2022年12月14日 00:00
サードウェーブのゲーミングPCブランド「GALLERIA(ガレリア)」は、3年振りのリアル開催となった東京ゲームショウ2022に初めて出展を行った。そのブースで参考出展されていた新製品(当時は未発表)が「Intel Arc A730M」を搭載した「GALLERIA UL7C-AA2」である。Intel Arcは、Intelの単体GPUとしては実に約24年振りとなる製品であり、注目が集まっていた。
GALLERIAブースにいたスタッフは、「GALLERIA UL7C-AA2の詳細はまだ明かせないが、2022年内には発売したい」と説明していたが、その言葉通り、2022年11月25日に「Intel Arcシリーズ」を搭載した、GALLERIA UL7C-AA2とGALLERIA UL7C-AA3の2モデルが発売された。今回は、「Intel Arc A730M」を搭載したGALLERIA UL7C-AA2を発売に先駆けて試用することができたので、このホリデーシーズンを熱く盛り上げるFPSタイトル「Call of Duty: Modern Warfare II」が快適に遊べるかどうか、検証してみた。
Intelの最新GPU「Intel Arc A730M」を搭載
ゲーミングPC向けGPUメーカーはここ20年近く、NVIDIAとAMDの2強時代が続いているが、昔はS3やMatroxなど、他にも多くのGPUメーカーが存在した。Intelといえば、CPUメーカーとして有名だが、1998年に「Intel 740」という単体GPUをリリースしており、数社から搭載グラフィックボードも発売されたが、売れ行きは芳しくなく、Intelはその後単体GPUを市場に投入することはなかった。
しかし、2020年、約22年振りにIntelは単体GPU「Intel Iris Xe Max」を発表し、単体GPU市場への再参入を果たした。ただし、Iris Xe Maxは採用製品がほとんど登場せず、Intelにとっての本命は、その後継として2022年に発表され、本機に搭載されている「Intel Arcシリーズ」である。Intel Arcシリーズは、デスクトップ向けのArc A770/A750/A380/A310と、ノートPC向けのA770M/A730M/A550M/A370M/A350Mがリリースされている。今回GALLERIAから発表されたGALLERIA UL7C-AA2(以下UL7C-AA2)はノートPC向けとして上位から2番目のArc A730Mを、同じくGALLERIA UL7C-AA3はちょうど真ん中となるArc A550Mを搭載している。
GALLERIAとしてはArc搭載のノートPCは今回の2モデルが初となる。また、本製品はIntelとの共同設計によって誕生したもので、Intel共同設計ゲーミングノートPCとしては第3弾の製品となる。
【GALLERIA UL7C-AA2】
CPU:Intel Core i7-12700H(14コア/20スレッド、2.30GHz~4.70GHz)
GPU:Intel Arc A730M+Intel Iris Xe 96EU
メインメモリ:16GB DDR5-4800MHz SO-DIMM(8GB×2)
ストレージ:1TB Gen4 NVMe SSD / HDDなし
液晶ディスプレイ:1,920×1,080ドット(フルHD)、15.6型144Hz 非光沢液晶
光学ドライブ:なし
OS:Windows 11 Home
電源:230W ACアダプター(19.5V)
本体サイズ:358.3×235×22.3mm(横×縦×厚さ)
本体重量:約2.0㎏(バッテリー含む)
価格:約18万5,980円(税込)
製品ページ:https://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_prime.php?tg=&mc=11763&sn=0&_bdld=2pytQy.oiW+uuK
CPUとして、Intelの現行CPU(デスクトップPC向けには、後継となる第13世代Coreプロセッサが2022年10月に発表されているが、ノートPC向けはまだ未発表)である第12世代Core i7-12700Hを搭載する。第12世代Core iは第11世代Core iとは設計が一新されており、IntelのCPUとしてはじめて性能重視と電力効率重視の2種類のコアを搭載し、高性能と高効率を両立させていることが魅力だ。
Core i7-12700Hのコア数は14だが、このうち6個が1つのコアで最大2つのスレッドを同時に実行できるPコア(高性能コア)、残りの8個がEコア(高効率コア)なので、合計で最大20スレッドの同時実行が可能だ。ベースの動作周波数は2.30GHzだが、負荷に応じて最大4.70GHzまで向上する。ゲーミングノートPCに搭載されるCPUとしてはトップクラスである。
前述したように、UL7C-AA2では、ゲーミングPCではCPUと並んで重要なパーツであるGPUとして、Intel Arc A730Mを搭載している。Arc A730Mは、24基のXeコアと24基のレイトレーシングユニットを搭載し、グラフィックスコアのクロックは1100MHz、ビデオメモリは12GBである。
メインメモリは16GBで、帯域が広いDDR5を採用している。動画編集やゲーム実況配信などに利用するにも十分だ。ストレージは、NVMe対応1TB SSDで、最新のGen4対応と明記されているため、単なるNVMe対応SSDよりもパフォーマンスが向上していることが期待される。容量も1TBと大きく、大容量化が進む最近のAAAタイトルを複数インストールしても余裕がある。
エッジがブルーアルマイト処理された新ボディを採用
筐体の基本的なデザインは、GALLERIAの他のゲーミングノートPCと似ているが、新たにダイヤモンドカットされたエッジにブルーアルマイト処理が施された新筐体が採用されている。GALLERIAのデスクトップPCでは、フロントパネルの周囲にRGB LEDがあり、デフォルトでは青色に点灯する。この青い光は、「新たな世界へのゲート」を表現したものとされているが、今回のUL7C-AA2のブルーアルマイト処理も「新たな世界へのゲート」を表現したもので、エッジが美しくきらめく。
本体のサイズは358.3×235×22.3mmであり、単体GPUを搭載したゲーミングノートPCとしてはかなりスリムで、重量も公称約2.0kgとかなり軽い部類だ。ただし、付属のACアダプターは230W仕様で、重量も実測で657g(ケーブル込み)となっている。下位モデルのUL7C-AA3は180Wで、比較すると大きくて重い。
15.6型144Hz対応フルHD液晶を搭載
UL7C-AA2では、リフレッシュレート144Hz対応のフルHD液晶を採用している。ゲームの実効的なフレームレートは、モニターのリフレッシュレート以下となるため、ゲーミングノートPCにとってリフレッシュレートは重要なスペックだ。リフレッシュレート165Hzや240Hzに対応したゲーミングノートPCもあるが、フレームレートが重要なFPS/TPSでも144Hzあれば快適にプレイできる。必要にして十分なスペックといえるだろう。
液晶上部には、HD画質のWebカメラとWindows Hello対応の顔認証用IRカメラが搭載されており、顔認証でのログオンなども可能だ。液晶周囲の額縁部分も狭く、見た目もすっきりしている。
RGB LED搭載キーボードと大型タッチパッドを採用
キーボードの設計も新しくなっている。2021年11月に発売された「GALLERIA UL7C-R36」では、全88キーのテンキーレスキーボードが採用されていたが、UL7C-AA2ではあまり使われないキーをFnキーとのコンビネーションに変えることで、キーの数を減らし、全83キーとなっている。キー配置も標準的で、快適にタイピングが行える。キーボードバックライトはRGB LEDであり、色を変えることが可能だ。キーボードバックライトの明るさはFnキーとのコンビネーションで消灯を含め5段階に変更可能だ。
ポインティングデバイスとしてはタッチパッドを採用。タッチパッドとクリックボタンが一体化したタイプだが、パッドのサイズが実測では約132×83mmと大きく、操作性も良好だ。細かいことだが、Fnキー+F5でタッチパッドの有効/無効を切り替えることができ、無効時にはパッド左上のLEDが点灯するのも便利だ。
最新のThunderbolt 4を搭載し、インターフェイスも充実。有線LANが復活
UL7C-AA2は、インターフェイスも充実している。右側面にはThunderbolt 4 Type-C(USB4対応/DP1.4対応/PD非対応)、USB 3.2 Gen1 Type-A、HDMI 2.1出力が、左側面には有線LAN、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、ヘッドセット端子が用意されている。2022年6月17日にサードウェーブから発表されたGALLERIAのゲーミングノートPC4機種は、薄型化を重視して有線LANが省かれていたのが、UL7C-AA2では有線LANを搭載している。さらに、IntelのLANチップ(I225-V)を搭載しており、最大2.5Gbpsでの通信が可能だ。
無線LANモジュールには、IntelのWi-Fi 6 AX201NGWを搭載し、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応。MIMO 2×2仕様で最大2.4Gbpsでの通信が可能である。Wi-Fi 6環境なら、高速、低レイテンシでネットに接続できるので、オンラインゲームも快適だ。
Intel Arcで「Call of Duty: Modern Warfare II」をプレイしてみる
GALLERIAゲーミングノートPCの最新モデルとして登場したUL7C-AA2だが、やはり気になるのはArc A730Mの性能だ。そこでまず、Activision Blizzardから2022年10月28日に発売されたばかりのFPS「Call of Duty: Modern Warfare II」(以下CoD MWII)をプレイしてみた。
「CoD MWII」は、人気FPS「Call of Duty」シリーズの20作目となるタイトルで、「Call of Duty: Modern Warfare」の続編となる。海外ドラマのような重厚なストーリーが展開するシングルプレイの「キャンペーン」、6vs6の「マルチプレイヤー」、最大32vs32で遊べる「グラウンドウォー」など、数多くのゲームモードが用意されており、遊びごたえたっぷりの大型タイトルだ。
「CoD MWII」の必要スペックは、最低スペック、推奨スペック、競技シーン、ウルトラ4Kと4種類発表されているが、基準となるのは推奨スペックであろう。推奨スペックは、CPUがIntel Core i5-6600KかCore i7-4770、AMD Ryzen 5 1400、GPUがNVIDIA GeForce GTX 1060かAMD Radeon RX 580となっている。
「CoD MWII」に用意されているベンチマークモードを利用して、フレームレートを計測してみた。まず、画質を「バランス重視」にしてフレームレートを計測したところ、平均65fpsで、最低は48fpsという結果になった。パフォーマンスの概要を見ると、圧倒的にGPUがボトルネックとなり、フレームレートが伸びていないことが分かる。それでも、キャンペーンモードなどをプレイするには、十分なフレームレートが出ていると感じた。
次に画質を「推奨設定」の「パフォーマンス」にして、再びベンチマークモードでフレームレートを計測した。フレームレートは平均83fpsまで向上し、最低フレームレートも57fpsまで上がったので、6vs6などのマルチプレイヤーモードで遊ぶには、こちらのほうが向いているだろう。
モニターのリフレッシュレートが60Hzに対応していることを考えると、やはり平均60fpsでは物足りない。少なくとも、平均90fps程度のフレームレートでプレイしたいところだ。最新FPS「CoD MWII」はかなり負荷の高いタイトルであり、バランス重視の設定だと平均65fpsしか出ておらず、フレームレートが重要なマルチプレイヤーモードやグランドウォーで勝利を目指すにはちょっと厳しい。しかし、推奨設定のパフォーマンスに変更したところ、平均83fpsまでフレームレートが向上した。実際にこの設定で、6vs6のマルチプレイヤーモードや32vs32のグラウンドウォーをプレイしてみたが、十分快適にプレイでき、フレームレートが低くて立ち回りが不利になるといったことはほとんど感じられなかった。一般的なFPSプレイヤーなら、この設定で不満はないだろう。シングルプレイでシナリオをクリアしていくキャンペーンなら、より高画質なバランス重視でも快適であった
なお、Intel Arcには、XeSSと呼ばれるアップスケーリング機能がある。これはNVIDIAのDLSSとよく似た機能であり、機械学習を利用して低い解像度でレンダリングした映像を、高解像度映像に変換する機能だ。XeSSを利用することで、見た目の画質をほとんど低下させずにフレームレートを向上させることが可能になる。XeSSの利用には、ゲームソフト側の対応が必要だが、現時点でも「CoD MWII」や「Ghostwire: Tokyo」「GHOSTBUSTERS」など20タイトル以上がXeSSに対応している。なお、今回の「CoD MWII」検証でも、アップスケーリング/シャープニングの項目に「INTEL XESS」という選択肢が表示され、選択ができたが、ベンチマークを取ろうとするとエラーが出る不具合に遭遇してしまった。これは今後ドライバーまたは「CoD MWII」のアップデートによってこの問題は解決すると思われる。
XeSSを利用することで、最大2倍近くフレームレートが向上するとのことであり、一刻も早くドライバーがアップデートされ、XeSSが安定して使えるようになることを期待したい。
「オーバーウォッチ2」はフルHD高画質で平均98fpsと十分な性能
続いて、チーム対戦型FPS「オーバーウォッチ2」でのパフォーマンスを検証してみた。「オーバーウォッチ2」は、Blizzard Entertainmentが開発・運営しているFPSであり、2016年に発売され世界中で大人気となった「オーバーウォッチ」の続編となる。
PC版の推奨動作環境はCPUがCore i7またはRyzen 5以上、GPUがGeForce GTX 1060またはAMD R9 380以上とされており、エントリークラスのゲーミングPCでも十分遊べるが、高画質設定にするとそれなりに負荷は高くなる。
まず、画質設定を最高の「エピック」にして、CapFrameXを用いて実際のゲームプレイ中の1分間の平均フレームレート、最高フレームレート(厳密には95パーセンタイル)、最低フレームレート(1パーセンタイル)を5回計測し、その平均を採用した。解像度は、フルHD(1,920×1,080)である。
マップはDORADOで、平均フレームレートが57fps、最高フレームレートが66fps、最低フレームレートが45fpsという結果になった。やはり最高画質にすると、かなり負荷は高いようだ。これでも、カクカクして遊べないというレベルではないが、もっと高いフレームレートでプレイしたいという人もいるだろう。そこで、グラフィック品質を1段階下げた「ウルトラ」と2段階下げた「高」でも、同様にフレームレートを計測してみた。
「ウルトラ」での結果は、平均フレームレートが69fps、最高フレームレートが81fps、最低フレームレートが55fpsとなり、エピックに比べてそれぞれ10fps~15fps向上している。また、「高」での結果は、平均フレームレートが98fps、最高フレームレートが132fps、最低フレームレートが65fpsとなり、エピックに比べて平均フレームレートは41fpsも向上している。「高」に設定してもゲームをプレイしている最中には、画質が大きく低下したとは感じないので、フレームレートを重視するプレイヤーは、これくらいの画質でプレイするか、さらに画質を下げてプレイすることをおすすめする。
今後のドライバーの熟成に期待、ゲームや動画編集ソフトなどがもらえるキャンペーンも
なお、GALLERIAでは、Intel Arc搭載ゲーミングノートPCの発売を記念して、GALLERIA UL7C-AA2またはGALLERIA UL7C-AA3を購入した方、先着2,000名に今回の検証で利用した「Call of Duty: Modern Warfare II」がプレゼントされるキャンペーンを実施中だ。
さらに、「Call of Duty: Modern Warfare II」に加えて、動画編集や画像変換などのクリエイティブソフト5本の中から好きな3本をもらうことができる。こちらのプレゼント対象となるソフトは「PowerDirector 365」、「XSplit Premium Suite」、「Topaz Gigapixel AI」、「D5 Render」、「MAGIX Video Pro X14」の5本である。このキャンペーンは2022年11月25日から2023年1月31日まで開催され、引き換え期限は2023年2月28日までとなる。とてもお得なキャンペーンなので、ゲーム動画配信や動画制作クリエイターを目指している人は、是非このキャンペーンを利用してみてはいかがだろうか。
さて、国内メーカーとして初採用となるIntel製GPU「Intel Arc A730M」のパフォーマンスだが、概ねノートPC向けのGeForce RTX 3060とGeForce RTX 3050の間の性能と考えて良さそうだ。デスクトップPC向けのIntel Arcの最上位製品「Arc A770」が、デスクトップPC向けのGeForce RTX 3060と互角以上というベンチマーク結果が出ているので、今回のベンチマーク結果も妥当といえるだろう。GeForce RTX 3060程度の性能があれば、フルHD解像度で一般的なFPSタイトルなどを高画質設定でプレイするには十分だ。
Arc A730Mも、今後ドライバーがバージョンアップされていけば、ポテンシャルが最大限に引き出され、実際のアプリケーションにおけるパフォーマンスが向上する可能性は十分ある。また、独自のアップスケーリング機能「XeSS」も対応ゲームが増えてくることを期待したい。もちろん、ゲーミングノートPCとしての完成度は高いので、Intel Arcの将来性に期待している人におすすめだ。
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※価格・構成については、2022年12月9日時点の情報です。最新情報についてはドスパラにてご確認ください。
※本製品はBTO製品の為注文時期によって内部で使用されているパーツが異なる場合があります。その為計測した結果と実際の数値が異なる場合があります。