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ネモ選手、竹内ジョン選手が北米eスポーツリーグの大手「Team Liquid」と契約

ALIENWAREも継続してサポートを表明

3月8日 開催

 東京・秋葉原の「ALIENWARE STORE AKIBA」で3月8日、ALIENWAREからサポートを受けるプロゲーマーネモ選手、および竹内ジョン選手がプロチーム「Team Liquid」に所属することが発表された。

Team Liquidの練習施設の披露と、2選手の加入を発表!

 会見では、まずはTeam Liquidの共同CEOのSteve Arhancet氏からのビデオレターが紹介された。ちょうどこの会見が行なわれているのとほぼ同時刻、ロサンゼルスではTeam Liquidの新しいトレーニング施設「ALIENWARE Training Facility」のテープカットが行なわれていたといい、その施設の光景とともに、ネモ選手、竹内選手の加入を喜ぶ様子が伝えられた。

【Team Liquid Returns to Street Fighter】
両選手加入に寄せた、Team Liquidの共同CEO、Steve Arhancetからのビデオレター

 Team Liquidは「スタークラフトII」のeスポーツチームとして2000年にオランダで結成され、今ではさまざまなゲームを対象に選手80人、スタッフだけでも70人という規模を誇る世界的に見ても最大手と言っていい団体だ。もちろん規模が大きいだけでなく、昨年は「Dota2」で約12億円の賞金を獲得するなど華々しい実績もある。

 しかし、「ストリートファイターⅤ」に関しては、ベトナム系アメリカ人のナックル・ドゥ選手が契約を終えて去ってしまい、選手がいない状態だった。そうした事情もあり、ネモ選手と竹内ジョン選手には大きな期待がかかっているのだ。

ALIENWAREはネモ選手だけでなく、竹内ジョン選手もサポートしていく意向

ネモ選手をプロとしてサポートしてきたALIENWAREでマーケティングマネージャーを務める柳澤真吾氏。いっしょに活動を続けてきたネモ選手がTeam Liquidに加わったことへの感動は大きく、同じようなストーリーを描ける新たなゲーマーを求めていると語った

 まずは2人の選手に先立ち、ALIENWAREでマーケティングマネージャーを務める柳澤真吾氏より、ネモ選手がTeam Liquidと契約に到った経緯などが紹介された。

 ALIENWAREは1年8カ月ほど前からネモ選手のサポートを開始しており、この間に格闘ゲームファンのあいだに同ブランドを浸透させたネモ選手の功績は大きいと称賛。

 さらに、今回の契約は北米のALIENWARE担当者を通じてTeam Liquid側からのアプローチで実現したことを明かした。柳澤氏としては当初からALIENWAREとの契約をきっかけとしたより大きな展開を夢見ていたそうで、この件に感動していると同時にTeam Liquidがかける期待の大きさも実感しているという。

 また、話はALIENWAREとTeam Liquidの関係にも及んだ。

 800平米を超える広さを誇るという前述の「ALIENWARE Training Facility」にはゲーム用の機材だけでなく、動画の編集、配信設備なども完備。冒頭に流されたSteve氏のビデオには日本語字幕がつけられていたのだが、それも北米のTeam Liquidのスタッフが手がけたそうで、つまりは伊達に70人ものスタッフを抱えてはいないということなのだ。

 こうした陣容を誇るTeam Liquidとの関係を活かし、ALIENWAREはさらに知名度を上げていきたいと考えているそうで、ネモ選手との直接契約こそなくなるもののTeam Liquidを通じてそのサポートを継続。また、ネモ選手とともに同チームへ加わった竹内ジョン選手にも、ネモ選手同様のサポートをしていく予定だという。

 しかし一方、ALIENWARE JAPANとしては単独でサポートするプロ選手がいなくなってしまったことになる。そこで、新たなプロ選手を募集する意向であるということが明かされた。ネモ選手は会社員と兼業のプロゲーマーとしても知られ、このことが多くの人にプロゲーマーとして生きることの多様性と可能性を示し、希望に与えた。「新たに募集するプロ選手との活動でも、同じようなサクセスストーリーを描いていきたい」と柳澤氏はその意向を語った。

コミュニティへの還元を果たし、希望を与える存在に

3月21日で20歳になるという、ラシード使いの竹内ジョン選手。昨年のフランス「Cannes Winter Clash 2017」で優勝したほか、今年の「EVO Japan 2018」では準優勝するなどの実績を誇り、この後の活躍も期待される

 2016年に海外のゲームコミュニティから招待を受けて参加した、プエルトリコでの「First Attack 2016」という大会で優勝したのをきっかけにプロ活動を開始したという竹内ジョン選手は、今年の「EVO JAPAN 2018」で準優勝を果たしたことでも知られている。

 柳澤氏に続いてスピーチを行なった竹内ジョン選手は、今回のTeam Liquidへの加入で夢がひとつ叶ったが、現状で満足せず、次の目標として「Capcom Cup」優勝を掲げた。

 また、今回の契約に到るまでに、ネモ選手からはさまざまな助言などを得ていたほか、多くの人から手助けをしてもらったそうで、今後はTeam Liquidの活動を通じて得たものを格闘ゲームコミュニティなどへと還元していきたいとのこと。

兼業プロゲーマーとしても知られるネモ選手。将来を不安視してプロゲーマーへの道をためらう人の希望となれるよう、Team Liquid参加後もスクウェア・エニックスに勤務する会社員として両立していくとのこと

 一方、2016年7月からALIENWAREのサポートを受け、社会人プロゲーマーとして活動してきたネモ選手は、昨年はフランスで開催された「Red Bull Kumite 2017」および東京ゲームショウ2017の「昇竜拳トーナメント」で優勝。さらにアメリカで開催された「Capcom Cup 2017」の最終予選「Last Chance Qualifier」で優勝した後、本戦でも3位入賞という成績を挙げたことでも知られる。

 スピーチではまず「ジョン君のお返し、楽しみにしています」と笑いを取った後、ALIENWAREとの契約に到るまで、何社からも「前例がない」と断られはしたものの、結果的にはプロになってからのほうがより実績を残すことができ、それがTeam Liquid加入に繋がったのだと語った。

 さらには、現在勤務しているスクウェア・エニックス入社へとできたのも、プロ活動あってのことと感じているそうだ。また、ネモ選手がその2つを両立させる姿を見せることで、将来が不安でプロゲーマーへの道にためらいを感じている人に希望を与えたいという動機もあり、ネモ氏は会社員とプロゲーマーの兼業をこれからも続けていくという。Team Liquidへの加入によって、さらに活動の幅を広げ、そこでも実績を残したいとその決意を語った。

両選手のTeam Liquid加入を記念したイベントも開催

 会見を通じてネモ選手と竹内ジョン選手の言葉から感じられたのは、eスポーツへの注目がようやっと本格化してきた国内において、自分たちが先駆者であるという自覚だ。今後Team Liquidとしてめざましい活躍ができたなら、その実績は国内でのeスポーツ発展に必ず寄与することだろう。

 なお、3月11日14時からは、ネモ選手と竹内ジョン選手のTeam Liquid加入を記念し、「ALIENWARE STORE AKIBA」でファンコミュニティイベント開催も発表された。両選手とのエキシビションマッチが行なわれるほか、Team Liquidのグッズが当たるチャンスや、両選手サイン会といった交流の場も設けられるという。

Team Liquidへの加入が発表されたネモ選手と、竹内ジョン選手。世界的な活躍が期待されている