【特別企画】

「ドラゴンズドグマ 2」プレビュー。“没入感”につながる様々な要素がすごい

実写キャンプ飯も登場! 「できそう」と思ったら本当にできるアクションRPG

【ドラゴンズドグマ 2】

3月22日 発売予定

価格:
ダウンロード版 8,990円
パッケージ版 9,889円
デラックスエディション 9,990円

 フォトリアルに表現されたファンタジー世界で、没入感のある旅ができるゲームが「ドラゴンズドグマ 2」だ。広大な世界を旅する中で「仲間と一緒に自分だけの物語を紡ぐ」という体験はきっと誰か語り合いたくなる。そんなゲームだ。

 本作は、3月22日発売予定のプレイステーション 5/Xbox Series X|S/PC用オープンワールドアクションRPG。キャッチコピーは「王道ファンタジーの世界で自由な冒険を楽しむ」というもの。本当にその通りだった。「ファンタジー作品の冒険者のように自由に旅をしたい!」という方は是非プレイしてみてほしい。

 前作「ドラゴンズドグマ:ダークアリズン」から10年以上が経過し発売されるナンバリング2作目とあって、シリーズファンやファンタジー好きなゲーマーなどから注目されている。

 本稿では、主にメディアプレビューにて感じた本作の“没入感”について、ディレクターの伊津野英昭氏とプロデューサーの平林良章氏にインタビューで伺った話も含めて紹介していく。生きたファンタジー世界を感じていただければ幸いだ。

 なお、ファーストインプレッションを掲載した「東京ゲームショウ2023」の際にはアクションと基本的なゲームシステムを見られたが、今回はもう一歩踏み込んだ“没入感”を中心にお伝えしたい。まさに「ドラゴンズドグマ」シリーズを正統進化させた続編といえる出来栄えとなっている。

「ポーン(仲間)」と旅をしている感じが堪らない
ディレクター・伊津野英昭氏(左)とプロデューサー・平林良章氏(右)

王道ファンタジーの世界で自由な冒険を楽しむ! まさに“そこに在る”ファンタジー世界

 まずは改めて、世界観から紹介したい。本作のキャッチコピーは前述した「王道ファンタジーの世界で自由な冒険を楽しむ」と「まさに“そこに在る”ファンタジー世界」というもの。本当にその通りだと思う。王道なファンタジー世界で思うままに仲間と旅をして、そこに生きる人々と関わっていける感覚はなかなかない。

 世界観としては、前述したキャッチコピーの通りの王道ファンタジー作品。人間と獣人(本作ではネコ科っぽい見た目)が暮らすファンタジー世界を舞台に、世界の破滅を象徴する存在・「竜(ドラゴン)」と、それに心臓を奪われ竜を屠る宿命を負ったプレーヤーの分身「覚者(読み:カクシャ)」、覚者を手助けする存在「ポーン」の物語を描ける。

 なお、本作では「獣人」としてプレイすることも可能で、毛量や柄など“ケモナー”の方が喜びそうなキャラクリの項目も確認できた。ポーンも獣人にとして作れるので、覚者は人間にしてメインポーン(プレーヤーが作れるポーン)は獣人にすることで両方の種族で好みのキャラクターを作れる楽しみもある。

【『Dragon's Dogma 2』 Main Trailer】
「竜(ドラゴン)」はまさに本作において圧倒的な存在として描かれている。どれぐらいかというと「The Elder Scrolls V: Skyrim」のアルドゥインと同じかそれ以上に強大
「覚者」はプレーヤーの分身となる存在。本作では人間と獣人から選べる他、細かいキャラクリも楽しめる
「ポーン」はそれぞれに個性があり様々な場面で覚者を手助けしてくれる。前作よりも強化されており、まさに「仲間」と旅をしている感覚があった

作り込まれたファンタジー世界で仲間と旅をする! 本作最大の魅力は没入感

 本作の魅力は、なんといっても作り込まれた王道なファンタジー世界で自分だけの旅を楽しめるという点だ。

 街に住む人々は会話から服装に至るまで実際にそこで生きていると感じさせるほど細かく作り込まれているし、一歩外に出れば油断するとすぐに死んでしまうほど魔物の脅威がひしめいている。石や木でできたファンタジーな街並みは匂いも漂ってきそうなほどにリアルだし、何より地域毎の文化が色濃く反映されていて歩いているだけでも楽しい。人々の服装や路地裏の雰囲気に食事など、細かく見ていくほどに現実味がある。

 加えて、実際にプレイするときの「夜は暗くて旅をするには向かない」、「自分の行動の結果は巡ってくる」などプレーヤーの「まあ、そうなるだろうな」という要素がこれでもかと散りばめられていて、様々な要素が絡み合って「ドラゴンズドグマ」という世界を作り上げているのが分かる。また、後述するが、プレーヤーの行動如何によっては物語の流れも変わる場合もあるし、旅の途中もイベントが散りばめられているので「自分だけの旅」という印象が強い。

衛兵のような人には冷たくあしらわれる
突然近づいてきて「いま世界で何が起こっているか」教えてくれるた人もいた
酒場にはおいしそうな食事も並んでいる
民家には異なるラインナップの食事もあった
地域が変われば文化も変わる
ポーンとの関わり方も異なるようだ
「鮮やかな色の布製品が特産なのかな」と想像力がかき立てられた
荷車や石畳などどこを見ても細かくリアルだ
奥に見える城も本当に強固そうな壁に囲まれている

物語は自分次第! 因果応報が待っているシステム

 では、どういったところで「自分だけの旅」を感じられるのだろうか。ひとつ大きな要素として挙げられるが「クエスト」だ。クエストでは、自分の行動の影響がその後により強く反映されることがある。

 例えば今回プレイできた「なくした宝石を見つけてきてほしい」という依頼では、宝石を見つけてただ渡すのではなく、「逸品店(前作でいう『クズ物屋』)」で偽物を作って渡し、本物は自分で持っておくこともできる。

「逸品店」では贋作の作成依頼の他、レアなアイテムも売っている
贋作の作成には数日かかる他、特別な効果のあるものは複製できないなどの欠点もある。これが物語に影響してきそうだ
「宝石を探してきてほしい」という獣人の男性。見つけないと死ぬまでこき使われてしまうのだとか
バレた時に可哀想なので今回は本物を渡した

 伊津野氏によれば、自分が決めた行為には「相応の結果が伴う」とのことなので、「よく考えて行動しなければいけない」というリアルさがある。行動の結果の責任は自分に返ってくるのだ。

 例えば「コイツめんどくさいからヤッちゃおう」と殺害してしまうと、その結果も自分に返ってくるのだ。他のゲームでも似たことは実際に可能なものはあるが、本作で画期的なのは“死体がそのまま残る”こと。死亡直後なら「竜の鼓動の欠片」というアイテムで蘇生できるし、亡くなった遺体を放置すると大きな街の「遺体安置所」に移送される。他のNPCが、プレーヤーによって殺害されたNPCを弔っているようにも感じられてリアルだ。

 「竜の鼓動の欠片」は、自身も含めて死亡した際にその場で復活できるアイテムとなっており、もし誤って殺害しても一応取り返しがつくようになっている。ただし数はあまり手に入らないような印象があるので、使いどころが難しい。いずれにしても、様々な行動には慎重になる方がいいのかもしれない。

蘇生したとしても敵対行動が解除されるわけでないのか襲い掛かってきた
死亡した際に使うとその場で復活できる

快適な長距離移動とポーンとの共闘! ファンタジーらしさ際立つ戦闘

 本作ではファストトラベルのような要素として「牛車」があり、乗った後に「目を閉じる」ことで即座で移動ができる。しかしながらあくまで「牛車」での旅なので、途中で魔物に襲撃されたら戦う必要があり、妙なリアルさがある。また牛車には、魔物が跋扈する危険な世界らしく護衛も同行している。もし魔物に遭遇したら一緒に戦ってくれるなど、ここにも妙なリアリティがあって、そうした要素がそこかしこに感じられるのが本作の特徴だ。

 ちなみに牛車については、戦闘中に偶然通りかかった場合でも、護衛が一緒に戦ってくれる。一方で、戦闘が終わった状態でも武器を構えっぱなしだと、護衛たちに警戒される。「現実でやったらまずいだろうな」という行動は、その通りの反応で返ってくるところが面白い。

長距離の移動が楽になる牛車は同シリーズでは画期的だ
「目を閉じる」を使うとカメラワークが変わる
実際に牛車が脇を抜けていく様子
乗客が「もう終わりだ」と言っているのがひたすらにリアルだ

 また、シリーズ恒例となる仲間「ポーン(プレーヤーの旅を手助けする存在)」に関してだが、本作はそれぞれ個性が強く反映されている。それは見た目やスキルのカスタマイズだけでなく、これまでポーンが経験してきたことを元に、クエストの手助けをしてくれたり、旅の途中にポーン同士で会話をしていたりする場面から感じられる。メインポーン1人、他のプレーヤーが作ったポーン2人と共に旅ができるので、「いま必要な知識を持ったポーンを雇う」といったことも大切になりそうだ。

 シリーズ経験者なら伝わるだろうが、ポーンには愛着がわく。しかし、本作ではこれまでよりも愛着がわくのだ。筆者の場合は“不吉の象徴”としてポーンを冷遇している獣人の国「バタル」で、ポーンたちが「この国の人たちは私たちに冷たい」と話している時に「覚者様とこうして共にある。今はそれでいいのです。それが我らの意義ですから」と答えていた時には「なんて健気なんだ」と愛おしさが天元突破する勢いだった

 さらに、街を歩いているときに「荷物を整理してはどうでしょうか」や「他の目標も近くですね」といったことを言ってくれる。細かい部分だが、こういった「仲間なら言ってくれるだろうな」というものがあるので、長い旅も心細くない。戦闘終了時にはハイタッチすることもあるのがいい。「一緒に戦っている感」が高まる。

一緒にキャンプもできる
物を拾いすぎると教えてくれる
戦闘中にはそれぞれが考えて互いを補うように戦うので「連携して戦っている感」が強い
戦闘中に倒れたポーンは助け起こすこともできる

 実際の戦闘は非常に簡単で、アクションゲームが苦手な人でも楽しめる。というのも、戦闘のテンポは比較的ゆっくりめなので、完璧なタイミングで回避しないと死ぬようなこともあまりないからだ。かといって、道中突然現れる「グリフィン」や「ドレイク(ドラゴン種の人語を話す存在)」などのボスはかなり強いし、雑魚敵も群れると一方的に袋叩きにあうので、難易度が低いわけではない。戦闘の導入は簡単だが、その先が奥深くなっているのだ。

 本作の敵は、ハードスペックが上がったことで「敵がプレーヤーを見失わない限り、どこまでも追いかけてくる」というシステムが導入されている。そのためやみくもに逃げているだけだと、大勢の敵に追いかけられることになる。一方で、もし追いかけられた状態で街に入り、そこに偶然武装した住民がいたら、住民たちがモンスターへ攻撃してくれるようなことも起こるという。伊津野氏は「できそうなことは大体できるようになっている」と本作のコンセプトを話してくれたが、こうしたところにも反映されている。

敵が死ぬ間際に何かに手を伸ばすような動作をするのもリアルだ
集団に囲まれて全滅する様子
「グリフィン」
「ドレイク」

 今回のプレビューでは「魔剣士」と「マジックアーチャー」をプレイできた。爽快感のある無双アクションというよりも、堅実に立ち回って効果的な位置取りをするある意味で無骨で、かつファンタジックなアクションという印象を持った。また、武器を振るだけでなく敵によじ登って弱点を攻撃したり、周囲のものを投げつけたりと、幅広く攻撃手段が用意されているのもいい。

【「ドラゴンズドグマ 2」戦闘シーン集】

 なお、戦闘において平林氏は「本作では上の位置をとった方が戦闘で強い」と話してくれた。例えば、通常に剣を振り下ろすよりも、崖上などからジャンプして高い位置から斬りつけたほうが、ダメージは高いという。

 本作では完全なシミュレートではないものの、ある程度の物理法則が反映されており、そうしたリアルさの調整にもこだわっている。現実の坂で戦闘した場合、上を取ったほうが有利なのは自然と理解できるが「そうしたリアルさの一部が本作でも当てはまる」というわけだ。

ポーンからは立ち回りの助言ももらえる
バリスタが用意されている場所もある。戦闘の時は周囲に何があるのかよく確認したい
「ゴーレム」によじ登る様子

キャンプを使って時間を進めるのがポイント! 食事は実写?

 旅での印象的な要素に「キャンプ」がある。マップ上に点在する焚き火のある場所で利用できるもので、キャンプでは、日中から夜に、夜から日中へと時間を進められる。時間を進めている時には敵から襲撃を受けることもあり、その際にキャンプ道具が壊れることもある。夜にはゾンビなどのアンデッド系の魔物がひっきりなしに襲ってくるし、本当に暗いので、可能な限り移動は日中にしたいところだ。

画像中央の赤丸で囲んだ焚き火の場所でキャンプができる。煙はかなり上まであるので比較的見つけやすい
ランタンの明かりがなければ本当に真っ暗。暗闇への原始的な恐怖を感じる

 また、「キャンプ」で特に面白いなと思ったのが、実写映像が登場する「料理」だ。今回は「極上ケモノ肉」と「腐ったケモノ肉」を調理したのだが、「極上ケモノ肉」の場合には適度に脂がのっておいしそうな骨付き肉を焼く映像が流れたのに対して、「腐ったケモノ肉」の場合には食べたら間違いなく体を壊すような骨からは血が染み出し変色した骨付き肉の映像が流れたのだ。

 映像の解像度は異様に高いし、撮り方には「こだわりのキャンプ飯」みたいな妙な力の入れ方も感じる。プレイする時間帯、登場する料理によっては、破壊力抜群の“飯テロ”になりそうだ。製品版の発売後は、きっと話題になることだろう。

 個人的に「料理」はかなりの注目ポイントなので、他にどんな料理があるのか是非確認したい。なお、食材は動物を狩ったりすることで入手できる。

【「ドラゴンズドグマ 2」料理シーン】
食事には各種効果もあるのでできる限り作っておきたい
「極上ケモノ肉」
「腐ったケモノ肉」

できそうなことは大体できるようになっている!

 これまで述べてきた通り、本作は没入感の構築に非常に力が入っている。というのも、先ほど振れた通り、本作の根幹には「できそうなことは全部できるようにする」という考えがあるから。

 考え方自体は普遍的なものではあるものの、細かく作り込んでこだわることで、「ドラゴンズドグマ 2」らしい「匂い」のようなものを感じられる。こうした緻密さが、「その世界で生きる」というキャッチコピーに説得力を持たせている。

 例えば空を飛ぶハーピィという魔物がいるが、「ハーピィの足を掴むと空に飛ぶ」という場面に遭遇したとする。この時に「ハーピィに捕まったら、徒歩では行けない高い場所にも行けるのでは?」と考えて、実践すると本当にできたりするのだ。

 他にも「坂道はのぼるのに体力がいるが、降りるのは簡単」、「大型の魔物相手には足元を攻撃し、体勢を崩してから岩などをぶつけると倒せる」など、文字通りできそうなことは本当にできるようになっているのだ。

この門の杭は実際に「壊せたらいいな」と考えて攻撃したら壊せた
フィールドのゴンドラもただの背景ではなく、実際に移動にも使えた
水辺で「ヒュージブル」に襲われるのは前作のお約束だ

 世界に生きる住人、つまりNPCは、それぞれに設定された役割がはっきりしていることで、活き活きとしたドラマがプレイ中に数多く生まれるようになっている。例として挙げられるのが、前述した「魔物に追いかけられたときに街の武装した人々が戦ってくれる」ような出来事だ。もしこの場面で、周囲に無力な人々しかいなかったら、逃げまどうだけになるという。人々の行動もシミュレートされることで、多くの発見や経験が生まれるようになっている。

獣人しか通れない関所もあり、人間が通ろうとするとすげなくあしらわれてしまう
「獣人のマスク」というアイテムを使うことで獣人として認識されて通れるようになるなどの要素もある

 新しい画期的なシステムがどんどん登場するようなタイプの作品ではないものの、一方でオープンワールドアクションゲームの深いところをさらに一歩進めたような力強さもある。細かい要素の積み重ねで、独特の没入感を生んでいる。

 繰り返しになるが、本作は本当に没入感が高い。「異世界で仲間と旅をする」という経験を高いレベルでしたい人は是非プレイしてほしいし、プレイしていれば「オイオイオイ、大変なことになっちゃったよ」という場面も沢山あるように作られている。今回の数時間の体験だけでも、数多く遭遇することができた。

 この世界での冒険、そして他プレーヤーとのポーンの貸し借りも今から楽しみだ。本作が発売された暁には、まずメインポーンをじっくり愛でていくところから、始めたいと思う。

はやく冒険したい