【特集】
【マレショフ砦編】砦の主、降臨! 「キングダムカム・デリバランスII」本気の中世料理を堪能
2025年4月23日 11:00
- 【キングダムカム・デリバランス II】
- 2月5日 発売
- 価格:8,090円~
チェコ現地を取材し、「キングダムカム・デリバランスII」(KCD2)ゆかりの地を巡る企画。今回お送りするのは、マレショフ砦編だ。
マレショフ砦は、クトナー・ホラから南西の6kmほど離れた街「マレショフ」にある砦。「KCD2」でも登場し、メインクエストの舞台となるゲーム的にも重要な場所だ。
ゲーム内ともリンクする部分も数多くあるが、何より驚くのは今のマレショフ砦には“主”がおり、中世時代の生活を送れるよう施設を整えているということ。砦の主の名は、オンドジェイ・スラチャーレク氏。中世時代の砦に住みたいと憧れるあまりに砦をまるごと買い取り、20年以上かけて改築と修復を重ねたという情熱あふれる人物だ。
20年かけて砦をリノベ。「KCD」世界も味わえる体験宿泊施設に
スラチャーレク氏によれば、マレショフ砦ができたのは1350年ほどだという。決して大きな砦ではないものの、要塞壁や塔などがある施設だった。
歴史的には、フス派戦争におけるフス派兵隊の拠点として使われていた。マレショフでは「KCD2」にも登場するヤン・ジシュカが穏健フス派軍に勝利し、急進派としてフス派全体の実験を握る1424年の「マレショフの戦い」で知られている。
17世紀ごろから1995年までは麦倉庫として使われており、2002年にスラチャーレク氏が村から購入。15年かけて砦をリノベーションし、その後、周囲に小さなブルワリーとホテルを設けたという。
ちなみにマレショフ砦は、体験型ツアー「Kingdom Come: Deliverance Live」(KC:D Live)のプログラムのひとつ「Medieval holidays」の宿泊施設になっている。スラチャーレク氏は「KCD」第1作のときから開発元のWarhorse Studiosと付き合いがあり、「KC:D Live」自体の発案者でもあるということで、その内容も濃密である。
「Medieval holidays」はクトナー・ホラやトロスキー城に訪れながら、マレショフ砦で2泊するという3日間のプログラムで、中世料理を楽しんだり、テントに泊まったり、「KCD」の世界観で進行する謎解きイベントを実施したり、「KCD」世界を存分に味わうプログラムになるそうだ。特にこの謎解き、俳優を10人ほど起用する超本格的な体験が予定されているという。
本気の中世料理が登場! 砦内の風景がゲームそのまま
砦の中は、中世時代の施設ができる限り保存、または再現されている。
木造の階段を登ると、客間があったり、さらにその上は貴族が滞在する用の部屋があったり、当時の状況を知る博物館のような機能も備わっている。
博物館といっても、スラチャーレク氏は実際の暮らしに基づいた再現を心がけており、たとえばある部屋に展示されている武器は「すぐに手にとって戦いに行けるよう」に壁にかけてあったり、貴族の部屋の奥には実際に使用できるベッドまで置いてある。
砦の修復中、スラチャーレク氏はこのベッドで本当に寝泊まりしていたそうで、中世時代の再現と修復にかける情熱は筋金入りだということがわかる。一方で、砦内の照明関係はスマート化されており、スラチャーレク氏手元のスマホアプリから制御できるようになっている。中世と現代のハイブリッドがマレショフ砦で実現されているということだ。
取材中、最大限に印象に残ったのは、このマレショフ砦でいただいたランチである。
ランチが提供されたのは、当時の中世料理を再現したメニューの数々。ウサギ、アヒル、チキンのローストといった肉料理をはじめとして、根セロリやニンジン、カボチャなどの野菜を焼いた料理など、広い机にびっしりと提供された。
素材そのものの味はどれも力強く、また同じ肉料理であっても甘めだったり酸味が効いていたり、ソースや付け合せを変化させていて、どれもこれもが美味しかった。
さらに言えば、食事が提供された場所も良かった。場所は1階部分にあるキッチンだったのだが、調理場では薪を燃やし、巨大な木のテーブルをメディア陣で囲んで座ると、さながら「KCD2」の世界に入り込んだかのようだった。雰囲気たっぷり、どころかまさにゲームそのままだ。
マレショフ砦で実際に暮らせるようにする、というのがスラチャーレク氏のこだわりであり、これらの料理もマレショフ砦で調理したものとのこと。「KC:D LIVE」のツアー内でも堪能できるメニューとして、参加者に振る舞われるそうだ。隣接するブルワリー製のビールで乾杯すると、一気にタイムスリップした感覚を味わえた。中世時代体験として、極上のひとときであった。