【特別企画】

「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」が発売32周年! シリーズ不動の人気を確立した傑作アクションアドベンチャーゲームをプレイバック

【ゼルダの伝説 神々のトライフォース】

1991年11月21日 発売

 1991年11月21日に任天堂が発売したスーパーファミコン用ソフト「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」が、本日で32周年を迎えた。

 本作は、1986年に発売されたファミコン用ソフト「ゼルダの伝説」、翌87年に発売された「リンクの冒険」に続く、主人公の剣士リンクを操作して数々の謎を解き明かしていくアクションアドベンチャーゲームのシリーズ第3弾だ。ちなみに、本作の続編であるNINTENDO64用ソフト「ゼルダの伝説 時のオカリナ」も同じく1998年11月21日が発売日で、本日でちょうど25周年を迎える。

 前作にあたる「リンクの冒険」は、「メトロイド」などと同じ横画面に変更されたが、本作は元祖「ゼルダの穿設」と同じトップビューで、画面の上下左右いずれかの端に触れると画面が切り替わるシステムへと原点回帰した。ハードの性能が大幅にアップしたことでマップがより広くなり、ビジュアルやサウンドなどの演出が多彩になったことでも印象深い。いわゆるローンチタイトルではなかったものの、本作は112万本を販売する大ヒットとなり、シリーズの人気を不動のものとした(※本数は「CESAゲーム白書」より引用)。

 以下、本稿では、紛うことなき傑作「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」ならでの面白さはどこにあったのか、改めて振り返ってみることにしよう。

【「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」ゲーム画面】

プレーヤーを虜にする、多彩なアクションと謎解きが満載

 本作の一番の良さは、より多彩なアクションを身に着けたリンクを操り、広大なマップを冒険できるところにあると言えるだろう。

 十字キーでリンクの移動、ボタンを押すと剣を振る基本操作は元祖「ゼルダの伝説」と同じだが、リンクは斜め方向への移動が可能になっただけでなく、草や岩、壺をかついで投げたり、レバーや石像を引っ張ったりすることも可能。水かきのアイテムを獲得すると川や池を泳げるようになり、ペガサスの靴を入手すれば走る、および体当たりの両アクションが追加されるなど、冒険を進めていくリンクのアクションがさらに増えていくのも実に楽しい。ほかにも、攻撃(剣)ボタンを約2秒間押しっ放しにしてから離すと「回転斬り」が繰り出せるなど、後のシリーズ作品でもおなじみのアクション、アイテム類が本作で初登場したことも特筆すべきだろう。

 主にダンジョンに仕掛けられた謎解きのギミックも、さらにバリエーションが豊かになった。ブロックを押して道を作る、ヒビの入った壁を爆弾で壊して穴をあけるといった本シリーズおなじみの仕掛けに加え、本作にはレバーを引いて閉ざされた扉を開く、石像を乗せてスイッチを固定する、体当たりで高い所に置かれたアイテムを落とすなど、いろいろな方法で謎を解く仕掛けが用意されているのでとにかく楽しい。

 ダンジョンのマップ構成も、元祖「ゼルダの伝説」から大きく進化し、同じフロア内でも高低差がある部屋が登場するようになったことも見逃せないポイントだ。高低差が生じたことによって、リンクが高い所から飛び降りて移動する、高い所から爆弾などのアイテムを下の床に投げ落とす、あるいは敵を下のフロアに突き落として倒すなど、高低差を利用した攻略法の存在も、本作をより面白くしていると言えるだろう。

こちらはレバーを引くと閉ざされていた扉が開く仕掛け
高低差のあるマップが随所に登場。冒険、攻略の幅がさらに広がった
外壁のない所では敵を突き落として倒すことも可能に。写真は壺を敵に投げ付けて倒したところ
水かきを入手すると、リンクは川などを泳げるようになる
アイテムの一種、フックショットを使用したところ。武器として使えるのはもちろん、投げ縄の要領で先端を遠くの物に引っ掛けて飛び移る、移動用のアイテムとしても利用できる

オープニングからプレーヤーのテンションを高めまくる秀逸な演出

 オープニングの場面からゲームの世界にグイグイ引き込まれてしまう、ストーリーに沿った演出の素晴らしさも本作の大きな魅力だ。

 リンクはオープニングの場面で、頭の中に話し掛けてきた女の子(ゼルダ姫)の声を聞き、深夜に突然目を覚ます。直後、リンクの叔父さんが深夜であるにもかかわらず、剣と盾を手に取りどこかへ出掛けてしまう。「助けて下さい」との声を聞き、居ても立ってもいられなくなったリンクは、すぐに叔父さんの後を追い(※叔父さんが外出後、プレーヤーがリンクを操作可能になる)、降りしきる雨の中ハイラル城へと向かう。

 敵兵にガードされていない、秘密の入口を発見して城内に忍び込むと、そこには敵に倒された叔父さんの姿が。リンクは剣と盾を受け取ると、直後に叔父さんは絶命してしまう。ここからリンクは敵を攻撃できるようになり、敵兵を倒しつつ城内を進むと、やがて地下牢に閉じ込めたゼルダ姫に出会う。ゼルダ姫を救出後は、彼女の案内に従って、薄暗い秘密の抜け道を利用して城外へと脱出することになる。

 城を抜け出し、教会の神父にゼルダ姫をかくまってもらえることになったリンクが外に出ると、元祖「ゼルダの伝説」からおなじみのテーマ曲(※元祖「ゼルダの伝説」のフィールドBGM)が流れ出し、壮大な冒険の始まりをプレーヤーに告げる演出はまさに秀逸。筆者は、本作をエンディングまで到達した後も何度か繰り返しプレイした経験があるが、オープニングのシーンは何度見ても胸が熱くなる。本作のテーマ曲は、リズムパートにドラムやシンバル音などを使用したことで、プレーヤーはまるでオーケストラかブラスバンドの演奏を聴いているかのような気分になり、サウンド面でもファミコン版から大きくグレードアップしたことを教えてくれる演出も見事のひとことに尽きる。

【プレーヤーを奮い立たせるドラマチックなオープニング】
リンクが不思議な声を聞いて目覚めると、叔父さんが剣と盾を手に取り出掛けてしまう
叔父さんの後を追い、ハイラル城へと向かうリンク
城内に潜入したリンクは、絶命寸前の叔父さんから剣と盾を託される
地下牢に閉じ込められていた不思議な声の主、ゼルダ姫
ゼルダ姫の案内を受け、敵を倒しつつ秘密の抜け道から脱出を図る
教会に逃れることに成功。表に出たところで、リンクの壮大な冒険が開始される

 冒険を進めていくと、ハイラルの世界(光の世界)とは別に、ハイラルのパラレルワールド的な存在である新たなマップ、闇の世界が出現するサプライズも本作には用意されている。あくまで筆者の私見だが、この演出はシリーズ最新作「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」に例えれば、地上と空のマップに加えて、実は地底にも広大な世界があることを初めて知ったときと同等の衝撃があったように思う。

 本作は、現在でもNintendo Switch Onlineや「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」でプレイすることが可能。「ティアーズ オブ ザ キングダム」や「ブレス オブ ザ ワイルド」など、近年に登場したシリーズ作品しか知らない人は、ぜひ本作を通じて2D時代の「ゼルダの伝説」の面白さも体験していただきたい。繰り返しになるが、オープニングの場面からテンションが上がりまくる壮大な冒険が楽しめることだろう。

闇の世界の全体マップ
光の世界では緑色で描かれた草木が、闇の世界では紫や茶色やに変化して不気味な世界を演出している。闇の世界に出現する敵は、光の世界よりも総じて強力だ