レビュー
「PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット」レビュー
「PULSE 3D」から装着感・音質が進化。「PULSE」シリーズの機能全部入りのヘッドセットに
2024年2月15日 23:00
- 【PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット】
- 2月21日 発売予定
- 価格:18,980円
2023年11月からリモートプレイ専用機「PlayStation Portal リモートプレーヤー」やワイヤレスイヤホン「PULSE Explore」といった新たな純正周辺機器が続々と登場しているPS5。このPS5ファミリーに新たに加わるのが「PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット」だ。
本製品は、現在販売されているPS5純正ヘッドセット「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」の上位機種。ただデザインを変えただけではなく、ドライバーの刷新や新たな無線規格「PlayStation Link」への対応、装着感の向上など、「PULSE」という名前以外の共通点がないといっても過言ではない製品に仕上がっている。
そこで本稿では、SIEより発売前に製品が到着したため「PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット」のレビューをお届け。着け心地や音質、PS5と同時発売された「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」との比較など、本製品の特徴を紹介していく。
「PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット」スペック | |
---|---|
駆動方式 | 平面磁界型(プレーナーマグネティックドライバー) |
ドライバーサイズ | 非公表 |
接続方式 | PlayStation Link、Bluetooth(デュアルデバイス接続対応) |
マイク | 格納式、AIによるノイズリジェクション機能搭載 |
バッテリー | 最大20時間 |
充電時間 | 約2.5時間、10分間の充電で約2時間使用可能 |
イヤーパッドが大型化! 「PULSE Elite」の特徴的な外観や装着感をチェック
まずは「PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット(以下、PULSE Elite)」について簡単に紹介したい。本製品は、PS5のオーディオ周辺機器に冠されている「PULSE」ブランドの新製品で、初期型PS5と同時に発売された「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット(以下、PULSE 3D)」の上位機種にあたる。PS5での使用に最適化されているが、PCやモバイル機器でも使用できる。
PS5は、独自の3Dオーディオ技術「Tempest」によって「良質なゲームサウンド体験」を謳うなど、サウンド体験の向上を果たしている。「PULSE」シリーズはこの「Tempest」に最適化されていて、気軽に3Dオーディオを体験できるのが特徴だ。1万円台前半と廉価な「PULSE 3D」、上位機種の「PULSE Elite」、完全ワイヤレス型の「PULSE Explore」と純正のオーディオ機器が幅広く用意されているのは、ゲーマーにとってもメリットだ。
PULSE Elite | PULSE 3D | PULSE Explore | |
---|---|---|---|
発売時期 | 2024年2月 | 2020年11月 | 2023年12月 |
形状 | ヘッドフォン | ヘッドフォン | イヤホン(左右分離型) |
価格 | 18,980円 | 12,980円 | 29,980円 |
駆動方式 | 平面磁界型(プレーナーマグネティックドライバー) | 非公表 | 平面磁界型(プレーナーマグネティックドライバー) |
ドライバーサイズ | 非公表 | 非公表 | 非公表 |
接続方式 | PlayStation Link、Bluetooth(デュアルデバイス接続対応)、3.5mm端子 | 2.4GHz RF、3.5mm端子 | PlayStation Link、Bluetooth(デュアルデバイス接続対応) |
マイク | 格納式、AIによるノイズリジェクション機能搭載 | 内蔵×2、独自のノイズキャンセリングテクノロジー搭載 | 内蔵、AIによるノイズリジェクション機能搭載 |
バッテリー | 最大20時間 | 最大12時間 | 最大5時間、充電ケースを用いて最大10時間 |
充電時間 | 約2.5時間 | 約3.5時間 | 約40分(イヤホン本体) |
パッケージは、これまでのPS5ファミリーと同様に白地に製品画像がデザインされたシンプルなもの。箱は引き出し式で、パッケージ下面から中箱を取り出すとスタートアップガイドが現われ、その下には「PULSE Elite」本体と「PlayStation Link USBアダプター」が鎮座している。
付属品は、充電用のUSB Type-A to Type-Cケーブルやセーフティーガイドのほか、新たに「チャージングハンガー」を同梱。実は「PULSE Elite」のヘッドバンド部分には充電端子があり、この「チャージングハンガー」にヘッドフォンを引っ掛けると充電することができる。例えば、いつもヘッドフォンを置いている場所にチャージングハンガーを設置しておくと、“USBケーブルを挿して充電する手間”を省くことが可能だ。
だが、スタンドは無いのでネジなどで壁に固定する必要がある。固定方法は同梱の「マウンティングフック」をネジなどで装着し、チャージングハンガーをフックに引っ掛けるだけ。賃貸などで壁に穴を開けられない方は、別途サードパーティ製の固定スタンドが発売されるのを待とう。
「PULSE Elite」本体は「PULSE 3D」を進化させたようなデザインで、横から見ると「S」字に見えるアームが特徴的。右手側にはステータスLEDや電源ボタン、音量ボタン、USB Type-C端子、3.5mmイヤホンジャック端子が並べられていて、左手側には格納式のブームマイクを備えている。また、マイク付近にはミュートボタンとLEDを搭載していて、瞬時にミュートしているか判断できとても便利だ。
実際に「PULSE 3D」と比較してみると、操作ボタンが「PULSE 3D」では左手側に集中していたが、「PULSE Elite」では右手側に移動していたり、イヤーパッドが若干大型化しているなど大きな違いがある。重さを測ってみたところ「PULSE 3D」は294g、「PULSE Elite」は337gとなり、43gほど増加している。
装着してみると、すぐに「PULSE Elite」と「PULSE 3D」の違いに気付く。「PULSE 3D」ではイヤークッション内部の空間が狭いと同時に浅く、筆者の場合耳がハウジングにあたっていたのだが、「PULSE Elite」ではイヤークッション内部の空間が広くなり、クッション部分が厚くなったため耳がハウジングにあたらなくなった。またクッションも程よく柔らかくなっていて、耳周辺への負荷も軽減されている。
重量は43g増加しているが、今回の検証で気になることはなかった。「PULSE 3D」と同様にヘッドバンドが二重構造になっていて、装着すると頭のサイズに応じて無段階でスライドしていくが、こちらも保持力は十分で、軽く頭を振ってもズレるようなことはない。
さて、次項からは実際に「PULSE Elite」を使っていく。「PULSE Explore」に次いで採用された「プレーナーマグネティックドライバー」や3Dオーディオの体験など、PS5で使ってみてわかった「PULSE Elite」の特徴を紹介していきたい。
低音域は“控えめ”? PS5で「PULSE Elite」を実際に使ってみた
ここからは実際に「PULSE Elite」を使ってみた様子をレポートしていく。「PULSE Elite」はリモートプレーヤー「PlayStation Portal」にて初採用となった無線規格「PlayStation Link」またはBluetoothによる無線接続、3.5mmイヤホンジャックによる有線接続に対応している。
PS5で使用する場合は「PlayStation Link」で接続。付属の「PS Link USBアダプター」をPS5に挿し、「PULSE Elite」を起動すると自動的に接続される。なお、既に「PULSE Explore」を購入していて「PS Link USBアダプター」をPS5に接続している場合は2つ挿す必要はなく、アダプターのボタンを押して「PULSE Elite」の電源ボタンを8秒間長押しすればペアリングされる。
「PULSE Elite」を起動してみると、早速デバイスソフトウェアのアップデートが促された。画面の指示に従って5分ほど待つとアップデートが終了し、「PULSE Elite」のガイドツアーが開始される。ここで操作方法を学べるので、しっかりと覚えておこう。
まず最初にプレイしたのは、2月1日に発売されたばかりの「グランブルーファンタジー リリンク」。ソーシャルゲームの代表格といえる「グランブルーファンタジー」の世界観をもとにした本格派アクションRPGだ。
ゲームを進めていくと、“低音域がおとなしい”ことに気付いた。「PULSE Elite」は、先に発売された「PULSE Explore」と同じくカスタム設計の「プレーナーマグネティックドライバー」を搭載。これは別名「平面磁界型ドライバー」と呼ばれていて、数万円から数十万円するようなヘッドフォンで採用例が多い。それを1万円台後半のワイヤレスゲーミングヘッドセットで採用するというのはあまり例がない。
「PULSE Explore」は低音域から高音域まで満遍なく鳴っていたが、「PULSE Elite」は中音域から高音域が際立っていて、オープニングムービーでの爆発音や大きなモンスターの足音など、ここぞという場面で低音域がおとなしい。だが、中音域から高音域は鮮明に鳴っていて、エフェクトの音やBGMは明瞭に聞こえてくる。「PULSE Elite」は、良く言えば“中音域から高音域が得意な煌びやかな音”、少し悪く言えば“若干迫力に欠ける乾いた音”という印象だ。
同じような場面を「PULSE 3D」で聴くと、こちらは低音域がしっかりしている一方、中音域から高音域に鮮明さがないように感じた。このあたりは「プレーナーマグネティックドライバー」やロスレスオーディオを実現した「PS Link」対応の「PULSE Elite」の威力が発揮されている。
また音の定位がよく、様々な方向から音が聴こえてくる“3Dオーディオ”への最適化もばっちり。戦闘中に聴こえてくる仲間たちの声やモンスターの鳴き声、街中を歩いているときに聴こえる住民たちの声など、音の方向や高さがしっかりと伝わってくる。
続いてプレイしたのは、バトルロイヤルゲーム「Apex Legends」。2月14日よりシーズン20「ブレイクアウト」が開幕し、PS5での120FPSゲームプレイが可能になるなど、大きなアップデートが施されたばかりのタイトルだ。
「Apex」といったシューター系のタイトルは、銃声や敵の足音といった中音域が重要になってくる。その点「PULSE Elite」は中音域が聴き取りやすく、3Dオーディオの効果もあってグレネードが爆発した方向など、前後左右・上下の音の位置がわかるため、実戦においても威力を発揮していた。だが、低音域を抑えているせいか、グレネードの爆発音が乾いた音に聞こえる場面もあった。
低音域については、1月24日配信のPS5のシステムソフトウェアにて使用可能になった「PULSE」シリーズの「イコライザー」機能を用いて、低音域の量を増やすという方法がある。デフォルトの「標準」のほか「ベースブースト」と「シューター」が用意されていて、さらにユーザー好みの設定にできる「オーディオモード」も3つ用意。ここで自分好みのプロファイルを作ると、全てのゲームでプロファイルが適用される。
筆者の場合、低音域を少し増やしつつ高音域を若干控えめにすると好みの音になった。これによって、グレネードが爆発する際の低音域を感じ取れるようになり、迫力のあるゲームサウンドが楽しめた。「PULSE Elite」のデフォルトは少し繊細な音のため、イコライザーで自分好みの音にするという手段も全然アリだ。
最後にマイクについても検証を行った。今回はフレンドに協力してもらい、PS5経由でボイスチャットツール「Discord」に参加し「PULSE Elite」と「PULSE 3D」それそれのマイクの音質をテストしてもらった。
その結果、ハウジング内にマイクを内蔵している「PULSE 3D」は声が遠くボリュームを上げないと聴き取りにくいが、ブームマイクを採用している「PULSE Elite」はボリュームを上げなくても声がハッキリと聴こえるとのことだった。筆者も録音したデータを聴いてみたが全くの同意見で、かつ「PULSE Elite」の方が声が若干クリアに聴こえるようになっている。
筆者は普段USB接続のマイクを使用していて、さすがに外付けマイクの音質には敵わないが、フレンドとゲームをプレイする分には全く支障がないレベルだ。
「PULSE 3D」との差は約6,000円。コストパフォーマンスの高さが魅力の「PULSE Elite」
ここまで「PULSE Elite ワイヤレスヘッドセット」のレビューをお届けしてきた。「PULSE」シリーズ第3弾として、初期の「PULSE 3D」から装着感を改良しただけでなく、プレーナーマグネティックドライバーや「PlayStation Link」の採用など、まさに「PULSE」シリーズの機能を“全部入り”したヘッドセットになっている。さらに、2万円切りというコストパフォーマンスの高さも魅力の一つだ。
また、2023年10月に「PULSE 3D ワイヤレスヘッドセット」が値上げされており、「PULSE Elite」との差は約6,000円ほど。3Dオーディオ「Tempest」に最適化されていたり、音量やイコライザーの調整などPS5と組み合わせることで真価を発揮するため、PS5用のヘッドセットを探している方はぜひ「PULSE Elite」も検討してみてほしい。
(C)2024 Sony Interactive Entertainment Inc. All Rights Reserved.