【特別企画】
「軌跡」シリーズ20周年記念! 「界の軌跡」発売前に、全「軌跡」シリーズのあらすじを一気に振り返る
2024年9月25日 00:00
「英雄伝説 零の軌跡」:2010年9月30日発売
「英雄伝説 零の軌跡」では、ゼムリア大陸西部の内陸部に位置する、クロスベル自治州が舞台となる。歴史的にも古くから交通の要所であった事と豊富な七耀石資源を抱えていた事から、自治州成立以前は度々支配国が変わる等、西の大国エレボニア帝国と、東の大国カルバード共和国の熾烈な領土争いの舞台となっていた。
両国の全面戦争の結果、両国を宗主国とする共同委託統治の自治州としてクロスベル自治州が成立された。以後、ゼムリア大陸西部の二大国であるエレボニア帝国とカルバード共和国の影響下で、交易と金融の拠点として発展を遂げる。
中心都市であるクロスベル市は経済面において優れている一方で、治安は最悪な状態となっている。議員は、二大国のどちらかに買収されていたり、マフィアとの癒着なども噂され、警察という公的機関も市民からの信頼をなくし、国を超えて独自に民衆を守るという遊撃士協会に人気が集まっていた。
そんな市民の信頼を失ったクロスベル警察に「特務支援課」と呼ばれる新部署が設立され、ロイド、エリィ、ティオ、ランディという4人の若者が配属されたところから、「零の軌跡」の物語は始まる。
遊撃士のような立ち位置になる特務支援課は、最初こそ手配魔獣退治、紛失物の捜索願いなどといった、遊撃士とほとんど変わらない依頼をこなしていくところから始まる。しかしそれが積み重なることによって、少しずつ市民の気持ちも特務支援課への応援へと変わっていく。
そしてクロスベルの創立記念祭で行われるという、裏オークションへの潜入捜査中に出品物のケースの中に入れられていたキーアという少女を保護する、特務支援課。身元を調査してもキーアの素性はわからず、結局キーアは特務支援課に身を寄せることになる。
自分を棄てた両親を見るためにクロスベルにきているレン(正体は明かしていない)、レンを追ってきたエステルとヨシュアなどもクロスベルに来訪し、ロイドらと仲を深める。
そんな中、クロスベルに蔓延し始める、謎の薬物事件。これは、「D∴G教団」の幹部司祭ヨアヒムが蒔いた薬物・グノーシスだった。「D∴G教団」とは、様々な国で子供をさらい、子供らに様々な非人道的な人体実験を行っていた教団で、レンやティオはこの教団の被害者だった。ヨアヒムは、キーアは我々の巫女なのだと語り、キーアを渡せとロイドらに迫るが、ロイドらはエステルやヨシュアらとも協力してヨアヒムを倒すことに成功したのだった。
「英雄伝説 碧の軌跡」:2011年9月29日発売
「英雄伝説 碧の軌跡」は、実質「零の軌跡」の続編となり、主人公は引き続き特務支援課で、舞台はクロスベル自治州だ。特務支援課は、警備隊のノエル、不良グループを率いていたワジなどの新メンバーも迎え、再編成される。
教団やマフィアと関係していた帝国派・共和国派議員たちが一掃され、新たな市長を迎えたクロスベルの未来は明るいかと思われたが、それは一時の安息に過ぎなかった。最強の猟兵団「赤い星座」や、共和国の東方系シンジケート「黒月(ヘイユエ)」、結社「身喰らう蛇」の執行者No.0カンパネルラ、第七柱「鋼の聖女」アリアンロード、第六柱「博士」F・ノバルティスらが、クロスベルに集っていたのだ。
不穏な空気が漂う中、クロスベルのオルキスタワーで大陸各国の首脳を招いて、経済サミットが開催。このサミットを主催したクロスベル市長のディーター・クロイスが、クロスベルを独立国とする、と宣言したことにより、エレポニア帝国、カルバード共和国の代表はこれに激しく反発。また、この独立宣言直後に、各国首脳を狙った大規模なテロが発生。クロスベルに国家運営能力はないと断じた両国からの軍事侵攻は時間の問題となった。
ただただ混乱に陥るだけのクロスベルかのように思われたが、ディーター市長は実は「D∴G教団」を作った錬金術師の末裔で、キーアは500年以上も前にそこで人工的に作られた「零の至宝」であることを知っていて、このような暴挙に出たのだった。
ゼムリア大陸に伝わる「七の至宝」の一つであり、1200年前に自らの意思で失われた「幻の至宝」をクロイス家(ディーター・クロイス・マリアベル・クロイス)によって再現されたのが、「零の至宝」であった。
キーアは過去と未来の因果律を操作し、あらゆる人間の考えていることを知り、望む世界になるまで何度でもやり直しのできる「零」の力を持っているのだ。
特務支援課は、ディーター市長を政治犯として逮捕し、クロスベルは再び自由を取り戻したかのように見えた。
しかし至宝を狙う結社・身喰らう蛇らがキーアを連れ去ってしまう。全てを拒絶する至宝の大樹へと、姿を変えてしまったキーア。ロイド達は大樹の中枢へとたどり着き、キーアを説得。キーアはロイド達の元に戻ることを決心し、零の力の顕現を止めた。
しかし、至宝の力を失ったクロスベルは圧倒的軍事力をもって侵攻してきたエレポニア帝国に侵略され、自治権を取り上げられてしまったのだ。
特務支援課は指名手配されることになるが、彼らは地下に潜り、反撃の機会をうかがうことになるのだった。
遊撃士から一転、警察の4人が主人公となった、「零の軌跡」〜「碧の軌跡」までのクロスベル編。特務支援課の4人は性格から生い立ちまでバラバラなのに、最初から仲間だったかのように上手く噛み合っていく様がとても面白かった作品だ。特にキーアが加入してからの4人の結束は一層堅固なものになったように思う。クロスベル州はゼムリア大陸のなかでは小さい州ながら、いかに重要な地であるかも描かれた。ドット絵で描かれる最後の「軌跡」シリーズとなったが、ドット絵ならではの趣きも活かされた作品となっている。