インタビュー

【G-STAR】建物をぜんぶ壊せる常識破りFPS「THE FINALS」インタビュー

建物爆破で道を切り開く、カオスが極まる混戦チームシューターが開発中

【THE FINALS】

発売日:未定

価格:Free to Play

 「G-STAR 2022」の会場でEmbark Studiosが開発するFree to PlayのチームFPS「THE FINALS」のアルファ版を見る機会があったのだが、これが「フィールド内のすべての建物を破壊可能」というとてつもなく豪快なコンセプトを持つタイトルだったので、さっそくご紹介したい。

 「THE FINALS」は、NEXON傘下のスタジオ「Embark Studios」で開発が進められているチームFPS。「バトルフィールド」シリーズ開発で知られるDICEの元メンバーが中心となって集まっている。G-STAR 2022では「THE FINALS」はNEXONの出展タイトルに含まれていないが、NEXONブースのバックヤードで話を聞くことができた。話してくれたのは、Embark StudiosのCommunications DirectorのSven Grundberg氏だ。

【THE FINALS Pre-Alpha Gameplay Trailer】

地形破壊で活路を見出すカオス系対戦シューター

 「THE FINALS」はチーム対戦型のFPSとなっているが、「全建物を破壊可能」という大胆な特徴がある。どれくらい破壊できるかというと、たとえばロケットランチャーを撃ち込めば壁がガラッと崩れる。崩れた壁には穴が空き、そこから建物内部に侵入できる。もっと破壊すれば、半壊どころか全壊にもできる。

 爆破して建物の一部が崩壊し、ガラガラと崩れて内部が見えていく様子は、まるでそういう物理シミュレーターを見ているかのようだが、こうした破壊をすべての建物でリアルタイムに可能なのだという。

こちらはコンセプトアートだが、こういうイメージのゲームである

 見てまず思ったのは「計算量どうなってるのか」という疑問だが、Grundberg氏によれば演算はサーバー側で処理するため、クライアント側(つまりプレーヤーの端末)にはほとんど影響しないという。詳しい仕組みはわからないが、Grundberg氏によればEmbark Studiosが持つ優秀なバックエンド技術によって可能にしているそう。実際、現場にあった「THE FINALS」のアルファ版では、1人プレイとはいえ建物をガンガン破壊しても何ら問題なくサクサク動いていた。対応プラットフォームをPCのほか、PS5とXbox Series X|Sとしている点からも、技術的にクリアしているのだと思われる。

 「THE FINALS」が現在想定しているのは、3人1チームによる4チーム対戦。対戦時間は8分間で、時間内にフィールド上にある「CASH」をより多く集めたほうが勝ち、というもの。12人が一斉にガンガン破壊して本当にゲームは動くのかと思うが、やはり上記の理由で動くらしい。

狭い通路でも安全ではない

 今までのチームFPSでは建物や壁は決まった地形であり、壁抜きや射線を通すための破壊くらいはあるものの、多くの戦術はマップの地形に合わせるのが通常だったと思う。

 ただ、その点で建物が破壊できる「THE FINALS」は地形が地形の意味をほとんど持っていない。地形に合わせるのではなく、地形の方をゴリゴリ変えて戦術を作り出す感覚であり、セオリーも何もありはしない。建物の上に目標物があれば、下からガシガシ破壊して落っことして回収、ということもできるし、武器の中には足場になるモコモコの物体を作り出す「グルーガン」があり、こちらは地形を逆に作れたりする。Grundberg氏自身、「カオス」という言葉を使っていたが、まさにその通りの戦場になるだろう。

 またフィールド上には、爆発性のドラム缶や消化器、そして大砲なども置かれている。プレイ中はこうしたアイテムを拾って投げつけたり、起動したりしてどんどん建物を破壊していける。カオスに拍車をかける要素も多く用意されている、というわけだ。

ドラム缶などは「使ってください」と言わんばかりに置いてある

 Grundberg氏が話していたのは、本作を「シューターとして作ってはいない」ということ。シューターの枠組みを超えた新たなゲーム体験であり、どちらかというとプレーヤーごとの「ヒーロー」を作っていくイメージだという。バラエティ溢れるカスタマイズ要素も多くして、このカオス感のなかでいかに活躍できるかを楽しんでいくタイトルになるようだ。

 現在「THE FINALS」の開発段階はアルファ版真っ最中で、詳しいことは未定。ルールやシステムはあくまで暫定版であり、調整が入る可能性もある。最初はアメリカやヨーロッパを中心にサービスをはじめるが、その後日本にもサービスを広げていく予定だとGrundberg氏は話してくれた。FPSではの常識を破壊する新生シューターがどのように進化していくのか、ぜひ注目しておきたい。

倒されるとコインがバラバラに散らばる、という演出が入る。そのためカラッとしたイメージに仕上がっている
プレーヤーごとのヒーローを作り上げるタイトルになるという