【特別企画】
祝27周年! 任天堂の傑作落ちモノアクションパズル「パネルでポン」は、今遊んでもその面白さに一片の陰りなし
2022年10月27日 00:00
- 【パネルでポン】
- 1995年10月27日 発売
筆者の落ちモノゲーム体験は、1988年にゲームセンターに姿を現わした「テトリス」が最初だった。当時としては不思議なルールと、えもいわれぬ中毒性にドップリとハマり、翌年にはスコアカウンターストップまで到達できるくらいにはコインをつぎ込んだ覚えがある。その後も、さまざまなメーカーから落ちモノゲームが登場するたびに、クレジットを投入しては遊びまくっていたものだ。
そんな経緯もあって今でも落ちモノゲームは大好物なのだが、1994年にいわゆる次世代ゲーム機が登場すると、某プレイステーション誌で仕事をするようになったため、ゲームセンターから足が遠のいてしまうことに。必然、アーケードゲーム以外のタイトルとお付き合いすることが多くなったのだが、そんなタイミングで偶然見かけたのが当時隣にあった某スーパーファミコン雑誌編集部で動いていた作品「パネルでポン」だった。
最初は、ゲーム中に登場するキャラクターがツボだったということで(オタクチョロい)遊んでみたのだが、プレイ回数が増えるほどその奥深いシステムにハマっていき、数日後にはすっかり虜になっていたほど。
そんな「パネルでポン」は、1995年10月27日に任天堂から発売され、今年で生誕27周年を迎えた落ちモノアクションパズル。時間経過と共に下からせり上がってくる5種類または6種類のパネルを、カーソルを動かして左右に入れ替えていき、同じ種類で縦横3枚以上並べれば消すことができるという非常にシンプルなルールだ。パネルが天井に接してから一定時間が経過するとゲームオーバーになるので、そうならないようにパネルを消しまくっていくことになる。
人間やコンピュータとの対戦では、一定条件を満たしてパネルを消すと相手側にプレイを邪魔する“おじゃまパネル”が降るので、これを利用してライバルを先にゲームオーバーにさせるのだ。
基本的な操作が、カーソルの位置にあるパネルを左右に入れ替えることしかできないので非常にわかりやすく、この手のゲームが初めてという人でも難なく遊べるようになっているのが特徴といえるだろう。
ちなみに、世界設定とストーリーはこうなっていた。
舞台となるのは、妖精たちが住む夢の世界ポップルス。ある日、どこからともなく現われたモンスターがポップルスを荒らし始め、仲の良かった妖精たちを仲違いさせたうえに、雨を降らせて世界を水浸しにしようとする。ただ1人難を逃れた花の妖精リップは、世界を元に戻すべくモンスターに立ち向かっていくのだが……。
ゲームモードは、ゲームオーバーまで続けるエンドレスモード、2分間でどれだけのスコアが稼げるかに挑戦するスコアアタックモード、決められた手数でパネルを消すパズルモード、1ステージずつジックリ遊ぶステージクリアモード、コンピュータや人間と対戦できるVSモードと、この当時としては多彩に用意してあった。
1人プレイのメインとなるVSモードではコンピュータとのバトルが展開され、プレーヤーは主人公のリップとして8人の妖精+αと戦い、勝てば難易度やコンティニューの有無によって違ったエンディングを見られるのだ。
最初にも書いたが、とにかく魅力的だったのは登場キャラクターのキュートさ。リップが可愛いのはもちろんだが、他の妖精さんもこれまた愛らしいキャラばかり。全員が妖精とはいえ、いわゆるロリキャラっぽいのを見て当時は“任天堂らしくないなあ”と思いながらもキャラデザイン的にはドストライクだったわけで、筆者のようにイラストを見て少しでも心が動かされた人は早急に遊び始めることを強く勧めたい……が、キャラクターはあくまでも魅力の一部。本当の意味での醍醐味は、さらに奥深いところにも隠されていたのだ。
「パネルでポン」の基本ルールは前述したとおり、パネルを縦横に3枚以上並べて消していくこと。パネルは3枚ずつだけでなく4枚や5枚、時には10枚以上まとめて消したりもできるほか、消えて空いた場所には上からパネルが落ちてくるので、これを見越して配置しておけば2連鎖、3連鎖、4連鎖と、連続して消すことも可能となっている。しかし、それだけであれば従来の落ちものゲームと大差なく、ここ止まりであれば「ただのキャラゲーでしょ」と言われても致し方なかったところ。
本作が他の作品と決定的に違う、そして一番の醍醐味となっているのは“アクティブ連鎖”と呼ばれる連鎖方法を取り入れたこと。これができるようになれば、5連鎖6連鎖は当たり前、10連鎖オーバーも夢ではないテクニックなのだ。
なぜそんなことができるかというと、ほとんどの落ちものゲームは連鎖中、連鎖していく様を眺めているしかないのだが、「パネルでポン」の場合は連鎖中にもカーソルを動かして他のパネルを入れ替えられるためだ。今ひとつピンとこないという人も多いかもしれないので、どのようなものかを動画で掲載してみた。
身体がアクティブ連鎖を覚えてくれると、他の落ちものゲームのように“しっかりと連鎖の種を準備してから起爆させる”という手順がいらなくなり、直感でプレイすることができるようになる。こうなると、一気に「パネルでポン」が面白くなっていくのだ。
ちなみに、一番簡単なアクティブ連鎖は縦に同じパネルを3枚並べて消した後、落ちてくるパネルの間に同種類のパネルを挿し込む方法。これだけでは効率が悪いのだが、縦だけでなく横方向にもアクティブ連鎖を決められるようになれば、勝率がグッと上昇していくのだ。
特に、4連鎖を越えると相手フィールドに落ちるおじゃまパネルが分厚さを増していくため、そう簡単に排除することができなくなる。対コンピュータ戦ならばアッサリと終わるのだが、手練れ同士の対人戦ならば、ここからさらに熱い戦いがスタートする。
おじゃまパネルは、そこにくっついている普通のパネルを消せば、1段分だけ普通のパネルへと変身する。このとき下に空間があれば、変身終了と同時にパネルが落下してくるのだが、そこであらかじめ同種のパネルを2枚並べて置けば、パネルが降ってきたタイミングで消えるため連鎖となる。さらに、そのパネルがおじゃまパネルに触れていれば、またもおじゃまパネルが普通のパネルに変身して降ってくるため、実はおじゃまパネルが分厚くなるほどさらなる連鎖が期待できるのだ。
上級者同士の戦いともなれば、一瞬たりとも気を抜けないおじゃまパネルの応酬が数分間、場合によっては10分以上続くこともあるため極度の緊張感を強いられるのだが、これもまた快感。文字通り、手に汗握りながらコントローラを操作することに……。
そんなおじゃまパネルが降ってきたとしても、その他のパネルを消す邪魔にはならないというのが、「パネルでポン」のさらなる面白い部分でもある。オーソドックスな落ちものゲームでは上からお邪魔が降ってくることが多く、そうなるとせっかく下で準備していた連鎖に点火することができず、ストレスいっぱいの状態で負けてしまったという記憶を持っている人もいるのではないだろうか。
しかし本作の場合は、たとえおじゃまパネルが大量に降ってきたとしても、その下にある普通のパネルを消すのには影響を与えない。それゆえ、例え攻撃されたとしても反撃の手段が残されているので、ストレスも溜まりづらいのだ。ただし、フィールドに同種のパネルが最低でも3枚揃っていないと消せないため、そこまで追い詰められてしまったら諦めるしかないが……。
発売から27年という期間が経過したが、それまでの落ちものゲームには見られなかったアクティブ連鎖を導入することで連鎖を準備する面倒くささから解放され、上達するほどに連鎖を重ねられる快感が味わえるシステムは、現在プレイしても秀逸だと改めて思った。
本作はその後、ニンテンドーゲームキューブ向けタイトル「NINTENDOパズルコレクション」に「パネルでポン」の名前で収録されたが、このときは登場キャラクターが一新されただけでなくコンピュータの思考ルーチンも変更されたため、難易度が大幅に上昇している。スーパーファミコン版「パネルでポン」と比べると、初心者には遊びづらくなってしまったように感じたものの、これも自宅用&編集部用としてゲームキューブとソフトを2セットずつ購入し、日々対戦プレイに勤しんだほど大好きな作品だ。
続いて登場したのはニンテンドーDS用「パネルでポンDS」だったが、タッチペンでもパネルを操作できてしまうため、ゲーム性としては別物に。キャラクターも登場しなくなったものの、リップだけは条件を満たすことで出演してくれたので、それなりにはやり込んだ記憶がある。
他にも派生タイトルはたくさんあるのだが、筆者イチオシなのはやはりスーパーファミコン版「パネルでポン」だ。現在は、ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコンに収録されているバージョンか、スーパーファミコン Nintendo Switch Online向けに配信されているソフトの1本としてプレイすることができるだけでなく、後者であればインターネットを通じた対戦プレイも可能。
当時は、すぐ隣にいる友人たちとしか対戦ができなかったことを考えると、非常に嬉しい仕様になっている。ただし、残念ながらフレンド登録した相手としか対戦できないため、フレンドが一1しかいない筆者には未だ無縁のモードとなっているのが悲しいところ……友達が欲しいのです(泣)。
©1995 Nintendo/INTELLIGENT SYSTEMS
※今回使用している写真・映像はスーパーファミコン版ではなく、スーパーファミコン Nintendo Switch Online版となります。