素晴らしきかな魂アイテム
【魂レビュー】進化したアクション・ギミックに加え、コンボチェンジのギミックも実装! 「S.H.Figuarts(真骨彫製法)仮面ライダーオーズ タトバ コンボ」登場
2019年9月2日 13:49
【ライター:稲元徹也】
ゲーム及びホビーを主軸に執筆するフリーのライター。「仮面ライダーオーズ」はリアルタイムではあまり真剣に見ていなかったものの、S.H.Figuartsのオーズは購入。写真はその特典として付属したアンク。オーズのかたわらに置くだけで写真が一気に映える。台座の「UNKH」の綴りの間違いはご愛敬(正しくは「ANKH」)。(絵:橘 梓乃)
特撮ヒーローの魅力的なアクションと、スーツを着るアクターの体型まで意識したプロポーションを両立させるために、骨格から造形を行なう技術を投入したS.H.Figuarts「真骨彫製法」。2014年にシリーズがスタートしてから5年が経過し、昭和・平成両時代の仮面ライダーをはじめとするヒーロー達が、この真骨彫製法によってS.H.Figuarts化されてきた。
光り輝く黄金の鎧を再現した「黄金騎士ガロ」、布製パーツでマントを演出した「仮面ライダーエターナル」や「仮面ライダーウィザード フレイムスタイル」など、同じ真骨彫製法のシリーズでも、表現やギミックにおいてさまざまな進化を遂げている。2019年8月10日に発売されたこの「S.H.Figuarts(真骨彫製法)仮面ライダーオーズ タトバ コンボ」は、真骨彫製法ならではの劇中のスーツに近いシルエットを実現しつつ、オーズ最大の特徴であるコンボチェンジのギミックを搭載している。真骨彫製法のS.H.Figuartsとしては異例の“遊べる”要素を採用したこの製品のレビューをお届けしよう。
マッシブな体型と、こだわり設計のオーズドライバーが冴える
800年前に人間の欲望から作られメダルの怪人グリードと、彼らのコアとなるオーメダルによって仮面ライダーオーズに変身する力を得た火野映司、そして右腕だけが復活したグリードのアンクによるメダルを巡る物語が描かれた「仮面ライダーオーズ」は2010~2011年にかけて放映され、小林靖子氏による、仮面ライダーの映司とグリードのアンクの奇妙な友情や、欲望を象徴するオーメダルの目まぐるしい争奪戦、戦いによって怪人化していく主人公の苦悩といった、ヒーロー番組として盛り上がる要素を盛り込んだ脚本が評価され、放送当時から現在まで高い人気を誇っている。
劇中のキーアイテムとなる「オーメダル」と「オーズドライバー」を使った変身も大きな話題となった。ドライバーに入れたメダルを「オースキャナー」でスキャンすると、「タカ! トラ! バッタ! タトバ、タトバ、タトバ!」(CV:串田アキラ氏)と派手なかけ声と歌が鳴り響き、映司がオーズへと変身する。メダルの種類によってボイスは変わり、特定の組み合わせによる「コンボ」の歌も多数用意されていた。
コンボを劇中同様に再現するオーズドライバーとオーメダルのおもちゃは発売当初から大ヒットとなる。特にオーメダルは、なりきり玩具としての面白さ以外に、アーケードゲーム「ガンバライド」との連動や、コレクションとしての価値も高まって、購入のために朝から量販店に行列ができ、劇中同様の“メダル争奪戦”が繰り広げられる現象が発生したことを覚えている人も多いだろう。
今回発売された真骨彫版のオーズは、劇中の最も標準的なフォームのタトバコンボをモチーフとしている。鳥の翼の意匠のあるマスクに、攻撃的なトラのクローを持つ腕、そして高いジャンプ力を持つバッタの脚という、メダルの種類に合わせたデザインで、模様も特徴的だ。このフィギュアでは模様をモールドで表現し、それに塗装を重ねている。番組放映当時に発売された無印のS.H.Figuarts版のオーズも同様の仕様であったが、この真骨彫版のほうがモールドのエッジがシャープで塗装も美しく仕上がっている。
原型師の長汐響氏が、下記の公式のインタビュー動画でも語っているこだわりのオーズドライバーは、彩色済みのインジェクションパーツで成形されたオーメダルを劇中同様にはめ込めるようになっている。メダルはランナーから切り離す必要があり、当然ゲート跡は残るわけだが、ドライバーに正しい角度で納めることで、それが隠される設計だ。もちろんメダルははめ殺しになってしまうようなことはなく、付属の治具によって取り外しが可能で、専用の手首を使ってオーズに持たせることも可能だ。
付属品は着脱可能なオースキャナーと差し替え用のトラクロー、交換用の手首、そして剣のメダジャリバーが付属する。メダジャリバーはレバーが可動する他に、窓の部分のパーツを差し替えることでセルメダルが装填された状態になるという凝った仕様だ。トラクローの獣的なポーズと、メダジャリバーによる剣戟という、異なるアクションポーズを付けられるのもオーズならではの楽しみである。
真骨彫製法のプロポーションを維持しつつ、コンボチェンジを想定した3分割ギミックを搭載
気になるコンボチェンジのギミックだが、機構としては単純で、首を含めた頭部と、腕を含めた胸部、そして腹部から下のブロックが3分割されるというものだ。さらにこの3分割以外に、ヒジから先とヒザから下も交換が可能で、付属の展開状態のトラクローや、ガタキリバコンボのバッタレッグのような必殺技形態への交換も想定し設計されている。
残念ながら現時点ではバリエーションが発売されていないため、組み替えて遊ぶことはできないが、放映当時発売されていた玩具「オーズコンボチェンジシリーズ」と同等のギミックを、このプロポーションやディテール、可動のもとに実現していることを考えると、今後のラインナップが本当に楽しみになる。
現在はプレミアムバンダイにて、真骨彫製法の「仮面ライダーオーズ ガタキリバコンボ」の受注を受け付けていて、公式サイトではタカ・カマキリ・バッタの「タカキリバ」にコンボチェンジした姿が披露されている。今後ラインナップが増えていけば、待望の亜種コンボをフィギュアで再現できるようになるわけである。
「ラトラーター」、「サゴーゾ」、「シャウタ」、「タジャドル」の各コンボが発売されれば遊びの幅はかなり広がるが、個人的には真骨彫製法での「プトティラコンボ」の造形を見てみたいと思うのだが、いかがだろうか。
真骨彫製法のS.H.Figuartsは相変わらずの人気で、このオーズも類に漏れず、予約の時点からかなり入手は大変だったようだ。筆者はたまたま立ち寄った店頭で受け付けていた予約ができて購入することができたが、受注とまではいかずとも、もう少し供給を増やしてほしいもの。
ウィザードやキバはこのオーズの発売日前後に再販があったようで、SNSや掲示板などで入手したという声も聞こえていたので、このオーズもどこかのタイミングでの再版に期待がかかる。
この真骨彫オーズは、コンボチェンジのギミックはあるものの、オーズ自体のデザインがシンプルで、素体のフィギュアにも近い感覚でポージングを楽しむことができた。2019年8月28日現在、「仮面ライダーオーズ」はいくつかの動画配信サービスで全話が配信されているということもあり、それを見ながらあれこれポーズを付けてみるのは実に楽しく、現代らしいフィギュアの遊び方ということも感じられた。
真骨彫オーズのラインナップは、前述のガタキリバコンボの他、「アンク(腕)」が2020年1月に一般発売されることも決定。さらに公式のインタビュー記事では、アンク人間体が企画されていることも明らかにされた。文中ではアンク人間体を演じた三浦涼介さんの骨格から造形するということにも触れられていて、真骨彫の新たな進化の方向性として、今後の続報に期待しよう。
(C)石森プロ・東映