【特別企画】
「SEKIRO」5周年! 「剣戟アクション」にこだわったアクション作りと、竜胤にまつわる物語を振り返る
2024年3月22日 00:00
- 【SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE】
- 2019年3月22日 発売
フロム・ソフトウェアが2019年3月22日に発売したプレイステーション 4/Xbox One/PC用アクションゲーム「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」(以下、「SEKIRO」)が、本日発売5周年を迎えた。
本作は「ダークソウル」シリーズや「エルデンリング」などの高難易度ゲームを数多く手掛けるフロム・ソフトウェアとActivisionがタッグを組んで開発した、高難易度アクションゲーム。敵の攻撃を弾いたり受け流したりという「まさにこの手で行うチャンバラアクション」といった風のゲームで、フロム・ソフトウェアの「死にゲー」の中でも、歴代最高難度を誇る作品のひとつである。
昨年の4周年時には、鬼門として知られるボス葦名弦一郎にひぃひぃ言わされた思い出を語ったが、本稿ではそんな「SEKIRO」のアクションをもう1度振り返りながら思い出を振り返っていきたい。
ハイスピード剣戟アクションを楽しもう
「SEKIRO」の思い出と言えば何はともあれ葦名弦一郎に尽きる筆者なのだが、去年もその話をしたので今年は別の話をしようと思う。
まず改めて、「SEKIRO」はどこがそんなに難しいのか、という点なのだが、簡単に言うと「常にジャストガードを見極めなければならないゲーム」なのである。
「SEKIRO」では敵の攻撃をジャストガードすることを「弾き」という。弾きを成功させることによって自分の体幹(第2のHPゲージのようなもの)をあまり消費せずに、敵の体幹を削ることができるのだ。
そして敵の体幹を削り切ると使えるのが「忍殺」。敵のHPの残量に関係なく、忍殺をすれば敵のHPゲージを一気に0まで削り取ることができるのだ。
こう書くとめちゃくちゃ簡単そうなのだが、この敵の攻撃を見極めて弾くというのが、アクション下手には非常に厳しいのである。これはアクションの記事を書く度に言っているのだが、筆者はアクション大好きなアクション下手くそ人間なのだ。
ではこれまでのフロムゲーはどうしてきたのかと問われると、筆者は基本魔術師なのである。なので遠距離から一方的に攻撃するとか、魔法が効きにくい敵にはじっくりとガードで固め、ここぞというタイミングでのみ反撃する、というプレイスタイルでやってきた。つまり何が言いたいのかというと、ジャストガードとはほぼ無縁と言ってもいいプレイスタイルだったのである。
だが、実際のところ、これまでの「ソウル」シリーズなどでもパリィ(ジャストガード)をバンバンきめられる人もいれば、筆者のように「ジャストガードなどできなくとも勝てる!」という戦法を取ってきた人もいるだろう。
本作でも一応ガードはできる。ガード中は自身の体幹が回復したりと、「ソウル」シリーズに比べてガードの仕様も変わっている。ただし、相手の攻撃をガードすると、プレイヤーが受ける体幹ダメージは弾いた時よりも多い。ガードをし続けていると体幹ダメージが蓄積されて、こちらの体勢が崩されてしまうのだ。そのため、筆者のようなじっくりとガードするプレーヤーにとっては、なかなか難しいアクションとなっているのが「SEKIRO」だった。
さらに「ソウル」シリーズとかなり違うのは攻撃速度(頻度)だ。「SEKIRO」では自分も敵も、動きはかなり機敏になっている。まさに「チャンバラアクション」という言葉がぴったりで、攻撃はカンカンカンカン、とテンポ早めで来る。だから、ガード中は体幹が回復するという仕様の割に、少し敵の攻撃をガードしただけで自身の体幹はごっそり削られる、ということのほうが多い。回復速度よりも、削られる速度のほうが圧倒的に上回ってしまうのだ。
上手い人はガードでの体幹回復と、敵の攻撃を受けての体幹削りとの見極めも上手くできるものだが、筆者のようにじっとガードし続けるだけのアクション下手にとっては、「SEKIRO」のシステムは「これはダメかもしらんね」とちょっと自暴自棄になるくらいには難しかった。
攻撃系のバフも「阿攻の飴」というアイテムくらいしかないうえに(エンチャント系はいくつもある)、効果時間は30秒しかなく、最大3個までしか持ち歩けない。阿攻の飴の入手難度は大して高くないのだが、「ソウル」シリーズや「エルデンリング」などでは盛れるバフは全部盛ってボスに挑んでいた、というタイプのプレーヤーにとっては、これも苦戦を強いられるひとつの要素だろう。
さらに、「SEKIRO」の最大の特徴は「マルチプレイが存在しないこと」である。どんなに苦手なボスも、全部自分ひとりの手で成し遂げるしかないのだ。だが、だからこそ言えるのだ。「私は、あのSEKIROをクリアしているのだ」と。
どんなにアクションが苦手だろうと、どんなに下手だろうと、「SEKIRO」をクリアできたのだから、あとはどんなゲームだって絶対にクリアできるに違いない、という謎の自信が溢れてくる。それに、常にたったひとりで戦っているからこそ、苦手な敵を克服して勝てた時の高揚感も凄まじい。
ちなみに筆者は破戒僧戦が得意だ。逆に、アクションが筆者よりも数倍上手い夫は破戒僧戦が苦手。筆者は獅子猿戦が苦手で、夫は獅子猿戦が得意で、なんていうこともあった。これまでのようにマルチプレイができていたら、ふたりでマルチプレイでさくっとクリアできてしまったボスなのは違いない。
マルチプレイができないからこそ、ひとり黙々とそのボスと向き合うしかない。向き合うことで、段々とそのボスの攻略法が見えてくる。そしていざ勝てた時には高揚感で満たされる。その繰り返しがフロムゲーの良さであることは今更だとは思うが、「SEKIRO」は一層その想いを強く抱くゲームなのだ。
ストーリーはフロムゲーの中でもかなりわかりやすく、オススメ!
フロムゲーと言えば、高難易度なのはバトルだけではない。ストーリーも、深く知ろうとすると謎な部分が多く、良くも悪くもスッキリ解決するわけではないのが特徴のひとつだ。しかし「SEKIRO」のストーリーはかなりシンプルで、フロムゲーのなかでは、圧倒的にわかりやすい。
フロム・ソフトウェアの「SEKIRO」の公式サイトには、こう記されている。
時は戦国。 雪深い峠を越えた先に、葦名の国はある。
「剣聖」葦名一心が、わずか一代で国盗りをして興した、北国の雄である。
だが、その葦名は存亡の危機にあった
一心の孫である葦名の将は、窮状を憂い、自らの手勢を密かに告げた。
「もはや、寄せ手から葦名を守るための、尋常の術は無い」
「今こそ、あの御子が必要だ」
かくて御子は、囚われとなる。
御子というが、その身は天涯孤独、
家族も家臣も、なにもない。
ただ一人の忍びを除いては……。
これは寄る辺なき、孤独な主従の物語である。
一心の孫とは、筆者を三日間も足止めした葦名弦一郎のことである。そして御子とは、死者をも蘇らせる力(竜胤)を持つ、竜胤の御子、九朗のことだ。この九朗は天涯孤独の身だったが、彼にはたったひとりだけ家臣がいた。それが、忍の狼である。
御子という主を失い、葦名によって囚われとなっていた狼だが、狼は御子救出のために牢を脱出し、御子のいる月見櫓へと向かい、無事に幽閉された九朗と再会する。しかし御子を連れて脱出する道の中で、葦名弦一郎が一行の前に立ちふさがる。戦いの末、狼は救出した御子と左腕を失う、というのが物語の冒頭部分のストーリーだ。
こうして狼は左手に義手をつけることとなる。この左手の義手に色々なカラクリが仕込まれており、様々なアクションを可能としているのだ。
御子が葦名城に囚われていることを知った狼は、再び御子を救うために葦名城へと向かうこととなる。弦一郎は、御子に竜胤の力を自分に与えるように迫っていた。しかし御子はそれを拒否する。再び、弦一郎と刃を交わらせる狼。激闘の末に弦一郎に勝った狼は、御子を取り戻す。
助け出された御子は、狼に「竜胤は人としての生き方を歪めてしまう」とその苦悩を吐露する。この力を断ち切る「竜胤断ち」を成したいと言う御子。御子によれば、竜胤断ちには、仙郷にある「竜の涙」が必要らしい。狼は仙郷に至るための「源の香気」に必要な「馨し水連」、「お宿り石」、「常桜の香木」、「竜胤の御子の血」を集めるべく、再び旅に出るのだった。
必要な物を全て集め、仙郷に至り、桜竜の涙を手に入れた狼。
しかし、狼が葦名へと戻ると、剣聖・葦名一心が病で死亡し、その隙をついて内府軍が葦名へと侵攻。葦名は崩壊寸前だった。そしてここからは……いよいよ物語の終盤、驚きの展開が待っているので、これはプレイした人の楽しみにしてほしい。
ちなみにエンディングは全部で4つ(ひとつは実質バッドエンディング)。ラスボスを撃破後の選択肢で変わる。
ここまでで「フロムのゲームにしてはストーリーが解りやすい」と感じた人もいると思うが、実質本作は「狼は御子のために動き、御子を始めとした竜胤の呪いに振り回された人々を描く」という内容になっており、ストーリーはかなりシンプルなほうだ。「今何のために何をしているんだっけ……?」となりにくく、ストーリー面ではあまり深く考えずに遊ぶことができる。
一方で、「私はフロムゲーの何がなんだかわからないストーリーの考察がしたいんだ……!」という末期フロム脳患者さんには少々物足りない部分もあるが、そこは、高難易度なアクションのほうにだけ注力できるんだと思っていただければ幸いだ。
5年が経ってもまだまだ楽しめる作品。もしも「エルデンリング」を機にフロムゲーデビューをしたけれど「SEKIRO」はまだプレイしていない、という人がいたら、ゲーム性も全く異なる高難易度アクションゲームなので、ぜひ登頂に向けてチャレンジしてほしい。
(C)2019,2023 FromSoftware, Inc. All rights reserved. ACTIVISION is a trademark of Activision Publishing Inc. All other trademarks and trade names are the properties of their respective owners.