素晴らしきかな魂アイテム

【魂インタビュー】濃縮されたカッコ良さ、動かしまくれる関節、高級感溢れるカラーリング! 「ネクスエッジスタイル Hi-νガンダム(TOKYO LIMITED Ver.)」

題字:浅野雅世
【第47回 魂アイテム】
「ネクスエッジスタイル [MS UNIT] Hi-νガンダム(TOKYO LIMITED Ver.)」、8月24日より秋葉原のコレクターズ事業部公式ショップ「TAMASHII NATIONS TOKYO」限定で販売されている商品で、価格は3,780円(税込)。情報量の詰まった造形、動かして楽しい関節設計など、手にすることで多くの魅力がより輝く商品だ
【話を聞いたクリエイター】
BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部の相澤歩氏。ネクスエッジスタイルや、ROBOT魂など様々な商品を手がける。今回は大人が訪れる「TAMASHII NATIONS TOKYO」向けの商品とはどういうものが良いのか? というポイントでインタビューを行なった

 BANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の公式ショップTAMASHII NATIONS TOKYOは、秋葉原でその魅力を放つ店舗として人気を集めている。2階のフロアは発売前の商品や、発表されたばかりの試作品を見ることができ、ホビーの“最先端”を感じることができる。

 そしてもう1つの大きな魅力が“店舗限定アイテム”である。今回新製品である「ネクスエッジスタイル [MS UNIT] Hi-νガンダム(TOKYO LIMITED Ver.)」はどういった想いで開発され、どんな魅力を持っているか、コレクターズ事業部の相澤歩氏に話を聞いた。ハイターゲット向けブランドであるTAMASHII NATIONSで、より高級感を意識し、モノ作りの“魂”を感じてもらうために作られたという本商品の注目ポイントに触れていきたい。


シックで落ち着いた白に、メタリックのパープルが輝く高級感をもたらす色合い

 「ネクスエッジスタイル [MS UNIT] Hi-νガンダム(TOKYO LIMITED Ver.)」は、本体にプロペラントタンクのついたバックパック、そして3枚のフィンファンネルが接続されたファンネルコンテナを接続することで組み立て完了となる。ファンネルコンテナの基部はボールジョイント接続なので、フレキシブルに動き、羽を広げた様子や、高機動時の動きのある描写など、豊かな表情付けが可能だ。

 まず最初に質問したのは、本商品をTAMASHII NATIONS TOKYOの限定アイテムにチョイスした理由だ。相澤氏は「ネクスエッジスタイルは海外のユーザーに特に人気が高く、その中でも人気の高い“Hi-νガンダム”をチョイスしました」と語った。

独特な、「頭部が大きい」アレンジされているが、しっかりとHi-νガンダムのカッコ良さが伝わるデザイン。パッと見ただけで強い魅力が伝わってくるエッジの効いたアレンジだ
ファンネルコンテナの基部はボールジョイントで、フレキシブルに可動する

 いわゆる“デフォルメ”とも言えるアレンジはアジアで人気が高い。また限定アイテムとして「ROBOT魂 <SIDE MS> RX-78-2 ガンダム ver. A.N.I.M.E. ~リアルマーキング~」があり、次のガンダムは、というところでのチョイスとのことだ。映画に登場した「νガンダム」ではなく、小説やゲーム作品で活躍する「Hi-νガンダム」という所もユニークと言える。非常に強いキャラクター性を感じさせる商品で、理由を聞くと納得もある。

 そして限定アイテムとしての最大の特徴であるカラーだ。パッと目を惹くメタリックパープルの印象が強いが、相澤氏は塗装されていない“成型色”であるベース部分のシックな白の部分により強い思い入れを持っているという。相澤氏はTAMASHII NATIONS TOKYOを“落ち着いた空間でフィギュアを楽しめる店舗”というイメージを持ち、大人が持っても似合う、シックな色合いのアイテムとなるべく、このカラーを選んだという。

一般販売された「ネクスエッジスタイル [MS UNIT] Hi-νガンダム」との比較。カラーの違いがはっきりわかる
こちらは商品写真。取材での写真はフラッシュで色味が変わっているが、白の成型色も落ち着いた雰囲気がある

 一般販売された「ネクスエッジスタイル [MS UNIT] Hi-νガンダム」は明るい白の成型色ではっきりした白色、というイメージがあった。今回は、グレイ(灰色)を入れた、落ち着いた高級感のある白を目指した。ここにメタリックなパープルを使うことで、色の違いが映えるカラーリングにしたという。白部分も工場側と試行錯誤を繰り返し、成型色で理想的な落ち着いた白を再現。目指したカラーリングを実現できたと相澤氏は語った。

 造形部分での変化はないが、肩のダクトに塗装が入っているなど、細かい部分では彩色箇所が増えているところもあるという。以前販売されたものは現在では入手困難であるため、今回の商品化そのものもうれしいところだ。

頭部の造形は本商品の大きな魅力。情報がぎゅっと詰まっている

 オリジナル版と共通部分であるが、造形はやはり顔のシャープさに目が惹かれる。ネクスエッジスタイルは“デフォルメ”的な手法を使われているが、その造形はエッジを利かせ、情報量も大型商品に負けない緻密さが特徴だ。アンテナの分割線、メインカメラ周辺のデザイン、バルカン側面の穴など、そのリッチな情報量はチェックするほどに新しい発見がある。

 これだけ密度の高い頭部の表現は他の商品以上だろう。「ただ頭部を大きくしたのではなく、その大きさに負けないモールドや情報量を加えています」と相澤氏は語った。“アンテナの大きさ”もネクスエッジスタイルの特徴だという。彩色は他のフィギュアと比べると抑えめだが、細かい造形と密度感でユーザーの満足度を上げることを目指しているとのことだ。実は腰アーマーの裏までモールドが入っていたり、その力のいれ様はぜひチェックして欲しいとのことだ。

現在TAMASHII NATIONS TOKYOでは、ネクスエッジスタイルのガンダム系を集めた展示が行なわれている、それぞれアレンジの方向性の違いと共通項がチェックできて面白い

 もう1つ、「ネクスエッジスタイル [MS UNIT] Hi-νガンダム(TOKYO LIMITED Ver.)」で注目したいのがパッケージである。ディスプレイとして表裏どちらでも飾れるように考えられていて、表はHi-νガンダムのカラーの商品写真、裏面はよりアップのHi-νガンダムと、TAMASHII NATIONS TOKYOのロゴが前面に押し出されている。

 落ち着いた高級感のあるデザインだ。このパッケージデザインはTAMASHII NATIONS TOKYO限定アイテムの共通デザインで、紙質はつや消しのシックなものが使われている。箱のまま飾っておくことも考えた、TAMASHII NATIONS TOKYO一押しのパッケージだという。

裏表どちらも魅力的なパッケージ
パッケージのフォーマットは限定アイテムで統一された、高級感のあるものとなっている


アレンジフォルムでありながら、躍動感のあるポーズを可能とする設計のワザ

 キャラクターとしての魅力、造形の魅力はもちろんだが、相澤氏が最大の魅力としてアピールしたいのが「可動」だという。本商品は見た目以上に良く動く。手足の付け根はボールジョイントで、胸を反らせたり、腿を高く上げたりできる。

 そして肘と膝が曲がるので武器を構えたり、空を飛ぶようなイメージの躍動感のあるポーズをとらせたり、様々なポージングが可能だ。そして何より、「動かして楽しい」のだ。インタビューの間中も相澤氏はひっきりなしにポーズを変えていたし、筆者も打ち合わせの時に色々動かしていた。動かすことそのものが楽しいのだ。

魅力を語りながら、ついつい動かしてしまう。アクションフィギュアとしての楽しさを満喫できる商品である

 「ネクスエッジスタイルはその独特のデザインが目を惹きますが、TAMASHII NATIONSならではの“遊び”を重視しています。ROBOT魂などのノウハウも盛り込み、動かして遊んで楽しい商品を目指しています」と相澤氏は語った。

 筆者がネクスエッジスタイルで感心させられたのは足の付け根の接続軸だ。この軸が単純に十字の足を平行に接続する方式ではなく、コの字型のように前方に曲がっている。そして基部をボールジョイントにすることで足の可動域が広くなっている。

足の軸のデザインは、広い可動域をもたらす
首は引き出し関節になっており、見上げたり、見下ろすポーズが可能

 また首も折りたたまれたパーツが入っているため、デザイン以上にうつむかせたり、前を向かせたりできる。首も位置を調節し、見る角度を決めることで、自然な角度に見える。触ることで、非常に凝ったアイディアが様々な所に盛り込まれているのがわかるのだ。こういった可動設計はネクスエッジスタイルの開発初期からすでに盛り込まれているもので、様々なキャラクターに対応するための設計だという。様々な体型のキャラクターに対応でき、広い可動域を持たせた設計にしていると相澤氏は語った。

 相澤氏のお気に入りの部分が“全体のバランス”。デフォルメフィギュアは頭部分以外は小さくまとまりがちだが、ネクスエッジスタイルは比較的手足が長い。このフォーマットによる遊びごたえが大きなセールスポイントだと相澤氏は強調した。また、商品にスタンドが標準でついているため、フィギュアを浮かせた状態で飾ることができるのもウリの1つだ。

足首の可動域の広さにより、浮遊した感じにできる。ファンネルコンテナとプロペラントタンクもバランスが良い

 長めの手足はつま先を伸ばした浮遊ポーズを印象づける。Hi-νガンダムはプロペラントタンクと、ファンネルコンテナで身体の中心から放射状にパーツが広がっている。浮遊したディスプレイが似合うキャラクターと言える。そして縮尺として大きめな武器がポーズの派手さをさらに増してくれる。手足を伸ばし、そして肘膝を曲げて大胆なポーズがとれ、浮かせて飾ることができるアイテムなのだ。

 「浮かせて飾る際の、下を向ける頭の動きが特に好きだ」と相澤氏は語った。首を一旦伸ばし、顎を引いた状態にしてから首関節を調整することで、グッと顎を引いた形にできる。下を向き射撃を行なうポーズは本商品の特性を活かしたカッコイイポーズだという。首の可動によるポーズの幅の広がりは、ぜひ体験して欲しいところだと相澤氏は語った。

相澤氏お気に入りの、撃ち下ろしのポーズ

 ユーザーへのメッセージとして相澤氏は「ネクスエッジスタイルは11月にブランド立ち上げから5周年となります。皆さんが応援していただいて下さるからこそ迎えられると思っています。昨今は『魔神英雄伝ワタル』や『エヴァンゲリオン』シリーズが充実していますが、今後さらに色々なキャラクターにチャレンジしていきたいと思っているので、ご期待下さい」と語りかけた。

 ネクスエッジのフォーマットは筆者自身も魅力的に感じていたが、今回改めてHi-νガンダムのカッコ良さと、本商品のバランスを目にして、感心させられた。TAMASHII NATIONS TOKYOで他の商品に負けない人気商品になるのではないだろうか。このカッコ良さは、手にしたいというユーザーも多いだろう。