【特別企画】
「軌跡」シリーズ20周年記念! 「界の軌跡」発売前に、全「軌跡」シリーズのあらすじを一気に振り返る
2024年9月25日 00:00
「英雄伝説 黎の軌跡」:2021年9月30日発売
エレボニア帝国編である「閃の軌跡」シリーズが終わりを迎え、「創の軌跡」を挟み、舞台をカルバード共和国に移したのが「黎の軌跡」だ。
1208年、世界大戦(ヨルムンガンド戦役)開戦に対する、エレボニア帝国からの巨額の賠償金でかつてない好景気を迎えているカルバード共和国。しかし共和国では移民の大量流入による情勢不安や新大統領ロイ・グラムハートによる大規模な政治改革により、好景気の裏で激動の時代を迎えていた。
そんな共和国では、あまり大っぴらにできない「裏」の案件を解決する裏稼業「裏解決屋(スプリガン)」が活躍している。裏解決屋は一般人からの依頼はもちろんのこと、警察や遊撃士協会等の下請けや、裏社会まで、あらゆる依頼をこなすのだ。
共和国首都・旧市街にある「アークライド解決事務所」もその裏解決屋のひとつ。所長は、ヴァン・アークライド。表側の人間から裏側の人間まで、非常に幅広い人脈を持っている。そのアークライド解決事務所の扉を、アニエスが叩いたところから、「黎の軌跡」の物語は動いていく。
アニエスは亡き曾祖父の形見である導力器(オーブメント)「オクト=ゲネシス」が何者かに盗まれたので、その捜索をヴァンに依頼しに訪れたのだった。
ゲネシスを探してたどり着いた地下遺跡で、ヴァンたちは同じく導力器を探していたマフィア組織「アルマータ」と戦闘になる。しかし敵わず、ピンチになりかけたその瞬間、「ゲネシス」によって時が止まってしまう。そしてヴァンの端末にインストールされたホロウAI「メア」からの「悪夢を纏う、纏わないの?」という問いに、ヴァンが「纏う」と選択すると、ヴァンは「魔装鬼グレンデル」へと変身し、凄まじい力を得たのだった。
この「ゲネシス」が、半世紀前に起きた「導力革命」の立役者、C・エプスタイン博士によるものであり、アニエスが手に入れた曾祖父の手記には。「オクト=ゲネシスを120*年までに取り戻してほしい。さもなければ全てが終わる」と書かれていた。そして「ゲネシス」は、全部で8つあるという。
その話を聞いたヴァンは、残り7つの「ゲネシス」捜索を手伝うことに。アニエスも、アークライド解決事務所の助手として引き続き「ゲネシス」を追うことになったのだった。
他に、依頼者として、或いはゲネシスを行方を探す過程で、様々な事情によって、アークライド解決事務所には多くの仲間が集うこととなった。
猟兵団「クルガ戦士団」に所属する若き少女のフェリ、東方人街で浮名を流す遊び人で東方華劇の女形役者のアーロン、「マルドゥック総合警備会社」のサービスコンシェルジュを務めているリゼット、バーゼル理科大学の修士課程を治める研究者の少年カトル、導力映画界のトップ女優であるジュディス、ヴァンの武術の師匠のベルガルド――。その多くは、「ゲネシス」によって道を歪められたものたちだった。
「ゲネシス」を追う過程でアークライド解決事務所の面々の前に度々顔を出すのは、アルマータ。共和国一のシンジケート「黒月(ヘイユエ)」が定めた「常習性の高い薬物や人身売買の禁止」の掟に背いており、非常に強力な戦力を持っている。
そんなアルマータの数々の行為はCID(カルバード共和国中央情報省)や遊撃士協会、警察、「黒月」からも目を付けられているものの、内偵者が殺害される事件も起こっている。
アルマータが勢力を拡大したのは、若頭のジェラール・ダンテスが総帥となってからのこと。ジェラールはゼムリア大陸すべてを恐怖に染め上げることを目的としている。なお、ジェラールは旧カルバード王家直系の一人(旧王族)で、「D∴G教団」の幹部司祭であった。
他、「三幹部」として、暗殺組織「月光木馬團」の一人で、その後「庭園」の管理人となったメルキオルや、ヴィオーラ、アレクサンドルらがいる。
また、終盤では主人公ヴァンの正体が明らかになる。ヴァンは七耀教会の外典に記される高位次元の悪魔だった。世界が一度書き換えられた際に新たに五柱が加わった七十七の悪魔の一柱、「漂泊の魔王」ヴァグランツ・ザイオンの依代だったのだ。
その身体には魔王の力の源である魔核(デアボリク・コア)を宿し、グレンデルとは魔王の力を抑えるための拘束具であり、ヴァンが内に宿す魔王の力が暴走しないようにシャードで形成された装甲で強引に抑え込み力を解放する「枷」であった。
ヴァンは自分の正体を知った時からこの世界に対して後ろめたさを感じるようになり、ジェラールとの決着をつけて魔核を取り戻して魔王の姿になってしまった際には、一切の躊躇もなく自分を狭間へと封じこめて消え去ることを選択した。だが、追いかけて来た仲間たちの言葉によりヴァンがこの世界で紡いできた縁と絆、そして業を思い知る。それによりヴァンは自分の選択を取り消して元の世界に戻ってきた。
なお、エンディングの時点で第7のゲネシスまでが集まっている。
「英雄伝説 黎の軌跡II」:2021年9月30日発売
七耀暦1209年、アルマータの脅威が過ぎ去って2カ月、かつての平穏を取り戻したカルバード共和国。
そんなある日、首都イーディスの片隅で、CID特殊部隊が何者かに惨殺されるという猟奇的な事件が発生する。事態の収拾に向けて動き出すカルバード警察や遊撃士協会。
ヴァン・アークライドも、A級遊撃士で元・恋人であるエレイン・オークレールの来訪をきっかけに、調査に乗り出すこととなる。エレインはヴァンの変身した姿である、グレンデルと姿形が似ている紅黎い怪物の情報を掴んでおり、ヴァンが犯人として逮捕されるのを防ぐ為、そして事件の真相を追う為に依頼人として調査に同行する。
その日の夕方、軍の駐屯地で「グレンデル=ゾルガ」に遭遇したふたり。しかしエレインはヴァンを庇い殺されてしまうが、辿り着いたアニエスが所持していた「ゲネシス」によって時間が巻き戻る。アニエスや、とある事情で共和国入りしていたスウィンとナーディアの協力を得て、ヴァンはグレンデル=ゾルガを無事に退けたのであった。
グレンデル=ゾルガの手がかりは、最後の「ゲネシス」らしき核(コア)。ヴァンは事務所をスウィンとナーディアに託し、「ゲネシス」を追うべく地方へと向かうことになった。しかし、行く先々で「ゲネシス」の外殻を巡る新たな陰謀が巻き起こっていた。
その事件を真に操っていたのは、結社の第四柱「千の破戒者」エルロイ・ハーウッド。ハーウッドは「庭園」最後の暗殺者であるイクスとヨルダを引き入れ、更にはグレンデル=ゾルガを手駒とする「庭園」を取りまとめているリーダー「ガーデンマスター」と一定期間協力する契約を結んでいた。
ハーウッドの手引きで訪れたネメス島では、トラウマを刺激されたレンとそれを見かねて加勢に入るヴァルター、ルクレツィアとそれらに敵対する裏解決屋に自ら協力する形で参戦。レンが落ち着いた後は場を掻き乱すだけ掻き乱して、即退散した。その後、研究所に残された端末を解析することで、このネメス島そのものがかつてレンが囚われた「D∴G教団」の中でも最も下衆な場所「楽園」であることが判明する。
そしてハーウッドが島巡りツアーを強制させた真の目的は、カトルのトラウマを刺激してその体を天使として完成、暴走状態にすることだった。カトルもレン同様「D∴G教団」の被害者だったのだ。
女神(エイドス)を否定する「D∴G教団」は、真なる神(デミウルゴス)を降臨させる器を作るために、遺伝子操作や薬物投与で完全な人間の創造を試みていた。その実験によって、男でも女でもある肉体となったのがカトルだったのだ。そしてこの実験を行っていたのは「楽園」だった。
ハーウッドの謀略で天使にされ、暴走する自分がヴァン達を傷つけるのを恐れたカトルは仲間を突き放そうとするが、自分と同じ事をしようとしたカトルをヴァンが叱責し、「楽園」の子供であるレンも協力してカトルは元に戻り、自分の身体と残った天使の力を受け入れることとなる。
しかし、最後の最後、アニエスはガーデンマスターに7つの「ゲネシス」を奪われてしまう。それによって、歴史自体を書き換えようとするガーデンマスター。ガーデンマスターの正体は、百年前の民主化革命で王家を打倒したシーナ・ディルクの同志の一人、「思想家オーギュスト」であった。
百年前、シーナを筆頭にオーギュストは王家を打倒し、自由を勝ち取った。だが、共和国の未来を案じたオーギュストは恐怖政治を敷いた。シーナはオーギュストを捕らえ、反逆者として処刑したのだが、オーギュストは意識だけの存在となり、生き長らえていた。そして「D∴G教団」が所持していた古代遺物(アーティファクト)に怨念を吸収され、「楽園」に寄生していた。
それから百年もの間、オーギュストは「D∴G教団」に寄生し、「D∴G教団」壊滅後は「庭園」に寄生先を移していた。「庭園」が壊滅した後、メルキオルが極秘に製造していた模倣擬体を獲得した。それこそが、亡くなったはずのナーディアの兄でスウィンのパートナーだったエースが成長した肉体であった。オーギュストは第8のゲネシスのコア部分を獲得して、ラピスを「緋のアルテラ」に書き換え、グレンデル=ゾルガを生み出したのだ。
その目的は、百年前に仲間達とすれ違った末に断たれた真の革命を果たすべく、百年前まで大陸の歴史を巻き戻すことであった。
なおグレンデル=ゾルガの正体は、第8のゲネシスの中に保存された擬似霊魂、システム的に保存されたような存在。それはクレイユ村の事件で死んだはずのディンゴだった。
ディンゴ本人は、前作のクレイユ村で本当に死んでいる。しかし死を覚悟した瞬間ディンゴは脳裏に哀しませてしまうだろう人々がよぎった。そしてジェラールの狂気を読み切れなかった、ふがいない自分自身への怒りと罪の意識。
ディンゴの強烈なその意志は第8の「ゲネシス」によってAIとして変換され、そのまま「ゲネシス」のコアに取り込まれてしまったのである。
激戦の末に勝利し、グレンデル=ゾルガを倒したヴァン。これでディンゴの元へ集まっていた「ゲネシス」の力も、全て戻っていったのだった。
ついに舞台が共和国へと移り、主人公のヴァンは24歳(「黎の軌跡II」では25歳)と、「軌跡」シリーズのなかでは年齢が高めになっており、裏解決屋(スプリガン)という仕事柄、物語の全体的な雰囲気も大人の空気が漂うものとなった。また、大統領による宇宙計画「スターテイカー計画」など、ゼムリア大陸の謎に迫る計画も動き始めたのが共和国編だ。「黎の軌跡II」では「軌跡」シリーズとしての進行はあまり見られなかったものの、「軌跡」シリーズに何度も登場している「楽園」などに迫ることができた作品で、特に結社の「破戒」エルロイ・ハーウッドのいやらしさを始終感じる作品となった。
そして、9月26日にはいよいよ最新作の「界の軌跡」が発売される。現在公開されているスクリーンショットから盟主の姿も伺え、本作ではかなり結社の秘密に迫れるのではないかという期待が持てる。また、ヴァン以外にリィン、ケビン、ルーファスなどの面々もその立場上重要な役割を果たしそうだ。物語も後半戦に入っているという、「軌跡」シリーズの最新作、「界の軌跡」にぜひ期待したい。
(C) Nihon Falcom Corporation. All rights reserved.