インタビュー

「Diablo IV」の仕上がりはかなり自信がある。エンドゲームの詳細も聞けた開発者インタビュー

エンドゲームも変化する可能性が。やりこみ要素たっぷりの最新作

【「ディアブロ IV」アーリーアクセスβテスト】

実施期間:3月18日~3月20日

【「ディアブロ IV」オープンβテスト】

実施期間:3月25日~27日

 Blizzard Entertainmentが手掛けるアクションRPG「Diablo IV」がいよいよ6月6日に発売される。

 前作である「Diablo III」の発売は2012年であり、約11年という長い時間が経っている。もちろん「Diablo III」は継続的にアップデートされてきたし、「Diablo II」のリメイク作品である「ディアブロ II リザレクテッド」が2021年に発売され、筆者ももちろんプレイしていたのだが、シリーズファンとしては完全新作の「Diablo IV」への期待が抑えられなかった。

 そんな「Diablo IV」の先行購入者向けのβテストが3月18日から、オープンβテストが3月25日より始まる。ついに我々が首を長くして待ち続けた「Diablo IV」が一部とはいえプレイできるのだ。この原稿を書いているのはβテストの前日、ワクワクが既に止まらない状況だ。

 そんなβテストに先駆け「Diablo」フランチャイズ代表のロッド・ファーガソン氏、そして「Diablo IV」のゲームディレクターのジョー・シェリー氏に話を聞くことができた。

 本作に対する期待が高まるインタビューになったので、ぜひβテストが始まる前に読んでみてほしい。

【DIABLO IV|発売日公開トレーラー】
「ディアブロ」フランチャイズ代表のロッド・ファーガソン(Rod Fergusson)氏
「ディアブロ IV」ゲームディレクターのジョー・シェリー(Joe Shely)氏

――アーリーアクセスおよびオープンβテストを直前に控えた現在の心境と、「Diablo IV」で特に注目して欲しいポイントを教えてください。

シェリー氏:もうすぐプレイしてもらえるのを楽しみにしています。チーム全体でがんばって制作を進めて皆さんに届けられるような状態となっています。今回実施するアーリーアクセスとオープンβテストは様々なテストを兼ねています。マーケティング用に作ったわけではなく、プレーヤーの反応やサーバーの安定感、初期のゲームのレベリングのスピードなどの微調整を見てみたいと思っているので、ぜひ色んな人にプレイしてもらって情報を吸い上げたいと思います。

ファーガソン氏:開発陣がどれだけ愛と情熱を注いでいるか感じて欲しいです。クオリティとしては最高の物をお届けできると思っていますし、コアファンにはこれが最高の「Diablo」だと言ってもらいたいです。さらに新しく本シリーズを始めるプレーヤーに対しては「Diablo」を楽しんでいただきたい、というのが今の心境です。

いよいよ「Diablo IV」に触れられるチャンスがやってきた

――初めて「Diablo IV」をプレイする人にはどのスキルが強いかわかりづらい点があると思います。そこでゲーム内でオススメのビルドやスキルを教えてくれる仕組みはありますか?

シェリー氏:新しいスキルを覚えていくプロセスはゆっくりと進むと考えていただければと思います。具体的にはレベル帯によって異なるのですが、新しいスキルは1回レベルが上がるごとに、1個のスキルが入ると考えてください。ですので一気に新しいスキルが何個も入ってきて混乱を起こすようなことはないと考えています。

 またノードと呼ばれるサブスキルのようなシステムもあるのですが、そちらもゆっくり吟味しながら学んでいけるようになっています。もしスキルを振り間違えたり別の構成にしたい場合でも、スキル帯が低い場合は低コストでやり直すこともできます。

 今回の各クラスに言えることですが、プレイスタイルによって成長を進められるデザインを頭に入れながら作られています。コアスキルがいくつかあり、ゲーム内でそれぞれの系列のスキルツリーを調べることができます。ゲーム内でサーチすることができるので、初心者でもそのサーチを使えば変なビルドに仕上がることはないと思います。

 スキルツリーのシステムも初期から今に至るまで何回も作り直しをしています。その理由としてスキルツリーに関しては深さが欲しいと考えていますが、深さを突き詰めるにあたり、あまりにも理解が難しいものになってしまわないように何度も作り直しました。現状のスキルツリーは直感的に何をすれば良いかすぐにわかる作りになっているので、新しいプレーヤーに対してもスムーズに理解してもらえると思っています。

それぞれのクラスごとのビルドも多様な物になりそうだ

――「Diablo」はシリーズ25年の長い歴史があるタイトルですが、シリーズファンに満足してもらうにあたり、どんなことに注力したかを教えてください。

シェリー氏:プレイすると気がつかれると思うのですが、成長のプログレスは「Diablo II」に近いものになっています。そのため「Diablo II」をプレイしているとわかるかもしれませんが、ゲームをクリアするにあたりレベル上限に到達している必要はありません。大体Lv40くらいでエンドゲームに入ります。そこからがゲームの本番です。その上でパラゴンレベルの調整や、現状のレベルキャップの100に到達したあとも、「ワールドTier」というシステムがあり、新しいボスを倒さないとTierを上げられないシステムになっていますし、レベル100のキャップボスという存在もあるので、コアプレーヤーも十分満足してもらえる物になっていると思っています。

ファーガソン氏:ゲームをクリアしてからが本番だと思っていますし、ユーザーさんもそう思っていると思います。それを満足させられるようにと考えています。発売直後からエンドゲームのコンテンツがふんだんに入っている状態で発売されるので、パラゴンレベルやワールドTierのボスに加えて、それ以外のコンテンツもたっぷり入っているので、コアプレーヤーにも楽しんでもらえると思っています。

シェリー氏:エンドゲームに入ってからの大きな要素の1つとして、今作はオープンワールドなので世界各地を冒険してもらいたいと考えています。ワールドにはクエストやミッションを出してくれるシステムがあり、そこからオープンワールドが全体的に広がっていくと考えて欲しいです。

 2つめの要素としては今回のアーリーアクセス、オープンβテストでは「破砕山脈」というエリアがプレイできるのですが、ヘルタイドという要素でエリア自体が変化します。この状態では敵も強くなるのですが、レアアイテムがドロップしやすくなったり、事前にどの部位のレアアイテムが欲しいかを設定した状態でチャレンジすることもできるので、このヘルタイドの時間を把握してアイテム集めをするのがエンドゲームのコンテンツの1つになっています。

 3つめの要素はダンジョンです。ゲームを通して全体で150個の異なるダンジョンが入っています。このダンジョンは紋章という物を使って、ナイトメアダンジョンに格上げすることができます。格上げすることで敵も強くなりますし、得られるリワードも格上げされます。ドンドン難しいダンジョンに挑戦してもらうというのもエンドコンテンツの1つになります。

 4つめのエンドゲームコンテンツがPvPです。これは伝統的なコンテンツですが、今作ではもちろんパワーアップしています。PvPができるエリアというのが存在しており、そのエリアにいるとほかのプレーヤーから攻撃されます。

 もちろんこのエリアにはプレーヤーだけでなくモンスターも出現します。このエリア内でプレーヤーを倒していくと賞金首になって名声のようなパラメーターが上がっていき、パラメーターが高いプレーヤーを倒すとリワードを得ることができます。例えばリワードの1つとして「混沌の破片」というを得ることができ、この破片を使ってアイテムを交換することもできます。もちろん本作はライブサービスのゲームとして考えているため、今後も随時エンドゲームコンテンツが追加されていく予定です。ちなみに本作では他のプレーヤーを倒すと耳が入手できるという要素も盛り込まれています。

エンドゲームのコンテンツもかなり充実しているという

――本作にはどのくらいの数のビルド(キャラクターの育て方)が存在しているのでしょうか。

シェリー氏:現状、1つのクラスに対して4個から5個のベースがあると考えてください。例えばワールウィンドのバーバリアンが1つです。ただ同じワールウィンドを使っているからと言って、同じビルドが仕上がるとは限りません。ノードやアイテムなどのカスタマイズにより、同じワールドウィンドを使っていても異なるビルドが仕上がると考えてください。さらに本作には100以上のレジェンダリーアイテムもあります。それらをかけあわせてプレーヤーが発見してくれる新しいビルドも絶対にあると思います。

――「Diablo」が世に生まれてから25年が経っています。そのためそれぞれの開発スタッフによって理想の“Diablo像”があり、その世代が異なることで衝突することもあると思います。そういった場合どう対処するかという開発における姿勢について教えてください。

シェリー氏:これは「Diablo」チームに限らず、すべてのゲーム開発に言えると思うのですが、基本的にデザイナー同士が全員100%同意することはありません。むしろみんな自分の意見を持っていて、喧嘩することもあります、それはどこのチームも同じだと思います。「Diablo」というIPは25年の歴史があり、みんなが自分が理想にしている「Diablo」、自分の好きな「Diablo」というイメージやビジョンがあるので、こういった年齢層が違うメンバーがいるチームというのががあるのが良い開発に繋がっていると思います。

 なぜかというと違う世代層の「Diablo」ファンからの意見をチーム内で吸い上げることができるからです。「Diablo」に対してパッションを持ったチームが出してくる意見や、喧嘩の元が「Diablo IV」を良い物にすると思っているので、違う視点などは積極的に組み込みたいと思っています。

ファーガソン氏:開発に関しては初期からビジョンを共有して、「Diablo IV」はこういったタイトルであるということをチーム全体に伝える努力をしてきました。チーム内でよく使われるフレーズが「闇への帰還」です。これをベースにした上で違う世代の「Diablo」ファンから意見を吸い上げると、初代「Diablo」からは闇のトーン、ダークネスを、「Diablo 2」からはキャラクターの育成やスキルの育成のシステムを、「Diablo 3」からはコンバートの気持ちよさや爽快感を、そして「Diablo IV」ではそれらに加えてオープンワールドのゲームプレイを加えました。「Diablo」ではダークファンタジーのトーンを大事にしているので、日本ではCERO:Zで発売できることが決まっており、できるだけダークトーンをキープしつつレーティングを獲得できたことをとても嬉しく思っています。

――「Diablo IV」の仕上がりの手応えを教えてください。

シェリー氏:かなりの自信があります。今もチームが頑張ってゲームを仕上げており、今回のアーリーアクセスに間に合って、オープンβを出せるのも大きなマイルストーンです。実際にこのマイルストーンを達成できましたというだけではなく、ここからしっかりとテストに臨めると考えているので、しっかりここでプレーヤーのリアクションや経験を吸い上げて、最終的な調整を行なっていきたいと考えております。

ファーガソン氏:自分が見て面白いなと思ったのがチームのゲームの作り方です。開発初期もプロローグからエピローグまでを通してプレイすることができるようになっていました。内容としてはテクスチャーがなかったり、棒人間だったりしたのですが全体を通してプレイできるというのが初期から始まっていました。この作り方は他のスタジオで見ない作り方です。彼らは「スープテスト」と表現していたのですが、プレイしながら味を足していくとか、塩加減が足りないとか、フレーバーが欲しいとか、そういう作り方ができました。それに加えてコロナの影響で、みんなが家にビルドを持って帰ってコンソールやPCでプレイしないといけなかったので、このプロセスがより磨かれたという風に思っています。こういった「スープテスト」という作り方が珍しかったですし、そうしてでき上がってきたのが本作です。

本作の仕上がりについて自信たっぷりに話す2人の姿が印象的だった

――「Diablo IV」の新要素としてMMOライクな遊び方ができるとい印象があります。BlizzardといえばMMORPGである「Word of Warcraft」があると思うのですが、そこからのノウハウが今回の作品にどう活かされているかを教えてください。

シェリー氏:「World of Warcraft」は楽しく開発してきましたし、色んなことができたので楽しい時間だったと思います。そこで培ったノウハウはゲームを作る上での問題解決の力です。MMORPGに近いという意見もありますが、本作はARPGで他のプレーヤーと会ったりはするものの、1人で遊ぶことを重要視した作りになっています。

――過去作品ををプレイし飽きたプレーヤーに対する新しい要素が欲しいです。具体的には「Diablo II」ではアイテムトレード、「Diablo III」ではパラゴンレベルやセットアイテムという要素がありました。「Diablo IV」ではどんな新しい遊びが追加されるかを教えてください。

シェリー氏:「Diablo III」のプレーヤーの感想をベースにしているのですが、「Diablo III」で「アイテムが揃ってすごく強い状態になっていても、試し切りする環境がありませんでした。そういった意見をベースに「Diablo IV」ではワールドボスがそれに値するのではないかと思っています。ギアを集めて強くなってそのTierのボスに挑戦する。それを繰り返してトップTierまでいくのが楽しみではないかと思っています。

 またその上で「ナイトメアダンジョン」も紋章を手に入れることでドンドン強いダンジョンにいけるのですが、最終的にはプレーヤーが達成できる上限より、ダンジョンの上限のほうが上回っています。これをクリアするためには自分が上手くなることに加えて、高いTierのギアを集める、それをもってしてもクリアできるかどうかは自分たちも断言できません。最終的な遊びという意味では色んな遊び方ができると思っています。

 また本作はライブサービスのゲームになっているので、シーズンが進むごとによって、さらに新要素が追加されたり、変更される可能性があります。そのためシーズンが進むごとにエンドゲームが全く異なる物になっているということもありえます。そのためプレーヤーが飽きることはないんじゃないかと思っています。

――最後に日本のプレーヤーにメッセージをお願いします

シェリー氏:日本のプレーヤーの皆さんをまたサンクチュアリに呼び戻せるのはすごく楽しみですし、どういう反応があるか、どんなフィードバックがあるかも楽しみにしています。今回このダークファンタジーである「Diablo IV」をCERO:Zで出せることは嬉しく思っているので、できるだけ生の「Diablo IV」を楽しんでもらいたいと思っています。

ファーガソン氏:本作には色んな悪魔をゲームに詰め込んだので、それを倒す手伝いをしてもらえればと思います。みなさんがプレイするのを楽しみにしています。

――ありがとうございました。

一緒に様々な悪魔を討伐できるのを楽しみにしている