レビュー

「三國志8 REMAKE」レビュー

遊び方は無限大!! 美麗なグラフィックスで蘇る三国志の世界を自由に飛び回ろう!

【三國志8 REMAKE】

10月24日 発売予定

価格:9,680円(税込)

※Windows版のみ10,780円(税込)

 コンピューターゲームがまだ出始めた頃にパソコン用ソフトとして登場し、以来40年近くにわたってプレイヤーを楽しませ続けてきた「三國志」シリーズ。「三國志」シリーズは、プレイヤーが歴史小説「三国志演義」に登場する君主(勢力のリーダー)の1人となって、中国大陸の統一を目指すウォー・シミュレーションゲームの一種だ。2020年には、シリーズ35周年記念作品として「三國志14」が発売された。

 そんな「三國志」シリーズが、長い歴史の中でも初となる大規模リメイクを実施した。リメイクに選ばれたのは、2001年にリリースされた「三國志VIII」。「三國志8 REMAKE」として、10月24日にじつに20年以上の時を経て蘇ることになった。

 今回は、すべてのナンバリング作品をプレイしてきた筆者が「三國志8 REMAKE」をプレイ。新たに生まれ変わった「三國志VIII」の姿をお届けする。かつて「三國志VIII」を遊んだオールドファンも、今作で初めて三国志に触れる新規ユーザーも、本レビューをご一読いただければ幸いだ。

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「三國志」シリーズの歴史と"全武将プレイ"の登場

 さて、レビューに入る前に、まずはシリーズの歴史について簡単に説明しよう。本シリーズの初代となる「三國志」が登場したのは約40年前の1985年。当時のSLGはまだテーブルゲームやボードゲームが主流で、コンピュータを使ったSLGは日本人にはほとんど馴染みがなかった。

 また、三国志自体も今ほど知名度が高かったわけではない。筆者もまだ小学校に通っていた頃であったが、三国志の存在を知っている友人は誰もいなかった。そんな時代にあって三国志を題材にした歴史SLGを製作し、しかも1つのジャンルとして確立した光栄(現:コーエーテクモゲームス)の功績は大きい。

最近のナンバリング作品は歴史的な事実も重視されるようになったが、初期の頃はフィクションがふんだんに盛り込まれている小説「三国志演義」がベースになっていた

 その後、シリーズは時代とともにナンバリングを重ねてきたが、7作目にして前代未聞のシステムにより新たな「三國志」が姿を現わした。それが本作でも採用されている"全武将プレイ"である。

 通常の歴史SLGは、プレイヤーが君主の1人になって他の勢力を倒していき、舞台となる世界を統一するのが目的だった。逆に言えば、君主以外の武将はCPUが担当することになる。しかし、全武将プレイでは君主のみならず、すべての武将をプレイアブルキャラクターとして選択することができるのだ。

 その仕組みを、三国志の中でも人気の高い関羽という武将を例にして説明しよう。関羽ファンのプレイヤーであれば、プレイ開始時に彼の主君である劉備を選ぶケースが多い。しかしその場合、プレイヤーが操作するのはあくまで劉備であり、関羽が別の勢力の配下になってしまえばそれまで。実際、本作では関羽が劉備の配下ではないシナリオもある。

西暦200年に起こった戦いで、関羽は一時的にではあるが、中国の中央あたりを支配していた勢力に降伏している。それからしばらくのあいだは、劉備軍ではなく、その勢力の武将として出陣していた

 しかし、全武将プレイなら君主はもちろんのこと、都督(複数の都市をまとめる大規模な軍団のリーダー)に軍師(君主にアドバイスをする策士)、太守(1つの都市のリーダー)から一般武将まで、身分に関係なく好きな武将を選択可能。さらに、主君を持たない武将(在野武将)としてもプレイでき、これはかつてない画期的なシステムだった。

 君主プレイにおけるゲームの目的は、他勢力の全滅や中国大陸の統一だが、全武将プレイになって無数の遊び方ができるようになった。自分が所属している勢力が中国大陸を統一できるように君主の命令を実行していくのが本筋だが、一切の命令を無視して他の武将と交流することもできる。また、わき目もふらずに主人公のステータス上げに終始し、最強の武将を目指すこともできる。あるいは、反乱を起こして君主の座を奪ったり、君主の配下を辞めて悠々自適の生活を送ることもできるのだ。この自由度の高さこそが、全武将プレイの真髄であり魅力であった。

「三國志8 REMAKE」のゲームの流れ

 続いて本作がどういうゲームなのかを説明していこう。本作は、三国志に登場する武将の1人となって周囲にいる敵対勢力をすべて倒し、中国大陸を統一することが主な目的だ。

 プレイヤーが行なうことは立場によって異なり、君主でプレイするのであれば配下武将に内政や人事、ときには戦争を命じて他勢力を倒していく。もちろん、君主自身が出陣することも可能だ。

君主として国を運営していく

 一方、配下武将でプレイするのであれば君主に指示された命令を実行して自勢力を優位に導くのが基本となる。命令を実行すると効果に応じて功績が溜まっていき、一定値になると昇進できる。誰よりも出世することを目標にしてゲームを進めるのも遊び方の1つだ。

配下武将では、君主のためにどう行動するかを選んでいくことになる

 また、勢力に所属していない武将は「在野武将」と呼ばれ、とくに決まった目的を持たない。他の武将と交流して友人を増やしてもいいし、ひたすら自分を鍛えてステータスMAXを目指してもいい。中国各地の都市を訪れ、市民からの頼まれごとをひたすら解決していくのも面白い。

 そのほか、強大な勢力に加えてもらったり、逆にあえて弱小勢力に入って大番狂わせの逆転劇を狙うのもありだ。もちろん、自分自身が旗揚げして勢力のリーダーとなり、中国大陸の統一を目指す手もある。無限大の遊び方が用意されているのは、リメイク前から変わっていない。

特定の勢力に所属していない在野武将までもプレイ可能だ

 君主としてプレイする場合、何はともあれ配下武将を集めることが最優先事項。内政・人事・外交・戦争など、すべてを主人公1人で行なうことはできないからだ。まずは近隣の都市を見回って武将を探し、自分の配下にスカウトする。そして、配下となった武将たちに内政や人事を担当させて自勢力を強くしていこう。

 ゲームは1カ月ごとのターン制だが、季節の変わり目(1月、4月、7月、10月)には評定と呼ばれる会議がある。君主の場合は配下武将の誰に内政を担当させるかを決めることができ、配下武将の場合は自分が担当したい内政部署を名乗り出ることが可能。ただし、必ずしも名乗り出た部署に配属されるわけではなく、最終的な判断は君主が行なうことになる。このあたり、現実社会ともリンクしている絶妙の設定だと言えるだろう。

 また、戦闘も評定時にのみ実行可能。配下武将のときは君主に戦闘を仕掛けるように提案し、OKが出れば対象勢力に攻め込んでいける。逆に君主が首を縦に振らなければ、どんなに勝てそうな相手であっても攻め込むことができない。

新生した「三國志8」の主要システムを紹介

 本作のシステムは、オリジナル版の「三國志VIII」を基本としながらも、大幅に変更されたり新たに搭載されたものも存在する。ここでは、本作の中枢を担うシステムを紹介しよう。

登場武将

 オリジナル版で選択できる武将は約550人、「三國志VIII with パワーアップキット」ではさらに約60人が追加され、600人オーバーとなった。これだけでも十分に遊びごたえがあったのだが、本作ではさらに多くの武将が追加され、選べる武将はじつに1,000人。単純に1人1回ずつ遊んだとしても1,000回遊べる計算である。

膨大な人数がいるため、目的の武将を見つけるのも一苦労。そんなときは、武将一覧の画面からソート機能を利用すれば探しやすい

 さらに本作は収録しているシナリオも、シリーズの中でダントツに多い。同じ武将でもシナリオによって所在地や所属勢力、時には立場も違ってくるため、シナリオごとに異なる物語を楽しめるのだ。

 なお、新規開始の時に「おすすめから選択」を選べば、武将診断をしてプレイヤーにオススメの武将とシナリオをセットで教えてくれる。誰でプレイするかを迷ったときには、試してみるのも手だ。

「おすすめから選択」では本作案内役の小鈴が、君主・都督・太守・軍師・一般武将・在野武将の6通りからプレイスタイルに合った武将を選んでくれる

親密度

 どのナンバリング作品においても言えることだが、全武将プレイでは人間関係こそが最重要ポイントとなる。では、本作ではその人間関係をどのようなシステムで表現しているのだろうか。

 プレイヤー武将である主人公には、中国各地にいる武将たち1人1人とのあいだに"親密度"が設定されている。親密度はゲージで表され、同じ勢力の武将や血縁武将などを除き、最初はゲージが0(お互いに面識がない「未知」の状態)だが、その武将の自宅を訪れたり城下町などで会ったりするとゲージが増加して関係が「知己」へ変化。その後も、会話を重ねるにしたがってゲージが増加し「好意」→「信頼」と発展していく。

画面右上(相手武将の名前の下)に表示されているのが親密度ゲージ。基本的には交流を行なうたびに少しずつ上昇する

 ゲージが最大まで溜まった状態で友情の証というアイテムを贈ると、親密度が最終段階の「敬愛」に到達。その際には、主人公が新たな技能を身に付けられる「〇〇の心得」というアイテムを受け取れる。なお、アイテム入手後も親密度は「敬愛」のままだが、ゲージはゼロまで戻るため、再び満タンにすれば何度でもアイテムを受け取れることが可能だ。

「〇〇の心得」は親密度が「敬愛」になった武将からもらえるほか、いろいろな機会に手に入る。消費を惜しむよりもガンガン使って新たな技能を身に付けたほうがいい

 親密度が「信頼」以上の武将は内政時に協力してくれたり、戦闘時に主人公とともに連携攻撃をくり出してくれることがある。そのため、親密度が高い武将が増えれば増えるほど、都市のステータスを効率よくアップでき、戦闘でも有利に戦うことが可能。なお、通常いったん上がった親密度が下がることはないが、反乱や追放など「その武将にとって極端に不利益な行為」を行なうと、マイナス方向に振れる場合がある。

宿命

 宿命も人間関係を表すシステムの一種。「三國志14」の親愛武将・嫌悪武将を発展させたものだと考えるといいだろう。宿命には「相生」と「相克」があり、相生は互いが互いのために生きることを言う。固い友情で結ばれた一蓮托生の間柄だ。

 自宅や町で会話をしたり狩りや釣りに出掛けたりして武将と交流していると、共鳴が発生することがある。共鳴が計4回発生すれば、その武将とのあいだに宿命が生じて相生関係になるのだ。

共鳴が発生するかどうかは運次第(厳密には運ではないが)。プレイヤーがコントロールできないため、特定の武将と相生関係になりたければ根気強く交流を続けといい

 相生関係にある武将も内政面・軍事面に渡って主人公に協力してくれるほか、その確率も、単に親密度が高いだけの武将よりも高いように感じた。となれば、相生武将が多ければ多いほどゲームを有利に進められるようになっていく。よって、いかに多くの武将と相生関係を結ぶかが、ゲームクリアの大きな鍵を握ることは間違いない。

義兄弟や配偶者も、相生関係の一種。親密度を敬愛にして会話すれば必ず関係が成立するため、どうしても共鳴が発生しない武将と相生になりたいときの手段としても利用できる

 一方、「相克」とは、相手に克つために争うこと。つまり、互いが互いを嫌悪するような犬猿の仲を言う。

 統率・武力が高い武官系や、知力・政治力が高い文官系のような同じタイプの武将同士が戦場で攻撃し合うと相克関係になりやすい。それに加えて、武将同士の相性が影響していると思われる。

相克関係は、おもに戦場で発生する。相克関係になると戦場で主人公を優先的に狙ってくるようになるほか、面会にも応じてくれない

 ちなみに筆者がプレイした限りでは、相克関係になるのは互いの武将がそれぞれ別の勢力に所属しているときのみ。相性が悪い武将同士でも、同じ勢力に所属しているときに相克関係は発生しなかった。むろん、それらの武将が別勢力に分かれて戦争で攻撃し合った場合は、相克関係に発展する可能性が高い。

演義伝

 「演義伝」は、簡単に説明するならば「任意のタイミングで任意のイベントを発生させるシステム」だ。これまた画期的な新要素と言えるが、これだけではイメージしづらいであろうから、三国志でもっとも有名と言われているエピソードの1つ「桃園の誓い」というイベントに的を絞って解説しよう。

桃園の誓いとは、劉備・関羽・張飛という3人の武将が義兄弟になり、劉備を主君として1つの勢力を結成するイベント。小説にのみ登場するフィクションながら三国志において非常に有名なシーンの1つと言われている

 「三國志14」などでは、オープニングムービーが終わると自動的に「桃園の誓い」イベントが発生し、その後プレイヤーにターンが回ってきて実際に操作していくことになる。つまり、実質的には桃園の誓いが行なわれたあとの状態からゲームがスタートするわけだ。

 対して、本作では「桃園の誓い」を任意のタイミングで発生させることが可能だ。これによってプレイの自由度は劇的に高くなる。一例を挙げると、関羽と張飛のスカウトだ。

 武力や統率といったパラメータが極めて高い2人をスカウトしたいのは誰しも同じだろうが、桃園の誓い後は3人の絆が強固になり、彼らを登用するのは現実的ではない(というよりも不可能)。しかし、本作では「桃園の誓い」を発生させずに物語を進めることができる。

 つまり、3人が桃園で契りを結ばなければ、彼らを登用できる可能性も格段に高くなるというわけだ。しかも、本作では武将同士の相性差は、登用にそれほど大きく作用しない(相性が極端に悪い嫌悪武将でも、親密度さえ上げれば簡単に登用できる)。あくまで一例に過ぎないが、演義伝の採用によってプレイの幅がどれほど広くなるかはお分かりいただけたことと思う。

演義伝のなかには、水鏡先生という人物が主人公の自宅を訪れて、本作のシステムを解説してくれるチュートリアル的なイベントも存在する
演義伝をうまく利用すれば、仲の悪い武将同士が義兄弟になることも可能。プレイヤーの発想次第で、さまざまなifストーリーを作り上げることができるのも本作の魅力だ

マップに大きな変更が施されスピーディーな決着が可能になった戦闘システム

 ウォーSLGの要であり、どのナンバリング作品においても必ず実施することになるのが戦闘だ。ここではオリジナル版から大きく変更されたマップと防衛施設、一騎討ちの3つについて解説する。

マップ

 オリジナル版の「三國志VIII」はとにかく戦場が広かった。スケールの大きい三国志の世界観にはピタリとマッチしていたが、敵に近づいて攻撃する際にマップが広いぶん時間が掛かっていたのも事実。筆者はゆっくりじっくりプレイするスタイルだったため、気になったことは一度もなかったが、あまりにも広い戦場にテンポの悪さを感じたプレイヤーもいたことだろう。

 本作の戦闘マップの広さは、狭からず広からずの程良いスケール感。また、オリジナル版では「コマンドを開く→移動を選択→実際に移動」という流れだったのに対し、本作では順番が回ってきた武将が最初から移動できる状態になっている。移動自体も極めてスムーズで、全体的に快適さを追及しているように感じた。

戦闘は、攻撃側→守備側の順で交互に行動するターン制。六角形のマスを移動しながら、敵部隊を絶滅させるか、敵本陣を陥落させたほうの勝利となる

 さらに戦闘自体もスピーディー。戦場がそれほど広くないことと部隊の機動力が高いことが、結果的に戦闘の展開を早めている。戦闘は1日ごとに進行するターン制で、30日(1カ月)経っても決着がつかない場合は守備側(攻め込まれた側)の勝利になるが、時間切れになることはまずないと思っていい。

防衛施設

 戦場には、櫓・門・狼煙台といった守備側の防衛施設が建っている。櫓と門は攻め込んできた敵部隊を矢などで攻撃し、狼煙台は味方部隊の戦意を高める効果を持つ(門は、敵の移動を妨げる効果もある)。

 攻撃側からすると、これがじつに煩わしい。絶妙な位置に配置されているため、避けようにも必ず櫓や門の攻撃が届いてしまう。かといって破壊しようにも耐久力が高く、それなりの被害が生じてしまう。

櫓や門は、施設から3マス以内に敵部隊がいると自動的に攻撃してくれる。攻撃する側は、敵と戦う前にまず防衛施設と戦わなければならない
防衛施設は固定されているが、罠は複数の候補から仕掛ける場所を選ぶことができる。「自分だったら、どのルートで攻めていくか?」を考えて位置を決めよう

 そのため、本作の戦闘では必ずしも兵士の数が多いほうが勝つとは限らない。ステータスの高い武将をそろえて、防衛施設を十分に活用しながら戦えば、かなり兵力差がある勢力とも互角に戦えるようになるのだ。

一騎討ち(舌戦)

 「一騎討ち」も大きな変更が施された要素の1つ。オリジナル版ではコマンドを選択して闘うRPGのバトルに近い形式だったが、本作では「札」を使って闘う。ちなみに本作では「知力の高い武将の一騎討ち」とも呼べる「舌戦」が追加された。勝負に影響を与えるステータスこそ異なるが(一騎討は武力、舌戦は知力)、ルールは一騎討ちと同じだ。

 まず、勝負開始時に両者のうち、影響ステータスが高いほうが相手を一方的に攻撃してダメージを与える。その後、計5ターンの札勝負へと移行。1~5の数字が書かれた札がランダムで配られ、それを出し合ってダメージを与えていく。

最初の一撃で与えるダメージは、ステータスが高いほど大きくなる。ステータスが高い武将と低い武将が一騎討ちや舌戦を行なうと、最初の一撃だけで勝負が決まることも珍しくない(勝負自体はそのまま続くものの、その後どうやっても挽回できない)

 同じ数字の札は複数枚まとめて出せるほか、連続した数字の札も3枚以上なら出すことが可能(1・2・3や2・3・4・5などは出せるが、1・2や2・3は不可)。お互いが出した札の枚数が多いほう(札の枚数が同じだったときは札の数字が大きいほう)が相手へダメージを与える。これをくり返して5ターンが経過するか、どちらかの体力が尽きると勝敗が決まる仕組みだ。また、単体では出せないものの、札の数字を倍増する「必殺」というカードも存在する。

ステータスの差が近いと、ただ漫然と強い札を出すだけでは勝つのは難しい。次に来る札を見つつ、どのターンを捨てて、どのターンでダメージを与えていくのか、先の展開を読む力が必要になる

 互いの武力や知力に差があり過ぎると、どうやっても逆転できない消化試合になってしまうが、武力や知力の数値が近い者同士で闘うとかなり熱い戦いを楽しめる。1ターン目から大ダメージの先制攻撃を仕掛けるか、それとも数字の大きい札を温存するのか、はたまた最大ダメージ(1・2・3・4・5+必殺)を狙って札の数字を整えに行くのか。ターンごとに次に来る札や敵の手持ち札を考慮しなければならないため、戦略性が非常に高い。

「三國志8 REMAKE」式遊び方を紹介!

 ここでは、本作の遊び方の一例をご紹介しよう。もちろん、従来の「三國志」シリーズのように中国統一を目指してもいいが、せっかくの全武将プレイなのだから、それだけではもったいない。

 筆者がよく遊んでいたのは、人材収集を重視したプレイだ。まずは在野武将や未発見武将の数が多い序盤のシナリオを選び、ゲームが開始したらすぐに配下武将を辞めて在野武将になる。このときに放浪軍(領地を持たない勢力)を結成しないのがポイント。放浪軍を結成すると、自拠点を移動させる際に隣接した都市までしか行けなくなってしまうからだ。

勢力(放浪軍は除く)に所属していると、移動したり自拠点を移転しようとしても隣接都市までしか行けない
放浪軍は自拠点の移転こそ隣接都市のみだが、単なる移動であれば制限がない
放浪軍ですらなく完全に放浪の身なら、移動はもちろんのこと、自宅の移転も思いのままだ

 そして、好きな都市に移転したら放浪軍を結成する(旗揚げはしない)。これで「自宅の周囲に強力な敵勢力がなく、かつ遠く離れた都市にも移動できる状態」が整った。あとは、とにかく在野武将がいる都市を訪れ、配下にスカウトしては勢力を強化していこう。

放浪軍を結成するのはどこでもいいが、できるだけ他の勢力から離れた場所にしておくと、旗揚げ時に苦労せずにすむ

 いわゆる無双プレイと呼ばれる遊び方の一種だが、これが非常に面白い。ステータスが極端に高い武将をスカウトできたときには、戦闘の勝利や勢力の拡大とは一味違った感動がある。また、ステータスにこだわらず、とにかく自分が好きな武将を集めるのも楽しい。

強い武将を自勢力の配下にすれば、そのぶん他勢力からは強い武将がいなくなる。敵より兵力が少なくても互角に戦え、敵より兵力が多ければ圧倒的に勝てる

 制作者がインタビューで本作が持つ懐の広さについて語っているのを見たことがあるが、これほど自由な遊び方ができるのには驚いた。もちろん、これは1つの例に過ぎない。工夫しだい・発想しだいで、遊び方はまだまだ広がっていくはずだ。

【総評】無限に広がる三国志の世界! 自由度の高い新「三國志8」を遊び尽くそう!!

 さて、ここまで本作のシステムを紹介してきたがいかがだっただろうか。本作をプレイしていて感じたのは、とにかくゲームの遊び方が何通りも用意されているということだ。

 ゲームとしてのクリア条件は自勢力の中国統一だが、遊び方は決してそれだけではない。主人公を最強にするためにひたすらステータスを上げても良し。好きな武将との交友を深めて、ゲームならではの人脈を築いてもよし。あるいは演義伝を駆使して自分だけのオリジナルストーリーを作り上げていくのも、また良しだ。

 また、イベントの数自体が膨大なため、何度プレイしても楽しめる。主人公となる武将が変われば新たな発見があり、主君か配下武将か在野武将なのかの立場が変われば未知の驚きがある。一度や二度クリアしたところで底が見えない、奥の深いゲームと言えるだろう。

 シリーズの歴史に新たなる境地を切り開いた一作。三国志が好きなゲーマーであれば、ぜひ一度は触れてみることをお勧めしたい。