メディアセブンが主催し、デジタルSKIPステーション企画によるゲームの展示イベント、「遊ぶ!ゲーム展 ステージ1:デジタルゲームの夜明け」が、埼玉県川口市になるメディアセブンにて7月6日より開催となった。
「あそぶ!ゲーム展」会場のメディアセブン。展示スペースは7階にある 本イベントは、2015年にSKIPシティ彩の国ビジュアルプラザで開催された、「ステージ1:デジタルゲームの夜明け」と同様に、「日本が世界をリードしてきたデジタルゲームの進化史を解き明かすとともに、ゲームのしくみや映像技術について解説する、『実際にプレイできること』にこだわった“遊べて学べる”展覧会」というコンセプトのもと、1950年代末~1982年までの、黎明期のデジタルゲームを展示したもの。開催期間は7月6日から9月23日までで、入場料は200円(※1時間30分の入れ替え制)。休館日は第3金曜日となっている。
2015年当時の展示よりも出展タイトル数こそ少ないが、今となってはとても貴重なゲームがすべてプレイ可能で、なおかつ会場がJR川口駅のすぐ近くにあり、アクセスがとても便利なのは朗報だ。前回、会場に行けなかった方は、ぜひこの機会に足を運んでみるといいだろう。とりわけ、(デジタルの)ゲームが商業化される以前に研究・開発された作品を、エミュレーターで再現したものに触れられるのはたいへん貴重な機会だ。
以下、今回展示されている全ゲームタイトルと関連資料などを紹介する。
【「テニス・フォー・ツー」(1958年/ブルックヘブン国立研究所)】
ウィリアム・ヒギンボーサムらが開発した、オシロスコープを使用した世界初のコンピューターゲームのひとつとされるテニスゲームをエミュレーターにより再現。ボリュームコントローラーで高低を調節し、ボタンを押してボールを打つ
【「スペースウォー!」(1962年/マサチューセッツ工科大学)】
こちらもエミュレーターによる展示。マサチューセッツ工科大学の学生だったスティーブ・ラッセルらが開発した、世界初のブラウン管モニターを使用した作品で、スイッチとボタンで機体を操作し、ミサイルを撃ち合って2人で対戦するシューティングゲームだ
【「コンピュータースペース」(1971年/シジギ/ナッチング・アソシエーツ)】
ノーラン・ブッシュネルが「スペースウォー!」の影響を受けて開発した、世界初の商業用アーケードゲーム。自機をボタンで操作して敵機を撃ち落としていくアメリカ製のシューティングゲーム。本物(※左側の赤い筐体)は展示のみだが、別の筐体に映像を出力したうえで遊べるようになっている
ブッシュネルが創業したアタリでアラン・アルコーンが開発した、商業的に初めて成功したアーケードゲーム。ボリュームコントローラーでバーを上下に操作して2人でボールを打ち合い、受け損ねると相手に得点が入るゲームだ。筐体内部の写真も一緒に見ることができる
【「スピードレースデラックス」(1975年/タイトー)】
「スペースインベーダー」を後に手掛けた西角知宏氏が開発した、初期のレースゲームの代表作「スピードレース」シリーズの一種。その名のとおりスピード感が特長で、ステアリグとアクセルワークで敵の車をかわしていくのが楽しい。こちらは実物の基板も展示されている
こちらもノーラン・ブッシュネルらが開発した、通称「ブロック崩し」と呼ばれるタイプの元祖にあたるゲーム。ボリュームコントローラーでバーを左右に動かしてボールを打ち、ブロックに当てて消すと得点が加算される
【「スペースインベーダー」(1978年/タイトー)】
日本全国で大ブームを巻き起こしたことで、あまりにも有名なシューティングゲーム。テーブル筐体のほかにも基板や資料などが展示され、映像コーナーでは開発者の西角友宏氏のインタビューも見ることができる。
時折編隊を組んで襲い掛かってくる、敵のエイリアンと戦うシューティングゲーム。カラフルに描かれたキャラクターが高速で動く、スプライトの技術について解説したパネルも展示している
当時、東大生が開発したことで話題になった、主人公の検非違使を操作して、敵のエイリアンを穴に埋めていくアクションゲーム
【「クレイジー・クライマー」(1980年/日本物産)】
2本のレバーを使用して主人公を操作し、落下物などを避けながらビルの最上階まで登り、ヘリコプターに捕まるとステージクリアとなるアクションゲーム
敵のゴーストに捕まらないようにパックマンを操作して、ステージ内に点在するクッキー(ドット)を食べていく名作中の名作ゲーム。こちらも開発資料の展示があり、開発者の岩谷徹氏のインタビューも公開されている。
マイカーを操作して敵のレッドカーを避けながらステージ内に点在するフラッグ(旗)をすべて取るとステージクリアとなるアクションゲーム。プレイ中にずっと流れる、BGMが初めて本格的に導入された作品ということで、本イベントにピックアップされた
クォータービュー(斜め視点)による高低差を表現した、立体感のあるマップを導入したの珍しいタイプのシューティングゲーム。2Dの画像しか使えなかった時代の、疑似3Dの表現例として選ばれたタイトルだ
ミサイルを撃って敵を倒したり、ジャンプで穴や地雷を飛び越えながらステージクリアを目指す、横スクロールアクションゲーム。多重スクロールによる、遠近・立体感を効果的に使用した例としての展示だ 本イベントの見どころは、冒頭でも触れたように、ゲームがまだ商業化される以前の時代に研究・教育機関で作られた、「テニス・フォー・ツー」、「スペースウォー!」の両タイトルを遊べることが挙げられる。日本全国、どこのゲームセンターにも博物館などにも置いていない、貴重な歴史を体験できるまたとない機会なので、会場へ足を運ばれた際は必ず遊んでおきたい。
また、初の商業化作品である「コンピュータースペース」は、展示されたパネルを読むと「ヒットしなかった」と解説されている。発売当時は、それまで誰もが知らなかった斬新な作品だったのに、なぜヒットしなかったのかを考えながら遊ぶことをオススメする。さらに、逆にヒットした「ポン」はなぜ人気を博したのか、遊びながら比較することによってUIやUXデザインの重要性などが学べることだろう。
そして有名タイトルの「スペースインベーダー」と「パックマン」については、時間に余裕があれば開発者の西角、岩谷両氏のインタビューを先に見てから遊ぶようにしたい。現在とは比較にならない性能のハードで、どのようにしてゲームを作ったのか、作中に登場するキャラクターのデザインにはどんな意味が込められているのかなど、あらかじめ予習したうえで遊ぶことで、かつて両タイトルを何度も遊んだ経験を持つ人であっても、また新たな発見が得られるのではないだろうか。
入口付近には、1982年までのゲームの歴史をまとめた年表と、西角友宏・岩谷徹両氏のインタビューが見られる映像コーナーも設けられている(※写真の人物は岩谷氏) (C)埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ
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