【特別企画】

ゲームAI「グランツーリスモ・ソフィー」、シリーズ最新作「グランツーリスモ7」に導入決定!

山内一典氏がコンセプト解説。アップデート後にリリース予定

【グランツーリスモ・ソフィー】

2月10日 発表

 ソニーAIは2月10日、ポリフォニー・デジタル及びソニー・インタラクティブエンタテインメントと共に、世界初のゲームAI「グランツーリスモ・ソフィー(GTソフィー)」を発表した。発表会には「グランツーリスモ」シリーズのプロデューサー・山内一典氏が登壇し、「GTソフィー」のコンセプトなど関してプレゼンテーションを行なった。

 「GTソフィー」は、ソニーAI、ポリフォニー・デジタル、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが共同開発した自律型AIエージェント。深層強化学習を通じて、ドライビングスキルの学習を重ねることで、プレイステーション 4用リアルドライビングシミュレーター「グランツーリスモSPORT」の世界トップレベルのGTドライバーとの対戦において勝利を収めた。

 このプロジェクトの成果は、本日2月10日に発行された科学誌「Nature」の表紙を飾ると共に「深層強化学習でグランツーリスモのチャンピオンドライバーを凌駕する」というタイトルでその論文が掲載される。

【The Making of Gran Turismo Sophy [日本語]】

 今回のプレゼンテーションでは、「グランツーリスモ」シリーズのプロデューサーにして、「GTソフィー」の名付け親でもある山内一典氏が登壇。足掛け5年以上も費やしたという、今回の革新的なプロジェクトのコンセプトなどに関して紹介を行なった。

 「グランツーリスモ」のドライビングAIを開発するにあたって、最初に考えたことは「単に人間に勝つことが目的ではない」ことだったという。「GTソフィー」に込めた思いとして、まず“プレーヤーにとっての友達、仲間、相棒”のような存在になってほしい、そして“共感を得る”ような、そして“お互いに学ぶ、お互いに成長できる”ような存在になってほしいことなどを山内氏は挙げて、ビデオゲームを通じて人間社会に対してポジティブな効果をもたらすものが「グランツーリスモ・ソフィー」であるとする。

「グランツーリスモ」シリーズプロデューサー・山内一典氏(画像は「The Making of Gran Turismo Sophy」より)

 山内氏は、「グランツーリスモ」は常に“イノベーティブ(革新的)”を大事にすると共に、初代「グランツーリスモ」より常に“エクスペリメンタル(実験的)”なタイトルであることが特徴であると紹介。ビデオゲームを通じて社会に明かりを灯す、社会を明るく照らし出す、そのようなことを意識しながら、同ゲームの開発を進めているとしている。

 そこで、レースゲームのAIに求められるものは何か、という問いに対し、山内氏は第一に「人間と同等か、それ以上に速いこと」が重要とする。そして、レース中に出現する多様なシチュエーションに対して「常に妥当な振る舞いを見せること」、人間から見て「その振る舞いが自然に見えること」も挙げる。これらは従来の“ルールベースのAI(ある特定の条件の中で、特定の行動しかとれないAI)”では難しかったとして、「グランツーリスモ・ソフィー」では“人間じゃないんだなあ”とわかってしまう点などを打開できたことが、大きな達成であると説明した。

【「GTソフィー」が習得したドライビングスキル】
【「GTソフィー」のレース結果】
2021年7月と10月に開催されたレースイベント「Race Together 2021」。10月の第2イベントにて、「GTソフィー」は4名の「グランツーリスモSPORT」トップランカーに勝利を収める

 山内氏は、プレゼンテーションの最後に、3月4日発売予定のシリーズ最新作「グランツーリスモ7」において「グランツーリスモ・ソフィー」がどのように登場するのかを説明。1つはプレーヤーに対してドライビングを教える“コーチ/先生”として、1つはプレーヤーからスポーツマンシップを学ぶ“生徒”として、そしてプレーヤーと一緒にレースをする“友達”として現われるだろうと、「グランツーリスモ7」のゲーム内に「グランツーリスモ・ソフィー」が導入されることが予告された。

 「グランツーリスモ・ソフィー」は、「グランツーリスモ7」のアップデートを通じて、プレーヤーの元に届けられる予定となっている。プレゼンテーション後のQ&Aセッションでも、改めて「グランツーリスモ7」のアップデートで「グランツーリスモ・ソフィー」をローンチしようと思っていると説明。なお、具体的なスケジュールについては明らかにされなかった。