【特別企画】

ファミコン版「忍者龍剣伝」が35周年! 映画のヒーローのような気分になれる傑作アクションゲームの軌跡をプレイバック

【忍者龍剣伝(ファミコン版)】

1988年12月9日 発売

 1988年12月9日にテクモ(現:コーエーテクモゲームス)から発売されたファミコン用ソフト「忍者龍剣伝」が、本日で35周年を迎えた。

 本作は主人公の忍者リュウ・ハヤブサを操作して、刀や手裏剣、忍術を駆使して敵を倒していくアクションゲーム。全6章(ステージ)で、各章の最後に待ち受けるボスを倒せばステージクリアとなる、難易度は高いが、敵を倒したときの爽快感の高さに加え、アメリカ映画の「ニンジャ」シリーズを彷彿とさせるビジュアルやサウンドも秀逸な掛け値なしの名作だ。

 以下、本作ならではの面白さを改めて振り返ってみることにする。

※写真はNintendo Switch Online版(以下同)

忍者映画のヒーローになりきって遊べる、リュウの華麗なアクションの数々

 本作でまず目を引くのは、リュウの華麗なアクションだ。映画の世界からそのまま飛び出してきたような、現代の表現で言えばスタイリッシュという単語がピッタリと当てはまるアクションを楽しめる。

 リュウが刀を振るモーションはいたってシンプルだが実にカッコよく、斬り倒した敵が豪快に爆発するので実に快感。さらにリュウはアイテムを取ることで、一定時間無敵になる「忍法火炎の舞」をはじめ、飛び道具として重宝する手裏剣、風車手裏剣、炎破の術、そしてジャンプ中に周囲の敵をまとめて攻撃できる回転斬りの各パワーアップが使用可能となる。いつ、どこで、どのタイミングでこれらの術を使うか? 各ステージで攻略パターンを考えながらプレイするのがとにかく楽しい。

 リュウはジャンプ中に体を丸めて、着地するまで前方宙返りを繰り返すモーションも実にカッコいい。また、リュウは空中で壁に触れるとピタリと体を張り付けることが可能で、縦長の狭い通路を連続でジャンプすれば高い所へ一気に登れる「壁蹴りジャンプ」または「壁蹴り多段ジャンプ」も繰り出せる。これらのアクションのおかげで、プレイヤーは自分が忍者映画のヒーローになったかのような気分にさせてくれるのが本作の最も素晴らしいところである。

投げるとブーメランのように自分の手元に戻ってくる風車手裏剣
こちらは斜め上方に炎を放つ、強力な炎破の術
リュウが「壁蹴り多段ジャンプ」で移動中のモーションも実にカッコいい

ゲームをさらに面白くするムービーシーン、サウンドの秀逸な演出

 当時のテクモのファミコンソフトは「テクモシアター」と銘打ち、よりストーリーを重視するためにムービーなどの演出を盛んに取り入れていた。「テクモシアター」の第1弾は、1998年4月に発売されたファミコン用ソフト「キャプテン翼」で、本作はその第2弾にあたる。

 本作のオープニングやステージ間のデモ、あるいは特定の地点に到達すると流れる、キャラクターや背景が動く「シネマDISP.」と称したムービーの数々は映画さながらの迫力で、今見ても実にカッコイイ。筆者も発売当時、ことファミコンに限れば今までに見たことがない数々の演出の素晴らしさに大いに驚かされた。特に4面(4-2)の最終地点に到達すると流れる、リュウが崖の先端に立って遠くにそびえる敵のアジト、闇の神殿を見上げるムービーは、今でも筆者は大のお気に入りである。

【「シネマDISP.」の見事な演出】
プレイヤーにさらなる感動をもたらす、数々の演出は実に見事。特に4-2の崖のシーンは必見だ

 前述したように、本作は難易度が高めで、特に最終面はラスボスまで到達するのも難しいというのが、筆者の偽らざる実感だ。筆者は発売当時に本作を持っていなかったが、買ったばかりの友人がなかなか先に進めずに困っていたのですかさず借り受け、自宅でしばらくの間やり込んだことを記憶している。

 リュウは敵の攻撃を受けるとダメージを受けるだけでなく、後方に吹っ飛ぶ性質がある。なので、もし狭い足場の上で、あるいは空中でダメージを受けた場合は、たった1回のミスでも奈落の底に突き落とされ、ステージの最初からやり直しを強いられる。

 特に、最終ステージの6面は6-1~6-3までの長丁場でありながら、たとえラスボス戦にたどり着いた場合でもゲームオーバー後にコンティニューすると、また6-1のスタート地点からやり直しになってしまうのがとにかくつらい。ラスボスに敗れ、あるいはラスボス到達前に力尽き、6-1に戻されて絶望したプレイヤーは、それこそ星の数ほどいたのではないかと思われる。

 とはいえ、アメリカや南米(アマゾン)を舞台に繰り広げられる、忍者映画さながらのドラマチックなストーリー展開やムービーのおかげで、少しでも先に進みたい、続きを見たいとモチベーションが否が応でも高まり、どんなに難しくても何度となく繰り返し遊んだ思い出は今なお忘れがたい。

リュウが敵に吹っ飛ばされている最中は操作不能。狭い足場が多いステージでは、ほんの一瞬のミスが命取りに……

 各ステージ、およびムービーシーンを盛り上げるBGMも名曲ぞろい。純和風ではなく、ドラムやベースが鳴り響く曲ばかりなので、むしろ洋楽と言ったほうが自然な曲ばかりだが、本作は海外が舞台ゆえ何も違和感がない。あくまで筆者の私見だが、特に3-2のBGM「回想」と5-3のBGM「鮮烈のリュウ」は、いかにも宿命を背負ったリュウの奮闘ぶりを表現した素晴らしい曲で、何度聴いても飽きることがない。

 本作は、現在でもNintendo Switch Onlineで配信中で、2016年に任天堂が発売した「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」にも収録されている。発売から35年が過ぎた今でも遊べるのは実にありがたい。しかも前者では、いきなりラスボスと対戦できる「クライマックスバージョン」も用意されているので、本作を発売当時クリアできなかった人はぜひ、この機会にラスボス撃破にチャレンジしていただきたい。