インタビュー

「FFXIV: 黄金のレガシー」パッチ7.1「未知との邂逅」インタビュー

ゾラージャの30年を追うメインクエスト、「絶もうひとつの未来」、滅暗闇の雲などパッチの見どころを聞いた

【ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー】

パッチ7.1「未知との邂逅」

11月12日実装予定

 新拡張パッケージ「黄金のレガシー」で次の10年を目指す新しい門出を切った「ファイナルファンタジーXIV」。7.Xシリーズの大型アップデート第1弾パッチ7.1「未知との邂逅」が11月12日に実装される。

 「7.0」が次の10年に向けての舞台建てとキャラクター紹介という序章であるとすると、今回のパッチは新たな冒険の第1章的な位置づけとなる。それだけに多数のコンテンツが実装され、かなり力が入ったアップデートとなっている。

 今回はそんなパッチの実装に向けて、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏から話を聞くことができた。

ゾラージャがドーム内で過ごした30年をたどる

――よろしくお願いします。まずは「未知との邂逅」というパッチタイトルについて、「CROSSROADS」という英語のタイトルも合わせて、このタイトルにした理由を教えてください。

吉田氏: 拡張後初めてのメジャーアップデートで、この道筋は新たな出会いや物語へと繋がっていくことになります。もちろんこのパッチだけで、それらすべて分かるわけではないのですが、そういった未知なるものとの出会いや交わり、新たなキャラクターたちや、コンテンツ、色々な運命が光の戦士を中心にして交わっていくというイメージです。

例えば「エコーズ オブ ヴァナ・ディール」はメインクエストに絡みはしないですが、これまでのメインクエストに登場したキャラクターが微妙に交差するような部分があったり、そういった未知なるものとの出会いや邂逅がたくさんあるということで、日本語のタイトルを先に決めました。その意図をローカライズチームに話したところ、英語であればCROSSROADSという単語が一番しっくりくるのではないかという提案をいただいて、単語としてもシンプルでわかりやすいこともあったので、そこに決めたという感じですね。

 ただ、日本語のパッチタイトルは、これまでに作ってきた数が多く、考えても考えても、「その単語もう使ってます」ということになってきています(苦笑)。

「未知との邂逅」のパッチイラスト

――どんどん考えるのが大変になってきているんですね。

吉田氏: そうなんです。「新生エオルゼア」の時に、メジャーパッチは単なるアップデートではなく、ボリュームのあるDLCのようなものという考え方だから、きちんとパッチタイトルを作ることによってマーケティングやPRチームが宣伝しやすくなります。さらにタイトルに即したパッケージイラストを描くことで、アップデートというより大きなDLCが来るぞというイメージがより明確になるということで始めた施策で、それ自体は非常に気に入っているんですが、そろそろ語彙がなくなってきてどうしようかな、と(笑)。

――メインストーリーではゾラージャの後ろ姿が写ったイメージが発表されましたが、7.1ではゾラージャを深堀りしていくことになるのですか?

吉田氏: 7.0の中では最後までゾラージャが腹の中に何を抱えていたのかがはっきりとは語られていないため、断片的にしかわかりません。父親や母親、兄弟たちに対する何かしらのコンプレックス。これはウクラマトも同じだと思いますが、彼の行動はそこに起因しているのかもしれない。「奇跡の子」と呼ばれていたことも原因かもしれない。当然そこはすごく細かく設定されています。ただ、すべてが明らかになるだけが描き方ではありませんので、とあるキャラクターを通じてにはなりますが、一端は見えてくるようになっています。とはいえ、今回のストーリーはそれがすべてというわけではなく、ちょっとネタバレになるので言えない展開がその先に待っています。

ゾラージャの、ヘリテージファウンドでの30年という月日を追う

――7.0ではプリザベーションの正体が謎のままだったり、アゼムの紋章が現れたり、意味ありげなスフェーンの冠が映っていたりといろいろと気になる部分がありました。そういった部分も、これから展開していくストーリーの中で語られていくのですか?

吉田氏: 「漆黒のヴィランズ」や「暁月のフィナーレ」はクライマックスに向かって答えを出していく拡張ですので、すべてが答え合わせというところがあったと思います。「黄金のレガシー」はそれ以前の拡張と同じで、どんどん伏線を張りながら物語が新たに展開しているので、7.1ですべての謎が明らかになるわけではないです。

ただ、どこに着地するのかは予測不能でも、「ああ、始まったな」ということは感じていただけるんじゃないかと思います。

スフェーン亡きあとのソリューション・ナインで新たな物語が進行する

――ここからどんな展開が待っているのか、全然想像が付きません。

吉田氏: とはいえ、王位継承レースが終わり、黄金郷と呼ばれていたものの正体がわかって、ひとまずリビングメモリーをシャットダウンして、魂とは何か、生きているとは何かというところに触れたと思います。当然ひとつの拡張だけで扱いきれるような話ではないので、引き続きしっかり深堀りしていく中で、陰にいる存在も徐々に見えてくるのではないかと思います。この先、メインストーリーに関しては7.1だけではなく、その先に向かってももう仕込まれているので、そのあたりを予想しながら見ていただけるとより楽しめるのではないかと思います。

新ダンジョン「廃地討究 ユウェヤーワータ」
ダンジョンの内部は研究室のような廃墟になっている
ダンジョン内のボスも科学者風

――新ダンジョン「廃地討究 ユウェヤーワータ」は廃墟のような研究室ですが、どういった理由であそこに行くことになるのですか?

吉田氏: あまり言うとネタバレになってしまうのですが、ヘリテージファウンドのドーム内では30年という時間が経過しています。その30年の間に実際何があったのかとか、どういうことを経て、ゾラージャは武王として軍備を整えていったのか。その辺りに絡んでいると思っていただければ。

――なるほど。ゾラージャの軌跡をたどって、あそこにたどり着くんですね。

吉田氏: ドームでの30年という時間の中で、何が彼をそうさせたのか、どういった力を得ようとしたのか、その動機はなんだったのか、そこに絡んでいたのはどういう人々だったのかというところは見えてくるかと思います。

――以前に、今後のストーリーでどのキャラクターが活躍するかは、プレイヤーの反応次第で変わるかもしれないというお話がありましたが、7.0が終了した時点で人気があったキャラクターや、今後活躍しそうなキャラクターを話せる範囲で教えてもらえますか?

意外性でプレイヤーの心を掴んだグルージャジャ

吉田氏: プレイヤーの皆さんの反応で、バクージャジャは特に予想外でした(笑)。後は、ペルペル族のマーブルは制作中にも上手くハマったキャラでしたので、今後とあるコンテンツでマーブルを主軸にしようと思っていたんですが、今回の友好部族クエストがペルペル族なので、ちょっとペルペル族推しすぎるからと後ろに回したり。

――ペルペル族は、ウルダハの商人たちとは正反対の、取引したくなるタイプの商人ですね。

吉田氏: お金を稼ぐ、ということに対する細やかさや執着というところは徹底されていて、ウルダハとはまた違った商人気質ですね。根底にあるのは、みんなの幸せを商売でもたらすということで、それが自分たちの価値であると言っています。今までにない描かれ方をしている部族です。友好部族クエストでもそういった側面がまた見えたりすると思います。すごくストレートにほんわかできる話になっていますので、楽しみにしておいてください。

7.1で実装される友好部族クエストはペルペル族

――ペルペル族といえば、ワチュメキメキ万貨街のクエストで、青魔道士の郷について言及されていました。ファンフェスでも青魔道士について期待してもいいということでしたので、今後青魔道士の郷のような新エリアに赴くことになるのですか?

吉田氏: 青魔道士のルーツへ来ているので、もちろんやっていきたいですし青魔道士のアップデートも引き続き予定はしています。しかし、青魔道士はレベルキャップが低い……。今トラルに行っても戦えないので、もう少し時間がかかると思いますが、キチンと今後フォローしていく予定です。順序だててやっていくつもりなので、長い目でみておいて欲しいです。ただ、拾わないということはないと思います。

ペルペル族のマーブルは可愛らしさで人気

寝食を忘れて「FFXI」にのめり込んだスタッフが作っています

――「エコーズ オブ ヴァナ・ディール」についてお伺いします。「FFXI」というと、以前にイロハが出てくるコラボクエストがありました。あのコラボクエストと「エコーズ オブ ヴァナ・ディール」は関連があるのでしょうか?

吉田氏: まったく別です。「星唄異聞」の時には、イロハというキャラクターを中心に物語を作りました。今回のクロスオーバーでは、「FFXIV」側の世界から、とある理由があってこんなことになってしまったというものになるので、「星唄異聞」に絡ませてしまうとより複雑な話になってしまいます。イロハの物語の設定をさらに持ってこなくてはならなくて、そうなると「FFXI」側に影響が出すぎてしまいます。

 その場合「FFXI」を遊んでいる人からすると、「FFXIV」のせいでおかしくなったということになってしまうかもしれない。僕らは基本的にどのタイトルに関しても、そういうことをやらないようにしています。あくまで「FFXIV」の世界線の中での出来事になるよう作っています。

「エコーズ オブ ヴァナ・ディール」のキービジュアルは天野喜孝氏

――では今回訪れることになるのは「FFXI」のヴァナ・ディールではなく、「FFXIV」の中にあるヴァナ・ディールだと考えればいいんでしょうか?

吉田氏: 「FFXIV」の中に、なぜ「FFXI」で語られているキャラクターや世界が紛れ混んでしまっているのかは、一つ物語上のフックなので詳しく語ることはできませんが、なぜ「FFXIV」の世界にジュノが再現されているのかというところは、今回のパッチの核心になります。今後第2弾、第3弾とやっていきますので、今回の物語を見た後、どうなっていくんだろうというところも楽しみにしていただけるのではないかと思っています。

 あとはもう、MMORPGの創成期に近くスタートした「FFXI」を当時の熱狂の渦で、それこそ寝食を忘れてのめり込んだスタッフは本当に多いのです。それこそ、あまりに熱中し過ぎて、「FFXI」で本当に人生から足を踏み外しかけたような開発者たちが、今回腕まくりをして作っています(笑)。でも、そんな「FFXI」でゲームやMMORPGの面白さを教えてもらったからこそ、ゲーム開発者になった、という人も多いのです。もちろん「FFXI」を遊んだことがない方でも、こんなエピソードがあったんだと、引っかかったところをネットで調べていただけると嬉しいです。「FFXI」をゴリゴリやっていた方たちには、「こんなことあったね」と思っていただけるポイントがたくさん散りばめられています。ぜひ細かく見ていただけると嬉しいです。

「FFXIV」世界の中で「FFXI」が語られる

――「エコーズ オブ ヴァナ・ディール」には「FFXI」の開発スタッフは参加しているのですか?

吉田氏: 当然しっかりと監修してもらっています。今回報酬として渡す装備のデザインでも、各ロールに対してどんなデザインの装備を配布すればいいのかフィードバックをもらった上で調整したりしています。「FFXI」と「FFXIV」は同じ部署同士ですので、かなり細かくチェックをしてくれています。

――今回と逆に「FFXI」から「エコーズ オブ エオルゼア」やってくださいという話がでたらどうしますか?

吉田氏: どうだろう。やりたいと言うかどうか次第ですけど(笑)。一般的に、売り上げや盛り上がりだけを考えたら、「業務命令的にコラボしなさい」というケースもあるのかもしれませんが、ことゲーム開発においては、まずスタッフがやりたいと思うかどうかが重要です。やりたいと思ったうえで、それを通じてお客様に喜んでいただきたいと思えるかどうか、そこがすごく大事だと思っています。だから僕の方から「FFXI側もやりなよ」ということは基本的にはありません。「FFXI」チーム側が、両方プレイしている方の反応を見て、「じゃあやろうかな」というなら大いに協力すると思います。

「FFXI」ではトップランクの人気キャラ、プリッシュが物語を引っ張る

――今回プリッシュが登場していますが、今後他のキャラクターも登場する予定はありますか?

吉田氏: ないとは言えないですが、あまり野放図にキャラクターを増やしても薄れてしまいますので、しばらくはプリッシュが物語を引っ張っていってくれるキャラになると思います。

――韓国のファンフェスでFafnir(ファヴニル)が公開されました。「FFXI」ではリディルという武器をドロップするモンスターとして有名ですが、リディルもどこかに登場したりするのですか?

吉田氏: サンクレッド役の中村悠一さんが、“リディル中村”と呼ばれている原因にもなった武器なので、うちのチームならリディルはどこかにこっそりあるような気はします。相当見つけづらいと思いますが、目を皿にして探してみてください。

難易度は零式2層くらい、もちろん落ちる床も

――新たなレイドとして追加される滅アライアンスレイドの「暗闇の雲激闘編」について、まず難易度ですがどのあたりに落ち着きそうなんでしょうか?

吉田氏: もう調整はFIXしていて、あとはデバッグが少し残っているくらいです。トータルとしては零式2層くらいかなと感じていますが、ギミック難度的にはもう少し易しめな気もします……。ぼくらも初めてのコンテンツなので、なんとも言えないところもあります。

24人で挑むことになる高難易度コンテンツ「滅暗闇の雲激闘戦」

――零式2層って、ものすごく難しい時と簡単な時がありますが、どちらくらいですか?

吉田氏: 個々のギミックとしては零式1層くらいかなと、ただそれを24人でやるというところが難しい。ただ、できるだけ個人ギミックを多くして、誰かがミスったら24人全員がワイプというものはそう多くないです……。当然巻き込んでしまうことはあるだろうし、床抜けもあるので「ちょ、おま! 俺がいるのに! 2人とも落ちた」ということはあると思います。

 8人で解法を見つけていくのは簡単でも、それを24人でやるとなった時に初めて生まれる難しさも絶対にあると思っています。ギミックの難しさというよりも、24人で連携を取るという部分で8人の時よりも難易度が上がるので、何とか例えるとしたら、零式2層くらいかなというイメージです。

――3パーティに分かれて別々のギミックをこなしたりするようなシチュエーションはあるのですか?

吉田氏: 24人というと通常のアライアンスレイドを思い浮かべると思いますが、今回は「タンク2、ヒーラー2、DPS4」×3でバランスを取っています。そのパーティをさらに2つに分けなければならないこともあるので、あまり8人パーティ単位と考えすぎると、ギミック攻略のミスリードになるかもしれません。あまりいうと解法につながってしまうので言いませんが、8人レイド×3というイメージが近いです。

――参加するための条件はありますか?

吉田氏: 「黄金のレガシー」をクリアしていれば参加できます。レイドファインダーにも対応しています。レイドファインダーでは2タンク2ヒーラー4DPSでのマッチングになります。今固定を1タンクで募集されている方もいますが、トータル6タンク必要になります。タンクが6人必要ということは、そういうギミックもあるんだろうなと思っていただければ。

ギミック的には零式1層レベルだそうだが、24人でこなすことで難しさが生まれる

――報酬のシステムが少し特殊ということですが、どんなシステムになるのですか?

吉田氏: 今回新しいタイプのコンテンツであり、24人で難しいものをプレイしていただくことになりますし、全体的にパッチの報酬を増やそうという方針なので、今回はかなりたくさんの報酬を用意しています。アイテムレベル730の防具、マウントが2種、ヘアカタログもあります。直接ドロップだけでなく、クリア時には専用のトークンがもらえるので、それを貯めて交換も可能です。

 幾つかの報酬アイテムはトレード可能にしてあるので、コンテンツに行けない方にマーケットを通じて販売することもできます。初クリアボーナスもつけていますので、初クリアの方が多ければトークン量が増えるなどもフォローさせていただきました。後はサーバー内の特定の時間に報酬がアップする仕組みも導入されます。決まった時間に「ボーナスが発生しているからやろうぜ」という方が、人を集めやすいのではないかと考えました。

 もちろん、1回クリアしてある程度報酬を取ったらもういいや、という方はいると思います。でもレイドの攻略指揮をして、どんどん多くのプレイヤーをクリアさせていきたい、という方も必ずいらっしゃるので、バルデシオンアーセナルもそうですが、そういう方がモチベーションを持って繰り返しレイドを開催する理由ができるように設計しています。

だから報酬の数も多いし、防具はIL的にも強いです。デザインも相当かっこいいものになっています。

――今後、滅アライアンスレイドはどの程度の間隔で実装を検討しているのですか?

吉田氏: 今はまだ計画していません。まずは今回のコンテンツをリリースしてみて、どのくらい需要があるのかといったフィードバックを拝見しようと思っています。24人での高難度コンテンツは、腕のあるスタッフでなければなかなか作れないものなので、今回皆さんの反応を観させていただいたうえで、しっかりと見極めていこうと思っています。

見ていても楽しいエモさが詰まったレイドになっています

――「絶もうひとつの未来」について、あまり話せることはないかもしれませんが、見どころというか、ストーリーなどあまり攻略に関係ない部分で見どころを教えてもらえますか?

吉田氏: ガイアはアシエン転生組の魂を持っている。もう1人のアシエンは光の氾濫を起こしたエデンとして残っている。それをリーンとガイアがうまく抑え込んだというのがレイド内で語られたストーリーです。今回は、もし抑え込めなかったらとしたら……というIFストーリーではあります。だから2人ともそれなりにセリフがあり、もちろん絶シリーズをプレイしない方にもある程度配慮しつつではありますが、リーンもガイアも非常に人気がありますので、2人の掛け合いには絶攻略の配信なども含め、注目してくださると嬉しいです。単に難しいだけではなく、絶ならではの演出や仕掛けみたいなものも用意されているので、観ていても楽しいと思います。

リーンとガイアのIFストーリーが語られる

――パッチのキービジュアルで、リーンとガイアが融合したような姿が描かれているのが気になります。

吉田氏: アシエンが2人いるとなると、「我は汝となりて――」というセリフもありますし……(笑)。アシエンたちの想いと、今の光の巫女と闇の巫女であるリーンとガイア、2人の戦いでもあると思っていただければ。

 今回ギミック1つ1つの回避時間は意外とちゃんととってあるので、あまりに際どい、ということにはならないよう作ってあるのですが、ギミックが連なってくるテンポは結構早いので、配信では8名が踊っているかのように攻撃しつつプレイするところが観られるかと思います。そのあたりの連携が決まってくると、配信をご覧になっている人たちも、すごく気持ちよく攻略パーティを応援していけるのではないかと思います。リーンもガイアも絵的にはすごくキャラ映えするので楽しみにして欲しいですが、ただし、2人に会うためにはまずはフェイトブレイカーを超えなければ……。「ただで会えると思うなよ」という感じでしょうか。

リーンとガイアに会うには、まずはフェイトブレイカーを倒す必要がある

――難易度的には、歴代の絶シリーズの中ではどのくらい位置すると思いますか?

吉田氏: ワールドファーストを狙おうとする人たちのプレイヤースキルが青天井なので、どこを軸にして難易度の話をするかが難しいです。挑戦する人たちと、それを観ている人たちで、難易度に関する認識があまりにも違うのです。

 「絶オメガ検証戦」よりはクリアしやすいと思うのですが、難易度の方向性というのは、人によってギミックの得意不得意も違っているため、印象が変わりやすいのです。「絶アレキサンダー討滅戦」よりは難しいと思います。

 今回はテンポが速くて、視聴者として見ていても楽しいと思いますので、ぜひ盛り上がっていただければと思っています。改めて歴代の絶シリーズのクリア時間やクリア日数をみてみたのですが、概ね5日から7日くらいなんです。今回も結局はそのくらいに落ち着くのかなと思っています。

エモい演出も用意されているので、配信の視聴者も楽しめる

 ただし、本当にトップ勢のレベルが尋常ではないので、彼らに合わせて作ると、彼ら以外誰もクリアできなくなってしまいます。レイドチームのすごいところは、やっている8人だけではなく、外側からチームを見て、ギミックの解法を研究してチームに伝えるサポーターたちの能力も尋常ではないです。チーム攻略をされるとどうしても、通常の攻略速度と比較にはなりません。

 だから難易度については一概には言えませんが、手応えややりがいは絶対にあると思います。それに本当に色んなエモさが詰まっていると思うので、行かない方でも映像で楽しめると思います。ぜひ攻略パーティを応援しつつ、見守っていただけると嬉しいです。

PvPアップデートでは、よりシビアなタイミングが取れるように高度なチューニングを実施

――PvPアップデートについてお伺いします。7.1では攻撃を判定する仕様に大きな変更がはいりますが、この変更を実装する理由を改めて教えてください。

吉田氏: 先日の韓国ファンフェスが終了して、全リージョンでクリスタルコンフリクトのリージョンチャンピオンを決める試合が無事行われました。それを見てきた中で、PvP全般、もちろん大規模PvPも含めてですが、「FFXIV」はサーバークライアント型のゲームで、チートを許さない作りをしているため、どうしても瞬間反応をしたのに間に合っていないとか、遅れてエフェクトが出ているけどもうスタンしているということが起こるんです。

 今世の中にあるPvP系のゲームと比べて、これをMMORPGだからと、このままで良い、とは思っておらずでして。今回サーバー側のエンジニアたちがすごく頑張ってくれて、特定のエリア、特定のコンテンツ内では、よりシビアなタイミングが取れるように高度なチューニングをしてくれました。敵の攻撃を見てから防御が間に合うという、アクションゲームにより近づけることが実現できました。

 今までやってきた人たちは最初のうちは多少戸惑うと思います。特に攻撃側の場合には、打ったら当たり判定確定みたいな感じだったのが、相手がそれを見てから防御できるようになってくるためです。ただ、絶対こっちのほうが面白いですし、触ってもらえればすぐに分かっていただけると思います。この変更によってレスポンスが悪くなるといったことは一切ありませんので、ぜひまずはこれを楽しみにして欲しいです。

クラウドナイン

――見て避けられるようになるからこそ、攻撃側もタイミングが重要になってくるということなんですね。

吉田氏: 例えばバーストという戦術で、沈黙を入れられたりカッパにされたりするんですが……あ、カッパは今回「浄化」できるようにしました。そうやって沈黙をかけられ、浄化して防御と即反応したとしても、その間に攻撃されたものはすでに判定が発生しており、どうやっても防御が間に合わずに即死するというようなケースが多かったと思うのです。

 これも戦術としては正しいのですが、これからはよりうまく連携しないとバーストが決まりにくくなります。戦術がさらに緻密になるのではないかと思っています。

――クラウドナインとレッドサンズの改修はどういった理由で、どういう方向の改修が入るのですか?

吉田氏: クラウドナインはどうしても中央部分で近接が視線を切る場所が限定されているため、遠隔が打ち放題で有利になりがちでした。壁を何枚か立てて、キットも配置し、視線を切りながら中央部で押し合いができるようにしました。

後は、中間のチェックポイント付近にも1つ視線切りの壁を置くことによって、駆け引きができるようになっています。いっそフィールドギミックである「竜巻もなくそうか?」という話も出たのですが、やはりギミックあってのマップでもあるため、しっかり残っています。竜巻の移動ルートが、いやらしくなっているので気を付けてください。

――レッドサンズに関してはいかがですか?

吉田氏: レッドサンズに関してはどうしてもチェックポイント周りのギミックを回避する場所があまりにもなさすぎたので、ノックダウンしてから復帰するルートが決まってしまっていて、裏をかいたりするような要素がなかったので、結構大規模に移動ルート自体をガラッと増やしたり、後は砂漠のギミックを避けるための場所を単純に増やしています。

 大きくエリアから離れてくださいというわけではなく、小技がけっこう効くようになっています。あとはギミックのダメージや時間も調整してあります。本当に新しいマップのようになっていますが、見た目がガラッと変わるわけではないので改修と言っています。

レッドサンズ

――フロントラインやライバルウィングズはどのような変更が入るのですか?

吉田氏: 大規模PvPについては、クリスタルコンフリクトに引きずられて、大味な調整が続いているんじゃないの? というご意見をいただいています。本当は今回、大規模PvP用のPvPアクションを各ジョブに追加したかったんですが、どうしてもデバッグコスト的に難しくて、それはパッチ7.2で実施させていただく予定です。

 PvPに係るスタッフを増やすことができたので、今回はかなり細かくジョブ毎の攻撃/防御係数の値を見直し、リミットブレイクの貯蓄時間なども個別に調整しています。ライバルウィングズは兵器のヒットポイントが少し弱すぎるところがあったので、そこも手を入れています。

 パッチ7.2からは大規模PvPのルール改変や、コンテンツの調整、それから先ほどのPvPアクションの追加の作業を現在進めています。今回もヴァイパーとピクトマンサー以外のジョブには何らかの新アクションが追加されています。黒魔道士のようにまったく性能が変わっているジョブもいるので、新たなシーズンが始まったら、「随分変わったなあ。さあ、やるか!」と感じていただけると思いますので、ぜひ、楽しみにしていてください。

――最後にファンへのメッセージをお願いします。

吉田氏: 次の10年への第一歩が「黄金のレガシー」だとすると、ここからさらに積み上げていくためのさらなる一歩が今回始まります。拡張パッケージに開発コストをかなり突っ込んでしまっているため、拡張後最初のメジャーアップデートは薄めという印象があるかもしれませんが、今回は相当なボリュームです。段階を踏んでコンテンツをオープンしていきますので、年末年始でお忙しい面もあるとは思いますが、ぜひ、エオルゼアでも楽しんでいただければと思っています。

 コンテンツだけではなく、システムアップデートもたくさん入っていて、遊び方もさらに便利になっています。引き続き「FFXIV」の中で楽しんでいただけると幸いです。

――ありがとうございました。