先行体験
今作も細かさがすごい! 「キングダムカム・デリバランスII」プレビュー
戦闘、説得、鍛冶、あらゆる泥臭手段で生き抜く中世騎士アクション
2025年1月11日 01:33
- 【キングダムカム・デリバランス II】
- 2月12日発売予定
- 価格:8,091円
リアルな世界観が特徴の一人称視点のファンタジーアクション「キングダムカム・デリバランスII」が2月5日に発売となる。プラットフォームはPC(STEAM/EPIC)、PS5、Xbox Series X|S。前作「キングダムカム・デリバランス」は海外では2018年に発売され、約7年の時を経ての続編リリースとなる(日本は2019年発売)。
本作の特徴は、現在のチェコにあたる、15世紀のボヘミア王国全盛の時代の史実をモチーフにしていること。そのため、いわゆるファンタジーアクションによくあるような剣と魔法の世界ではなく、剣や弓など当時実在していた武器、衣服、防具、建築物などが忠実に再現されており、これらを使ったアクションでの戦闘や人間同士の会話による交渉を楽しむ作品で、いわば中世騎士の役割を演じるゲームとなっている。
主人公は前作と同じくヘンリーという鍛冶屋の息子だ。物語も前作からの続きという流れになっており、前作でも登場したラッタイの次期領主、ハンス・カポンとともに手紙を届ける使者としてトロスキーという土地へ向かう道中から物語がスタートする。
今回はPC版の「キングダムカム・デリバランスII」を実際にプレイすることができた。本稿はプレビューとして、最序盤部分の体験をお伝えしたい。
会話でスキルやステータスまでもが変化!バトル難易度は高め
物語がスタートする前段階では、操作の簡単なチュートリアルとして、いきなり攻撃を受けている城内から話がスタートする。ストーリー中盤あたりのエピソードの一部が抜粋されているのか、ここで登場するヘンリーは城に攻撃を仕掛けてくる敵兵たちといきなり剣で戦ったり、城壁に掛けられた梯子を外して倒すなど、簡単だが必死な仕事をさせられる羽目になる。
一連の作業の操作方法を教わり、実際に体で覚えてどうにかクリアすると、敵の放った矢がヘンリーに刺さってしまう。ここでヘンリーが思わず「トロスキー城に伝言を届けに行くだけのはずだったのに」とぼやく。開始直後の状態なので、初見時は何の事かさっぱり分からないままだったが、セリフの意味が理解できたのはちょっと後になってからだ。プレーヤーの気持ちをぐっと引き付けて、ここから物語がスタートする。
シーンが変わると、今度は馬に乗るハンス・カポンとヘンリー、そして数人の仲間たちと共にトロスキーに向かう旅の途中、トロスキー城から出撃したトーマス隊長率いる中隊と遭遇する場面から話は再開となる。
本作はカットシーン/会話シーンと、実際に操作できるアクションシーンが明確に分かれている。旅の途中のシーンで特に操作せずに進行するところはカットシーンが使われており、ヘンリーの表情や服装などの外観が映像で確認できる。また、人と遭遇して会話など選択肢が発生する場面ではカットシーンの途中で、画面上に選択肢が提示される仕組みだ。この場面では、トーマス隊長との交渉時に選択肢が表示され、選択次第でヘンリーの周囲やトーマス隊長からの好感度が変化したり、自身の得意な武器や話術などのスキルが磨かれていく。
自由に移動できるタイミングや、戦闘などのアクションについてのみ、ヘンリー本人の視点となって、実際にヘンリーを操作しながら色々なアクションを行なえるようになる。この時は完全な一人称視点となり、武器を使って敵と戦闘したり、野原に生えた草を摘んだり、食料を拾ったりといった多彩なアクションが行なえるようになる。
トロスキーから来たトーマス隊長率いる中隊との交渉に成功すると、ハンスたち一行は池のほとりで野営する事になる。ここで戦闘アクションの詳細を学べる次のチュートリアルが開始となる。戦闘アクションの基本はRTによる攻撃だ(表記はXboxコントローラー。以下同じ)。戦闘時には画面中央に上下左右の4方向の花形アイコンが表示され、Rスティックを使うことで構えの方向を変化できる。防御側と構えの方向を外すことができれば、隙をついて攻撃が通るという仕組みだ。
防御はLT長押しで、これで相手の攻撃を防げる。攻撃の場合も防御の場合もスタミナを消費するため、スタミナ管理がかなり重要だ。相手が攻撃してくるタイミングで花形アイコン中央に緑の盾が表示されたタイミングでLTを押すと「パーフェクトブロック」が発動できる。パーフェクトブロックが決まると、直後にRTで攻撃することで「突き返し」と呼ばれる反撃が行なえる。
突き返しされた相手が防御するにはパーフェクトブロックを行なう必要があるため、タイミングよく相手の攻撃をパーフェクトブロックで防ぎ、突き返しで反撃という流れでバトルを行なえば、かなり有利に敵との戦闘が展開できる。
とやり方について書いてみたものの、実際にこれらアクションをタイミングよくこなすのはかなりシビアだ。チュートリアルでは訓練用の木の剣を用いていたため、何度も失敗したり成功したりを繰り返すことでクリアできたが、実戦ではなかなかうまくいかない。この辺りはかなりの慣れが必要なポイントと言えそうだ。
剣の訓練が一通り終わると、旅を共にした仲間たちとの交流のひと時が始まる。ここも先ほどのトーマス隊長との交渉と同様、会話の途中途中でヘンリーの回答時は必ず選択肢が表示される。
例えば仲間の1人が酒場で酔っぱらったまま、結婚して旦那がいる女を口説こうとしてトラブルになったというエピソードが語られると、これに対してヘンリーの回答には4つの選択肢が提示される。ここで「あんたを引きずり出す羽目になったんだぞ」と返すと腕力が、「あんたを引き離した」場合は俊敏性、「朝まで俺たちに付いてくればよかったんだ」なら体力、「旦那と話をつけてきた」なら話術のスキルがそれぞれ強化されるといった具合だ。
このようにあらゆる会話において、選択した結果に応じて他の人たちの印象や自身のスキルが変化していく。とにかく最序盤のうちから会話がよく登場するという印象だが、これが「キングダムカム・デリバランス」シリーズならではの魅力の1つとなっている。
いきなり大ピンチ!生きのびた先には……
ひとしきりの会話が終わると、ハンスはヘンリーとともに水浴びをすると言い出して、鎧を外して服を脱いで池に入っていく。水浴びの最中、女の人の歌声が聞こえると、ハンスはそちらを覗きにいこうとヘンリーとともに忍び足で見に行こうとする。
ところがここで事態は急変することになる。情けない覗き行為の真っ最中に、盗賊らしき集団が野営地を襲撃してきたのだ! なす術もなく殺されていく仲間たち……さらには盗賊に奪われてしまう手紙。冒頭からなんという厳しい展開だろうか。たまたま難を逃れたと言える2人だが、その姿はパンツ一丁の半裸。装備などもちろん0だ。
この大ピンチの中、密かに難を逃れようとするハンスだが、ヘンリーは盗賊に襲われる女性を助けようと、思わず声を掛けて女性のピンチを救おうとしてしまう。こうして存在がバレてしまった2人は池を渡って逃亡を図るのだが、ここでヘンリーの背中に矢が直撃してしまう。この一連の展開は完全にカットシーンのみなので、女性を見捨てるなど、こちらで行動が選択できない。ヘンリー何やってんだ……。
その後いろいろあり、半裸の2人は追跡の手から逃れようと画策する。が、ヘンリーは追いついてきた敵の1人と揉み合いになり、高い崖の上から敵もろとも落下。ヘンリーは重傷を負ってしまうのだ。
重傷で意識が朦朧となっているヘンリーは死んだはずの父と会話する夢を見たり、襲われて滅亡した故郷スカリッツの頃の記憶が幻影となって眼前に浮かび上がって、ヘンリーを苦しめる。
ヘンリーの辛い過去が今も彼を苦しめている、ということがわかると同時に、前作ストーリーの振り返りにもなっているという演出だ。そんな意識朦朧としたヘンリーを連れて、ハンスは森の中をさまよい、そこで偶然発見した民家に駆け込むと、そこにいたのは薬草師の老婆ボゼナだった。
ボゼナは強力な薬を使ってヘンリーの傷を癒してくれる事になった、という展開だ。ただ、この時盗賊の1人が家に押しかけてきたため、敵との戦いでハンスまでもが重傷を追う事になってしまう。
この後は傷が回復したヘンリーが今度はハンスを救うために、ボゼナからの依頼として、草地で薬草の元になるハーブを摘んできたり、実際に薬草を調合して薬を作ったり、死んだ盗賊の遺体を埋めたり、といった依頼をこなしていく流れとなる。
これもちょっとしたチュートリアルの1つのようで、これらを終える頃にヘンリーはシャベルで穴を掘ったり、薬草を摘んだり、錬金術の作業台を使って薬を調合できるようになる。死体を運ぶと、その匂いが自分の体に染み付いて異臭を放つ(水で洗うと落ちる)など、やけに細かくもリアルなシステムが続々登場していく。
本作はとにかくできることが多いが、物語の一連の流れから必要な技術が少しずつ学べるようになっている。時間はかかるが、馴染みやすくスッと入ってくるのはありがたい。
ポゼナの元を去ってからは再びヘンリーとハンスの2人旅の様子がカットシーンで描かれ、物語は次の舞台に移っていく事になる。ここで雰囲気満点の音楽とともにスタッフなどの情報が表示されていき、本作のタイトルロゴが登場。ようやく壮大な物語の幕開けということで、テンションが上がった。
会話は騙し合いもある! 発言の選択が重要な場面も
ポゼナの依頼の途中では1度ゲームオーバーになる展開に見舞われたので、それについても触れておこう。ハンスを救うためのハーブを摘んで戻ってくると、不審な男が2人いて、ポゼナに詰め寄っていた。ヘンリーが姿を見せると、彼らはこちらに声を掛けてくる。
会話が始まると、不審な男たちは「フォン・ベルゴー卿の命で無法者を探しにきた」と言ってきた。生まれながらに正直者の筆者は思わず、あー、助かった!と「俺たちは使者で奇襲を受けた」、「ベルゴーの部下には見えない」という選択肢で思わず、素直に使者である事を告げてしまったのだ。
すると、奴らは実は盗賊の一味で、ウソの発言でこちらにカマをかけてきていたことがわかった。つまり、騙していたのだ。ずるい! 卑怯者! ということでいきなりの戦闘となったが、撃退することも敵わずあえなくゲームオーバーとなってしまった。
本作はオートセーブでイベント発生時などに自動でセーブが行なわれる。今回ゲームオーバー後は、不審な男たちが出現する直前のところでセーブされていたので、かなりスムーズに再開が行なえた。2度目の選択肢はもちろん「ベルゴーの部下には見えない」を選択。すると、その後の選択での説得に見事に成功、難を逃れて先に進められるようになった。
本作では急にイベントなどが発生して、後戻りができなくなる場面がいくつかある。このような時にはセーブポイントをさかのぼってやり直すことで、未来を変える事ができる。が、間違えたと思えるような選択でも物語は続く。自分の選択を受け入れるようなプレイも捨てがたいだろう。
この後どうにかトロスキーについた2人だったが城には入れてもらえず(頭のおかしい浮浪者だと思われた)、それどころかハンスは頭から糞をかけられる悲劇に見舞われ、どうにかして城主のフォン・ベルゴー卿と会えるように画策する展開となっていくのだが、ハンスと仲違いするなど、目的を果たすための道のりはまだまだ時間がかかりそうだ。
細部まで練り込まれたリアルさ重視のシステム
本作をプレイしていて感じるのは、昨今のゲームでは見たことがないくらいのきめ細かなシステムの数々だ。例えば商人との売買の仕組みについても、売りたいアイテムを選択して終わりではなく、そこから交渉で値段を吊り上げたり、値下げしたりといった駆け引きが行なえる。
本文中で触れた錬金術の作業台での薬作成も、レシピを読んでその手順通りに液体を加えたり、調合していく必要がある。また、この後の展開次第では鍛冶屋で働く事になるのだが、そこでも剣を作るのに鉄を熱して叩いてといった作業を行ない、鍛冶の仕事をこなしていく。
あらゆる作業がいずれもリアルなテイストとともにゲームシステムとして組み込まれており、こうしたリアルな作業を楽しむゲームとして仕上がっている印象だ。また、会話についても1度の交渉だけでは解決せず、何度も選択肢を重ねていき、結果を構築していく面白さがある。加えて装備についてもパラメータや装備箇所などはきめ細かく設定されているので、服装を整えるのも一苦労するが、それが本作のややくどめなキャラクターのビジュアルや世界観にマッチしている。
移動については、1度行った村や町ならファストトラベルが実装されているので、多少は楽ができるが、初めて向かう町や村は雲がかかっており、マップを表示しても何があるのかはっきりと分からないようになっている。現地に足で出向くことで、雲が晴れて何があるのか具体的にマップ上に表示されるようになる。
「キングダムカム・デリバランス」シリーズは史実に基づいた15世紀のヨーロッパの世界観の中で、ヘンリーという騎士をリアルに演じるという遊び方がフィットする人にはたまらなく、魅力的なシリーズと言える。今回は最序盤のみのプレビューとして執筆したが、発売前にもう1度きちんと遊びつくした結果をレビューとしてお届けしたいと考えているので、楽しみにしていてほしい。