【特別企画】

「軌跡」シリーズ20周年記念! 「界の軌跡」発売前に、全「軌跡」シリーズのあらすじを一気に振り返る

「英雄伝説 閃の軌跡」:2013年9月26日発売

 「英雄伝説 閃の軌跡」で、舞台はエレボニア帝国へ。帝国の歴史は非常に長いので、かなり抜粋させてもらうが、ゼムリア大陸西部に位置している軍事大国のことだ。質実剛健を大切にする国で、武を重んじる風潮がある。平民勢力である「革新派」と貴族勢力である「貴族派」が対立している。

 時代は前作「碧の軌跡」と同時期である七耀暦1204年となり、メインとなるのはリィンを始めとした、トールズ士官学院「特科クラスVII組」のメンバー。トールズ士官学院は、近郊都市トリスタの北にあるエレボニアの名門校で、当時の皇帝であるドライケルス皇帝によって創立された。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡I:改」より

 主人公のリィンは「鬼の力」を持っており、感情が昂ると銀髪に赤目の姿へと容姿が変わり、普段とは比べ物にならない身体能力を発揮する。幼少期にリィンとエリゼを襲ってきた獣をこの鬼の力で惨殺したが、それ以来その力に恐怖を抱き、それを制御することを目的として「八葉一刀流」の修行を始めた。エステルの父カシウスや、A級遊撃士アリオスの弟弟子に当たる。

 物語は、2年前に遡る。エレボニア帝国の皇子オリヴァルトは、オズボーン宰相の強引な政策に不安を覚え、リベールに身分を隠して潜入した。リベールでの旅を通じて、結社とオズボーン宰相が裏で結託していることを確信したオリヴァルトは、反オズボーン宰相として、立ち上がる。

 リベールから帝国に戻ったオリヴァルトは、理事長を勤めていたトールズ士官学院にて、学院長などと協力して貴族と平民という身分に関係ない特化クラス「VII組」を新設する。

 とはいえ、身分の差がそう簡単に埋まるわけもなく、士官学院入学当初のVII組は争いが絶えなかった。しかし彼らは、帝国が抱える深刻な対立関係を目の当たりにする。また、貴族の養子であるリィンを中心に、クラス内の身分差によるわだかまりは徐々に解消されていき、オズボーン宰相の命を狙うテロリスト組織「帝国解放戦線」が出現するも、VII組は各地で彼らを阻止することに成功したのだった。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡I:改」より

 だが、時をほぼ同じくしてクロスベル自治州に侵攻した一個大隊が壊滅する事件が起こった。この事件には、リベールを混乱に陥れた結社の「幻焔計画」と、クロスベルの「零の至宝」が関わっているのだった(※「碧の軌跡」の時間軸)。

 これを受けて、オズボーン宰相はクロスベル自治州との全面戦争の開始を宣言するものの、帝国解放戦線のリーダーでリィンの学校の先輩である<<C>>ことクロウの手によって演説中に狙撃され、オズボーン宰相は死亡し、帝国内で内戦が始まってしまう。

 さらに結社の使徒のひとりでNo.2「深淵の魔女」ヴィータも登場し、帝国の地に眠る「七の至宝」を手に入れるべく動いていることが判明し、貴族、帝国解放戦線、結社とそれぞれの思惑が動き出す。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡I:改」より

 一方、士官学院の旧校舎の地下で、謎の声の導きによって試練を乗り越えたリィンは「起動者」という存在に選ばれていた。そして旧校舎の最奥には人型機動兵器が眠っていた。

 帝都が内戦で占領され、トールズ士官学院にも機甲兵部隊が迫る。学院を守るためリィン達は迎撃に向かうものの全く歯が立たず、もう終わりかというその時、旧校舎の最奥にいた人型機動兵器が目覚め、リィンの元に現れる。リィンはその人型機動兵器「灰の騎神」ヴァリマールに搭乗し、機甲兵を撃退。だが、今度はクロウが人型機動兵器「蒼の騎神」オルディーネに乗って現れる。彼はリィンのずっと以前から、騎神の起動者に選ばれていたのだ。騎神を操る術に長けたクロウに、リィンは大敗してしまう。ヴァリマールは損傷し、これ以上戦える状況ではなかったことから、強制的に戦線を離脱させられる。リィンを乗せたヴァリマールは、オルディーネと対峙するVII組の仲間達から、あっという間に遠ざかっていくのだった。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡I:改」より
画像は「英雄伝説 閃の軌跡I:改」より


「英雄伝説 閃の軌跡II」:2014年9月25日発売

 1カ月が経過した頃、リィンは士官学院から遠く離れた北の地で目を覚ました。そこはリィンの故郷の地ユミルで、そこでVII組の仲間は全員戦場から落ち延びたものの、現在は行方が分からない事を知らされ、失意に沈むリィンだったが、リィンの妹のエリゼや帝国皇女アルフィンらに励まされてリィンは気力を取り戻す。

 しかしリィンたちの留守中に、猟兵が郷を強襲。倒れた父と母の姿に、リィンの「鬼」の力が暴走してしまうが、必死に呼びかけるエリゼの声に、リィンは力をなんとか収める。

 そこに現れたのは、結社の魔女ヴィータ。そしてアルフィンとエリゼがヴィータの手に落ちてしまう。二人を取り戻すためにリィンは立ち上がり、騎神の力を借りながら帝国各地を巡り、VII組メンバーと再会する。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡II:改」より

 VII組が全員揃ったものの、貴族連合の総参謀でVII組に所属するユーシスの兄であるルーファスや、クロウを前に敗れるVII組。貴族連合軍のトップであるカイエン公爵は、リィンを貴族連合の旗艦に招待し、貴族連合へと参加するよう呼び掛けた。エリゼたちの身の安全を引き合いに出され、苦悩するリィン。そしてクロウからは、クロウが何故「帝国解放戦線」を立ち上げ、オズボーン宰相を暗殺しようとしていたのか、その理由が明かされる。リィンは、様々な出来事から己の未熟さを感じ、鬼の力で自らを強化する「神気合一」を習得し、鬼化の力を解放してクロウを倒すのだった。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡II:改」より

 オリヴァルトの手によって貴族連合の旗艦から脱出を果たしたリィンは、その後貴族連合と正規軍のどちらにも属さず、士官学院を奪還することを大目標として掲げる。オリヴァルトとアルフィンの力を借り、皇室専用飛行艇「カレイジャス」がリィンらの手に託された。カレイジャスで帝国各地に散らばっている学院生徒を集め、リィンらの勢力は次第に拡大。占領されていた士官学院を解放し、VII組以外の学院生も戻った。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡II:改」より

 貴族連合は徐々に正規軍に追いやられ、リィンはエリゼの救出にも成功するが、追い詰められたカイエン公は、アルフィンの双子である皇太子セドリックを連れ去っていた。そして帝都の皇宮に光の柱が出現し、その光は禍々しい「煌魔城」へと変貌する。そこにクロウがいる事を感じ取ったリィンは、決着をつけるべく、煌魔城へ向かう。

 クロウとヴィータのふたりに最後の戦いを挑む、リィン。クロウはついに騎神での戦いでリィンに敗北し、負けを認め、リィン達と和解する。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡II:改」より

 ヴィータは幻焔計画の他に個人的な思惑があり、これ以上事を進めるつもりはないとのことだったが、怒りで暴走したカイエン公は、帝都皇宮の地下深くに封印されていた「緋の騎神」テスタ=ロッサを目覚めさせ、魔神を復活させてしまう。「紅き終焉の魔王(エンド・オブ・ヴァーミリオン)」と呼ばれるその魔神は、テスタ=ロッサと皇太子セドリックの血を核にして顕現し、帝国中から霊力を吸い尽くそうとしていた。

 ヴィータ、クロウの協力を経て、リィンらはテスタ=ロッサ内部に取り込まれたセドリックを救出することに成功するが、魔王の最後の一撃がクロウの胸を騎神ごと貫いた。クロウは、リィンの腕の中で静かに最期を迎えたのだった。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡II:改」より

 全員が失意に沈む中、魔王すら倒されてしまったカイエン公が独り激高するも、そこに現れたのは総参謀のルーファスだった。彼はオズボーン宰相直属の部下「鉄血の子供達」の筆頭であり、そしてクロウの狙撃で死んだはずのオズボーンまでもが現われた。ルーファスはカイエン公に気づかれないように貴族連合の勢力を削ぐよう、宰相から命令されていたのだった。また、オズボーンの策略は、結社の「幻焔計画」を乗っ取らんとするところまできていた。

 カイエン公を逮捕し、その後の内戦の早期収拾とクロスベルの併合をルーファスに指示するオズボーン。そしてオズボーンは、リィンにこう声を掛けた。

 「久しぶりだな、我が息子よ」

 そう、リィンの真の父親は、オズボーンだったのだ。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡II:改」より


「英雄伝説 閃の軌跡III」:2017年9月28日発売

 七輝暦1206年、春。あの内戦から1年半近くが経った。

 大陸最大の貿易都市、クロスベル自治州を併合し、数カ月後には北方のノーザンブリア自治州を併合したエレボニア帝国は、宿敵のカルバード共和国を大きく上回り、大陸最大の国家となっていた。その一方、貴族に統治されていた地方は混乱・弱体化し、新たな問題も生まれつつあった。

 そんな中、帝都西郊・リーヴスの街に、リィンは降り立つ。

 リィンは学生の身ながら、灰の騎神ヴァリマールの乗り手として内戦終結に貢献し、クロスベル戦線や北方戦役でも活躍した「英雄」となっていた。

 2月にトールズ士官学院を卒業したばかりのリィンは、トールズ士官学院・リーヴス第II分校に教官として着任する。

 分校長は旧貴族連合軍の総司令だった「黄金の羅利」オーレリアが務め、VII組「特務科」はリィンが担任を務める少人数のクラスとなった。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡III」より

 VII組には、旧VII組のような地方演習があり、それを「特務活動」と呼ぶことになる。特務活動のなかで謎の魔獣について調べていたVII組が出会ったのは、結社が秘密裏に開発している機械人形だった。

 しかしそれを邪魔するように現れたのは、ランディの従姉妹で執行者No.XVII「紅の戦鬼」シャーリィと、第七柱「鋼の聖女」アリアンロードが率いる結社最強の戦闘部隊「鉄機隊」筆頭隊士である「神速」のデュバリィだった。ふたりは、この地で起こる事に介入しないよう警告をして消え去った。結社が、オズボーン宰相から「幻焔計画」を奪い返す為に動き始めたのだ。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡III」より

 5月に入った頃、リィンは同僚のランディから「特務支援課」の話を聞かされる。そしてその翌日、エレボニア帝国の皇太子セドリックが訪れ、次の演習先は1年半前に併合されたクロスベル州であることが伝えられた。クロスベルを訪れたリィンらVII組は、クロスベル州初代総督で「鉄血の子供達」筆頭のルーファスの下へと向かう。彼から調査項目を渡された一行は、調査の過程で緋色の花を見つける。それは以前、クロスベルを騒がせた薬物「グノーシス」の原料となった蒼いプレロマ草に似た花だったのだ。

 調査を続けるリィンらの前に、結社の執行者No.I「劫炎」マクバーンと、執行者No.0「道化師」カンパネルラが現れ、さらにはヴィータと、そして「蒼」のジークフリードと名乗る仮面の青年も姿を見せ、幻焔計画の奪還を宣言するのだった。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡III」より
画像は「英雄伝説 閃の軌跡III」より

 6月。演習地で、リィンはブリオニア島でアリアンロードと対峙する。圧倒的な存在感の彼女に、リィンはヴァリマールを召喚するものの、ヴァリマールは動きを封じられ、リィンは鬼化。旧VII組の仲間の助けもあり、アリアンロードを退けることに成功した。しかし翌日、再びアリアンロードが一行を待ち受けていた。アリアンロードの戦闘部隊「鉄機隊」と死闘を繰り広げ、そして七の至宝である「巨イナル一」を巡り、リィンはヴァリマールへと乗り込み、アリアンロードに挑む。アリアンロードを倒したかのように見えたが、彼女は「銀の騎神」アルグレオンを召喚してその場から去ってしまうのだった。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡III」より

 7月。要請書にあった、帝都内に潜伏中の共和国軍の特殊部隊「ハーキュリーズ」の調査を行うことになるVII組。帝都地下で活動中のハーキュリーズを姿を確認したVII組は、その後を追う。しかし新型オーブメントを操る彼らを逃がしてしまう。

 ハーキュリーズを追跡してたどり着いたのは、クロウの墓がある霊園だった。ハーキュリーズを逮捕した後、クロウの墓で祈りを捧げていたVII組は、クロウの墓が掘り起こされたような跡を見つける。墓を掘り返したところ、その中は空っぽで、リィンらが見た遺体はダミーだったかもしれないのだ。

 帝都に忍び寄る異変の調査を続けていく中、一行は再び「蒼」のジークフリードと相対する。そして「蒼」のジークフリードに向かって、リィンは「クロウ」と声を掛けた。しかし「蒼」のジークフリードは何も返さず、オルディーネに乗って去っていくのだった。

 そんな最中、リィンは実父であるオズボーンと面会をする。オズボーンによって14年前リィンをシュバルツァー男爵に預けたこと、そして結社の「幻焔計画」について語られる。かつて暗黒(エレボス)の地に存在していた。ふたつの至宝。その相克の果てに生まれた「巨イナル一」。帝国の人、物、歴史の全ては、祝福と呪いの上に成り立っているのだと。

 リィンはオズボーンに問う。心臓を撃たれても生きていた理由を。するとオズボーンは、14年前心臓近くを貫かれた息子に己の心臓を移した、そしてそれ以上は「宿題」とした。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡III」より

 その後、オズボーンは帝国政府からの重大声明として、今回の工作員の投入はカルバード共和国からの「宣戦布告」であると明言。

 教会の守護騎士(ドミニオン)第八位となった旧VII組メンバーや、「緋色の魔女」ローゼリアから1200年前の帝国の神話が語られた。

 「焔」と「大地」の2つの至宝。それぞれを授かった人間同士が争い、至宝の力が最後の激突で融合して生み出された、「巨イナル一」と呼ばれる「鋼」。自分達の手に負えないと判断した焔と大地の眷属達は、「巨イナル一」を封じる事にした。

 大地の眷属が7つの器を用意し、焔の眷属が力を分割して宿す事で作り出されたのが、7体の「騎神(デウス=エクセリオン)」だった。

 しかし、大地の眷属の末裔は今や「黒の工房」へと姿を変え、悲願である「巨イナル黄昏」を起こそうとしているのだ。それはヴィータが言っていた「終わりの御伽噺」。これらの真実を知る者はオズボーン宰相と、工房の主である「黒のアルベリヒ」のみだった。結社は「巨イナル黄昏」に協力し、世界の終焉の中で「幻焔計画」を完遂する事に決めたのだ。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡III」より

 その時、髪に紅い瞳をした「黒のアルベリヒ」がカレル離宮を「黒キ星杯」へと変貌させ、帝都中に幻獣や魔煌兵が出現する。リィンら新旧VII組は「黒キ星杯」へ乗り込み、その最下層へとたどり着いた。

 アルベリヒは、帝国にかけられた「巨イナル一」の呪いを利用し、7つに分割された「巨イナル一」をひとつの「鋼」に戻すことで、世界を闘争の原理で染め上げ、人を遥かな高みへと導くのだ、と。そして「巨イナル一」を真に完成させる「黄昏」が始まるのだ、と語った。

 聖獣が覚醒してしまい、リィン達は騎神と機甲兵を呼び寄せて死力を尽くす。その戦いの中で、旧VII組ミリアムの犠牲により「根源たる虚無の剣」が生み出され、聖獣を倒すべく斬りかかる暴走状態のリィン。そこに現れたのは、仮面が外れたジークフリード――クロウだった。

 「蒼」の騎神に乗るクロウ。そこに「紫」の騎神の乗り手である猟兵王ルトガー、「銀」の騎神のアリアンロード、「緋」の騎神のセドリック皇太子、「黒」の騎神オズボーンが、「灰」の騎神ヴァリマールを取り囲み、黒の騎神は言い放つ。

 「始めるとしよう。世界を絶望で染め上げる、昏終末の御伽噺を」

画像は「英雄伝説 閃の軌跡III」より


「英雄伝説 閃の軌跡IV」:2018年9月27日発売

 敵の手に落ちてしまったリィン。VII組の生徒であるユウナは、リィン救出のために、帝国各地を奔走する。

 一方、リィンは暴走状態から抜け出せずにいたが、鬼化の力のままに黒の工房を進んで行く。そしてリィンを救出しにきたVII組の前に現れたのは、結社の面々。

 己の生徒と対面し、正気へと戻るリィン。しかし、「真なる贄」としての己の運命を知るのだった。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡IV」より
画像は「英雄伝説 閃の軌跡IV」より

 騎神の起動者としての宿命、それは騎神同士の戦い。騎神同士の戦いは相克と呼ばれており、これらは全て「巨イナル一」を完成させるための準備であった。そして、それを行うための戦争が「巨イナル黄昏」である。なお、この黄昏は「巨イナル一」に蓄積された悪意に汚染された「黒の騎神」イシュメルガによってあらかじめ仕組まれていたことが判明する。

 闘争による膨大なエネルギーを満たした上で騎神同士が戦い、勝利した騎神は敗北した騎神の力を取り込むことで姿を変えるとともに力を増す。この際、不死者という形で生かされていた起動者も相克で敗北すれば、消滅する。七の相克と黄昏とは世界を巻き込んだ戦争を利用した騎神同士の奪い合い。そして最後に勝ち残った騎神が「巨イナル一」となるのだ。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡IV」より

 リィンはクロウとの相克を行うが、本来ならヴァリマールに吸収される力を押しとどめ、逆流させることでオルディーネを眷属化させ、クロウも消えずに済んだ。そして一行はクロウや、結社の行動に疑問を持っていたデュバリィを仲間に加える。帝国各地を巡りながら、仲間を増やしていくなかで、黒の司書の大本である水鏡にて、全ての真実を垣間見ることに。

 獅子心皇帝の生涯――その輪廻の果てが、ギリアス・オズボーンであること。そしてその魂にとり憑き、虎視眈々と狙い続けていた悪意に目覚めた騎神「黒」のイシュメルガ。この騎神こそが呪いの元凶であったのだ。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡IV」より

 そんな中オズボーンによる「大地の竜」作戦に対抗する「千の陽炎」の詳細を詰めるためパンタグリュエルへと向かったリィンたちは、リベールの遊撃士であるエステルらと、クロスベル特務支援科であるロイドらと出会う。さらに、帝国以外の各国の代表者までもが顔をそろえていた。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡IV」より

 「千の陽炎」とは、まさに帝国に対して他の全ての国が総出で対抗するという、まさに西ゼムリアにおける総力戦。成功しても失敗しても莫大な犠牲を生むことになる、ゼムリアの歴史上初の世界大戦へと進むもの。しかしながらリィン、エステル、ロイドら各国の若人たちはその道を否定はせずとも新たな道を見つけるため、独自に動いていくことを選ぶ。

 そんな中で、セドリック皇太子がリィンを襲撃。苦境に陥る一同だが、そこに現れたのは死んだはずのオリヴァルト皇子と新たなる飛空艇「カレイジャスII」。新たな翼を手に入れたVII組だった。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡IV」より

 そして猟兵王ルトガーとの第二相克や、アリアンロードとの第三相克。アリアンロードとは和解へと至るも、突如現れた「金」の騎神――ルーファスの不意打ちによって、アリアンロードは息を引き取る。だが、最後に力を託して、ヴァリマールの意識と、剣の中のミリアムの意識体が復活した。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡IV」より

 最後の相克の舞台として出現した「幻想起動要塞」と、それを守護する塩の柱群。終局に挑むリィンは、カシウス立ち合いのもと奥義を開眼し、ついに「剣聖」へと至った。幻想起動要塞に乗り込むVII組の前に立ちはだかるは、「鉄血の子供達」。

 セドリック皇太子との第四相克、ルーファスとの第五相克を越えたヴァリマールは、最終決戦へと駒を進める。

 行く手を塞ぐのはオズボーンばかりではない。結社の使徒第三柱「根源」のマリアベル、執行者No.0「道化師」カンパネルラ、執行者No.I「劫炎」のマクバーン。「黄昏」の中、記憶を取り戻したマクバーンの正体が明かされる。「堕ちたる外の魔神メア=ク=バルウド=ルアウング」。その戦いの果てに、マクバーンは記憶を取り戻し、「外の理」の異界の存在を口にする。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡IV」より
画像は「英雄伝説 閃の軌跡IV」より

 ついに残すは最終決戦。獅子心皇帝の転生者である「鉄血」のオズボーンと、元凶たる「黒」のイシュメルガとの対決。最終相克にて、リィンとヴァリマールは勝利する。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡IV」より

 しかし、「黒」がオズボーンの予備として用意しておいた依代「真なる贄」がリィンを蝕んで力を与え続け、それを御しきることができず、リィンはヴァリマールと共に大気圏外へと飛び、「巨イナル一」と共に散ったのだった。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡IV」より

 ――だが、終盤で隠しクエスト「大地の聖獣の試練」をクリアしている場合、別のルートを選ぶことができる。

 リィンは意識下で、父であるオズボーンに見守られながら、ついに鬼の力との決別を果たす。切り離された「黒」の意識体は「巨イナル一」と融合し、「イシュメルガ=ローゲ」として顕現する。集った仲間たちと、イシュメルガ=ローゲを倒したリィン。ついに御伽噺の結末は切り替わり、「黄昏」と呪いに人は打ち勝ったのだ。そして帝国の2つの至宝の奇跡によって、ミリアムとクロウが復活する。オズボーンの隠され続けた真の顔は息子のリィンにそっくりで、責任感が強く優しい、そして他のために己を犠牲にできる人物であることが明かされるだった。

画像は「英雄伝説 閃の軌跡IV」より

 帝国は終戦を迎えるが、国の中の混乱は避けることができず、「冬の時代」を迎えることになる。

 そして「幻焔計画」の結末を見届けた結社では、ついに盟主がその姿を現す。盟主が告げるは、「永劫回帰計画」――。


「英雄伝説 創の軌跡」:2020年8月27日発売

 「英雄伝説 創の軌跡」では、ゼムリア大陸を舞台に、「英雄伝説 閃の軌跡IV」で描かれた「巨イナル黄昏」後の世界を描き、この作品をもってゼムリア大陸西部での物語は一区切りを迎える。「英雄」リィン、「解放者」ロイド、「隠者」<<C>>、という3人の主人公が登場し、3つのルートを切り替える「クロスストーリー」システムを搭載。

 七耀暦1207年2月。ロイド・バニングスら、特務支援課をはじめ、クロスベル警察、クロスベル警備隊らによって、帝国領とされたクロスベルの自治権を取り戻す為の作戦「クロスベル解放作戦」が始まった。作戦は見事成功し、クロスベルが自治州として再独立する事が決定した。

画像は「英雄伝説 創の軌跡」より

 3月。再独立調印式が順調に行われようとしていたまさにその時、戦犯のひとりとして逮捕された筈の元クロスベル総督であるルーファスと、彼の率いる「黒の衛士隊」が調印式を襲撃。特務支援課を退け、ルーファスはゼムリア大陸統一と、「クロスベル統一国」樹立を宣言する。特務支援課は追い込まれるも、なんとかクロスベル市を離脱する。2日後、郊外で目を覚ましたロイドは、各地にいる仲間を見つけて再占領されたクロスベルを再び解放するべく動き出す。

画像は「英雄伝説 創の軌跡」より

 その頃、エレボニア帝国では、結婚式を行った帝国皇子オリヴァルトと、彼の妃シェラザードが新婚旅行に出たまま、カレイジャスIIごと行方不明になっていた。行方の手掛かりは全くない中、ある映像が帝国軍情報局に向けて送信される。それは、「新生帝国解放戦線」のリーダー<<C>>を名乗る仮面の人物が、オリヴァルト皇子夫妻を誘拐し、更に帝都ヘイムダルで何らかの行動を起こす事を示唆する犯行声明であった。

 その知らせを故郷ユミルで受けたリィンは、クロウが「帝国解放戦線」リーダーとして名乗ったのと同じ名前を名乗った事に、疑問を抱く。リィンの下に集った新旧VII組は、皇子夫妻誘拐事件及び新生帝国解放戦線の調査を開始する。

画像は「英雄伝説 創の軌跡」より

 一方、帝国内オーロックス峡谷道では、暗殺組織「庭園」から逃げ出した元殺し屋であるスウィンとナーディアが、トランクを運んでいた。このトランクは、有名な人形師であるヨルグ・ローゼンベルクが、<<C>>という人物に届けるように依頼したものだった。

 トランクの中には、人間と遜色ない知能を有する人形ラピス・ローゼンベルクが眠っていた。ラピスに事情を聞こうとするも、ラピスは目覚める前の記憶を失っていた。不安になるラピスに、記憶を取り戻そうと言う、<<C>>。更に<<C>>は「人手が足りない」と、スウィンとナーディアを雇い、同行させる。

画像は「英雄伝説 創の軌跡」より
画像は「英雄伝説 創の軌跡」より

 様々な目的で動き出したロイド、リィン、そして<<C>>。

 やがて運命はまず、リィンと<<C>>を交わらせる。リィンとクロウの手によって<<C>>の仮面が剥されるが、その正体はクロスベルにいるはずのルーファスだった。クロスベルにいるルーファスは偽物で、それを自分の手でなんとかすることが<<C>>ことルーファスの目的だった。

画像は「英雄伝説 創の軌跡」より

 その後リィンらはオリビエとシェラザードの救出に成功するが、その過程でリィンは半分鬼のような姿に変わってしまう。

 そしてリィンたちの前に現れたのは、黒衣に長い銀髪と先の大戦で「黄昏」の贄となっていた時のような姿をした、もうひとりのリィンだった。

画像は「英雄伝説 創の軌跡」より

 一方で、ルーファスは、ラピスの謎を知る機会を得る。ラピスは、「エリュシオン」という人工知能の管理者で、ゼムリア大陸全土に存在する霊脈と現代で大陸各地に張り巡らされつつある導力ネット、この2つによって産まれた機械知性であった。クロスベルで出現した「碧の大樹」と帝国で発生した「巨イナル黄昏」、至宝の力で発生したこの異変で霊脈が急激に活性化したために誕生したのが、エリュシオン。

 だが、ある日突然エリュシオンは乗っ取られてしまい、ラピスはローベンベルク人形となり、記憶を失ってしまった。エリュシオンを乗っ取った存在が、今回の黒幕なのだ。

画像は「英雄伝説 創の軌跡」より

 時を同じくして、偽のルーファスが「統一国に明日までに賛成を表明しなかった国を攻める」という内容の放送を、導力ネットに流す。

 一刻も早く、偽のルーファスを倒してクロスベルを取り戻さなければならない。リィンとロイドは、一斉にクロスベルに乗り込むことを決める。そこにルーファスも加わり、偽のルーファスを倒した一行は、クロスベルを取り戻すことに成功するが、そこに突然「逆しまのバベル」と呼ばれる巨大兵器が姿を現す。「逆しまのバベル」は、機械知性エリュシオンを支配下においたイシュメルガによって、ゼムリア大陸全土の統一と恒久平和を実現する抑止力として建造された、巨大兵器。その威力は、一瞬で「ジュノー海上要塞」を消してしまうほどで、明日までに統一国に賛成しなかった国には「逆しまのバベル」から「天の雷」を落とすと脅迫する。

画像は「英雄伝説 創の軌跡」より

 一行は「逆しまのバベル」へと乗り込む。その最奥にはイシュメルガ=リィンが待ち受けていた。イシュメルガ=リィンとは、「閃の軌跡IV」の流れから弾かれた結末(ノーマルエンド)のリィンが、「黒」の騎神イシュメルガと混ざり合い、永遠に繰り返される「無限相克」の果てに行きついた存在である。

画像は「英雄伝説 創の軌跡」より

 イシュメルガ=リィンと「零」の騎神ゾア=ギルスティンは倒されるが、機能停止までの僅かな間にイシュメルガによって、「天の雷」の標的の決定が、大陸中の人々の憎悪が向かう先に設定される。

画像は「英雄伝説 創の軌跡」より
画像は「英雄伝説 創の軌跡」より

 発射が目前に迫る中、転移によって内部から離脱する一同だったが、ひとり内部に残ったルーファスの大陸全土への映像放送で人々の悪意を自分に向けたのだ。ロイド、ナーディア、スウィン、ラピス、そしてルーファスの弟であり旧VII組のユーシスの5人は、内部へと戻る。ロイドやユーシス、ラピスらの熱弁にルーファスも納得し、「逆しまのバベル」が「天の雷」によって消滅する寸前に全員外に脱出し、「逆しまのバベル」は「天の雷」で消滅した。

画像は「英雄伝説 創の軌跡」より

 こうして今度こそ無事に独立を果たした、クロスベル。そして、ルーファスはオリビエに告げられる。「逆しまのバベル」と共にルーファス・アルバレアは消滅した、と。ルーファス・アルバレアは極刑だが、彼はもう生きていないのだ、と。ルーファスは過去を棄て、ラピスとスウィンとナーディアとの4人で旅に出るのだった。

画像は「英雄伝説 創の軌跡」より
画像は「英雄伝説 創の軌跡」より

 「閃の軌跡」シリーズおよび「創の軌跡」を含む帝国編は、リィンを主人公にした、非常に壮大な物語となった。結社もいよいよ大きく動き始め、騎神同士による戦いや、機甲兵などに乗って戦うといった、よりスケールの大きな戦いが楽しめるようになった。リィンは鬼の力をもってしまったがために様々な苦悩を抱えた主人公となったが、リィンを助けたいという多くの仲間に支えられた。

 また、帝国編から3Dになり、ビジュアル的にも大きく進歩した。実質帝国編の完結編と呼べる「創の軌跡」では、ロイドやルーファスなども主人公として登場し、様々な謎を回収するという大変面白い作品になった。