「ゼルダ無双 厄災の黙示録」レビュー

ゼルダ無双 厄災の黙示録

サプライズも満載! 英傑たちが躍動、感情揺さぶる「BotW」100年前の体験

ジャンル:
  • アクション
発売元:
  • コーエーテクモゲームス
開発元:
  • コーエーテクモゲームス
プラットフォーム:
  • Nintendo Switch
価格:
7,920円(税込)
発売日:
2020年11月20日

 11月は”おひいさま”が活躍するゲームファン注目タイトルが2つも登場する月となった。

 ひとつは、11月12日発売のNintendo Switch/プレイステーション 4/PC「天穂のサクナヒメ」。PS5と同日の発売ながら、リアルかつ根気のいる米作りシミュレーションが話題となり、Twitterのトレンド入りも果たしたタイトルだ。同作での”おひいさま”は、主人公の豊穣神「サクナヒメ」のこと。

 そしてもうひとりの”おひいさま”は、今回ご紹介するNintendo Switch「ゼルダ無双 厄災の黙示録」のヒロインにしてハイラル王国の姫、ゼルダだ。11月20日発売予定の本作、すでに体験版も配信されているが、間違いなくこの年末の期待作だろう。

「ゼルダ無双 厄災の黙示録」のゼルダ
英傑のひとり、ウルボザがゼルダのことを「おひいさま」と呼ぶ

 本作の特徴はなんといってもNintendo Switch初期の超絶傑作「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」(BotW)の100年前の世界を描いている点にある。ゼルダやリンクだけでなく、4人の英傑など「BotW」のキャラクターが出演し、しかもプレイアブルであることだろう。

 「BotW」では100年前の「大厄災」によって世界が崩壊し、謎ばかりが残るハイラルの地での濃密な冒険が楽しめた。「BotW」のリンクはすべての記憶を失っており、「100年前に何があったのか」の解明も大きな目的となっていた。

 「BotW」は全体的に少し悲しい世界で、かつて英傑と言われた伝説の戦士や、ハイラル王はすでに死んでしまっている。100年前、「あのとき負けてしまった」という無念さが涙を誘うようなシーンもある。

 ところが。「ゼルダ無双 厄災の黙示録」が焦点を当てているのは厄災直前。つまりハイラル王も英傑たちもバリバリ現役で活躍している時代だ。100年前のハイラル王国に入り込めるばかりか、英傑たちを操作してその才能を思いっきり爆発させられる。

 本作では、リンクはもちろんのこと、ゼルダ、インパ、ミファー、リーバル、ダルケル、ウルボザなどがもうとにかく強い。ハイラルの”おひいさま”たちは一体どのような活躍を見せるのか。さっそく、「ゼルダ無双 厄災の黙示録」の内容をご紹介したい。

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先が読めない! 100年前の物語にアイデアが入る

 プレイ感の話に入る前に、「ゼルダ無双 厄災の黙示録」のストーリー部分に触れたい。というのも、本作は100年前の話と言いながらちょっとしたアイデアが入っているからだ。

 すでに配信されている体験版をプレイした人なら知っているかもしれないが、本作には小さなガーディアンが物語の鍵を握る存在として登場する。ガーディアンは図らずしてゼルダやリンクと出会い、彼らの運命に深く関わりながらその行方を目撃していく。ここでのポイントは、「BotW」の歴史にガーディアンが介入しているような描写があるところだ。

 つまり、「ゼルダ無双 厄災の黙示録」の舞台は「BotW」の100年前に違いないのだが、体験するストーリーが本当にそのままかどうかはゲーム開始時点ではわからない。「あれ、もしかして知っている歴史と違う? どうなっちゃうんだ!? 」というドキドキ感も含めて楽しむことができるのが本作だ。

物語の鍵を握る小さなガーディアン。「BotW」の歴史にガーディアンが介⼊しているような描写が随所にある。
このアイデアがあることで、ストーリーの予測がつかなくなる

英傑たちが躍動! 戦闘はスピード感あふれる仕上がりに

 さて、では本作はどのようなゲームなのか。簡単に言うと、より戦闘に特化した「BotW」といったものとなっている。アクションは「BotW」をベースにしつつも手触りはガラリと変わっていて、何より敵の数がものすごく多い。そして、なぎ倒していく数もとんでもない数字が積み上がっていく。

 操作感は、「BotW」と似ているようでまったく異なる。基本は弱攻撃→強攻撃でつないでいくコンボアクションで、「無双」シリーズ経験者ならすぐ理解できると思う。強攻撃へつなぐ際、何回弱攻撃を出したかでアクションが変わるのもシリーズおなじみだ。

画面そのものは「BotW」に近いが、操作やスピード感は驚くほど変わっている

 その上で特徴的なのが、Lに割り当てられた「ロッド」とRに割り当てられた「シーカーストーン」の使い方だ。序盤でも使い方が徐々に説明されていくが、ロッドはLを押しながらAXYのどれかで敵に雷、氷、炎の魔法を当てられて、シーカーストーンはRを押しながらABXYのどれかで「アイスメーカー」、「マグネキャッチ」、「ビタロック」、「リモコンバクダン」の4つを発動できる。

 ボコブリンなどのザコ敵は通常のコンボでガシガシ倒していけるが、モリブリンなどの大型の敵となると体力が高いのでコンボだけではなかなか倒しづらい。そこで登場するのが各ロッドとシーカーストーンだ。

 ロッドは、属性攻撃で敵の弱点を突いて行動不能にさせるイメージ。シーカーストーンは敵の特定の攻撃に対応する手段といった感じで、たとえば突撃してくる相手に頭に「アイスメーカー」のマークが浮かんだら、上手くアイスメーカーの氷を当てることで敵をよろめかせられる。謎解きに使われることが多いシーカーストーンの機能だが、今回は戦闘アクションに組み込まれた形だ。

シーカーストーンは強力な武器に。相手の動きをよく見てから発動するところがコツ

 敵が行動不能になったりよろめいたりして「ウィークポイントゲージ」が出てきたら、コンボを当てることでゲージを減らし、これがゼロになると強力な「スマッシュ」攻撃ができる。このスマッシュをいかに発動できるかで勝敗が決まる、といっても過言ではないほど重要な要素だ。

 ウィークポイントゲージを減らせる場面はほかにもあり、一定の攻撃の後の隙、敵の攻撃をギリギリで避けて発動できる「ラッシュ」などでも可能。敵の攻撃にうまく対応して立ち回りながら、こちらの攻撃をいかに通すかがポイント。強力な敵が増えてくれば対応すべき攻撃も増えるので、プレイが深まればかなりのスピード感でアクションが連続していく。操作をミスしないで冷静かつ素早く動くことが攻略の要となってくるだろう。

 そして楽しいのは、使用するキャラクターごとにまったく違うアクションでプレイできる点。当たり前の話なのだが、「BotW」では操作できなかったゼルダや4人の英傑たちがプレイアブルな時点で感動的だし、それぞれの特徴が存分に出ている仕上がりなので満足度が高い。2章のプレイレポートでは4人の英傑それぞれの手触りをお伝えしたが、最初は誰をメインで使うか迷うほどによくできている。

アクションパートを繰り返しプレイして素材や武器を集めるなどすることでキャラクターは成長していく。ハートやコンボの追加、必殺技ゲージの増加などによって強さも使い勝手も向上していく

キャラへの“感情移入プレイ”が楽しい!

 筆者の場合は、プレイするうちに圧倒的にミファーの使用率が高くなっていった。ミッションにはキャラクター固定と自由選択の2種類があり、自由選択ならほぼ毎回といって言いほどミファーが入る。

 なぜならミファーは、筆者の“応援したくなる英傑ナンバーワン”だから。もちろん攻撃範囲の広い槍、より多くの敵を巻き込み、継続ダメージも狙える水攻撃の使いやすさもある。しかしそれ以上に、もうどうにかしてミファーに報われてほしいという個人的な思いがキャラクター選出に乗りすぎている。

ミファー!

 「BotW」でも明らかになったミファーのリンクへの恋心だが、本作でもそうした思いがカットシーンとして登場する。秘めた思いはあるけれど、それを表立っては言えないミファー。そして、まったく気づかないリンク。報われてくれ! 報われてくれよミファー!

 2章のレポートでも書いたのだが、ミファーは操作の交代時には「ダルケルさん!」、「インパさん!」と仲間をさん付けで呼ぶ。誠実で謙虚な性格が呼び方ひとつで伝わるが、しかしリンクは幼馴染なので「リンク!」と呼び捨て。呼び捨てするほど、ミファーにとってリンクは他の誰よりも近い存在なわけだ。

 でもミファーは、それ以上は踏み込めない。この、近いからこそ最も遠い感じ! ミファーが「リンク!」と呼ぶ声に、ただ名前を呼ぶだけではない複雑な感情が乗っているこの感じ! ミファーの「リンク!」を聞くたびに、筆者の心はゆっさゆっさと揺さぶられるのです!

浮かない表情のミファー
使いやすくて強いので、個人的な感情を差し置いてもオススメ!

 筆者としてはミファーを応援するしかないので、ミファーを積極的に使うだけでなく、たとえば2人で挑むミッションはリンクとミファーをどんどんペアにしたりしている。

 本作には好感度システムのようなものはないので、だからといってどうなるわけでもない。でもリンクと一緒にいたいミファーの思いを少しでも叶えてあげるために、「リンク!」と少しでも多く呼ばせてあげるために、なぜか手が勝手に2人を選択してしまう。いま筆者の手元には、リンクとミファーのレベルだけが群を抜いて高いデータがある。本当に、だからといってどうなるわけでもないのに。

ミファーの目線目線!
2人プレイでリンクとミファーを選んでみるのも味わい深いですよ!

 つまりは、そういった思いを乗せたプレイも本作では可能ということだ。他にも、ゼルダは力が発動せずにずっと悩んでいるが、「BotW」以上に様々な表情を見せてくれる。防寒着でモコモコのゼルダ、決意の表情のゼルダ、シーカーストーンを駆使して戦闘にも赴くゼルダなど、100年前の世界だからこその躍動感は本作ならでは。思い入れも含めて、気に入ったキャラクターを思う存分使い込める楽しさを味わえるタイトルだ。

表情豊かなゼルダ。防寒着姿のゼルダは特にいい

 他にも細かいやりこみ要素があるが、あえてもうひとつだけ付け加えておくと、本作にはいろいろなサプライズが用意されている。詳しくはご自身で確かめていただくことをオススメするが、体感としては「BotW」をベースとした“お祭り”だ。

 「あ、そんなことが!」、「おー、そう来るのか!」、「え、そんなことも仕込んでいるの!」という驚きが次々に押し寄せてくる。サービス精神旺盛という点では特盛の体験であり、サプライズのつるべうちを食らったあとこそ「ゼルダ無双 厄災の黙示録」の真骨頂となる。そして、物語はどう展開していくのか……。まさに、「BotW」ファンのための作品だ。

ここでご紹介した以外にも、様々な要素が仕込まれている。ネタバレにつながるためあまり多くは語れないのだが、一言にするなら「思った以上にやることがある!」である