インタビュー
「Enotria」開発者メールインタビュー。演劇をモチーフとした世界観やソウルライクのアクションの出発点を語る
2024年11月5日 12:00
- 【Enotria: The Last Song】
- 発売日:ダウンロード版 9月19日
- 価格:
- スタンダードエディション 7,150円
- デラックス・エディション 8,778円
イタリアのJyamma Gamesが開発し、セガが発売しているプレイステーション 5/Xbox Series X|S/PC用ソウルライクアクションRPG「Enotria: The Last Song(エノトリア:ザ ラスト ソング)」。イタリアの伝承に基づいた世界を舞台に展開されるソウルライクアクションRPGで、イタリアの演劇文化をモチーフにした世界観と美しいビジュアルが魅力の本作だ。
また、アクション面でも雑魚戦でも気が抜けない難易度やパリィといったソウルライクの基本的なシステムをベースにしつつ、仮面を切り替えてビルドを即座にスイッチできるビルドシステムや、プレーヤーにとって有利にも不利にも働く属性システムも特徴だ。
本誌では、そんな本作の開発者メールインタビューを行ない、開発経緯や、システム面について、本作のビジネス開発マネージャーであるEdoardo Basile (エドアルド・バシーレ)氏に語って頂いた。
なお、本メールインタビューは「Enotria」発売前に行なわれたものではあるが、諸般の事情によりこのタイミングでの公開となったことを留意していただきたい。また、本作については、本誌に掲載されている体験版レビューを参考にして欲しい。
世界観の源は「仮面」そのもの
――本作を開発することになった経緯は?
Basile氏:私たちの祖国とその伝統を、今までにない方法で皆に伝えたいという意思から開発に至りました。
――歴史あるイタリアの演劇文化を参照する際に心がけたことはありますか。また、具体的に参考にした作家や劇場はあるのでしょうか
Basile氏:インスピレーションの源は仮面そのものです。コンメディア・デッラルテ(仮面を使用する即興演劇の一形態)に登場するすべての仮面には、それぞれの個性や物語が隠されています。その背景を研究し、テーマに合ったデザインを作ることが本作での秘訣でした。
――「邪悪な演劇に囚われた世界を救うため、劇作家を倒す」という本作のストーリーラインには興味をそそられました。ソウルライクのゲームの中には、物語を詳しく語らず、プレイヤーの想像や考察に任せるものも少なくないですが、本作のストーリーはどの程度まで語られるのでしょうか
Basile氏:私たちはジャンルの王道スタイルを踏まえつつ、あえてシンプルでダイレクトなストーリー展開を選びました。すべてのキャラクターに物語の中で重要な役割を持たせ、敵やボスとの戦闘にも確固たる背景を与えることで、魅力的なキャラクターと心に残るストーリーが生まれました。この方向性を取ることで、プレイヤーの記憶に長く残る体験を提供できればと思っています。
――さまざまなマスクが登場しますが、お気に入りのものはどれですか? またその理由は?
Basile氏:お気に入りは「プルチネッラ」ですね。持ち前の素晴らしい演技と、ゲームの筋書きを通してキャラクターの成長が見られるところが気に入っています。
Fromsoftwareを徹底的に研究して作られたバトルシステム
――“ソウルライク”タイトルのため当然ですが、実際にプレイしてみて「ソウル」シリーズや「SEKIRO」などのバトルシステムの影響を感じました。パリィや体幹などのシステムを実装する上で、操作面やプレイフィール等で意識したことや気を使ったことはありますか?
Basile氏:私たちは、フロム・ソフトウェアのムーブセットやデザインを徹底的に研究しました。ここで考慮すべきなのは、フロム・ソフトウェアがこのジャンルの生みの親であるAAA企業であり、現在のような実績を達成するまで20年の歳月をアニメーションと研究開発に費やしてきたということです。私たちはまだスタートラインに立ったばかりですが、業界の頂点に学ぶことが最も賢明かつ確実な出発点だと考えました。
――ソウルライクは高難易度のゲームが多いですが、本作の難易度はどの程度のモノを想定していますか? また、発表されている「ジェム」以外に、難易度を変更できる要素はあるのでしょうか?
Basile氏:現在本作では、「誰でも楽しめるゲーム」を目標に、ハードコアゲーマーではないプレイヤーの方にも楽しんでもらえるストーリーモードを用意しています。その一方で、ベテランのソウルライクゲーマーの方には、「ソウルライクモード」でこのゲーム本来の要素をお楽しみいただけます。
――仮面を付け替える独自のビルドシステムは刺激的で、プレイヤーの攻略手段を広げる試みとして非常におもしろいと感じました。ビルドを切り替えるシステムの着想はどこから湧いてきたのでしょうか?
Basile氏:主人公がアルドーレ(本作における周囲の環境を変化させられる能力)と対話し、本作の舞台である「カノヴァッチオ」の規則から解放される唯一の存在であるというアイデアが、あらゆる「仮面」を使い分けて自由に行動できる要素へとつながりました。これが私たちのゲームプレイの核心であり、ジャンルに大胆な革新をもたらしていると私たちは思っています。ひとつのビルドに縛られることなく、プレイヤーが体験を通じて自分のスタイルを柔軟に調整できるという点は、当初より多くの方から高く評価されています。
――メリットだけでなく、デメリットも存在する属性(元素)システムは奥深く、体験版でも楽しめました。デメリットのある属性を実装した狙いをお教えください。
Basile氏:このシステムの根幹は「トレードオフ」にあります。圧倒的な強さを手に入れることはできますが、同時に弱点を抱えなければなりません。そうすることで、このジャンルが本来持つ「挑戦の意義」をしっかりと保ちながら、適切な難易度でゲームを楽しめるようにしています。
――最後に、読者へ本作のアピールをお願いします。
Basile氏:皆さん、こんにちは! 今回は、この「エノトリア」でぜひ太陽を心ゆくまで満喫してもらえることを願っています。ただ、油断は禁物ですよ! このゲームには危険もいっぱいですからね。
Steamでは賛否両論となっている本作だが、他のソウルライクとは一線を画す独自の世界観や、バトルシステムは魅力的なものととなっている。気になる方は是非手に取って欲しい。
□Steam版「Enotria: The Last Song」のページ
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