ゲーミングノートPC「GALLERIA UL7C-AA3」レビュー

GALLERIA UL7C-AA3

「VALORANT」も「CS:GO」も快適! コスパ抜群の10万円ゲーミングノート

ジャンル:
  • ゲーミングPC
発売元:
  • サードウェーブ
開発元:
  • サードウェーブ
プラットフォーム:
  • Windows PC
価格:
10万7,980円(税込)

 サードウェーブのゲーミングPCブランド「GALLERIA(ガレリア)」から登場した「GALLERIA UL7C-AA3」は、GPUとしてIntel Arc A550Mを搭載したゲーミングノートPCである。Intel Arcシリーズは、Intelが22年ぶりに投入した単体GPUの最新モデルであり、GALLERIAブランドでは、上位のIntel Arc A730Mを搭載した「GALLERIA UL7C-AA2」も発表されている。

 Intel ArcはライバルのNVIDIA製GPUに比べてコストパフォーマンスが高いことが魅力で、GALLERIA UL7C-AA3は10万7,980円と、GALLERIAのゲーミングノートPCの中で最も低価格である。今回は、ほぼ10万円のGALLERIA UL7C-AA3で、人気のFPS「VALORANT」や「CS:GO」が快適にプレイできるか検証してみた。

Intelの最新GPU「Intel Arc A550M」と「Core i7-12700H」を搭載

 GALLERIA UL7C-AA3(以下UL7C-AA3)は、GPUとして「Intel Arc A550M」を搭載していることが特徴だ。

 IntelというとCPUメーカーだと認識されている方が多いだろうが、実は1998年に「Intel 740」という単体GPUを発売していたのだ。しかし、メーカーPCのGPUとしてあまり採用されなかっため、後継製品は登場しなかった。

 そのIntelが2020年、約22年振りに単体GPU「Intel Iris Xe Max」を発表し、話題を集めた。ただし、Iris Xe Maxは採用製品がほとんど登場せず、Intelにとっての本命は、その後継として2022年に発表された「Intel Arcシリーズ」である。

 Intel Arcシリーズは、デスクトップ向けのA770/A750/A380/A310と、ノートPC向けのA770M/A730M/A550M/A370M/A350Mがリリースされており、UL7C-AA3はノートPC向けとして中位となるA550Mを搭載している。Arc A550Mは、16基のXe Coreと16基のレイトレーシングユニットを搭載し、グラフィックスコアのクロックは900MHz、ビデオメモリは8GBである。

【GALLERIA UL7C-AA3】
Intel Arc A550Mを搭載したゲーミングノートPC「GALLERIA UL7C-AA3」

【GALLERIA UL7C-AA3】
CPU:Intel Core i7-12700H(14コア/20スレッド、2.30GHz~4.70GHz)
GPU:Intel Arc A550M+Intel Iris Xe 96EU
メインメモリ:16GB DDR5-4800MHz SO-DIMM(8GB×2)
ストレージ:512GB Gen4 NVMe SSD / HDDなし
液晶ディスプレイ:1,920×1,080ドット(WUXGA)、15.6型144Hz 非光沢液晶
光学ドライブ:なし
OS:Windows 11 Home
電源:180W ACアダプター
本体サイズ:358.3×235×22.3mm(横×縦×厚さ)
本体重量:約2.0㎏(バッテリー含む)
価格:10万7,980円(税込)
製品ページ:https://www.dospara.co.jp/TC143/MC11764.html

 CPUとして、Intelの第12世代Core i7-12700Hを搭載する。第12世代Coreは第11世代Coreとは設計が一新されており、IntelのCPUとしてはじめて性能重視と電力効率重視の2種類のコアを搭載し、高性能と高効率を両立させていることがウリだ。

 Core i7-12700Hのコア数は14だが、このうち6個が1つのコアで最大2つのスレッドを同時に実行できるPコア(高性能コア)、残りの8個がEコア(高効率コア)なので、合計で最大20スレッドの同時実行が可能だ。ベースの動作周波数は2.30GHzだが、負荷に応じて最大4.70GHzまで向上する。第13世代Coreも発表されたが、Core i7-12700Hの性能は高く、ゲーミングノートPCに搭載されるCPUとしては高性能な部類に属する。

 メインメモリは16GBで、帯域が広いDDR5を採用している。動画編集やゲーム実況配信などに利用するにも十分だ。ストレージは、NVMe対応512GB SSDで、最新のGen4対応と明記されているため、単なるNVMe対応SSDよりもパフォーマンスが高いことが期待される。

 以上、GALLERIA UL7C-AA3は10万円台という低価格にもかかわらず、CPU、メモリ、ストレージについては妥協のないスペックといえるだろう。

エッジがブルーアルマイト処理された新ボディを採用

 筐体の基本的なデザインは従来のGALLERIAゲーミングノートPCと似ているが、エッジにブルーアルマイト処理が施された新筐体が採用されている。エッジはダイヤモンドカットされており、美しくきらめく。

 本体のサイズは358.3×235×22.3mmであり、単体GPUを搭載したゲーミングノートPCとしてはかなりスリムで、重量も公称約2.0kgとかなり軽い部類だ。ただし、付属のACアダプターは180Wで、重量も実測で587g(ケーブル込み)で少し大きく重めとなっている。

【本体外観】
UL7C-AA3の上面
UL7C-AA3の底面
ダイヤモンドカットされたエッジにブルーアルマイト処理が施されており、青色にきらめく
付属のACアダプター
ACアダプターの出力は19.5V/9.23Aで、180W仕様となる
本体の重量は実測で1,992gであった
ACアダプターの重量(ケーブル込み)は実測で587gであった
デバイスマネージャーを開いたところ。最大20スレッドの同時実行が可能であり、OSからはCPUが20個あるように認識されている

15.6型144Hz対応フルHD液晶を搭載

 UL7C-AA3では、リフレッシュレート144Hz対応のフルHD液晶を採用している。ゲームにおける実効的なフレームレートは、モニターのリフレッシュレート以下となるため、基本的に搭載している液晶でプレイを行なうゲーミングノートPCにとって液晶のリフレッシュレートは重要だ。リフレッシュレート165Hzや240Hzに対応したゲーミングノートPCもあるが、フレームレートが重要なFPS/TPSでも144Hzあれば十分快適にプレイが可能だ。GPU性能とのバランスを考えても、十分なスペックといえるだろう。また、表面は非光沢仕様なので、外光の映り込みが抑えられており、長時間利用しても目への負担が小さい。

 液晶上部には、HD画質のWebカメラとWindows Hello対応の顔認証用IRカメラが搭載されており、顔認証でのログオンなども可能だ。液晶周囲の額縁部分も狭く、見た目もすっきりしている。

【液晶ディスプレイ】
液晶は144Hz対応で、解像度は1,920×1,080ドット。表面処理は非光沢仕様なので、目への負担が小さい
液晶上部には、HD画質のWebカメラとWindows Hello対応の顔認証用IRカメラが搭載されている

RGB LED搭載キーボードと大型タッチパッドを採用

 キーボードの設計も、従来モデルから進化を遂げている。2021年11月に発売された「GALLERIA UL7C-R36」では、全88キーのテンキーレスキーボードが採用されていたが、UL7C-AA3ではあまり使われないキーをFnキーとのコンビネーションに変えることで、キーの数を減らし、全83キーとなっている。キー配置も標準的で、快適にタイピングが行える。

 キーボードバックライトはRGB LEDであり、専用ツールを使用して色を変えることが可能だ。キーボードバックライトの明るさはFnキーとのコンビネーションで消灯を含め5段階に変更可能だ。今回使用したPCは、ACアダプター非接続時と接続時でバックライトLEDの点灯色が変わるようになっており、ACアダプター非接続時は白色に、ACアダプター接続時は青色に点灯するようになっていた。

 ポインティングデバイスとしてはタッチパッドを採用。タッチパッドとクリックボタンが一体化したタイプだが、パッドのサイズが実測では約132×83mmと大きく、操作性も良好だ。細かいことだが、Fnキー+F5でタッチパッドの有効/無効を切り替えることができ、無効時にはパッド左上のLEDが点灯するのも便利だ。

【キーボードとタッチパッド】
キーボードは全83キーである。タッチパッドも大きい
キーの数が少なくなった分、キーボードはゆったりとしている
キーボードバックライトとしてRGB LEDを搭載
タッチパッドも大型化されている

最新のThunderbolt 4を搭載し、インターフェイスも充実。有線LANも搭載

 UL7C-AA3は、インターフェイスも充実している。右側面にはThunderbolt 4 Type-C(USB4対応/DP1.4対応/PD非対応)、USB 3.2 Gen1 Type-A、HDMI 2.1出力が、左側面には有線LAN、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、ヘッドセット端子が用意されている。2022年6月17日にサードウェーブから発表されたGALLERIAのゲーミングノートPC4機種は、薄型化を重視して有線LANが省かれていたが、UL7C-AA3ではまた有線LANが復活している。有線LANは、最大2.5Gbpsでの通信が可能だ。

 無線LANモジュールとしては、IntelのWi-Fi 6 AX201NGWを搭載し、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応。MIMO 2×2仕様で最大2.4Gbpsでの通信が可能だ。Wi-Fi 6環境なら、高速、低レイテンシでネットに接続できるので、オンラインゲームも快適だ。

【インターフェイス部分】
UL7C-AA3の右側面
UL7C-AA3の右側面のアップ。Thunderbolt 4 Type-C(USB4対応/DP1.4対応/PD非対応)、USB 3.2 Gen1 Type-A、HDMI 2.1出力が用意されている
UL7C-AA3の左側面
UL7C-AA3の左側面のアップ。有線LAN、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、ヘッドセット端子が用意されている

CrystalDiskMarkではシーケンシャルリードが6,600MB/s超を達成!

 手始めに、ゲーミングノートPCとしての足まわりの性能を検証するために、「CrystalDiskMark 8.0.4」を使ってストレージ性能を計測した。結果は、シーケンシャルリード(Q8T1)が6,765.72MB/s、シーケンシャルライト(Q8T1)が4,884.82MB/sという非常に高速なものとなった。ロットによって搭載SSDが異なるため、あくまで参考にしていただきたいが、シーケンシャルリードが6,000MB/sを超えるというのは非常に高速で、これまで筆者が計測したゲーミングノートPCの中でも最速クラスだ。マップデータやテクスチャーデータなどが大きい最近のオープンワールドタイトルでも快適にロードが行えるだろう。

【CrystalDiskMarkの結果】
「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果

人気FPS「VALORANT」もフルHD最高画質で平均242fpsと十分な性能

 GALLERIAゲーミングノートPCの中で、最も廉価な製品であるUL7C-AA3だが、やはり気になるのはその性能だ。そこでまず、PC向けFPSのトップタイトルである「VALORANT」でのパフォーマンスを検証してみた。

 「VALORANT」は、eスポーツを意識したタイトルであり、非力なPCでも快適に動作するように設計されている。そのため、推奨スペックも、144fps以上がターゲットのハイエンドスペックで、CPUがIntel i5-9400FまたはRyzen 5 2600X、GPUがGeForce GTX 1050 TiまたはRadeon R7 370と、今の水準から見るとかなり低い。

 「CS:GO」と同様にフルHD解像度で画質設定を最高にし、CapFrameXを利用して1分間の平均フレームレートと最高フレームレート、最低フレームレートを計測してみた。マップは「フラクチャー」で計測は5回行ない、その平均値を採用した。

 結果は、平均フレームレートが242fps、最高フレームレートが322fps、最低フレームレートが130fpsであり、後述する「CS:GO」の結果よりもさらに高いフレームレートを叩き出している。「VALORANT」は確かに軽いタイトルではあるが、10万円台のゲーミングノートPCで、ここまでのフレームレートが出るのは驚きだ。もちろん、プレイも非常に快適であり、デスクトップPCでプレイするのと比べても、遜色のないプレイ感であった。

【「VALORANT」検証結果】
「VALORANT」のメニュー画面
グラフィック品質は最高に設定した
「VALORANT」をプレイ中の画面
このクオリティで平均242fpsを出せるのは素晴らしい

「Counter-Strike: Global Offensive」はフルHD最高画質でも平均139fpsを実現

 続いて、チーム対戦型FPSの金字塔「Counter-Strike: Global Offensive」(以下CS:GO)で、そのパフォーマンスを検証してみた。

 「CS:GO」は、マルチプレイヤーのチーム対戦型FPSの元祖ともいる「Counter-Strike」の最新シリーズであり、発売自体は2012年と古いが、今なお世界中で多くの人にプレイされている人気タイトルだ。さらに、2023年夏に後継の「Counter-Strike 2」が登場することが発表され、注目が集まっている。

 「CS:GO」は登場が2012年とかなり古く、今の基準から見るとかなり軽いタイトルではある。そこで、フルHD解像度で画質設定を最高にし、CapFrameXを利用して1分間の平均フレームレートと最高フレームレート、最低フレームレートを計測してみた。マップは「Vertigo」で計測は5回行ない、その平均値を採用した。

【Counter-Strike: Global Offensive】
「Counter-Strike: Global Offensive」のメニュー画面
Advanced Videoの設定。基本的に最高に設定した
Advanced Videoの設定の続き
ベンチマークは「Vertigo」で行なった

 結果は、平均フレームレートが139fps、最高フレームレートが215fps、最低フレームレートが89fpsであり、競技的に「CS:GO」をプレイする人でも十分なパフォーマンスだといえる。UL7C-AA3は、搭載している液晶のリフレッシュレートが144Hzなので、平均139fpsというのはその性能を十分発揮しており、ちょうどいい構成といえるだろう。実際に、「CS:GO」をプレイしてみたが、画面も見やすく残像感などを感じることはなく、快適にプレイできた。もちろん、FPSをプレイするならゲーミングマウスとゲーミングヘッドセットは必須である。

【「Counter-Strike: Global Offensive」での検証結果】
「CS:GO」は10年以上前のタイトルだが、グラフィックスは今でも通用する
硬派なゲームであり、血痕などもリアルに残る
戦略性が高く、今なお世界中で愛好されている

10万円台で買えるゲーミングノートPCとは思えないパフォーマンス

 UL7C-AA3は、GPUとしてIntel Arc A550Mを搭載することで、Core i7-12700Hを搭載しながらも、10万7,980円という低価格を実現したゲーミングノートPCである。GALLERIAゲーミングノートPCで、最も廉価な製品ということで、性能的にあまり期待できないと思われるかもしれないが、今回のテストから分かるように、「CS:GO」や「VALORANT」のような動作が軽めのFPSなら、最高画質でも余裕でプレイできるパフォーマンスを備えている。もっと重いゲームでも、画質設定を調整すれば十分プレイできるだろう。コストパフォーマンスは優秀であり、気軽に持ち運べるゲーミングノートPCで、FPS/TPSをプレイしたいという人には特におすすめしたい。

【GALLERIA UL7C-AA3】
ドスパラ楽天市場店で購入