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ADC≠マークスマン!激動のパッチ8.11より「LJL Summer Split」開幕

ニューメタに対応したチームが勝利を収める!昇格チームも大健闘

6月22日 開催

会場:Red Bull Gaming Sphere Tokyo

会場はお馴染みRed Bull Gaming Sphere Tokyo

 ライアットゲームズは、PC用MOBA「League of Legends(以下、LoL)」において、日本プロリーグ「Leagu of Legends Japan League(以下、LJL)」のSummer Splitを開始した。

 6月22日にはシーズンの開幕戦に当たるRound1として「V3 Esports(V3)」対「Burning Core(BC)」、「Crest Gaming Act(CGA)」対「Unsold Stuff Gaming(USG)」、そして「PENTAGRAM(PGM)」と「DetonatioN FocusMe(DFM)」の3試合が行なわれた。

 今季のLJLは見どころがたっぷりだ。その1つは先のSpring Split終了後、LJLの2部リーグに当たる「LJL Challenger Series(以下、LJL CS)」から見事昇格を果たしたBurning CoreとCrest Gaming ActがLJL参加チームに名を連ねていること。

 中でもBurning CoreはかつてLJL CSへの降格という憂き目に会いながらも、「SCARZ」の「LoL」部門との合併により「SCARZ Burning Core」として「LJL CS」を戦い、見事「LJL」復帰を果たしている。2チームの"昇格組"が現在のLJL参戦チームに対してどのような戦いを見せるのかが期待された。

 もう1つは試合の採用パッチが「8.11」であること。このパッチでは新チャンピオン「パイク」の実装や「統率の旗」の調整、クリティカルアイテムの調整などが施され、ゲームバランスに大きな影響を与えた。

 このパッチと前後して、これまで「LoL」では常識とされてきたEUスタイル(Top、Mid、Jungleに1人ずつ、BotにADCとサポートの2人で向かう陣形)に変化が見られた。ADCといえば試合後半に向けてスケーリングしていくマークスマンを置くのが定石だったのだが、8.11パッチでは「ヤスオ」や「スウェイン」、「モルデカイザー」や「ダリウス」など、本来であれば"トロールピック(おふざけ)"として扱われそうなファイターやアサシン、メイジをADCとして採用するのも別段おかしな話ではなくなってきたのだ。

 つまり、日本のプロチームは従来どおりマークスマンをADCとして採用するのか?はたまた今新しく生まれつつあるニューメタとしてファイターなどを採用するのか?このあたりも見どころとなっていた。

会場はほぼ満員といった感じで、特定チームのファンも応援に駆けつけていたようだ
実況のeyes氏と解説のRevol氏

今後の試合を占う開幕戦。メタの理解度が勝敗に直結

 開幕戦の初戦はV3とBCの対戦。のっけから大荒れの試合となったが、結果としてBCが2-1でV3を下す。目立ったのはBCのジャングラーWilder選手の八面六臂の活躍で、序盤からBotにGankを決めて試合を作っていった。

 V3も2セット目ではサポート寄りのミッド「ルル」と強力なUltを持つ「ノクターン」のシナジー、そしてタワーに対して強烈な破壊力を誇るオブジェクティブ「リフトヘラルド」を活用してわずか約26分で試合を制するものの、3セット目はBCが再び勢いで勝り、LJL昇格後の初戦勝利を飾った。

初戦、Wilder選手のBotGankがキレイに決まりダブルキル。ここからBCが動き始める
勝利後にはファンに囲まれるBCメンバー。写真を撮ったり握手をしたりと大人気
ファンにはサイン入り名刺も配布!ファンサービスの細やかさに驚かされる

 続くCGAとUSGの試合でも、CGAがLJL CSから上がってきたばかりとは思えないほどレベルの高い試合を展開して第1セットを先取。またもCS昇格チームが歴戦のLJLチームを食ってしまうのかと思いきや、USGはここから意地を見せる。

 USGの強みは集団戦の上手さで、特にUSGのADC、Gango選手は2セット目の終局で迎えた集団戦できっちりと火力を出し切り、劣勢の試合をひっくり返す。ここから勢いのついたUSGはTPやオブジェクティブの取得など、チームの連携も冴え渡り3セット目も連取。2-1でCGAを下した。

Gango選手を守りきり、劣勢で迎えた集団戦で見事勝利!この集団戦が流れを変えた
USGも試合後にはファンと交流。女性ファンの黄色い声援を浴びていたのが印象的だった

 この日最後の試合となったのはPGMとDFMの1戦。LJLの名実ともにトップの2チームながら、ここぞというところで何度もPGMに辛酸を舐めさせられてきたDFM。新たなメタのもと今季はどのように戦っていくのかがポイントとなったが、蓋を開けてみると2-0の快勝となった。

 DMGのADC、Yutapon選手は初戦で「ブラッドミア」、2セット目でモルデカイザーと、パッチ8.11のメタに則っていずれもマークスマンではなくメイジをピック。完璧なダメージ計算を武器に、護られながら火力を出すADCというよりまさに最前線で戦うバトルメイジといったムーブでゲームをキャリーした。

 また、2試合ともにDFMのジャングラーSteal選手はノクターン、PGMのOnce選手は「シン・ジャオ」という組み合わせとなったが、Steal選手がチン・ジャオにプレッシャーを与え続け、チームが自由に動くことができたのも勝因の1つだろう。DFMはきっちりとメタを研究してきた印象で、今回は試合内容、試合時間のいずれも圧勝と言える。

初戦ではタワーの1本すら折らせない圧勝ぶり。メタの理解度がズバ抜けていた

 パッチ8.11ではゲームの環境が大きく変わった。メタに対応し、少しでも有利なピック、戦略を取ることが勝利への条件なのはこれまでと変わらないが、そもそもADCにマークスマンをピックスべきなのか否か、といった根本的なところから考え直さなければならないというのはプロチームにとっても大きな課題と言えるだろう。

 一方、プレーヤーとしてみると純粋にチャンピオン選択に多様性が生まれ、見ていて面白いメタであるとも言える。ADCモルデカイザーなどは以前もプロシーンで採用されたことがあったが、どちらかというと奇策の1つといった感じで定番のピックにはなり得なかった。それが今パッチでは十分に有力なピックとなり得るし、その他の本来はTop/Midチャンピオンなども今後ADCとして登場することが予想される。

 また、LJL CSから昇格してきたチームが開幕戦で大健闘したこともあり、LJLはゲームメタ的にもチーム的にも見どころが盛りだくさんだ。Summer Splitの勝者は日本代表として世界大会「World Championship」に臨むことになるが、日本からはどのチームが出場することになるだろうか。今後の試合展開から目が離せない。

【開幕戦の試合結果】