インタビュー

新作MMORPG「リネージュW」配信直前。改めてシリーズの魅力を深掘り!

「リネージュ」シリーズの本質は「戦闘・血盟・犠牲・名誉」? その意味をシリーズプロデューサー達に聞いた

【リネージュW】

11月4日0時 配信予定

価格:基本無料(アイテム課金制)

 11月4日0時に配信予定のAndroid/iOS/PC用MMORPG「リネージュW」。本作はPCオンラインゲーム「リネージュ」の後継作としての正統性を継承しながらも、“ワールドワイド”というコンセプトに基づきグローバル展開を前提として戦略的に開発された、「リネージュ」シリーズの最新タイトルだ。

【【リネージュW】 リリース記念トレーラー】

 「リネージュ」シリーズは20年以上続いており、今日ではMMORPGでも屈指の長寿タイトルになっている。「名前は聞いたことがあるが……」や「昔リネージュはやっていたが……」といったように、最新作をいきなり始めるのに躊躇う方もいるかもしれない。

 今回のインタビューでは、現在日本でサービス中の「リネージュ」シリーズ4作品のプロデューサー4人(「リネージュ」担当・李鍾沅氏、「リネージュ2」担当・新井友和氏、「リネージュM」担当・川南巌氏、「リネージュ2M」担当・柴田優輝氏)に加えて、「リネージュ2M」事業マネージャーの大河内卓哉氏にメールインタビューを実施。「リネージュ」シリーズ全体の歴史や世界観をおさらいしつつ、「リネージュ」の面白さ、「リネージュ」が守り続けたその本質を伺った。

 「リネージュ」を知っている方も、知らない方も、その魅力に触れて、シリーズ最新作「リネージュW」のサービス開始に備えていただきたい。

リネージュとはこんなゲームだ!

――そもそも「リネージュ」とは何でしょうか。改めて「リネージュ」を知らない方に向けて教えてください。

李氏:1998年に韓国でPC向けのオンラインゲームとしてサービスが開始された「リネージュ」は、漫画家シン・イルスク氏が描いた同タイトルの漫画を原作としたMMORPGです。当時はそもそもオンラインゲームというものが少ない時代であり、オンラインゲームといえばテキスト基盤の簡単なゲームが普通でした。1つのゲーム空間に数え切れないプレーヤー達がリアルタイムで遊べるゲームはほとんどありませんでした。その時代にまるでオーパーツのようにすごいクオリティーのゲームがサービスされましたので、当時の人気は絶大でした。そういった昔からの人気があってこそ今もまだサービスが続いています。

「リネージュ」日本プロデューサーの李鍾沅氏

――リネージュは直訳すると「血統」とか「血筋」という意味ですよね?

李氏:英語の和訳辞典ですとそのような意味となりますが、上記で説明した通り、漫画「リネージュ」を原作としています。ゲームではこちらの原作をもとにストーリーやキャラクター同士の関係などが描かれておりますが、内容を簡単に要約すると神話的な英雄の物語です。漫画では血統の重要性が多く語られますので、タイトルも「リネージュ」となりました。ゲーム内では「血盟(クラン)」というキーワードが重要になっています。多くのMMORPGでいう「ギルド」、「クラン」などに相当するプレーヤー同士の寄合となるシステムですね。オンラインゲームといえばコミュニティ要素が一番の特徴といえますが、「リネージュ」は特にこの「血盟」に所属し活動することを前提にゲームが作られているため、このようなタイトルになっていると個人的には思っています。

――「リネージュ」といえばMMORPGの代表的なタイトルというイメージがありますが、なぜこんなに有名なのでしょう?

新井氏:オンラインゲーム黎明期からサービスを続けてきた「リネージュ」シリーズですが、その名を有名にした要因として2つ挙げられます。

「リネージュ2」統括プロデューサーの新井友和氏

 1つ目は、すべてのリネージュタイトルにおいてメインコンテンツとして登場する「攻城戦」。大規模な対人コンテンツとして、多くの仲間と一緒にプレイするという体験は、プレーヤーの皆様を虜にし、「攻城戦」をプレイするために、仕事や用事を調整する方も多くいらっしゃいました。

 2つ目は、「チャット」システム。今ではSNSの発達により仲間とのコミュニケーションはSNSを通じて取り合うことが普通ですが、当時のコミュニティ形成のほとんどは、ゲーム内のチャットによって進行していました。出会いや別れの人間模様を、チャットを通じて体感するコンテンツが当時は新鮮でした。

 この2つが「リネージュ」シリーズを有名にしたきっかけだと思います。

「リネージュ2M」における攻城戦のイメージ
「リネージュ2」における攻城戦のイメージ
「リネージュM」における攻城戦のイメージ

――「リネージュW」は日本での「リネージュ」シリーズ5作品目ですが、それぞれのタイトルはどういう関係になっているのですか?

新井氏:「リネージュ」シリーズの物語は、「リネージュ2」から始まり、「リネージュ2」から約100年後の世界を「リネージュ」、その後の世界を「リネージュW」という時系列で進行します。

※物語の時系列:「リネージュ2」→「リネージュ」→「リネージュW」

――「リネージュW」はその正統後継作品ということですか?

大河内氏:そうですね。特に「リネージュW」は、ストーリーや設定を大切にしていますので、これまで公開されていなかった点への言及や設定公開など、ご期待いただけますと幸いです。

 開発についても、「リネージュM」、「リネージュ2M」に続き、NCSOFTのイ・ソング氏が携わった作品となりますので、そういった意味でもリネージュらしさは継承されている作品となります。

 さらにエヌシージャパンの各種サポートメンバーは、各タイトルで育った人材を中心に編成されていますので、安定感あるサポートを期待していただければと存じます。ビジュアル、音楽といった点でも完成度は高いため、期待していただける作品となるかと思います。

「リネージュ2M」事業マネージャーの大河内卓哉氏

「リネージュW」は「リネージュ」の本質を受け継いでいる?!

【【リネージュW】 ショーケース:The World】
「リネージュW」開発室長チェ・ホンヨン氏と韓国NCSOFT「リネージュW」グループ長イ・ソング氏が同作の特徴を紹介した

――オンライン発表会では、リネージュの本質は「戦闘・血盟・犠牲・名誉」であると伺いました。絆や物語ではなく、「戦闘」がトップに来るのはなぜだと思いますか?

川南氏:コンテンツとしての重要性というより、ゲームデザインとしての成り立ちの順であると感じています。「リネージュ」が企画された時代はまだスタンドアローンやマルチプレイの規模のゲームが主流でした。

「リネージュM」運営プロデューサーの川南巌氏

 そういう時代に製作した「リネージュ」がMMORPGであることが最も重要視されているのではないでしょうか。MMORPGという多くの人格が存在するゆえの対立と「戦闘」、その中でも同じものを志す者の集まりである「血盟」、個人ではなく血盟としての志を競う争いの中の献身と「犠牲」、そしてそれを称える「名誉」という順番を指してのものだと思います。

――「血盟」はよくあるギルドとかのことですが、「リネージュ」における「血盟」はそこまで大きな意味を持つのですか?

川南氏:「リネージュ」や「リネージュM」においては、原作におけるデポロジュー王子がアデン王国の正統後継者として僭主である反王ケンラウヘルに仲間と共に挑むというストーリーラインを模して、君主及び他のクラスがまず設定されました。つまり、他のゲームにおける集団に対するシステムサポートのためのギルドという役割以外に玉座を勝ち取るための集団という役割を持ちます。ゲーム的には自血盟の君主のみが正統であり、他の君主はすべて玉座をかすめ取ろうとするニセ王子で、他の血盟は敵対勢力。味方の血盟員以外は全部敵なのです。

 そのため本来的には血盟とは仲良しのたまり場ではなく、正に血の盟約によって誓った家族であるともいえるでしょう。ただ、プレーヤーとしては何かしらの同じ目的を持った仲間の集まりこそが血盟であり、玉座争いや血盟戦には興味がないことも多くあるかと思います。特にドラゴンのような強大なモンスターに挑む場合にはゲームデザイン上は敵である他の血盟とも協力し合うこともあり、そのような枠を超えた連帯こそが「リネージュ」の思い出として強く残っている方も多いのではないでしょうか。戦闘とは対人のみにあらずということですね。

――もちろんこの「戦闘」や「血盟」の面白さは最新作「リネージュW」でも期待して良いんですよね?

柴田氏:そうですね。これまでのタイトルについても、海外プレーヤーが一部参加している状況かと思いますが、原則は日本国内での大血盟同士での「戦闘」が中心になっていたかと存じます。

「リネージュ2M」日本プロデューサーの柴田優輝氏

 それが「リネージュW」では、既にオンライン発表会で映像公開されている通り、グローバル作品となっておりますので、国内血盟同士ではなく、グローバル規模の「戦闘」が勃発することを意味しています。

 さらに、ゲーム内においてAI翻訳機能も搭載されていますので、日本・台湾・タイ・サウジアラビアの合同血盟なども、どなたかが立ち上がれば作り上げられます。そういった意味では、もはや国や地域という概念を超えて、ひとつの目標に向かい団結した「血盟」という単位がより大切となる戦いとなることが想定されます。

 全世界で同じボスをめぐって「戦闘」することなど、前向きに楽しんでいただくことがよいかと存じます。つまり「戦闘」も「血盟」も、「リネージュW」を楽しむ上で、より重要なキーワードとなることでしょう。

――「犠牲」というのはゲームのコンセプトとしてあまり見ないと思うのですが、これはどういった意味でしょう?

新井氏:川南や大河内も話していましたが「リネージュ」シリーズでは「血盟」が重要なポジションになっており、その「血盟」からいろいろな物語が生まれます。

 「リネージュ」シリーズのゲームコンセプトである「名誉」や「犠牲」について簡単に説明しますと、「血盟」の中から生まれる「名誉」と「犠牲」は表裏一体であり、「血盟主=君主」(以下、「君主」)に忠誠を誓い、物語が進行していきます。物語が進行すると避けることのできない戦い「攻城戦」が登場します。「君主」に絶対的誓いを立てた「血盟員」は、攻城戦において「君主」に対して献身的な戦闘を行います。自身を犠牲にして、敵をせん滅すること、君主を守ることの意味を「犠牲」、その「犠牲」を糧として「玉座」を取ることを「名誉」と呼んでいます。アデン大陸での攻城戦を通じて様々な新しいドラマが生まれていきます。

――「犠牲」「名誉」についても、「リネージュW」で期待してよろしいですか?

大河内氏:「血盟」の規模に伴い、「戦闘」規模が大きくなるということは、より多大な「犠牲」を払わないと勝利を得ることはできませんし、その規模に比例して勝利への称賛、「名誉」も大きくなるでしょう。

 つまり、“No pain, no gain”、苦労なくして得るものなし、「犠牲」なくして「名誉」なしである、「リネージュ」の文化を引き継いだ最高にストイックなゲームを期待していただければと思います。

「リネージュ」の本質を受け継ぎつつ、最新作で旧作を超えた部分

――「リネージュW」が旧作を超えた部分について教えてください

大河内氏:とにかくグローバルという点に注目いただければと思います。

 サービス中の「リネージュ」タイトルは原則として韓国先行リリース及びアップデートとなり、翻訳してこのシリーズを追いかけてくれているプレーヤーの皆様においては、次に行なわれるアップデート内容の予想などもある程度できるものでした。

 ですが、「リネージュW」はグローバルでワンビルドのため、情報がない状態から作戦を組み立てて立ち回る必要があります。つまり、リアルタイムで情報を見ながら、仮説を立てつつ迅速に作戦を立てる必要が今まで以上にあるということです。

 また、グローバルプレイを推進するために「AI翻訳技術」の実装も予定されておりますので、音声認識でテキストが入力できるなど最新技術も搭載しています。その利便性などは、ぜひプレーヤーの皆様でご確認いただけますと幸いです。

「AI翻訳技術」は他言語で投稿されたチャットの内容を自動的に設定した母国語へ翻訳していく機能

――実際に「リネージュW」を見てどう感じましたか?

柴田氏:まず驚いたのがダークファンタジーとして完成された世界です。今までの「リネージュ」の世界観を踏襲しつつ、よりリアルに、よりファンタジーに描かれているのが、すごく印象的でした。3Dで見るボスや、詳細まで描かれた様々なシーンは感動しました。もちろんストーリーも豊富で、メインストーリーは勿論のこと、今まで語られなかった内容が随所に入ってくるので、Skipボタンを押さずに読み込んでしまいました。

各クラスの導入ストーリーではダークな世界観を3Dグラフィックスで描く

――Showcaseでは「リネージュW」は従来のリネージュと違い、親切なリネージュということを伝えていたが、そういったところを感じる部分はあったか。

柴田氏:従来の「リネージュ」では攻略情報は海外や個人サイトなどで検索をしたりしていましたが、「リネージュW」ではゲーム内で様々な情報にアクセスすることができます。狩場も簡単に探すことができますし、プレイしているとモンスターのHPなど詳細ステータスが明かされていくという機能も入っています。プレイすればするほど情報が集まり、メリットを得ることができるため、相当なやりこみ要素が期待できます。

読者に向けてのメッセージ

――事前先行ダウンロードを開始したということで、これから「リネージュW」を始める方、始めようか迷っている方に、各プロデューサーからコメントをお願いします。

李氏:「リネージュW」はこれまでの「リネージュ」シリーズの集大成といっても過言ではないゲームとして作られました。「リネージュ」って聞いたことはあるけどまだ触っていない方々には是非ともこの機会に楽しんでいただければと思います。

 まだ、この「リネージュ」シリーズの起源としてPC版「リネージュ」は、現役のオンラインゲームとしてサービスし続けています。2022年にPC版「リネージュ」は20周年を迎えることになるので、「そんなに長くサービスされているの?!」と驚く方々には是非ともPC版「リネージュ」も触っていただければ幸いです。

「リネージュ」ライブサービスでは9月にアップデート「戦場の支配者」を実装。新クラス「ランサー」を追加した

新井氏:「リネージュW」は「リネージュ」シリーズの最新作としてリリースいたします。ファンの一人として新しいストーリーに触れる機会を楽しみにしています。究極のダークファンタジーの世界を一緒プレイしましょう。

 「リネージュ2」は2021年10月20日(水)に大型アップデートを行ない、「リネージュ」シリーズの象徴である新クラス「デスナイト」の登場や、新サーバー「アナキム」をオープンいたしました。新クラス追加で多くのプレーヤーの皆様に「リネージュ2」の魅力を体感していただけるように、たくさんのイベントをご用意しています。新しく「リネージュ2」を始める方や、少しお休みをしていた方は新サーバー「アナキム」でぜひ新クラス「デスナイト」を体感してください!これからもよろしくお願いいたします。

川南氏:「リネージュW」について事前に触れさせていただく機会もございましたが、ダークファンタジー的な要素やストーリーの露出が強化されており、雰囲気も非常に好みでした。自社タイトルですが、「リネージュ」シリーズの完全新作のリリースを一人のファンとして待ち遠しく思っています。

 しかしながら「リネージュM」におきましてもログアウトプレイやスケジュール機能などのプレイサポートが充実しており、忙しい現代のプレーヤーにマッチしたものとなっていると思います。最近は大型アップデートの度に「グンター」というビギナー向けの期間限定サーバーもオープンしておりますので、もし「リネージュW」から百数十年前のアデンを見てみたいという折にはよろしくお願い申し上げます。

「リネージュM」では9月に大型アップデート「Ep.exceed ~Knight~」を実装した

柴田氏:「リネージュW」は特にPC版「リネージュ」が好きな方々に心から刺さるタイトルとなっています。初公開された時の映像からもインパクトがあったと思いますが、実際にプレイすると友人に語りたくなるような奥深い世界が待っています。ぜひ、一度触ってみていただけると幸いです。

 また、「リネージュ2M」においては、「ベオラの遺跡」、「傲慢の塔」といったワールドコンテンツの実装が行なわれています。ますます広がる新しい世界に、ご期待ください。

大河内氏:この度、「リネージュW」というタイトルが「リネージュ」シリーズ最新作としてラインナップされる運びとなりました。

 これまで「リネージュ」を愛してくれている方は既に注目いただいているタイトルとなるかと存じますが、引き続き楽しんでいるタイトルを続けていただきつつ、世界規模の戦闘となる「リネージュ」がどのように進化するものとなるのか、ご興味ある方はぜひご自身のキャラクターでご確認いただければと思います。

 「リネージュ2M」につきましても皆様に楽しく安心してプレイしていただけるよう、チーム一同、より一層尽力して参ります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

「リネージュ2M」では10月27日に「クロニクルIII.傲慢の塔」を実装。新たなワールドダンジョン「傲慢の塔」へ挑める

 以上、リリースを間近に控える「リネージュW」と、「リネージュ」シリーズについて錚々たるメンバーからお話を伺った。11月4日の世界同時配信が間近に迫る中、いまだ謎に包まれた部分も多い「リネージュW」だが、シリーズに精通したプロデューサー達の目線でも「リネージュ」のエッセンスを詰め込んだ傑作となるようだ。シリーズ最新にして最後の作品の盛り上がりには大いに期待したい。

「リネージュW」は11月4日に世界同時配信。11月2日12時より事前ダウンロードもスタートしている