【特別企画】

紆余曲折を経て進化した「ディアブロ IV」が今面白い! 「憎悪の器」発売前にこれまでのアプデやシーズンを振り返る

【「ディアブロ IV」拡張パック「憎悪の器」】

10月8日 発売予定

価格:5,360円〜

 発売当初とは別物と言えるほど進化を遂げた。筆者は現在の「Diablo IV(ディアブロ IV)」をプレイして素直にそう感じる。

 2023年6月に発売された「Diablo IV」は多くのプレーヤーに期待されながら発売を迎えた。「Diablo」シリーズと言えば、見下ろし型アクションRPGの始祖とも言える存在だ。マウスをクリックして敵をなぎ倒す爽快感と、強力なアイテムを求めて何度も挑戦するトレジャーハンティング要素が魅力で、多くのゲームファンを虜にしてきた。

 前作の「Diablo III」が発売されたのは2012年。10年を越える長い時間を経て世に送り出されたのが「Diablo IV」なのだ。満を持して誕生したシリーズ最新作だが、ローンチ時はコンテンツ不足や時間が掛かり過ぎるレベリングなどが目立ち、理想の「Diablo」体験を求めるファンとしては完成形とは言い難く、最初期にあまり良い評価を得ていなかった「Diablo III」同様、スロースタートな立ち上がりという印象を受けた。

 だが、多くのアップデートを重ね、今の「Diablo IV」は確実に成長したと言える。特にサービス初期から比べるとゲーム体験は大きく異なる。そして10月8日には初の拡張パック「憎悪の器」の発売が待っている。

 そこで、今改めて「Diablo IV」の成長を振り返る。「Diablo IV」がどう変わったのか、そして我々は「憎悪の器」に何を期待するのか。本稿で見ていきたい。

【ディアブロ IV | 憎悪の器 | リリース日発表公式トレーラー】

新生ヘルタイドでレベリングもサクサク! 「Diablo」らしさを感じられる常設コンテンツへと昇華

 筆者が最も大きな改善点として挙げたいのは「ヘルタイド」に関する変更だ。ヘルタイドは特定のエリアで発生する時限イベントで、プレーヤーのレベルより少し高いレベルの大量の敵が出現する。これは、貴重なアイテムを入手するチャンスであり、大量の経験値を得られる機会でもある。何よりも大量の敵を一掃する楽しさがあるのだ。

 だが、ローンチ初期のヘルタイドには終了してから始まるまで約1時間のブランクがあった。このブランクによりメリハリがあったとも言えるが、ログインタイミングやプレイ時間によってはあまり楽しめなかったのも事実だ。

 しかし、現在はほぼ常時開催されており(55分間のヘルタイドと5分間の休憩)、いつログインしてもヘルタイドを楽しめるようになっている。また、ヘルタイドはワールドティア3以降でないとプレイできないコンテンツだったが、シーズン4以降はプレイレベルに関係なく発生するよう調整されたため、ゲーム序盤から楽しめるようになった点も見逃せない。

 また、ヘルタイドには「脅威レベル」というシステムが追加され、3段階ある脅威レベルが上がっていくと徐々に難易度が上昇。レベル3に到達すると「ヘルボーン」という強力な敵がプレーヤーを襲うほか、ヘルタイドで入手できる「祟られし心臓」というアイテムを捧げることで「血の乙女」というボス的な存在を召喚することもできるようになった。これらの強力な敵を倒すことにより、膨大な経験値獲得とレアアイテムのドロップを狙えるのだ。

 「血の乙女」は召喚すると同じエリアにいるプレーヤーにも周知されるため、偶然その場に居合わせた者同士でちょっとしたレイドバトルを楽しめるのも魅力。低レベルのプレーヤーはこれに参加することで、効率良くレベリングや装備、素材集めを行なうことができる。

 こういったヘルタイドの改善などにより、ローンチ時に比べてレベリングはサクサク進められ、レベル上限の100に到達する時間も格段にスピードアップ。高レベル帯でしか体験できないコンテンツへ挑む敷居も低くなり、とても遊びやくなっている。

ほぼ常時「ヘルタイド」が実施されているのはプレーヤーとしてはありがたいし楽しい
「血の乙女」を召喚するにはヘルタイド内にある禁忌の祭壇を探し出し、「祟られし心臓」を3つ差し出す必要がある。なお、「祟られし心臓」は他のプレーヤーと出し合ってもOK
「血の乙女」はかなりの強敵。周りにいるプレーヤーと協力して挑むと効率よく倒せる

自分の目指すビルド向けの装備が格段に作りやすく、さらに選択肢が広がった強化システム

 装備やスキルを強化して自由に組み合わせ、自分好みの戦闘スタイルを構築していく“ビルド”は「Diablo」シリーズの魅力の1つだが、その要となる装備強化システムについても大きな調整が行なわれている。それがシーズン4より導入された新たなシステム「焼戻」と「名工品制作」だ。

 「焼戻」は「焼戻の秘伝書」というアイテムで解放したレシピを基に素材を使用し、装備に新たな特性を付与できる。これにより、さらに自分の目指すビルド向けの装備が作りやすくなった。一方で、付与される特性の方向性はある程度は絞れるものの効果や数値はランダム、やり直しは回数制限ありと無限に再チャレンジできるわけではなく、なかなか狙い通りにいかないのがミソだ。レア装備を獲得しても、この「焼戻」の結果次第でゴミと化してしまう、なんてこともザラにあるのだが、この苦行を乗り越えた先にある達成感を求め、何度もチャレンジしてしまう楽しさがある。

 「名工品制作」は新たに追加されたコンテンツ「奈落」で手に入る素材を使用することで、装備に付与された特性値を強化することができる。強化は1つの装備につき最大で12回可能で、基本的には1回の強化で全ての特性の数値を5%上昇できるのだが、4回目、8回目、12回目の強化時にはどれか1つの特性が25%もアップするボーナスが発生する。このボーナスはどの特性に付くかは完全にランダムとなっており、これもまた「焼戻」と同様、非常にやり応えのあるものとなっている。

「焼戻」システムや、「名工品制作」システムにより、自分好みの装備を作りやすくなった。そう簡単にはいかないが、狙った特性を集中して強化できればかなりの強力な効果が期待できる

狙うはミシックユニーク!トレハンがより楽しくなったエンドボスの追加

 また、これまでのアップデートのトピックとして、シーズン2より追加された「エンドボス」も忘れてはいけない。「エンドボス」は特定の素材を集めて召喚できるボスで、かなり強敵だが倒すとユニーク装備が高確率でドロップ。さらに、低確率ではあるが、通称「ウーバーユニーク」(シーズン5以降はミシックユニーク)と呼ばれる非常にレアで強力な装備品もドロップする可能性があるのだ。

 この「エンドボス」もシーズンごとに様々な調整が行なわれており、シーズン4以降は特殊な召喚素材を使用することで、レベル200のトーメントボスに挑戦可能になっている。トーメントボスは通常のエンドボスとは比べものにならないくらい強いが、ミシックユニークがドロップする確率がアップしており、強力な装備品が入手しやすくなっているので頑張って挑戦する価値は十二分にある。

シーズン2より追加されたエンドボス
エンドボスの召喚場面
シーズン4より特別な素材を用意することでレベル200のトーメントボスを召喚できるようになった。召喚素材は他のプレーヤーとマルチプレイで持ち寄ることで効率よく周回できる
ウーバーユニーク呼ばれていた本作における最上級装備はシーズン5からミシック(神秘)ユニークという名称に変更。装備アイコンも紫色になるなど特別感が増した

 ここでは全てを紹介しきれないが、ほかにもクエストやコンテンツの追加、スキルの調整、ペットの追加、インベントリの機能改善など大小さまざまな変更が行なわれており、これらの改善によりゲーム体験は着実に進化していると言えるだろう。

シーズン4以降で実装されたペットシステム。連れていくだけでお金や一部の素材などを自動的に拾ってくれる便利な相棒で、前作「Diablo III」でもかなりお世話になった。今作ではコスメ扱いとなっており、一度獲得したペットはワードローブからいつでも切り替えができる
シーズン3で実装されたエンドコンツの1つ「試練場(ガントレット)」
試練場ではレベル100以上のモンスターが次々と出現。モンスターを倒し宝箱を開けることで獲得できる「力の証」を8分の制限時間内にいくつ手に入れられたかを競っていく
手に入れた「力の証」の数はスコア化され、ハイスコアを出していくことでより豪華な報酬を得ることができる。また、クラスやクラン、フレンドでランキングを競うといった遊び方もできる

紆余曲折あった「Diablo IV」の各シーズンを振り返る

 「Diablo IV」におけるシーズンとは、一定期間ごとに開催される新しいゲームモードである。シーズンをプレイするためには、シーズンごとに専用の新キャラクターを作る必要があり、全プレーヤーはレベル1からスタートする。

 また、シーズン毎に新しいストーリーやゲームプレイ要素が追加され、新しい装備やアイテムなども導入される。さらに、シーズン限定のクエストやゲームシステムも登場するため、プレーヤーは毎回新鮮な気持ちでゲームを楽しめる。

 シーズンの楽しみ方の1つとして、目標達成で報酬を獲得できる「シーズンジャーニー」がある。さらに、バトルパスを進行させることで、コスメティックアイテムなども入手可能。全員が新キャラクターを作成するというスタートが公平な点と、シーズン限定の報酬やコスメティックアイテムが入手可能となる点から、プレーヤーのモチベーションを高めるシステムとなっている。

様々な目標を達成すると報酬を獲得できる「シーズンジャー二ー」。チャプターが進んでいくほど達成条件が難しくなっていく
シーズン毎に更新される「バトルパス」。無料版と有料版があり、有料版でしか獲得できないコスメアイテムなどがある
獲得できるコスメアイテムはシーズン毎のテーマに沿った限定のものが用意される

 本稿執筆時点ではシーズン5が進行中。これまで5回に渡って開催されてきたシーズンだが、中には少々クセのあるシステムが導入された回もあり、公式フォーラムやSNSへの投稿、個人のレビューや意見などプレーヤーの反応を見る限り、シーズンによって好評・不評がはっきり分かれているのがわかる。筆者も実際に各シーズンを体験してきたが、満足いく体験ができずに途中で手を止めてしまったシーズンがあったりする。

 シーズンコンテンツの開発チームは2つあり、それぞれが担当したものが交互にリリースされているということは過去の公式イベント等で明かされているのだが、不評だった回については一方の開発チームが挑戦的なシステムの導入を試み、それが一部のプレーヤーが「Diablo」に求めるゲーム体験に反したものとなってしまったのでは、と感じている。

 なお、最新のシーズン5はというと、筆者はとても楽しめた。今回のシーズンは「Diablo IV」初の拡張パック発売とそれに伴う大型アップデート直前で、ある種節目の回ということもあり、これまでの集大成とも言える仕上がりになっていたように思う。

 シーズン5の終了も近づいてきたこのタイミングで、これまでのシーズンでは一体どのようなシステムが登場してきたのかをざっと振り返っていきたい。

シーズン1「厄災のマリグナント」

 2023年6月5日に「Diablo IV」が発売された後、7月21日に満を持してシーズン1「厄災のマリグナント」がスタートした。このシーズンでは「マリグナント」という新種の敵が登場し、倒すと「マリグナントの心臓」というアイテムが入手できた。このアイテムは宝石のようにアミュレットと指輪にはめることができ、強力な効果があるため、収集して装備を強化するのがゲームのモチベーションとなった。

 一方で、シーズン制の初回ということもあり、今振り返ってみるとシーズン限定のコンテンツ量の少なさや、通常モード(通称「永遠の領域」)との差別化がしっかり構築されておらず、前作「Diablo III」のシーズンのような何度も遊びたくなる特別な体験が感じられにくかったように思う。

 また、各クラスのスキルに大きな変更が入り偏りが目立つなど、バランス調整についてもプレーヤーコミュニティから不満の声が挙がっていたのも印象的だ。

シーズン1では疫病により異型の者と化したマリグナントの怪物と呼ばれる新たな脅威が出現。プレーヤーはその原因を突き止めるべく調査に向かう
シーズンの限定要素として、特定の敵からドロップする「マリグナントの心臓」というアイテムが登場
後のエンドボスの1体となるヴァーシャンはシーズン1が初登場だ

シーズン2「渇望の鮮血」

 続いて、2023年10月18日に始まったシーズン2「渇望の鮮血」では、「吸血力」というシーズン限定の新要素が追加された。倒した敵から入手できる濃厚な血を「吸血力」タブで使用することで、強化な能力が身につけられるようになった。

 このシーズンでは開発チームが「ゲーム体験の質」に注力し、レベルアップ速度の向上、モンスター数の増加によるバトルの爽快感の増加、ユニークアイテムのドロップ率向上などが行なわれ、プレーヤー体験が大きく改善された。

 特に好評だったのはシーズン限定のコンテンツ「血の収穫」。これはヘルタイドと似たようなコンテンツで、ワールドマップに一定時間ごとに特別なエリアが出現し、限定のクエストをこなすことでキャラクターのレベリングとアイテム集めを効率よくこなすことができた。さらに、「囁きの木」で経験値と多数のアイテムがもらえる「厳かな願い」を達成するためのポイントも同時に稼げるようになっており、エンドボスを召喚するための素材集めも捗るなど、とにかく「血の収穫」を優先して周回すればキャラクターを強化できるという、わかりやすいゲームサイクルとなっていた。

シーズン2ではヴァンパイア・ハンターのエリスとともに血に飢えた襲撃者を討伐していくクエストが展開
シーズン2の限定コンテンツ「吸血力」。従来のスキルとは別に、条件を満たすことで強力なパッシブスキルを発動できる
「吸血力」の発動条件として武器に備わる盟約が必要だった。ただし盟約はアイテムで変更できるため、あまり制限はなく自由に組み合わせれる
シーズン限定イベントの「血の収穫」。現在のヘルタイドの脅威レベルの元ともいえるシステムとなっており、「血の収穫」エリアで対象の敵を倒していくと「ブラッドシーカー」と呼ばれる強力な敵が襲ってくる

シーズン3「先賢の構造体」

 2024年1月24日からはシーズン3「先賢の構造体」が始まり、プレーヤーの相棒となる「臣下」が追加された。「紡績堂」というシーズン限定のダンジョンから回収したアイテムを使って「臣下」をカスタマイズできる要素も導入された。しかし、このコンテンツは比較的不評だった。

 「紡績堂」にはダンジョン内にダメージを受ける床や炎が吹き出す壁などギミックが多数実装されており、このギミックダメージを一定回数受けてしまうと、ダンジョンクリア後の報酬が減少するという仕組みになっていた。これにより、「Diablo」シリーズならではの爽快感があるゲーム性が台無しになり、プレーヤーにとってストレスになったほか、苦労して手に入れたアイテムでカスタマイズした「臣下」の強さがあまり実感出来なかったのが不評となった大きな要因だろう。

 シーズン3の不評っぷりは中々に凄まじく、Steamの同接数などは好評だったシーズン2と比較してガクっと下がっていたと記憶している。緊急事態だと察した開発チームはこの仕様をシーズンの途中で実施したアップデートにより急遽調整。シーズン後半ではある程度快適にプレイできるようになったのだが、調整が入る前に離脱してしまったプレーヤーは相当数いたのでは、と推測する。

シーズン3では悪魔マルファスという新たな脅威が登場。この悪魔が操る危険な構造体に立ち向かっていくこととなる
「臣下」という相棒と一緒に戦うことができるのもシーズン3の大きな特徴
「臣下」は制御石と調律石というアイテムを使って、キャラクター同様にビルドを組んでカスタマイズすることができる。「臣下」が扱えるスキルには攻撃、支援など様々なものが用意されている
かなり不評だったシーズン3限定のイベントダンジョン「紡績堂」。しっかりクリアできれば報酬は美味しいが、行く手を阻むギミックに一定回数当たってしまうと報酬が減少。アクション要素が高く、従来の「Diablo」らしさが失われてしまっていたように思う

シーズン4「武装再錬」

 2024年5月15日から始まったシーズン4「武装再錬」では、「焼戻の秘伝書」を使用して「焼戻レシピ」を解放し、装備に新たな特性を付与できるシステムが導入された。さらに、ワールドティア4の祖霊のドロップアイテムに付く強力なレア特性「大いなる特性」や、特性を強化する「名工品制作」などが追加され、より強力な装備を入手できるチャンスが増えた。

 このシーズンはプレーヤーからの評判が上々だった。「Diablo」シリーズの醍醐味である「多くの敵を倒し、強力な装備を入手し、キャラクターを強化して、さらに強くなったキャラクターでより多くの敵を倒す」というループがシンプルに楽しめたのがその要因の1つかと思う。特に「ファーミング」と呼ばれるアイテム収集の体験が高評価を得たことで、「Diablo IV」のプレイ体験が大きく向上したように感じた。

シーズン4の表題は「武装再錬」。武器の強化システムなどに焦点が当てられ、様々な改善が行なわれた回となった
装備品に“大いなる特性”が付くようになり、よりトレハンに熱が入るようになった
前述でも紹介した「焼戻」システムもシーズン4から登場
「焼戻」を行なうにはレシピが必要。ちなみに、獲得したレシピはシーズンごとでリセットされるのだが、シーズン4からシーズン5にかけてはバグのおかげでレシピが引き継がれてしまうという事態に。プレーヤーにとってマイナス面ではないので、シーズン5ではそのまま修正されずに続行されている。来シーズンでは恐らくリセットされるかと思う
ヘルタイドの改善もシーズン4で行なわれた大きな調整の1つ。シーズン4のオリジナルクエストはこのヘルタイドを利用したものとなっていたのも楽しめた

シーズン5「獄炎軍団」

 2024年8月7日から開始され、現在も進行中のシーズン5では、ウェーブ形式の新コンテンツ「獄炎軍団」が追加された。このシーズンでは多くのユニークアイテムやレジェンダリーアイテムも新たに実装され、プレーヤーからの評判は概ね好評だ。筆者も1プレーヤーとしてかなり楽しませていただいた。

 「獄炎軍団」は、ウェーブ形式で押し寄せる敵の侵攻を防ぐコンテンツである。1ウェーブをしのぐごとに、プレーヤーは「獄炎軍団」全体に影響する効果を選択することができる。これらの効果には、敵の攻撃が熾烈になる代わりに大きなリターンが得られるものや、逆に戦闘をより容易にするものなど、様々な種類がある。プレーヤーはこれらの効果を戦略的に選択しながら進めていく。

 従来の「Diablo IV」では、ナイトメアダンジョンやヘルタイドを繰り返すのがコアなゲームプレイだったが、今シーズンでは「獄炎軍団」がその新たな選択肢となっている。このコンテンツにもティアの概念が導入されており、キャラクターの成長に応じて上位ティアに挑戦することも楽しみの一つとなっている。

 当然ながら、上位ティア、つまり難易度が高いほどより強力な装備が入手できるチャンスが増える。これにより、プレーヤーは自身の腕前とキャラクターの成長を試しながら、より良い報酬を求めて挑戦を続けることができる。

 不評だったシーズン1、シーズン3の奇数回開発チームによる最新シーズンということでスタート前は不安の声も挙がっていたが、蓋を開けてみると「Diablo」シリーズらしい新要素を追加しつつ、既存のコンテンツにもしっかりと調整が入るなど、素晴らしい内容を提供してくれた。

 ちなみにいくつか不具合も発生していたのだが、細かいアップデートにて対応しており、その周知と修正の速さについても評価したい。

シーズン5「獄炎軍団」では、憎悪の領域と呼ばれる場所に押し寄せてくる悪魔との戦いが繰り広げられる
シーズン5のクエストは、エリートやチャンピオンモンスターを倒すと手にれられる「母の賜物」を集めていくというもの。集めれば集めるほど報酬が貰える
今シーズンからは「獄炎軍団」という新しいエンドコンテンツが追加
「獄炎軍団」ではとんでもない数のモンスターが次から次へと押し寄せてくる
地獄の軍勢と戦っていく中で「燃えるエーテル」というアイテムを獲得できるのだが、これを集めた数に応じて報酬が獲得できる
「獄炎軍団」に挑むには「獄炎羅針盤」というアイテムが必要となる。獄炎羅針盤には1から8までのティアがあり、羅針盤のティアが上がると開始時点でのモンスターの脅威度や報酬の価値が増加。さらに、プレーヤーの復活回数も減少するなど 難易度があがっていく
ウーバーユニークはミシック(神秘)ユニークへと名称が変更されアイコンの色も変化。左がミシックユニーク、右が通常のユニーク装備だ

いよいよ発売間近。拡張パック「憎悪の器」に期待

 2024年10月8日、「Diablo IV」初の拡張パック「憎悪の器」が発売される。数々の新要素が追加されるこの拡張パックは、ゲームの世界をさらに広げる内容となっている。

 最大の見どころは、新クラス「スピリットボーン」の追加だ。これは「Diablo」シリーズ初登場となる完全新クラスで、卓越した機敏さと移動力を兼ね備えている。長柄武器を使い、守護精霊を呼んで戦うという独特の戦闘スタイルを持ち、素早い動きと、魔法や召喚獣とも異なる守護精霊のスキルは、このクラスの戦い方に幅広い可能性を感じさせる。

 そのほか、新エリア「ナハントゥ」の追加や、前作「Diablo III」のような味方NPCを連れて冒険に出かけられる「傭兵システム」も登場。さらに、新たなPvE協力プレイができる「暗黒の城塞」というエンドコンテンツの実装など、現時点で盛り沢山の新要素が明かされており、新たなゲーム体験が期待できる。

【ディアブロ IV | 憎悪の器 | 「スピリットボーン」クラストレーラー】
【ディアブロIV|憎悪の器|「傭兵」公開トレーラー】
新クラスとなる「スピリットボーン」。スピリットボーンは守護精霊を召喚し、その力を借りて戦うジャングルの戦士とのこと。守護霊にはゴリラ、ジャガー、イーグルなどが存在する
新エリア「ナハントゥ」。新たな街や忘れられた文明を発見できるこのエリアには、鬱蒼としたジャングルや荒涼とした砂漠など、多様なロケーションが用意。広大で探索しがいのある世界が期待できる
傭兵は心強い仲間として共に戦い、成長とともにさらに強力になり、独自の能力でプレーヤーを支援してくれる。傭兵は各自様々な戦闘スタイルを持っている
エンドコンテンツとしては「暗黒の城塞」も追加予定。「Diablo」シリーズ初の要素とされており、チームを組んで協力し、チャレンジに挑む必要があるという

 また、過去の「Diablo」シリーズプレーヤーにはちょっとしたサプライズとなった「ルーンワード」追加も最近明かされた新要素の1つだ。ルーンワードは、「ルーン」という装備ソケットに装着できるアイテムを2つ組み合わせ、独自のアビリティを作ることができるというシステム。ルーンには「儀式」と「懇望」の2種類が存在し、それぞれの条件を満たすことで効果を発動させることができる。

 「懇望」はアビリティの効果を指定するルーンとなっており、その効果を発動させるには「供物」と呼ばれるリソースが必要となる。一方で「儀式」は供物の獲得条件を指定するルーンとなっており、条件を満たすと一定の供物を獲得できる。

 例えば、“5メートル移動するごとに供物50獲得”という儀式のルーン「バク」と、“次の回避がソーサラーのテレポートになる:必要供物500”という懇望のルーン「ジャー」を組み合わせるとルーンワード「バクジャー」が完成。結果として50メートル移動ごとに回避がテレポートに置き換わる、という効果を得ることができる。なお、ルーンワードで得たアビリティ効果はクラス関係なく使用できるため、条件さえ満たせればバーバリアンがソーサーラーのテレポートを使用するといったことも可能となるのだ。

 ルーンワードは「Diablo II」にも登場したシステムだが、当時は多くの種類のルーンから特定の数、特定の組み合わせで効果を発揮するものだった。それが今作ではグッとシンプルになったことでより多くのプレーヤーがこの効果を享受できそうだ。

 既存のスキルと組み合わせることで、さらに自由度が増したビルドの構築が期待される。

儀式のルーン「バク」。供物の獲得条件は“5メートル歩くこと”。獲得供物数は50だ
こちらは願望のルーン「ジャー」。アビリティ効果は“次の回避がソーサラーのテレポートになる”。必要供物数は500となっているため、「バク」と組み合わせた場合は“50メートル移動ごとに次に使用する回避がテレポートになる”という効果を得られる

 「Diablo IV」は、数多くのアップデートを重ねて、ゲーム体験を大きく変化させてきた。レベリングの高速化や「焼戻システム」の導入により、発売当時と比べて自分好みの装備を入手しやすくなった。

 これにより、目標のビルドを早期に作成できるようになったことで、新たな装備の入手スピードも上がった。装備更新の楽しさをより深く味わえるようになったと言えるだろう。「Diablo IV」の魅力は、ハードコアプレーヤーからカジュアルプレーヤーまで幅広く楽しめる点にあるが、特にカジュアル層向けのアップデートが多く実装された印象だ。

 その結果、ハック&スラッシュゲームの醍醐味である、多数の敵をなぎ倒す快感を、ゲーム序盤から楽しめるようになった。

 これらの変更により、初心者や、サービス開始直後に離脱してしまったプレーヤーこそ、現在の「Diablo IV」を楽しめるだろう。率直に言って、サービス開始初期と今のゲーム体験は全く異なるものになっている。

 ハクスラの醍醐味である敵をなぎ倒す快感、装備更新の楽しさ、そして徐々に高難易度のコンテンツに挑戦していく楽しさ。これらの要素がより洗練され、アクセスしやすくなった現在の「Diablo IV」は、多くのプレーヤーにとって魅力的な作品へと進化した。

 拡張パック「憎悪の器」の発売を控え、これまでのアップデートやシーズンを通じて進化を遂げた本作。今こそ、新たな冒険に飛び込む絶好の機会だ。ベテランプレーヤーも、新規プレーヤーも、そして一度離れてしまった復帰プレーヤーも。この進化したサンクチュアリの世界で、果てしない装備更新の楽しさと、多数の敵をなぎ倒す快感、そして上位のエンドコンテンツに挑戦する喜びを体験してほしい。