【特別企画】

【G-STAR】「マビノギ」がスマホ用に最適化。古き良き正統派MMORPG「マビノギモバイル」インタビュー

戦闘システムや新要素も明らかに! 4年越しとなる最新バージョンの実機プレイも

【「マビノギモバイル」】

2023年 配信予定

 ネクソンは、韓国・釜山BEXCOで開催中のゲームショウ「G-STAR2022」にて、スマートフォン向けRPG「マビノギモバイル」のメディア向け試遊会と合同インタビューを行なった。

 本作は、2005年4月にネクソンがサービスを開始し、今年で17周年を迎えるPC用オンラインゲーム「マビノギ」をモバイル版で再構築したMMORPG。原作最大の特徴であるダンジョン探検、採集やアルバイト、楽器演奏、キャンプファイヤー等、ファンタジー世界での冒険と生活はもちろん、本作オリジナルのアップグレードされた世界観と新しいストーリーを楽しむことができるタイトルとなっている。

 今回行なわれたメディア向けの試遊会では、実際のモバイル端末でテストプレイ専用コンテンツを体験することができた。また、合同インタビューではDevCATスタジオCEOのキム・ドンゴン氏より話を聞くことができたので、本稿ではその内容をインタビュー中心にお届けしていく。

【新たなファンタジー世界への招待【マビノギモバイル】】

発表から4年ぶりの出展。向上したグラフィックスと戦闘を含んだ最新バージョンがお披露目

 「マビノギモバイル」は2018年に開催されたG-STARで初公開されたタイトル。今回の出展は初公開以来、実に4年ぶりとなっている。キム・ドンゴン氏は、この4年間の開発期間を経て、初公開のバージョンに比べ、よりモバイルに適合した「マビノギ」になったとコメント。今回の出展では向上したグラフィックスに加え、前回公開されていなかった戦闘を含んだバージョンが試遊コンテンツとして提供された。

 本作はスマートフォンの縦・横両方のモードに対応している。また、戦闘では敵の必殺技をスワイプ操作で避けることができたり、スキル枠が画面中央下部に設置されタップしやすいように設計されていたりと、モバイル向けにUIが最適化されており、片手でも簡単に操作ができる。キャラクターや敵の動きも非常になめらかで、ストレスを感じることなく快適にプレイできた。

ゲーム冒頭からまるでアニメのような美麗グラフィックスが続く。セリフの一部はボイスが適用されており、臨場感あるシーンを楽しめる
家の中や街の様子
実機の縦画面モードでの戦闘シーン。UIや操作方法など片手でも楽に操作できる設計になっている

クラスの導入について

 本作では原作「マビノギ」にはなかったクラス(職業)が追加されており、ゲーム開始時に複数あるクラスのうち1つを選択することができる。今回の試遊では戦士・弓士・魔導士・ヒーラーといった4つのクラスを確認できたが、他にも様々なクラスが存在し、必要に応じて他のクラスへ変更することもできるとのこと。

 クラス導入の理由については、ゲームを初めてプレイするユーザー向けに、何をすればよいのか明確なガイドをゲームの初期段階から入れる必要があると判断したためとしており、「マビノギ」を知らない人でもキャラクター育成の方向性や、戦闘における役割などがわかりやすくなっている。

クラスによって戦闘における役割や戦い方が違ってくる。複数のユーザーと一緒にプレイできるMMORPGではかなり重要な要素の1つとなる

キム・ドンゴン氏インタビュー。原作「マビノギ」からの変更点などについて

 今回行なわれたメディア向けの合同インタビューでは、DevCATスタジオCEOのキム・ドンゴン氏より「マビノギモバイル」ならではの特徴などについて話を聞くことができた。

DevCATスタジオCEO キム・ドンゴン氏

――前回からNPCが女性から男性になっているなどの変更がありましたが、理由についてお聞かせください

キム氏: 2018年に公開してから、ストーリーもたくさん変わりましたし、色んな方からのご意見を参考にしました。最初に登場するNPCなどは印象に残るようにしたいと考えたり、原作のデザインに近いものにしたりと、今も様々な意見を取り入れ、リリース時期まで修正を重ねていきたいと思います。

――プレーヤーの外見を変化させるアイテムなどは用意されているのでしょうか?

キム氏:装備を装着すると外見が変更されます。装備には2つのタイプがあり、1つ目はキャラクターのステータスに影響を与えるもの。2つ目はその上から着込むファッション装備。ファッション装備を装着するとその外見が優先的に適用され、ファッション装備を脱ぐと、1つ目の装備の外見が適用されます。

――原作「マビノギ」では転生システムが非常に重要な要素でしたが、本作ではどういったシステムになるでしょうか?

キム氏:原作のようにタイトに扱うつもりはありません。転生システム自体は本作にも入る予定ですが、新しいキャラクターを育てたい、外見を変更したい、といった用途で、主に利便性を強調したシステムにしていきたいと考えています。

――前作からマップに変更が加えられているようでした。また、システムも変わりましたが、世界観も変化が現れたと感じました。これはどういった基準で修正を行なっているのでしょうか?

キム氏:もともとストーリーはG3(メインストーリーの章)までがローンチ時のバージョンに含まれる予定でしたが、少し変更がありました。私が前作のストーリーを作りましたが、その際に残念に思った部分を補うようなストーリーを本作では取り入れており、そういったものに合わせてマップも少しづつ調整をしています。

――戦闘シーンではスキル枠が6つ表示されていましたが、扱えるスキルは6つのみという認識でしょうか?もしくはさらに多くのスキルを扱えるようになるのでしょうか?

キム氏:戦闘で扱えるスキルは6つに固定しています。スキルはクラスごとに異なり、効果なども様々です。6つの枠はどのスキルを適用させるのか、状況によってもプレーヤーによっても変わってくるといった面白さがあると思います。

スキル枠は通常攻撃を除いて全部で6つ。様々な効果を持つスキルを状況に合わせて使っていこう

――戦闘は以前はじゃんけん方式でしたが、今回変更した理由をお聞かせください。

キム氏:PC版「マビノギ」では1回のターンごとにじゃんけんをするような戦闘方式でした。PC版では好評を得られましたが、モバイル版では同じテンポのまま展開ができるのか悩みました。また、じゃんけん方式はソロプレイの状況では成立するが、マルチプレイには向いていないスタイルだと感じましたので、今回のような戦闘システムをデザインしました。

――レベルアップ時に3つカードがでてきて、その中から1枚選択してステータスボーナスを得ることができますが、選択するカードを間違えてしまった場合などやり直しはできるのでしょうか?

キム氏:レベルアップカードは再度選択ができるようになっています。カジュアルなテイストだとお考えください。間違えて選択してしまった場合でも、過去に戻ってやり直すことができます。

レベルアップ時にはランダムで3枚のボーナスカードが出現し、その中から1枚を選ぶことができる。ボーナスは力や知力アップなど様々。自分好みにキャラを成長させることができる要素の1つだ

――「マビノギ」にあったハウジングは本作でも登場するでしょうか?

キム氏:まだ確定していないので必ず入ると断言することはできませんが、システムは開発中でローンチに向けて準備は進めたいと思います。もしたくさんのユーザーが望んでいるのであれば、後々追加していくといった可能性もあるかと思います。

――ストーリーは多くの伏線などがあり、既に原作をプレイしてストーリーを知っているユーザーは果たして楽しめるのかという疑問があります。そういった部分については解決策などありますでしょうか?

キム氏:既存のストーリー以降にも多くの物語を用意しております。また、メインストーリーは一本の木のようにしっかりとした軸がありますが、イベントなどを経て枝分かれのような複数のストーリーも存在しています。

――本作のエンドコンテンツはどういったものがあるでしょうか?

キム氏:多くのユーザーが参加できるレイドをエンドコンテンツとして準備しております。

――他のタイトルにあるようなレイドとどういった差別化を図っていますでしょうか?また、人を集めるための施策はどういったものになるでしょうか?

キム氏:モバイルゲームでレイドを行なうというのは、我々にとっては大きなチャレンジです。カジュアルなコンテンツではないので、多くのユーザーがレイドを楽しむためにはどうするべきか、とても悩みました。あまりストレスがかかるものだとゲームから離れていってしまいます。基本的にはそれぞれが戦闘の中でどういった役割をするのか、といったことを最大限活かす方向性を目指しているのですが、誰かがミスをしてしまって、それが原因で強いストレスを感じてしまう、といったことがないように調整を行なっています。詳細についてはまだご説明できないことをご了承ください。

――原作「マビノギ」にあった服を作る裁縫スキルのようなものは本作にも登場するでしょうか?

キム氏:はい、生産スキルも現在準備中です。ただし、モバイル版に持ってきたときに完璧に同じ仕様にすることは難しいため、加工、生産といったような段階をわけるようなシステムを検討しています。この部分については現在の試遊バージョンでも少し触れることができますが、詳細についてはリリース時期での公開になるかと思います。

――原作ではエンチャントの確率は多くのユーザーがストレスを抱えたことで有名ですが、今作では強化コンテンツの確率などはどうなるでしょうか?

キム氏:確率は導入しないつもりです。詳細については今回はあまり発表できませんが、アイテムに関するシステムは大幅に変更される予定となっています。

――アイテムごとに番号とQRコードがついていますがどういう意味があるのでしょうか?

キム氏:アイテムの詳細がウェブ上で確認できる機能です。今はまだ機能しておらず、これから開発を進めていきます。

――本作はスマートフォンの縦モード、横モードに全て対応しているようですが、どういった意図があるのでしょうか?ユーザーはどのように楽しむのがおすすめでしょうか?

キム氏:最初から縦、横に考慮したデザインにしております。チャットをしながらカジュアルに楽しむには縦モード、戦闘に力を入れる場合には横モード、といった具合に、ユーザーの皆様がそれぞれのスタイルで楽しんでいただければと思います。

――2018年に初公開されてから4年が経ちました。まだ様々な調整が必要だと思いますが、今の状況で2023年にリリースはできますでしょうか?

キム氏:はい、私達はまず来年2023年のリリースを目標にしています。ですが、ゲームを完成できたと思える状況でリリースする、というのが理想の形です。ただし、あまりにもユーザーの皆様をお待たせするというのもよくありませんので、ベストな環境で提供できるよう、まずは来年のリリースを目標とさせていただきます。

――「マビノギ」は80年代、90年代生まれの世代にとっては思い出のゲームだと思います。ですが今の若い世代、10代、20代は「マビノギ」自体を知らない人達がたくさんいます。「マビノギモバイル」はその若い層にどういうゲームとして認識をされたいと思っていますか?

キム氏:モバイルゲームでMMORPGの基本的な部分を具現化できているものは少ないと思っています。「マビノギ」がスマートフォンでMMORPGが歩むべき道を新しい世代に改めて紹介していくようなゲームになってほしいと思いました。

――最後に一言お願いいたします。

キム氏:「マビノギモバイル」について、多くのご関心を持っていただき、ありがとうございます。「マビノギ」は本当に古いゲームですので、多くの方が関心や期待を寄せていただいていることをよく理解しております。ですので、一番重要なのは期待に応えられるゲームを作り、皆様にお披露目することができるようにこれらの準備を進めていくことだと思います。皆様の引き続きのご関心をよろしくお願い申し上げます。来年是非リリースし、皆様に愛されるゲームになるようにしていきたいと思っています、ありがとうございました。