山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第83回

VRはじっくり遊べるゲームの方が適しているのでは説 &「グランツーリスモSPORT」のスケープス楽しい話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

10月13日でPlayStation VR発売から1年、1年と1日になる今週の土曜日には、マイナーバージョンアップされた新モデルも発売です。

個人的に気になっているのは、PS VR新モデルと同日に発売される「V!勇者のくせになまいきだR」なんです。

「V!勇者のくせになまいきだR」は、VR空間のなかに広がる“動くジオラマ的な世界”で魔物を育てて勇者たちと戦う、「勇者のくせになまいきだ。」シリーズの最新作。

もっとざっくりした言い方をすると、楽しげなシミュレーションというかリアルタイムストラテジーを動くミニチュアトイのような世界で遊ぶっていうわけです。

僕は、VRコンテンツの中でも、この手のジャンルが1番好きなんですよ。

現実にはありえない……というか、今のところは見当たらない、動きまくりのミニチュアサイズなキャラクターたち。ゲームの世界そのままなんだけど作り込まれたジオラマのようにも見えるフィールド。それらが、VRヘッドセットの中で3D立体で見えているので、手で掴めそうな存在感があるという。

立体に見える動くフィギュアでシミュレーションゲームしちゃうんです……みたいな言い方をすると、「ほほう?」って興味をひかれる人も結構いる感じですかね?

そうなんですよ。これね、そういうなんというか、小さいものがコミカルに動いてたりするのが好きな人にはたまらないものなんですよ。

「V!勇者のくせになまいきだR」

以前にこれに近いジャンルで、「Dino Frontier」という西部劇の世界観で楽しむVRミニチュア開拓シミュレーションのVRタイトルをプレイしたのですが、こちらも面白かったんだこれが。

UIも優れていて、PS MOVEを持った手をでメニューをつまむようにして実行したり、腕時計を見る動きをするとゲーム中のミッションが確認できたり。ゲーム全体のテーマであるミニチュア感やジオラマ感から上手く作られたUIになっているんです。

「Dino Frontier」、気になる方はぜひ「これから遊べる予定のPlayStation VRタイトル試遊レポート Part.2」をご覧ください。

「Dino Frontier」

もうひとつ個人的に思っているのは、こうした“じっくり遊びこめるゲーム”の方がVRで楽しむものとしてもいいなぁって感じているんですよ。

ぶっちゃけますと、VRのヘッドセットを装着するのってなかなか手間ですよね。慣れちゃえば実際の労力はそんなでもなくなるんですけど、精神的なおっくうさはあると思うんですよ。

その装着の手間を乗り越えていざプレイをし始めたものの、いわゆる体感系のコンテンツでそこそこ動きのある内容を10分楽しんで終わりというものだと、さすがにリプレイ性が足りない。

VRヘッドセットを再び着けさせるにはパワーが足りないんです。

一方、「V!勇者のくせになまいきだR」とか「Dino Frontier」みたいなシミュレーション系だと、じっくり遊びますよね。後日にも前回の続きを遊んでいきますし。ハマっているときにはVRヘッドセットを着ける手間なんて気にならないというか、むしろ着けて続きを遊びたくて仕方ないってなりますし。

それに、立体ジオラマでのシミュレーション系だと、動きは激しくない……というより基本的には自分の覗き込む動きオンリーですから、疲れづらいし酔いづらいんですよね。派手な体験より、コツコツ渋く遊びこむものの方がVRに適していたりするかもしれません。

リアルタイムストラテジーなんかはe-Sports系に伸びていったりしていますが、純然なシミュレーションジャンルってなかなか厳しい状況にあると思えるわけですが、その正統な進化の先ってミニチュアジオラマ感の出せるVRだと思えるんです。

「A列車で行こう」シリーズの最新作、「A列車で行こうExp.」にも、鉄道模型の世界を楽しめる「VR 鉄道模型モード」が搭載されますし。

このVRの方向性にぜひ注目してもらいたいなーって思います。体験してみないとなかなか伝わらないかもしれないですが、いわゆる“VRならでは”と“ゲームらしさ”がどっちもしっかり味わえますよ。

「A列車で行こうExp.」のVR 鉄道模型モード

ここからは、もうひとつ別の話題。来週の10月19日にはいよいよ「グランツーリスモSPORT」が発売となるわけですが、今週にはそのゲーム内容の一部が楽しめてデータの引き継ぎもできるオープンβテストが、10月9日16:00~10月13日00:00にかけて開催されています。

僕も早速プレイしているんですけど、

写真撮影を楽しむ「スケープス」に妙にハマっちゃったんですよね。

いやぁ、以前にもポリフォニーデジタル東京スタジオを取材させて頂いたときにも、この「スケープス」は体験していたのですが、自宅でじっくりと細かな機能まで見ていくとこだわりの凄さに気づくというか、カメラそのものというか、これほど本当のカメラをシミュレートしたゲームが他に見当たらないというか、ぶっちゃけカメラを扱ったことない人はこの設定や用語を理解できるのだろうかと不安になるというか、いやでもここから逆に知っていく人も現われるのか!? なんて思ったり。

取材して伺ってきたお話でも、「グランツーリスモ」というゲームは実際のコースや車の膨大な撮影資料や計測資料から作られているわけで、実はカメラという機材は欠かせないもの。プロデューサーの山内一典氏も元々カメラがお好きだということで、カメラや写真という要素がゲーム中に高まっていくのは必然だったようにも思えるわけですが、それにしても今回の「スケープス」は凝ったものになっています。

いっそ、ギャラリーの席でレースを観戦してカメラで写真を撮るっていうモードをVRでできるようにして欲しかったぐらい。僕は仕事がらカメラをよく使うのもあってなおのこと思いますが、写真を撮るっていう行為はわりと楽しいですからね。特にセッティングやタイミング、いい感じの被写体を見るなど、そこちゃんとこだわれるものほど上手く撮れたときの楽しさがありますから。

恐ろしいことにこれで写真を撮っているうちに、被写体になる新しい車が欲しくなってきて、それでがんばってレースを走るようになるという、写真目的でプレイするという逆転現象まで僕には起きました。

いやー、どこがきっかけでのめり込んでいくかは、人それぞれというか。思いがけないところからも始まっていくのだと痛感しました。

車はそこまで興味はないので手をつけてないんですーっていう人にも、ぜひこの「グランツーリスモSPORT」の「スケープス」は体験してみてもらいたいです。

「グランツーリスモSPORT」のスケープス撮影中の様子

あっ!

「よゐこのマイクラでサバイバル生活」シーズン2こと、

「よゐこのマイクラでサバイバル生活 ~まだ見ぬ大地を求めて~」の第1話公開は、

10月12日15時頃より!

こちらもしっかりチェックですよー!!

ではでは、今回はこのへんで。また来週。