【特集】

【年末特集】数カ月遊び倒して見えてきた! 2023年最新VRヘッドセット「PSVR2」&「Meta Quest 3」徹底比較

年末年始に買うならどっち?それぞれのスペックや装着感を紹介

 2023年も終わりに差し掛かり、冬休みは家でゲーム三昧という方がいらっしゃるだろう。また冬のボーナスを手に、新しいハードウェアを購入して年末年始を楽しく過ごす予定の方も多いのではないだろうか。そこで今オススメしたいハードウェアが“VRヘッドセット”だ。

 今年2023年は、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの「PlayStation VR2」とMeta(旧Oculus)の「Meta Quest 3」が登場。ライバル関係である両社は“VR元年”と呼ばれた2016年からVRヘッドセットを手掛けているが、初期のVRヘッドセットは解像度やフレームレートなどのスペックが関係して、あまりリアルな体験ではなかったり、“酔いやすい”と感じ方も多かっただろう。

 だが、2023年最新のヘッドセットは解像度やフレームレート、操作性が向上したことで、より“気軽にリアルなVR体験”ができるようになった。さらにVR業界が成熟し、様々な対策が施されたことで“VR酔い”も起きにくくなり、多くのユーザーが楽しめるハードウェアへと進化している。

 そこで本稿では、年末年始に購入してすぐに楽しめる“2023年最新VRヘッドセット”2機種を徹底比較。「PlayStation VR2」と「Meta Quest 3」のスペックから実際の使い勝手、各プラットフォームのコンテンツを比較して、どのようなユーザーにどのVRヘッドセットが最適なのかを紹介したい。

【新たな「現実」体験をPlayStation VR2で】
【ひろげよう、キミごと世界を。Meta Quest 3】

PSVR2とMeta Quest 3の解像度は? スペック・公称値を比較!

 まずは、今回取り扱う「PlayStation VR2」と「Meta Quest 3」それぞれのスペックを比較していきたい。最初に「PlayStation VR2(以下、PSVR2)」は2023年2月22日に発売。2016年発売の初代「PlayStation VR」の後継機種として、PS5に接続して使用するタイプのVRヘッドセットだ。定価は74,980円だが、Amazonでは64,000円前後(12月28日現在)で販売されている。

 外部センサーは不要で、ヘッドセットに内蔵された4つのカメラによってトラッキングを行なうため、PS5本体のUSB Type-C端子に接続してヘッドセットを被ることですぐに使用することができる。外部ユニット必須で、複雑な配線が必要だった初代「PlayStation VR」とは大違いだ。

 搭載されているディスプレイは有機ELで、解像度は片目あたり2,000×2,040ドット。視野角は約110度となっていて、リフレッシュレートは最大120Hzだ。グラフィックスなどの処理はPS5が担うため、PSVR2側はヘッドセットとして必要な機能のみを搭載している。PS5と有線で接続するため、バッテリー駆動時間を気にせず遊び続けることはできるが、ケーブルの取り回しに気を使う点は注意が必要だ。

PSVR2は、PS5と接続することで使用できるVRヘッドセットだ

 一方の「Meta Quest 3(以下、Quest 3)」は2023年10月10日発売。2020年に発売された「Meta Quest 2(旧Oculus Quest 2)」の後継機種で、コンソール機やPCといった外部デバイスを必要としないスタントアロンタイプのVRヘッドセットだ。定価は128GBモデルで74,800円、512GBモデルで96,800円となっていて、Amazonでも同様の価格(12月28日現在)となっている。

 こちらも外部センサーは不要で、ヘッドセットに内蔵されたカメラによってトラッキングが可能。さらに外部デバイスを必要としないため、ヘッドセットを被るだけですぐに使用できるほか、PCと接続することでPCVR機としても使用できる。液晶ディスプレイを採用しており、解像度は片目あたり2,064×2,208ドット。視野角は約110度で、リフレッシュレートは最大120Hzとなっている。

 Quest 3はスタンドアロンでの使用が前提で、Qualcomm社と共同開発したSoC「Snapdragon XR2 Gen2」を搭載している。グラフィックスといった処理はヘッドセット側で担うため、バッテリーの最大使用可能時間は約2.2時間と少し短いが、体を動かすVRゲームをプレイする際は適度に休憩もできて、丁度いい時間といえるだろう。

MetaのスタンドアロンVRヘッドセット3代目となるQuest 3

 実は両者のスペックを比較すると、ディスプレイの表示性能に大きな違いはない。コントラストの高い有機ELを採用したPSVR2、安定志向の液晶を採用したQuest 3だが、解像度は若干Quest 3の方が高い一方、最高リフレッシュレートは120Hzと同一。視野角も約110度と同じで、スペック表から見て取れる違いは少ない。

 だが、位置トラッキング用カメラは同じ4台でありながら、PSVR2は接眼部分ににIRカメラを別途2台搭載することで“視線トラッキング”を実現。一方のQuest 3はRGBカメラを2台搭載することで“フルカラーパススルー”を実現しており、個性が表れている。このあたりは後述する使用感の部分で触れていこう。

 処理性能については、ゲーミングPC並みのPS5側で担うPSVR2と、モバイル用チップを搭載しているQuest 3で一概に比較することはできない。だが、Quest 3は手軽にVR体験を味わいたい時はスタンドアロンで使用しつつ、ゲーミングPCに接続することでPC向けのVRゲームもプレイできる。PSVR2はUSB Type-C接続でありながら、PS5以外とは接続できないため少し残念だ。

スペック比較表PlayStation VR2Meta Quest 3
重量約560g約515g
ディスプレイ方式有機EL液晶
解像度(片目あたり)2,000×2,040ドット2,064×2,208ドット
リフレッシュレート90Hz、120Hz72Hz、80Hz、90Hz、120Hz
HDR対応非対応
水平視野角約110度約110度
レンズ間距離調整可能調整可能(58mm~70mm)
内蔵カメラトラッキングカメラ×4、視線トラッキング用IRカメラ×2トラッキングカメラ×4、フルカラーパススルー用RGBカメラ×2
SoCなし(PS5に依存)Snapdragon XR2 Gen2
DRAMなし(PS5に依存)8GB
ストレージなし(PS5に依存)128GB、512GB
搭載端子USB Type-C(PS5との接続に使用)、3.5mmオーディオジャックUSB Type-C(充電またはPCとの接続に使用)、3.5mmオーディオジャック
使用方法PS5と有線接続スタンドアロン動作
PCとの接続非対応対応(有線のMeta Quest Link、無線のAir Link)

“頭に乗せる”ようなPSVR2と“頭を締め付ける”Quest 3。両者の装着感やコントローラーを比較!

 続いてはPSVR2とQuest 3、それぞれの装着感やコントローラーについて比較していこう。今回比較する両者は、どちらも本体カラーがホワイト。リビングなどに置いていても溶け込むシンプルなデザインとなっている。

 PSVR2は、ヘッドセット本体とバンド部分が一体化しており、分離させることはできない。バンドは前頭部を中心に“頭に乗せる”ような形状となっていて、後頭部側にあるダイヤルを回すことでヘッドセット本体を頭に固定していく。接顔部分にはシリコン製のクッションが装着され、目の周辺をふんわりと覆ってくれるので、締め付けを感じにくいバンド形状だ。

 また、メガネユーザーにも優しい設計となっていて、メガネをかけたままヘッドセットを被ることができる。瞳孔間距離(IPD)も簡単に調整できるため、被りやすいVRヘッドセットといえるだろう。だが、動きの激しいアクションゲームをプレイしていると、後頭部側のバンドが滑りヘッドセットの位置がずれることもあるので注意が必要だ。

前頭部を中心にヘッドセット本体を支えるPSVR2
顔とヘッドセット間の距離を調整可能
後頭部部分の長さも調整でき、様々な頭のサイズに対応する
瞳孔間距離(IPD)の一番狭い状態
IPDの一番広い状態

 続いてQuest 3だが、標準で付属するのは伸縮性のある布製バンドで、ヘッドセット本体と分離が可能となっている。側頭部と後頭部を一周し、締め付けによってヘッドセット本体を保持するバンド形状で、顔部分への圧力はあるが、接顔部分には柔軟性のあるクッションが装着されているので、長時間装着していても痛みを感じることはない。

 この“締め付け”によって、動きの激しいアクションゲームをプレイしてもヘッドセットがずれることはほとんどない。メガネについては、フレームの薄いメガネであればギリギリ入るが、少し大きめのメガネをかけていると窮屈に感じるだろう。Quest 3でより快適にVRゲームをプレイしたいという方は、ダイヤルで簡単にサイズを調整できる「Eliteストラップ」やレンズ部分にはめ込める「Zenni VR度付きレンズ」の購入をオススメしたい。

 筆者は、顔周辺への圧力が少ないPSVR2のバンド形状が好みなのだが、ヘッドセットがずれやすいというのが難点。1~2時間ほどつけっぱなしとなると、Quest 3の方が安定してゲームをプレイできるので、VRゲームヘビーユーザーはQuest 3をオススメしたい。

伸縮性のある布製バンドを採用するQuest 3
様々な頭のサイズに対応する
クッション性のある接眼部分。こちらはIPDが一番狭い状態
IPDが一番広い状態

 コントローラーはそれぞれ専用のものが付属。PSVR2の「PlayStation VR2 Sense コントローラー」は球体型のデザインで、中に手を入り込ませる形となっている。周囲のリングにはトラッキングを行なうため赤外線LEDを内蔵しており、トラッキング感度は良好。握ると指が自然にボタンへと誘導され、操作感も良い。

 また、PS5標準コントローラー「DualSense」と同じようにアダプティブトリガーやハプティックフィードバックといった機能も搭載されていて、ゲームへの没入感を高めている。難点としては、大柄なデザインのため少し置き場に困ること。近づきすぎると左右コントローラーのリング同士がぶつかって、ゲームへの没入感が減少することも欠点といえるだろう。

球体の中を切り抜いたようなデザインのPSVR2 Sense コントローラー。こちらは持ち手部分
続いて操作部分。コンパクトにまとまっている
持ち心地は良好。自然と指がボタン部分に誘導される

 Quest 3に付属する「Meta Quest Touch Plusコントローラー」は、リモコンのようなシンプルなデザイン。PSVR2 Senseコントローラーのようにトラッキング用のリングは無いが、感度は良好でコントローラーを見失うようなことはない。握ると指がボタンへと誘導され、操作感も抜群だ。

 トリガーに強弱をつけるアダプティブトリガーはないが、ハプティックフィードバック機能を搭載している。さらに、Quest 3はハンドトラッキングにも対応しており、対応アプリやゲームではプレーヤーの手がコントローラーとなるため、近未来的な体験を味わうことができるのもポイントだ。

 アダプティブトリガーなど「PSVR2 Sense コントローラー」独自機能にも惹かれるが、筆者としては「Touch Plusコントローラー」が好み。収納時に置き場所に困らないコンパクトさ、すぐに手に持つことができる形状など、VR用コントローラーとして洗練されている。アダプティブトリガーのような機能が搭載されたら満点なのだが、ここは今後に期待したい。

続いてMeta Quest Touch Plus コントローラー。トラッキング用のリングが無く、サイズもコンパクト
持ち心地も良好で、PSVR2 Sense コントローラーより一回り小さい
比較するとTouch Plus コントローラーの方が圧倒的に小さい。だが、PSVR2 Sense コントローラーにはゲームへの没入感を高める機能が満載だ

解像感抜群のQuest 3、色がビビッドなPSVR2。両社の表示性能や独自機能を比較!

 続いては映像の解像感を比較。VRヘッドセットにおいて一番重要な部分となるが、先ほどのスペック比較だと数値上はほぼ同じという結果になった。だが、実際に使ってみると“数値では見えてこない”実際の解像感が現われてくる。

 まずはPSVR2から。ディスプレイの解像感は良好で、ジャギーによって文字が読みにくいということはない。だが、ヘッドセット内の映像が綺麗に見える“スイートスポット”が若干狭く、ヘッドセットの位置調整が若干シビア。バンドのサイズを調整したり、ヘッドセットの前後の位置を調整することで綺麗に見えてくるので、最適な位置を見つけることが重要だ。

 PSVR2の特筆すべき点は、やはり色の鮮やかさだ。コントラスト比の高い有機ELディスプレイを採用しているため、ゲームをプレイするとPSVR2の色の鮮やかさにビックリする。また、VRヘッドセットでは珍しいHDR表示に対応しており、明るいシーンはより明るく、暗いシーンはより暗く表示できるため、現実に近い映像体験をもたらしている。

PSVR2はレンズに年輪のような模様があるフレネルレンズを採用。明るさや視野角に定評のあるレンズだが、映像が綺麗に見えるスイートスポットが若干狭い
PSVR2に表示されている映像をレンズ越しに撮影。その色鮮やかさがわかる

 そのため、同梱版も発売されているアクションゲーム「Horizon Call of the Mountain」や、無料アップデートによってVR対応を果たした「グランツーリスモ7」など、リッチな映像体験が楽しめるタイトルをVRで最大限に楽しむことができる。

 また、ヘッドセット内部に搭載された赤外線カメラによって、視線トラッキングを実現。視線入力でゲームを操作したり、視線が集中している箇所のレンダリングを強化する「フォビエートレンダリング」などの独自機能が搭載されている。

アクションゲーム「Horizon」シリーズの世界観をVRで楽しむ「Horizon Call of the Mountain」
実際のレースに近い体験が楽しめる「グランツーリスモ7」

 続いてはQuest 3。ディスプレイの解像感は非常に良好で、文字なども読みやすいほか、スイートスポットがPSVR2よりも広いため、ヘッドセットの位置調整も簡単だ。これは先ほどのPSVR2がフレネルレンズを採用しているのに対し、Quest 3はパンケーキレンズを採用しているため。Quest 3のレンズをよく見ると、フレネルレンズのような“年輪”がなく、左右2枚の大きなレンズが広がっている。

 これによって、高精細なディスプレイをより鮮明に見ることができるため、“解像感”という点ではQuest 3の方が高い。一方でパンケーキレンズは、構造上ディスプレイが若干暗く見えてしまうため、VRヘッドセットとして十分な明るさを備えているが、PSVR2と比較すると見劣りする。

Quest 3は近年のVRヘッドセットで採用例が多いパンケーキレンズを採用。映像を鮮明に見ることができスイートスポットも広いが、ディスプレイの明るさが犠牲になる
Quest 3に表示されている映像をレンズ越しに撮影。画像ではわかりにくいが、非常にきめ細やかで解像感が高い

 Quest 3の処理性能はハイエンドスマートフォンに匹敵するが、PS5のゲーミングPC級の性能と排熱処理には及ばないため、比較的カジュアルなゲームが多め。だが、VRリズムゲームの代表格「Beat Saber」や人気の高圧洗浄シミュレーター「PowerWash Simulator VR」をケーブルレスで手軽かつ高クオリティで楽しめるのはQuest 3ならではの魅力だ。

 またQuest 3は、トラッキング用カメラのほかに「RGBカメラ」を2基搭載。これによって、VRヘッドセット越しに現実世界を鮮明に見ることができる「フルカラーパススルー」と「拡張現実(MR)」に対応している。対応タイトルでは現実世界を活かしたゲームもリリースされているので、この機能に魅力を感じる方はQuest 3一択となるだろう。

「バイオハザード4」をQuest 3で体験できる
少しシュールな高圧洗浄機シミュレーターの「PowerWash Simulator VR」

様々なコンテンツが揃うQuest 3と今後に期待のPSVR2。各プラットフォームのコンテンツを比較!

 最後にPSVR2とQuest 3、それぞれのプラットフォームで対応するゲームやコンテンツを見ていこう。PSVR2は、PS5と同じ「PlayStation Store」が利用でき、Quest 3では「Meta Questストア」を利用することができる。

 PlayStation Storeでは、VRリズムゲームの定番「Beat Saber」や「Cities: VR」といったタイトルが提供されているほか、PlayStation Studiosが手掛ける「Horizon: Call of the Mountain」や「グランツーリスモ7」もリリースされている。さらにホラーゲームの代表格「バイオハザード ヴィレッジ」や「バイオハザード RE:4」もPSVR2対応を果たしており、PS5の性能を活かしたリッチな映像体験が楽しめるVRタイトルがリリースされている。

 だが、AAAタイトルのリリーススピードが遅く、決定打に欠ける印象だ。もちろん、VRに対応していないPS5/PS4タイトルもシネマモードでプレイできるのだが、やはりVRヘッドセットを買ったからにはVR対応ゲームをプレイしたい。このあたりは今後のリリースに期待していきたい。

 エンタメコンテンツとしては、VRコンテンツも提供する「DMM TV」がPSVR2に正式対応。そのほかにも、YouTubeやプライムビデオといったコンテンツを視聴できる。さらに、ディスクドライブを搭載したPS5であれば、DVDやBlu-rayに収録されている映画やライブ映像を仮想空間上の大画面で再生できるので、円盤をPSVR2で観たい方はPSVR2一択だ。

PSVR2では、PS Studiosのタイトルを活かしたVRタイトルがリリースされている
「バイオハザード ヴィレッジ」や「バイオハザード RE:4」といった最新作もPSVR2に対応
「DMM TV」はPSVR2に正式対応。そのほかにもYouTubeやプライムビデオが視聴できる

 Quest 3で利用できる「Meta Questストア」は、「Beat Saber」や「Cities: VR」といった定番タイトルのみならず、リメイク版ではないが「バイオハザード4 VR」や「アサシン クリード ネクサス VR」といった長編タイトルや「PowerWash Simulator VR」といったカジュアルなタイトルまで、Meta Quest独占タイトルが増えつつある。

 さらに、今年12月にはMicrosoftが提供するクラウドゲームサービス「Xbox Cloud Gaming」に対応。サブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」への加入が必要となるが、PC不要で高クオリティなゲームを大画面でプレイできるようになり、Meta Questでプレイできるゲームの幅が広がっている。プラットフォームとして勢いがあるのは「Meta Questストア」だろう。

 エンタメコンテンツとしては、YouTube VRやNetflix、DMMといったアプリが配信中。DVDやBlu-rayといったディスクは再生できないが、ケーブルレスのVRヘッドセットのため、被ってすぐにコンテンツを視聴できるのは利便性が高い。気軽に“映画館体験”を味わいたい方は、Quest 3をオススメする。

「アサシン クリード ネクサス VR」はMeta Quest独占タイトルだ
カジュアルなタイトルも多数ラインナップ
「プライムビデオ」や「Netflix」といったエンタメアプリもあるため、手軽に映画館のような体験を味わえる

PS5ユーザーやHDR表現が気になる方はPSVR2、新規VRユーザーにQuest 3がオススメ!

 ここまでPlayStation VR2とMeta Quest 3のスペックや使い勝手、各プラットフォームについて比較してきた。筆者はPSVR2を発売日に購入してから約10カ月、Quest 3は先行レビュー時から約2カ月の間使用してきたが、このあたりでどのようなユーザーにどちらのVRヘッドセットがオススメなのか紹介したい。

 まずPSVR2だが、こちらは既にPS5を持っているユーザーにオススメしたい。筆者がオススメしたいPSVR2のポイントは、頭・顔への負担が少ないヘッドセットの形状、ディスプレイの鮮やかさだ。締め付け感の少ないヘッドセット形状は、長時間プレイしていても頭が痛くなりにくい。ディスプレイ自体の解像度はQuest 3より少しだけ劣るが、色の鮮やかさや明暗差はPSVR2の方が圧倒的に勝っている。

 また、PlayStation Studiosのタイトルがプレイできるというのも、ゲーマーとして推しておきたいポイントだ。筆者は普段、レースゲーム「グランツーリスモ7」をよくプレイするのだが、PSVR2でプレイすると“運転席に座っている”という感覚があり、実際にレースに参加しているような体験を味わえる。テレビや外部ディスプレイでプレイする時とは、また異なる形でプレイできるのでオススメだ。

 一方で、PS5をお持ちでない方は「PS5+PSVR2」を購入する必要があり、10万円以上のコストがかかる。加えて、PSVR2のタイトルラインナップはまだ発展途上。一つのタイトルに専念するタイプのユーザーはPSVR2で長く遊ぶことができるが、色々なジャンルのVRゲームを幅広く遊びたいという方は、プラットフォームに勢いがある「Quest 3」を選んだほうがいいだろう。

PlayStation VR2

 続いてMeta Quest 3だが、こちらは初めてVRヘッドセットを購入するユーザーにオススメだ。Quest 3は本体のみで完結するスタンドアロン機のため、外部ハードウェアを必要とせずケーブルレスで手軽にVR体験を楽しめる。複雑な設定はなく、コンテンツも充実しているため、幅広いユーザーが楽しめるVRヘッドセットとなっている。

 また、ゲーミングPCをお持ちの方にもQuest 3をオススメしたい。PCと接続することで「Steam」で提供されているVRゲームをプレイできるので、より多くのタイトルをプレイすることができる。PCVR機として使用する場合でも、「Air Link」を使用することでケーブルレスで接続できることも嬉しい点だ。

 Quest 3は幅広いユーザーにオススメできるが、スタンドアロン機の宿命であるバッテリーの駆動時間には注意が必要だ。連続駆動時間は約2時間となっていて、ガッツリVRゲームをプレイしたいという方には、少し短く感じるだろう。外部バッテリーを搭載した「Eliteストラップ」も用意されているが、周辺機器としては高価(約2万円)のため、“VR世界に住む”予定の方はそれなりの出費を覚悟したほうがよさそうだ。

Meta Quest 3

 筆者は、YouTubeやプライムビデオといったコンテンツを見るときや、Quest 3で展開されている「PowerWash Simulator VR」といったタイトルをプレイするときにQuest 3。先述の「グランツーリスモ7」やBlu-rayディスクの視聴にPSVR2と、それぞれの得意分野に応じてVRヘッドセットを使用している。

 PSVR2とQuest 3は両者ともに完成度が高い。それぞれ長所や短所がありながらも、最新VRヘッドセットとして十二分なスペックを備えており、異なるタイトルを楽しむことができる。年末年始の楽しみとして、VRヘッドセットを購入される方に本稿がお役に立てれば幸いだ。