【特別企画】
初代「ゼルダの伝説」を遊ぶことで見えてくる「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」に受け継がれるシリーズの伝統
モリブリンやライクライク、グリオークなどを懐かしい画面と比較
2023年7月14日 00:00
- 【ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム】
- 5月12日 発売
- 価格:
- 7,920円(パッケージ版)
- 7,900円(ダウンロード版)
- 14,520円(Collector's Edition)
- 【Nintendo Switch Online(個人プラン)】
- 価格:
- 1カ月:300円
- 3カ月:800円
- 12カ月:2,400円
「ゼルダの伝説」シリーズ最新作の「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」(以下、「ティアキン」)が発売されてから、約2カ月が経過した。発売日前後に購入したプレーヤーの中には、既にエンディングを迎えて、その余韻に浸っている人や、2周目を始めている人も多いのではないだろうか。
時を同じくして2023年7月15日には、任天堂の「ファミリーコンピュータ」が発売から40年を迎える。「ティアキン」の原点となる初代「ゼルダの伝説」が「ファミリーコンピュータ ディスクシステム」で発売されるのは、その発売日から3年後の1986年2月21日のこととなるが、ファミコンを代表するタイトルの1本として、有料サービス「Nintendo Switch Online」の「ファミリーコンピュータ」でも配信中で、サービスに加入すればSwitchでプレイができる。
「ティアキン」並びに前作の「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」(以下、「ブレワイ」)を遊んでみると、この初代「ゼルダの伝説」から受け継がれるリスペクトが要所に見られ、両者を遊んだことがある人やコアな「ゼルダ」シリーズのファンは反応したに違いない。
シリーズ最新作の発売から約2カ月が経過し、より深いところまでの内容紹介が解禁となったこの期に、「Nintendo Switch Online ファミリーコンピュータ」で配信中の「ゼルダの伝説」を使って、「ブレワイ」や「ティアキン」に共通する魔物やネタをここに紹介し、「ゼルダ」シリーズに脈々と受け継がれる伝統について触れてみたい。なお本稿にはゲームのネタバレに関する内容が含まれるので、現在プレイ中の方はご注意を。
シリーズ通してリンクを苦しめる手強い魔物達。「ティアキン」ではあの“三つ首竜”や“盾食う虫”も登場!
筆者が担当した「ブレワイ」の振り返り記事でも触れているが、同作の開発陣は「ゼルダの伝説」の広大なフィールドをさまよう感覚への原点回帰として開発したと述べている。キャラクターが成長して強くなっていくRPGテイストは押さえつつも、経験値の概念はなく、「ハートの器」や装備する武器防具でリンクの強さが変わる仕組みは、37年前と変わっていない。
この「ティアキン」のリンクに敵として襲いかかる魔物達は、初代からシリーズ共通したものが多数存在している。物語の元凶となる「ガノンドロフ(ガノン)」を筆頭に、今回新たに懐かしい名前の魔物もいくつか登場し、ハイラルでリンクを待ち受けている。ここではその原点となったファミコン時代と共通する名前の魔物を紹介していこう。
キース:一撃で倒せる最弱のコウモリながら、そのしつこさは侮れない
ハイラルの地上や地下のあらゆるところで遭遇する単眼のコウモリのような魔物。木の枝を振り回しても倒せる最弱の魔物ながら、その大きな目でリンクを見つけるとしつこく追いかけてくるので、壁登りの最中などに出くわすと厄介だ。氷、炎、電気と、属性を持ったものも存在している。倒して得られる素材の目玉は、「ティアキン」では矢に装着することで誘導性を持たせられるようになり、重要度が爆上がりした。
「ゼルダの伝説」ではコウモリそのままの姿で、迷宮のみに出現。こちらも通常は攻撃能力のないブーメランでも倒せるほどの弱い魔物だが、数が多いと地味にダメージをくらうのが面倒なのは同じだ。また「ブレワイ」や「ティアキン」のキースは、どちらかというと中ボスの「パタラ」に近い容姿でもあった。
モリブリン:森以外にも住む大型の魔物。他の魔物を掴んで投げつけることも!
ハイラル全土に生息する大型の魔物で、ボコブリンやリザルフォスなどとともに仲良く暮らしているる様子は微笑ましくもあるが、戦闘になると近くにいるボコブリンを掴んで放り投げてくるなど、驚きの行動を見せてくる。「ティアキン」では色によって頭部の形状が異なり、強い種族ほど倒した時に落とす素材のスクラビルド攻撃力が高いものとなっている。
「ゼルダの伝説」でのモリブリンは、その名の通り、主に森のマップに現われる魔物で、正面に矢を撃ってくる。愛嬌のある丸っこい身体がトレードマークで、隠し部屋に住んでいるものはリンクに対して友好的でルピーをくれる。「ミンナニ ナイショダヨ」は、タイトルをを象徴するキーワードにもなった。
オクタ(オクタロック):「ゼルダ」シリーズのタコは地上にも生息し、岩を飛ばしてくる
水面や土中に身を隠しているタコの魔物で、リンクを見つけると岩をぶつけてくる。その狙いは正確で、かなり遠くからでもリンクにダメージを与えてくるので、うっとうしく思ったプレーヤーは多いはず。盾を構えて岩を跳ね返すと倒せることもある。雨の日には水面に浮かび上がっていたり、周囲のものを吸い込む岩オクタ、宝箱に擬態した宝オクタといった亜種が存在したりするなど、ちょっと変わった魔物だ。
「ゼルダの伝説」では、多くのリンクが最初に出会うであろう、地上に生息するタコで、口から吐いてくる岩がハートの少ない頃にはちょっとだけ厄介な存在だった。そのルックスはタコというより虫っぽくもあったが、ドット絵はちゃんと足が8本あるのは芸が細かい。
スタルボコブリン(スタルフォス):スケルトンながら、武器や弓を使いこなす知性が感じられる魔物
夜のハイラルや地底で、地面から現われる骨のボコブリン。どんな武器でも倒せるが、バラバラになった後に、頭部を破壊しないと復活してしまう。スタルモリブリンやスタルリザルフォスなども存在し、しつこくリンクを追いかけてくるが、カガヤキの実を投げれば一掃することが可能だ。
「ゼルダの伝説」には、その原型となったスタルフォスが登場。迷宮の部屋内を徘徊するだけの魔物で、時折カギを持っていること以外はこれといった特徴はなく、倒すのは容易だ。
ウィズローブ:魔法が手強い魔法使い。単独でいることが多いのが救い!?
ハイラルの各所で空中をスキップしている魔法使い。寒かったり暑(熱)かったり、雨が降っていたりするところにいることが多く、こちらを見つけると笑いなから属性魔法による様々な攻撃をしてくる。姿が見えないときは攻撃が当たらず、空中にいるときは弓で狙わなくてはならない面倒な相手だが、「ティアキン」ならば炎系の2種には「冷気の実」を、氷系の2種には「炎の実」を付けた矢で射れば一撃のもとに倒せる。なお雷系の2種に弱点はないが、矢に付ける各種素材の効果は有効。
「ゼルダの伝説」のウィズローブというと、レベル6以降の迷宮に現われ、高い耐久力と魔法攻撃でリンクを苦しませる魔法使いである。オレンジと青色で移動手段が違い、特に後者は最強のマジカルソードでも2回攻撃しなければならず、魔法が当たるようにワープしてくる動きも実に厄介だ。
ライネル:ボス並の強さを持つ巨大な魔物。倒した後の見返りも大きい
他の魔物よりも一際大きな体躯を持つ、半人半獣の魔物。武器と盾に加えて、3方向に矢を射る弓を使いこなす、ハイラルの要所でリンクを待ち受ける。攻撃力、スピード、体力ともに高く、リンクのハートが少ないうちや、装備している武器防具が弱いうちは戦わないほうが無難だが、弓のヘッドショットやジャスト回避を使いこなせば勝機はある。強いだけに倒したときの見返りは大きく、その装備だけでなく、「ティアキン」では強力なスクラビルド用の素材が手に入る。
「ゼルダの伝説」のライネルもまた、フィールドでは最強クラスの魔物であり、剣の形をしたビームはマジカルシールドでないと防げない強力な攻撃だ。デスマウンテン周辺の入り組んだ地形に複数で出現するのも厄介で、思わぬところから飛んでくるビームで大きなダメージを受けてしまうことも。
ライクライク:リンクを食おうとする恐ろしい魔物。食われると装備が……!?
ここからは「ティアキン」で初登場となった魔物達だ。ライクライクは洞窟の壁などにイソギンチャクのように張り付いて待ち受けている気味の悪い魔物。近づくと威嚇したあとに食いついてきて、そこにリンクが接触すると食べられてダメージを受けた上に、一部の盾や弓などの装備を奪われてしまう。「ゼルダ」シリーズでは人気(!?)の魔物で、「ティアキン」での登場にニヤリとした人も多いのでは。炎や雷、岩などを吐いてくる亜種がいる。
「ゼルダの伝説」では、“盾食う虫もライクライク(≒蓼食う虫も好き好き)”の由来で知られる、リンクが接触すると一定時間捕縛され、装備中のマジカルシールドを食われてしまうという最悪の魔物。触れると剣が出せなくなる人魂バブルと、マジカルシールドがないと魔法を防げなくなるウィズローブの3種は最凶のコンビネーションだった。
ギブド:砂漠に現れた気味の悪い魔物。外殻にほとんどの攻撃が防がれてしまう
ハイラル南西の砂漠に砂塵とともに現れた正体不明の魔物。外殻を持つ骨のような姿をしていて耐久力があり、強力な武器の攻撃にも耐えるが、炎や雷などで衝撃を与えて外殻を壊すと容易に倒すことができる。ゲルドの町を舞台としたメインチャレンジにも関係していて、その名を冠したボスが登場するなど、ストーリー上で重要な存在でもあった。
「ゼルダの伝説」のギブドは、ご覧の通りミイラ男であり、体力と攻撃力ともに高いが、動きは単純で特別な攻撃もしてこないので、それほど手強い魔物ではなかった。
グリオーク:複数の頭を持つ巨竜は、翼で飛行する強敵となって登場
3本の首を持つ凶暴な翼竜で、ハイラルのランドマークに巣を作っている中ボス的な存在。ハイリア湖にかかるハイリア大橋を渡ろうとして遭遇し、仰天したリンクも多いはず。「火炎」、「氷雪」、「雷電」、「キング」の4種が存在し、種類によって攻撃の属性が異なる。ビームのように放たれるブレスは属性対策をしても大きなダメージを食らい、体力も高いので、万全の対策が必要だ。また前述のキースの目玉がその攻略に役立つ。
「ゼルダの伝説」のグリオークは、迷宮のボスとして登場。2~4つの頭があり、先の迷宮ほどその数が増えていく。頭部は弱点でもあるのだが、斬り落としても飛行して攻撃してくるという手強い存在だ。余談だが同作のディスクシステム版は、内臓音源を使ったこれらボスの鳴き声が非常に印象深いものだった。
ボルドゴーマ(ゴーマ):シリーズおなじみの単眼多脚のボスは、岩を鎧にして登場
「ティアキン」のデスマウンテンで起きていた事件の元凶であり、全身が岩に包まれた4本脚、一つ目玉の魔物。このボルドゴーマも弱点はもちろん“あそこ”ではあるが、直接狙うことが難しいので、本体を支えている脚をどうにかしなければならない。
「ゼルダの伝説」では、迷宮のレベル6とレベル9に登場する。その攻略法は、「ゴーマノメヲネラエ」というメッセージの通り。しかし目が開いていないと、攻撃はまったく効果がない。「ゴーマ」の名が付く魔物は、「ゼルダ」シリーズでも登場回数が多く、その人気(!?)の高さが伺える。
魔物に関しては以上となるが、他にも当時を思い出すような要素は他にもいくつか存在している。例えばストーリーに強く関係するゾーラ族はもともと、水際でビームを吐いてくる魔物「ゾーラ」であった。
山麓の「デスマウンテン」や、正しい道を通らないと抜けられない「迷いの森」はあの頃のハイラルにも存在していたし、老人の「タキ ノ ナカ ニ ハイレ(滝の中に入れ)」のメッセージを思い出し、パラセールで滝の中に飛び込んだことで得られたものもあった。マップを見てみると「デグドの吊り橋」や「アクオ湖」など、かつての魔物が由来と思える地名も見られ、このような細かな発見があるのも、楽しみの一つである。
Nintendo Switchでは、最新作の「ティアキン」と前作の「ブレワイ」の他、「ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD」、「ゼルダ無双 厄災の黙示録」、「ゼルダの伝説 夢をみる島」、「ケイデンス・オブ・ハイラル:クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説」、「ゼルダ無双 ハイラルオールスターズ DX」といったシリーズ作品がプレイできる。
また「Nintendo Switch Online」では今回紹介した「ゼルダの伝説」の他、「リンクの冒険」(ファミリーコンピュータ ディスクシステム)、「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」(スーパーファミコン)、「ゼルダの伝説 夢をみる島」(ゲームボーイ)に加え、追加パック加入者向けには、「ゼルダの伝説 時のオカリナ」(NINTENDO 64)、「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」(NINTENDO 64)、「ゼルダの伝説 ふしぎのぼうし」(ゲームボーイアドバンス)がそれぞれ配信中。ただ楽しむだけでなく、シリーズの比較やデータベース的な意味合いとしても大いに価値があり、家のテレビでも出先でも遊べるのもいいところだ。
まだまだ「ティアキン」の盛り上がりが失せる様子は感じられないが、もしゲームを終わらせて次のタイトルを探しているようなら、これらシリーズをSwitchで改めて遊んでみるのもいいかもしれない。それにより「ティアキン」や「ゼルダ」シリーズにおける新たな発見も必ずあるはずだ。
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