インタビュー

iOS「デーモントライヴ」インタビュー

シングルプレイの強化やマルチ協力プレイを加え、大きな変貌を遂げる「2.0」

7月23日 アップデート

 7月23日、協力対戦型バトルRPG「デーモントライヴ」が「2.0」と銘打って大規模アップデートを果たした。スマートフォンタイトルとしては他にないほど作り込まれたタイトルが、新たな方向性へとシフトしていく。

 今回は、新ディレクターである河井大輔氏、リードプランナーの久井克也氏にインタビューを行ない、「2.0」でどう変わるのかをお答え頂いた。なお、メインのお2人の他に、プロデューサーの岩濱正人氏にも同席して頂き、一部で補足を頂いている。

クラン協力戦の追加とシングルプレイの強化で、方向性を新たにする「2.0」

新ディレクターの河井大輔氏。これまでの開発チームとは違った目線を持って、「デーモントライヴ」の要素を整理し、わかりやすくすることを目指した
リードプランナーの久井克也氏。「デーモントライヴ」の制作に初期から携わっているメンバーの1人

――まずはお2人について伺います。新ディレクターになられた河井さんから見た「デーモントライヴ」というゲームやプロジェクトは、どのようなものでしたか?

河井氏:「デーモントライヴ」は弊社のタイトルの中でも大作の部類に入るものです。制作チームも制作期間も大規模で、長く携わっているスタッフも多いです。そのぶん、“見えなくなっている”ものもあるのかな、と感じました。客観的に見るという目線でそういうところをいろいろと変えていくのが、僕のポジションなのかなと考えています。

 オリジナリティが高くて要素が多いだけに、「わかりやすさ」という部分がちょっと足りないのかな? と思いました。ベタな作りでいいところはもっとベタでいいのかなと。そういうところをどんどん変えていきたいなと思っています。

――新しい目線で見るというスタンスですね。逆に、今までずっと携わってきた久井さんからすると、制作チームに新しい血が加わってきたという事かなと思うのですが。それに対する思いはいかがでしょう?

久井氏:本当にそれは新鮮で……。1年以上ずっと同じメンバーでやってきたので、どうしても考え方が凝り固まっていたところはありますよね。元からのメンバーはコアなゲームが好きな者が多く、コンシューマーで作品を作ってきたメンバーが集まっていたということもあって、ソーシャルにちょっと慣れていない部分もあったと思います。そういうところを冷静に判断してくれる人が入ってきてくれたというのはありがたいです。

――「デーモントライヴ」はリアルタイム対戦を目玉にしたゲームです。スマホタイトルとしては、珍しいほど作りこまれていて、それをユーザーさんの多くが楽しみきれたのかどうかが気になるところでした。制作側から見て、これまではどうだったのでしょう?

河井氏:メインに「多人数でのリアルタイム対戦」という要素があって、スマホのゲームの中でも他ではあまりやっていないものでした。そこは大きなアドバンテージだと思うのですが、その分、「ユーザーさんを選ぶ」面もあるんですよね。その面白さにたどり着くまでが大変だったりするところがあったと思います。

 こちらとしては、「2.0」でも引き続き「対戦」の面白さが1番です、という提案はしていきたいと思いますが、そこにたどり着くまでの大変さや敷居の高さを改善したり、それ以外の部分の遊びの魅力という物も伸ばしていこうと思っています。

 例えば「2.0」では「協力戦」というモードが入りました。対戦同様にリアルタイム同期をして戦うというのは変わりませんが、対戦ではなく他人と協力して遊ぶというものです。対戦をがっつりやるというのが苦手な人も、リアルタイムに他の人と遊べる楽しさを味わえます。対戦を最終的に楽しんでもらえるといいなというのは変わりませんが、そこまでの間にライトな遊びを増やしているという感じですね。

――「2.0」ではいろいろな新要素や改善があると思いますが、ここに特に注力したというか。アピールしたいものはどういうものでしょう?

河井氏:やはりそこも、マルチゲームの“協力戦”です。みんなでリアルタイムに同期されたプレイの中で敵と戦うという要素を、クランという単位で遊ぶ。他のプレーヤーとの繋がりや、協力を対戦と同じ規模で打ち出していこうというのが、今回の大きなコンセプトですね。

久井氏:あともうひとつ大きなものでは、“シングルプレイの強化”ですね。対戦にたどり着くまでのステップとして、「もっとシングルプレイを楽しんでもらおう」というコンセプトです。これまでには「討伐」というシングルモードがありましたが、「2.0」ではそれを「もっと攻略してる感」や、達成感が得られるように、ミッションクリア型にしました。これまでとは見え方から大きく変えています。

一緒に遊ぶ、攻略していく楽しさを加える新要素「クラン協力戦」

「2.0」の目玉と言える新要素「クラン協力戦」。クランメンバーで協力してマップ内のデーモンを撃破していく

――“協力”という要素は、ある意味すごくベタで必須要素ではないかと思いますが、どんな考えから「入れるべき」と考えたのでしょうか?

河井氏:基本的にマルチプレイゲームというか、他のプレーヤーさんと一緒に遊べるモードは無条件に楽しいところがあると思うのですが、その中でも他人と競うのを楽しいと思う人と、他人と協力して遊ぶのを楽しいと思う人に分かれますよね。そこで、対戦だけにマルチモードを絞るのではなく、協力のマルチも入れようと。「『デーモントライヴ』のマルチプレイをもっと楽しんでもらいたい」という考えがありますね。

――「対戦」と「協力」どちらのマルチプレイにおいても、プレーヤーのレベル格差であったり知識の差があって、何かトラブルになったり敷居の高さになるのかなとも思えるのですが?

河井氏:そうですね。確かに自分よりも明らかに強いプレーヤーや、自分よりもゲームのルールやシステムに精通しているプレーヤーの存在というのは、「対戦」という遊びを「苦手だな」と思わせてしまう要素になりがちなんですよね。ただ、一方で「協力」だと強い人の存在が嬉しいことになります。クラン単位で挑むので、強い人はクランメンバーからありがたがられる存在になるので、やりこむモチベーションに繋がってくれるかなと思います。

久井氏:クランの仕様からも、「対戦」に不慣れな人でも活躍しやすいのが「協力」なんですね。「協力戦」の敵ももちろん強くて、どんな敵が出現するのかはバトル前では不明なんです。どんな敵なのか、属性は何なのか、敵の配置はどうかとか。そこで、誰かが挑んで得た情報を、クランで共有できるようになっています。あと、協力戦の敵は戦うことで徐々に弱体化するという仕様もあって、とりあえず誰でもいいから戦うだけで意味があるというモードになっているんです。

――協力戦のバトルについて情報を共有できるというのは、バトル前の画面にメッセージを書けるというものですよね。結構独特な仕様ですよね。負ける事にも意味があるから、無茶なところに弱い人が突っ込むのもありという。

河井氏:そうですね。シングルプレイでは負ける事に意味はありませんが、これがクランの協力戦ではプラスになる。それでも負けたくないという人なら、自分が倒せそうなグレードの敵に挑むという選択も、もちろんありですし。遊び方の選択肢は結構増やせているかな? と思います。自分の楽しみやすいスタイルでやってもらえれば。特にクランで力を合わせるというところや、コミュニケーションも楽しんでもらえると、よりいいかなと思いますね。

――「協力戦」で敵が弱ってくるという要素は、どんな作りになっているのでしょう? 何か条件があったりします?

久井氏:いえ、そこはシンプルに。「協力戦」で制圧していくマップに敵のデーモンが配置されているわけですが、その個々のデーモンが、戦うごとに弱くなっていくというものですね。

――今の協力戦のお話もそうですが、クランは強い人が遊び始めたばかりの人を引っ張ってくれるといい感じなのかな? と思います。でも強い人同士が集中して固まるというのも、おそらくありますよね。その辺りについてはどうなのでしょう?

河井氏:そうですね、できれば「2.0」から始めたというような新規の人をどんどんクランに勧誘してもらいたいなと思いますね。今回、クランの最大人数も増えますので、どんどん人を入れてもらいたいなと。加入や脱退も簡単にできるようにしていますので、自分にあったクランを探し回るのもありかなと。クランに入ることを、今までより気軽に考えてもらえればと思いますね。

――クランメンバーの最大人数は何人に増えたのですか?

河井氏:これまでは20人だったところを30人に増やしています。これについては今後も動向を見つつ調整していきたいところですね。

クラン協力戦では、バトル前の画面にメッセージ投稿欄がある。どんなデーモンが出現するのか、属性は何かなど、次に挑む人へのヒントを残せる
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(山村智美)