のスキルを他の人に使ってもらったとき、他の人のスキルを使ったときの“繋がる”イメージをより強めてくれる。まるで自分が“電脳化”しているような感じになれる。この感覚こそが、「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」の楽しさだと言えるだろう。
敵がいるところでサイトーの「ヒートセンサー」を共有すると仲間がグッと有利に戦えるようになる。敵に突っ込むとき先頭の素子が「光学迷彩」を使ってくれるとありがたい。スキルシンクをしなくても横でトグサが「シーカードローン」を起動して敵を牽制してくれたり、拠点での防衛にはイシカワの「セントリーガン」があるととてもありがたい。
スキルゲージはラウンドのスタート時の他、敵を倒すと大きく回復する。倒されまくりの下手なプレーヤーでも2ラウンドに1度くらいは使うチャンスがあるのがいいし、敵を倒しまくれるトッププレーヤーが積極的にスキルを共有してくれれば戦いは有利になる。クランやフレンドといった繋がりのない野良プレーヤーでも協力ができる。「スタンドプレイから生じる、チームワーク」、原作のテーマである「STAND ALONE COMPLEX」を誰もが体感できるゲームとなっている。
ぶっちゃけていえば、スタートしたゲームであるため、筆者も含め結構FPSに不慣れなプレーヤーが多いところも現在の「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」の大きなセールスポイントだと思う。へっぴり腰でうろうろしていたり、不用意に動いて倒されるプレーヤーも多い。
もちろんFPS上級者も多数いるため彼らと実力差は大きい。しかし、比較的狭いマップと、スキルにより下手なプレーヤーでもそこそこ戦える上、初心者も多いので時々思わぬ活躍ができたりする。そして上級者と一緒のチームになったときの心強さはとても大きい。カジュアルなオンラインFPSとしても本作はオススメである。
武器、チップ、隊員達……豊富な成長要素で自分のプレイスタイルを追求
「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」はオンラインFPSとしてかなり濃密な成長要素を持っているといえる。銃器に関しては原作の未来的な武器ではなく現実のものをモデルにしている。アサルトライフルからショットガン、サブマシンガンなど一通りのものはきちんとそろっている。
銃はマズルからフォアグリップ、ストック、照準器、弾倉……項目は非常に多く、これらをアップグレードしていくことで貫通力を高めたり、速射性を高めたり、移動速度を速めたりできる。例えば威力を高めれば重くなるので移動速度が減るなどパーツにはメリットとデメリットがある。どの武器を使うか、そしてどうカスタマイズしていくかでプレイスタイルを先鋭化できる。接近戦か、遠距離戦か、弾をばらまくのか、一撃に賭けるのか、自分の戦い方に合わせてカスタマイズしていける。
義体に埋め込む「チップ」も多彩だ。チップはミッションでの報酬や、ショップで購入でき、義体の「ソケット」に装着して使う。スキルを強めるもの、身体能力を上げるものなどがあり、種類も多い。運が良ければ強力なチップも入手できるが、これらのチップは利用期限が決まっており、永続的には使えない。今後はガチャ要素なども盛り込まれそうであり、強力なチップも出てきそうである。
チップを挿入する「ソケット」は隊員ごとに設定されており、多くのチップを使うためには特定の隊員でプレイしソケットをアンロックさせなくてはならない。「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」では最初に1人、その後プレーヤーレベルを5まで上げるともう1人使えるようになる。それ以降はゲーム内マネーで隊員をアンロックできるが、かなり高価だ。本作では特定の隊員をアンロックし、育てて、それから他の隊員を育てていくという感じになりそうだ。
武器やパーツも戦いを繰り返していくことでアンロックされていく。基本要素は最初からそろっており、プレーヤーはカジュアルにゲームを楽しめるが、他の隊員を使ったり、多くのチップや武器パーツを使うなどより個人の好みを突き詰めたプレイスタイルを確立するためにはかなりのやり込みを必要とするバランスに感じた。高レベルプレーヤーは仲間に合わせて隊員を変えていくだろうし、同じ隊員でも武器や戦い方で異なっていく、いわばMMORPGのような奥深いキャラクタービルドが楽しめそうである。
今回筆者はまず素子を、そしてサイトーをプレイしている。両キャラとも人気が高くチーム内でも使っているプレーヤーが多い。ドローンを使えるトグサや、キャラクターの人気からかバトーを選んでいるプレーヤーも多く感じた。コアプレーヤーの間では体力が回復できるボーマも人気が高いようで、色々な人が色んなキャラクターを使っているという印象も受けた。今後はスキンなども増えるので、より個性的なキャラクター達になっていくのではないだろうか。
「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」は、オープンβテスト中ということもあり、対戦ルールは3つ、マップもまだ少ない(16日にはマップが増える予定)。初心者でも何度もプレイすることでマップの特性や、ルールごとの駆け引きが覚えやすい状況にある。前述のように初心者プレーヤーも多くカジュアルな楽しさが味わえると共に、上級FPSプレーヤーの見事な戦い方を見ることができるチャンスでもある。ぜひ「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」に飛び込んでみて欲しい。