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【特別企画】電脳世界へダイブせよ! 「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」

現在オープンβテスト実施中! 世界観とゲームシステムを紹介

11月2日オープンβテストスタート

 ネクソンが11月2日よりオープンβテストを実施しているWindows版オンラインFPS「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」。多くのファンを獲得しているアニメ「攻殻機動隊S.A.C.(STAND ALONE COMPLEX)」を原作にしたオンラインFPSだ。

 本作は新しいオンラインFPSへのアプローチと、開発者の原作への深い“愛”によって作られた作品である。その想いの深さは掲載した“「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」ディレクターインタビュー”で感じていただきたい。

 しかし一方で、そのハードで斬新な作風は、原作や「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」を知らない人には取っつきにくい部分もあるかもしれない。そこで今回、“【特別企画】電脳未来へダイブせよ! 「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」”として、原作の概要や、本作の魅力をまとめていきたい。

ハードな世界観、重厚なテーマ性の「攻殻機動隊S.A.C.」をオンラインFPSに!

 ゲーム原作となる「攻殻機動隊S.A.C.」は、士郎正宗氏のコミック「攻殻機動隊」の“パラレルワールド”を描くアニメ作品である。2002年より全26話が放映され、2004年より「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」が26話、そして2006年には劇場版アニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」も制作された。

公安9課のメンバーをプレーヤーキャラクターとして使える
各キャラクターの情報ページでは、アニメ映像を見ることもできる
ゲームがスタートするときには原作の“ダイブ”を思わせる演出が
オンラインFPSの手法で「攻殻機動隊S.A.C.」をどのように再現するかが注目点だ

 「攻殻機動隊S.A.C.」は、それまでのコミック「攻殻機動隊」、劇場アニメ「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」と異なり、主人公草薙素子が謎のハッカー「人形遣い」と、“出会わなかったパラレルワールド”を描く物語だ。アニメ4クール分(52話)に、劇場版と他の作品以上の長さで世界を描く中で、草薙素子だけでなく、彼女がリーダーを務める公安9課のメンバーや、様々な事件の関係者、世界などを多彩なエピソードで描き、より具体的な“未来世界”を描いている。

 「企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても、国家や民族がなくなる程、情報化されてない近未来」というのが「攻殻機動隊」に共通する世界である。「攻殻機動隊S.A.C.」の時代設定は西暦2030年、人は“電脳”技術により、マイクロマシンを介してネット世界や機械と脳を直結させることができるようになっている。

 主人公である草薙素子は、全身を“義体”と呼ばれる機械の体に置き換えたサイボーグ。その義体を使う技術において世界屈指であり、特A級と言われる卓越したハッキング能力を持つ。「公安9課」は、内務省公安部内に設置された組織であり、課長の荒巻大輔が、草薙素子をリーダーとして作り上げた組織だ。草薙達メンバーは様々な電脳犯罪に立ち向かっていく。

 「攻殻機動隊S.A.C.」では“笑い男事件”、「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」では“個別の11人事件”といった核となるエピソードが進行しながら、9課のメンバーやこの世界に生きる人々を通じ、電脳化されることで変化していく人間、そして未来世界でも変わらない人々の情念や繋がり、さらには思考戦車「タチコマ」が、魂(ゴースト)としか思えないものを獲得していく様子など様々なエピソードが盛り込まれていく。「人間とは何か?」という問いを様々な角度からたっぷり楽しめる優れたSF作品である。

 難解で複雑な物語を持っていながらファンを大きく惹きつけるのは、魅力的なキャラクターである。クールで強い素子、力強さと優しさが魅力のバトー、スナイパーとしての職人気質がシビれるサイトーや、義体の割合が少なく感情移入させられるトグサ……彼らは極めて高いスキルを持つプロフェッショナルとして描かれており、常識を越える電脳犯罪者と高度な戦いを繰り広げていく。

 最新鋭の火器、常人を遙かに超えたサイボーグの肉体、タチコマやアームスーツなどの魅力的なメカが入り乱れる戦いだけでなく、敗北すれば脳を焼き焦がしたり自我を失いかねないハッキング戦……思わず作品世界に取り込まれる大迫力で緊張感の高い戦いが繰り広げられる。

 「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」は“オンラインFPS”という手法で、この“戦い”を再現しようという意欲作だ。公安9課のメンバーをスキルを持ったキャラクターとして再現、物語のメインテーマである“それぞれはあくまで独立した個人でありながら、複合体として機能する”という「STAND ALONE COMPLEX」をプレーヤー達の連携という形で体験できる作品となっているのだ。

作品のテーマを自分なりに分析、FPSの新しい楽しさを実現するシステムに

 公安9課のメンバーのサイボーグボディ“義体”は、最新技術を惜しげもなく投入した軍事機密の結晶のような存在だ。常人を遙かに超えるセンサーや、人工筋肉を搭載しているが、「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」では彼らの能力を「スキル」として再現している。

素子のスキルは「光学迷彩」。透明化し敵から発見されにくくなる
ゲームをプレイすることで使用キャラクターを増やすことができる
「コンクエスト」で使用できるタチコマ。今後のアップデートでタチコマに乗り込むこともできるという
プレイを重ねることで様々なものがアンロックされていく

 素子は「光学迷彩」。周囲の情景を体の表面に映し出すことで透明化したようになる。バトーは「アームランチャー」で強力なミサイルを発射できる。サイトーは「ヒートセンサー」で壁越しに敵の位置を探知できる。トグサは「シーカードローン」を使う。ドローンは敵を探知し、敵に接近し爆発する。

 イシカワは固定砲台となる「セントリーガン」を設置できる。ボーマは「ナノゲルアーマー」により体力を回復可能だ。バズは「加速疾走」。ダッシュ速度が増加し、通常より素早く移動できる。スキルを使用するにはスキルゲージが一定量必要で、ゲージは時間の経過や敵を倒すなどで増加する。敵を倒しまくればスキルも積極的に使えるわけだ。

 そして「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」最大の特徴が「スキルシンク」である。素子やサイトーパズなど何人かのメンバーのスキルは周りで仲間が使った場合、スキルシンクが可能となる。発動した場合、使用者と同じスキルがゲージなどの消費なしで使えるのだ。例えば近くの素子を使うプレーヤーが「光学迷彩」を使うと、周囲のプレーヤーがスキルシンクすることで周りのプレーヤーキャラクターもまとめて透明化する。スキルシンクを使えば透明状態でさらに加速疾走までできるというスキルの同時使用すら可能なのである。

 プレーヤーは戦いを繰り返すことでプレーヤーランクを上げ、様々な装備をアンロックしていく。最初に使えるキャラクターは1人だけだが、複数のキャラクターや装備を使えるようになる。ショットガンやスナイパーライフルなど武器の種類を増やすだけでなく、武器の反動を抑えたり、装弾数を増やしたり自分のプレイスタイルに合わせたカスタマイズができる。さらに義体に装着する「チップ」によって、スキルの効果時間を増やしたり、基本能力の増加もできる。もちろんスキンもある。ゲームプレイを重ねることでより個性的なキャラクター像を磨き上げていくのである。

 原作では「光学迷彩」や「ヒートセンサー」などは義体の機能や装備であり、隊員固有の能力ではない。ゲームではあえてこれらをスキルとして表現し、スキルシンクでの連携の面白さを追求している。同じチームに素子やトグサが複数いても良い。プレイスタイルやカスタマイズで同じキャラクターでも全く戦い方は異なってくるかもしれない。「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」の面白さは個性を追求したキャラクター達がゲームルールやスキルシンクで“連携”していくところに楽しさがある。原作のテーマ「STAND ALONE COMPLEX」を、自分たちで実現していく、それこそが本作の開発者が目指したゲーム性なのだ。

 オープンβ開始時に搭載されているゲームモードは「チームデスマッチ」、爆弾設置と防御でわかれて戦う「デモリッション」、指定された拠点を奪い合う「コンクエスト」の3つが実装されている。特に「コンクエスト」では思考戦車「タチコマ」を設置できるところが面白い。

 「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」のユニークなところは敵も味方も公安9課のキャラクターを使っているのだが、敵方になると全く見え方が変わってしまうところ。敵のキャラクターはテロリスト風に見え、タチコマもとがった凶暴な姿になる。敵と味方が見分けやすいというゲーム的にも初心者向けとして良いアイデアであるし、視覚の情報を操作されることで目の前の情景が全く変わってしまうという「攻殻機動隊S.A.C.」ならではの情景にも感じられて、楽しいところだ。

 いよいよスタートした「攻殻機動隊S.A.C. ONLINE」。11月16日には新マップも追加される。正式サービス開始時には、オリジナルキャラクターの追加や、タチコマに乗り込める要素なども盛り込まれるという。オンラインゲームならではのアップデートは大きく期待したい。この機会にぜひプレイして欲しい。

【攻殻機動隊S.A.C. ONLINE】
バトーのアームランチャー。高い攻撃力を持つ
サイトーのヒートセンサーは壁越しに敵の位置を知ることができる
チップセットや武器のカスタマイズで自分のプレイスタイルを突き詰めることができる
敵の隊員やタチコマは外見が大きく異なるのが面白い
原作の緊張感も再現しているように感じさせられる。原作を知らなくてもプレイできるゲームだが、原作を知ることで開発者のこだわりを一層楽しめる